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7+8=15って事?
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「もう一回言ってもらえます?」
「ですから、あなたはあの事故で死んでしまったんです」
「あははは、何言ってんのかよくわかんない」
「私は忙しいんですからお笑い芸人のネタで現実逃避するのはやめてください!」
いかん、俺の唯一と言っていい鉄板ネタで美男のこめかみに青筋が浮き出てきた。
でもね、自分に自信があるのか高飛車というか高慢というか、インテリ気取りの回りくどい物言いが嫌いなんです。
というかよく『仕事と趣味』のコンビネタ知ってたな……。
「しかしいきなり神だ天使だ天国だと紹介されて、あの事故で死んだとまで言われると逃避したくもなりますよ……」
「本当は何とか瀕死で済ます事も出来たんですけどね、どうせ生きてても……」
「え、瀕死で済ます事が出来たんですか? じゃあ何で死んでるんですか!」
「ふむ、誰にも見舞いに来ず、相手もされず、頚椎損傷と脳挫傷で人工呼吸器をつけたまま寝たきりのほうがよかったですか? まともに動く事も話も出来ないのに若干意識だけはあるみたいですよ?」
oh、地獄と生き地獄のどちらかなんて、悲しすぎる究極の選択でしょ……。
「確か生前に、寝たきりになるくらいなら人工呼吸器での延命措置は不要だって言ってたそうですが? 闘病で苦しむくらいならポックリいったほうがいいんですよね?」
うん、言った。
ええ、言ってましたとも。
くどい神さまは嫌味な神様でもあったようで、ここは話題を変えて乗り切ろう。
「あの、自分が死んだのは理解できたんですが、子どもや保護者さんは……」
「それです。私はあなたの不幸な生い立ちと理不尽な人生を歩みながらも他人を気遣うその姿勢を見てここまで来てもらったのです」
(あー、自分に酔ってる人っぽい言い回しだなあ。この神さまはナルシストなのかな? それともナルシストの神さまかな?)
心の声が一番柔和なカワイイ系美少女天使さんに届いたのか、一瞬笑いを我慢して手で隠すような仕草をしたような気がした。
「何か?」
「い、いえ、どうぞ先をお続けください」
「事故直後、あなたはほぼ意識が無いにもかかわらず搬送されている間も子どもたちを気遣い、安否を確認してたそうですよ」
(忙しいならさっさと言ってください、クド神さま)
あ、美少女天使ちゃんやっぱり笑ってるわ。
顔を伏せて笑いを我慢してるけど、肩が震えてる。
急いでハンカチ取り出して目元押さえて口元隠してるけど、あれは感動したフリして隠してるだけだわ。
「あの者たちは全員無事ですから安心していいですよ」
全員無事、と聞いて安堵のため息が出た。
自分が何かしたわけでもない、というか単にもらい事故で死んだだけだが、少なくとも誰かが不幸になる事はなかっただけでもよかったと思える。
「やはり私の目に狂いはありませんでした。あなたこそ私の捜し求めていた者です。どうか私の願いを聞き入れて欲しいのです」
こ、この流れは一発逆転のチート転生というやつか!?
まさか俺みたいな薄毛でブサイクなアラフォーのおっさんでBL(Bがブタとかブサイクでなければだが)展開という事もあるまい。
「願い、ですか」
「私が創り、管理している世界をあなたの手で救って欲しいのです」
やりました!
転生はほぼ確定っぽい流れですよ、奥さん。
「あなたが事故の前日に読んでいた書物にちなんで、15回お願いしたいのですが……」
「は?」
「かの者の生き様に憧れているあなたにはちょうどいいでしょう。私の願いを達成した暁には、あなたの願いを聞き届けましょう」
ちょっと待っていただきたい!
確かに格好いい生き様だとは思うけど憧れてはないし、いくら窮地だからといっても全身糞尿まみれで逃げ出すほどの気概は持ち合わせてません!
しかも達成しないとチート貰えないんですか?
今の能力のままでって、虚弱体質の『ステランカー』よりはマシだろうけど、『星がみえるひと』並みにひどい目に遭うでしょ!?
底辺工業高校卒を舐めるなよ!
仮にステータスなんてものがあっても全員力と体力以外並み以下だぞ?
元同級生なんか在学中の夏休みに交番襲撃したとかで年少行きを全国ネットで晒される様な、知能が1か2のレベルだぞ?
地元じゃ金髪とトゲトゲ頭の不良漫画の極悪な高校に近い扱いで、何もしてないのに歩いてるだけで人が避けるんだよ……。
「あの、どう考えても15回も世界を救うなんて事は不可能なんですが……」
「もちろん15回全てなんて事はありません。半分以上という事で、15回中8回の偉業や貢献でかまいません」
うん、大幅にハードルは下がった。
その代わり偉業とか貢献なんてキーワードを後出ししてきたけど……。
「偉業、ですか? どのような程度でしょうか?」
「わかりやすく言うと魔王を倒すとか、あなたの世界で言うとノーベル賞とかフィールズ賞とか聖人認定されるレベルですかね」
おい、なにサラっととんでもない事言ってるんだ、このクナ神さまは。
どう考えても鹿之介さんが15回全てに助っ人で来てくれてもどうにもならんレベルだろ。
ベリーハードの『鹿之介がお家再興を断念する』レベルだよ。
「魔王が居る世界、ですか。魔族とか魔物もいて、魔法なんかもあるんですか?」
「全てではありませんが、そういう世界へ行って貰う事もあります」
「戦場、疫病や飢餓が蔓延するような場所で転生して、偉業や貢献どころか育つ前に死ぬ可能性は?」
「絶対に無いとは言い切れませんが、神である私の願いで行ってもらうわけですから気にしなくてもいいと思いますよ」
ん~、なんかザ・お役所言葉って感じではぐらかされてる気もしないではないが、他にも聞く事がたくさんある。
「貢献とはどのような分野でもいいのですか? 私の世界の知識を使ってもいいのですか?」
「その世界において概念すらないような、例えば核を含む現代の軍事技術、航空技術等でなければかまいません。すでにあるものであれば現地で理解される程度の革新は許可します。忙しいのでこれ以上は時間が取れませんのでそろそろ最後にしたいのですが?」
うん、最初から核とか無理だし、ある程度文明化や近代化された世界だと底辺工業高校卒じゃむしろ手に負えん可能性が高い。
というか、1度もクリア出来ずに終わるんじゃないの?
これはまいったね……。
ここは美少女天使ちゃんでも見て沈んだ心を落ち着かせようかとそちらへ顔向けると、目が合った?
しかもちょっと微笑んでる?
たぶん勘違いだろうけどちょっと嬉しい。
他の綺麗で美形な天使さんたちは一切表情に変化は無くてちょっと怖いくらいなのにね。
自分でもよくわからないんだけど、整った顔のクールな気の強い系美人さんはなぜだか見てると寒気がしてきて苦手なんだよね……。
「もし8回クリアできなかった場合、何か私にペナルティはありますか?」
「基本的にはありません。例え基準以下の少ない貢献であったとしても私に協力してくれている事には変わりはありませんからね。ただ、願いの件もなくなります。逆に何もしなかったり邪魔するようであれば、当然あります」
これはやばい。
最初から都合よく使い潰すか途中で難癖つける、あるいは最後の時点でまともに願いを叶えてくれる気が無いタイプの匂いがプンプンする……。
「ではさっそく1回目に行ってください」
有無も言わさずにいきなりかよ。
まだ最後の、肝心な質問があるのに魔方陣みたいなのが足元から出てきて光が俺の体を包み始める。
「最後に、あのジジイはどうなったんですか!?」
そう、これがどうしても聞きたかったこの場で最後の質問。
「ですから全員無事ですよ。何でも認知症だとかで罪にもなってないようで、免許証取り上げられただけで今も自宅でコタツに入ってみかん食べながらのんびりテレビみてますね」
「フザケンナ! クソジジイーーー!!!」
「ですから、あなたはあの事故で死んでしまったんです」
「あははは、何言ってんのかよくわかんない」
「私は忙しいんですからお笑い芸人のネタで現実逃避するのはやめてください!」
いかん、俺の唯一と言っていい鉄板ネタで美男のこめかみに青筋が浮き出てきた。
でもね、自分に自信があるのか高飛車というか高慢というか、インテリ気取りの回りくどい物言いが嫌いなんです。
というかよく『仕事と趣味』のコンビネタ知ってたな……。
「しかしいきなり神だ天使だ天国だと紹介されて、あの事故で死んだとまで言われると逃避したくもなりますよ……」
「本当は何とか瀕死で済ます事も出来たんですけどね、どうせ生きてても……」
「え、瀕死で済ます事が出来たんですか? じゃあ何で死んでるんですか!」
「ふむ、誰にも見舞いに来ず、相手もされず、頚椎損傷と脳挫傷で人工呼吸器をつけたまま寝たきりのほうがよかったですか? まともに動く事も話も出来ないのに若干意識だけはあるみたいですよ?」
oh、地獄と生き地獄のどちらかなんて、悲しすぎる究極の選択でしょ……。
「確か生前に、寝たきりになるくらいなら人工呼吸器での延命措置は不要だって言ってたそうですが? 闘病で苦しむくらいならポックリいったほうがいいんですよね?」
うん、言った。
ええ、言ってましたとも。
くどい神さまは嫌味な神様でもあったようで、ここは話題を変えて乗り切ろう。
「あの、自分が死んだのは理解できたんですが、子どもや保護者さんは……」
「それです。私はあなたの不幸な生い立ちと理不尽な人生を歩みながらも他人を気遣うその姿勢を見てここまで来てもらったのです」
(あー、自分に酔ってる人っぽい言い回しだなあ。この神さまはナルシストなのかな? それともナルシストの神さまかな?)
心の声が一番柔和なカワイイ系美少女天使さんに届いたのか、一瞬笑いを我慢して手で隠すような仕草をしたような気がした。
「何か?」
「い、いえ、どうぞ先をお続けください」
「事故直後、あなたはほぼ意識が無いにもかかわらず搬送されている間も子どもたちを気遣い、安否を確認してたそうですよ」
(忙しいならさっさと言ってください、クド神さま)
あ、美少女天使ちゃんやっぱり笑ってるわ。
顔を伏せて笑いを我慢してるけど、肩が震えてる。
急いでハンカチ取り出して目元押さえて口元隠してるけど、あれは感動したフリして隠してるだけだわ。
「あの者たちは全員無事ですから安心していいですよ」
全員無事、と聞いて安堵のため息が出た。
自分が何かしたわけでもない、というか単にもらい事故で死んだだけだが、少なくとも誰かが不幸になる事はなかっただけでもよかったと思える。
「やはり私の目に狂いはありませんでした。あなたこそ私の捜し求めていた者です。どうか私の願いを聞き入れて欲しいのです」
こ、この流れは一発逆転のチート転生というやつか!?
まさか俺みたいな薄毛でブサイクなアラフォーのおっさんでBL(Bがブタとかブサイクでなければだが)展開という事もあるまい。
「願い、ですか」
「私が創り、管理している世界をあなたの手で救って欲しいのです」
やりました!
転生はほぼ確定っぽい流れですよ、奥さん。
「あなたが事故の前日に読んでいた書物にちなんで、15回お願いしたいのですが……」
「は?」
「かの者の生き様に憧れているあなたにはちょうどいいでしょう。私の願いを達成した暁には、あなたの願いを聞き届けましょう」
ちょっと待っていただきたい!
確かに格好いい生き様だとは思うけど憧れてはないし、いくら窮地だからといっても全身糞尿まみれで逃げ出すほどの気概は持ち合わせてません!
しかも達成しないとチート貰えないんですか?
今の能力のままでって、虚弱体質の『ステランカー』よりはマシだろうけど、『星がみえるひと』並みにひどい目に遭うでしょ!?
底辺工業高校卒を舐めるなよ!
仮にステータスなんてものがあっても全員力と体力以外並み以下だぞ?
元同級生なんか在学中の夏休みに交番襲撃したとかで年少行きを全国ネットで晒される様な、知能が1か2のレベルだぞ?
地元じゃ金髪とトゲトゲ頭の不良漫画の極悪な高校に近い扱いで、何もしてないのに歩いてるだけで人が避けるんだよ……。
「あの、どう考えても15回も世界を救うなんて事は不可能なんですが……」
「もちろん15回全てなんて事はありません。半分以上という事で、15回中8回の偉業や貢献でかまいません」
うん、大幅にハードルは下がった。
その代わり偉業とか貢献なんてキーワードを後出ししてきたけど……。
「偉業、ですか? どのような程度でしょうか?」
「わかりやすく言うと魔王を倒すとか、あなたの世界で言うとノーベル賞とかフィールズ賞とか聖人認定されるレベルですかね」
おい、なにサラっととんでもない事言ってるんだ、このクナ神さまは。
どう考えても鹿之介さんが15回全てに助っ人で来てくれてもどうにもならんレベルだろ。
ベリーハードの『鹿之介がお家再興を断念する』レベルだよ。
「魔王が居る世界、ですか。魔族とか魔物もいて、魔法なんかもあるんですか?」
「全てではありませんが、そういう世界へ行って貰う事もあります」
「戦場、疫病や飢餓が蔓延するような場所で転生して、偉業や貢献どころか育つ前に死ぬ可能性は?」
「絶対に無いとは言い切れませんが、神である私の願いで行ってもらうわけですから気にしなくてもいいと思いますよ」
ん~、なんかザ・お役所言葉って感じではぐらかされてる気もしないではないが、他にも聞く事がたくさんある。
「貢献とはどのような分野でもいいのですか? 私の世界の知識を使ってもいいのですか?」
「その世界において概念すらないような、例えば核を含む現代の軍事技術、航空技術等でなければかまいません。すでにあるものであれば現地で理解される程度の革新は許可します。忙しいのでこれ以上は時間が取れませんのでそろそろ最後にしたいのですが?」
うん、最初から核とか無理だし、ある程度文明化や近代化された世界だと底辺工業高校卒じゃむしろ手に負えん可能性が高い。
というか、1度もクリア出来ずに終わるんじゃないの?
これはまいったね……。
ここは美少女天使ちゃんでも見て沈んだ心を落ち着かせようかとそちらへ顔向けると、目が合った?
しかもちょっと微笑んでる?
たぶん勘違いだろうけどちょっと嬉しい。
他の綺麗で美形な天使さんたちは一切表情に変化は無くてちょっと怖いくらいなのにね。
自分でもよくわからないんだけど、整った顔のクールな気の強い系美人さんはなぜだか見てると寒気がしてきて苦手なんだよね……。
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「基本的にはありません。例え基準以下の少ない貢献であったとしても私に協力してくれている事には変わりはありませんからね。ただ、願いの件もなくなります。逆に何もしなかったり邪魔するようであれば、当然あります」
これはやばい。
最初から都合よく使い潰すか途中で難癖つける、あるいは最後の時点でまともに願いを叶えてくれる気が無いタイプの匂いがプンプンする……。
「ではさっそく1回目に行ってください」
有無も言わさずにいきなりかよ。
まだ最後の、肝心な質問があるのに魔方陣みたいなのが足元から出てきて光が俺の体を包み始める。
「最後に、あのジジイはどうなったんですか!?」
そう、これがどうしても聞きたかったこの場で最後の質問。
「ですから全員無事ですよ。何でも認知症だとかで罪にもなってないようで、免許証取り上げられただけで今も自宅でコタツに入ってみかん食べながらのんびりテレビみてますね」
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