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第四章
黒野時計堂(9)
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わんわんとかすかに響くような音が、しだいにガヤガヤと騒がしい人混みの音としてはっきり耳の中に流れ込んでくる。気づくと、吸い込まれたはずの薬局と本屋の隙間の前に立っていた。商店街を歩く人たちは、突然現れた僕たちを気に留める様子もない。
「夢……、なんかじゃないよな?」
ジョージが辺りを伺った。
ついさっきまで体験していた出来事が、自分たちだけが見ていた不思議な夢のように思えて仕方がなかった。
「ニャーン!」
マルコの足元には、すまし顔のマシュマロが座っている。
「ねえ! お爺さんからもらったこの時計の時間を見て!」
紅葉の声に、僕たちがそれぞれ腕時計に目をやると――時刻は午後五時。
やっぱり、夢なんかじゃなかったんだ!
「あー……あー……こちらクレイジー1号、応答してください!」
ジョージが通信ボタンを押して話し出す。通信機を通さなくても十分届く距離でまたおかしなことをやっているけど、みんな冷ややかに見るだけで誰も応答しない。
「本当だ! 夢じゃねえ!」
「じゃあ、さっそくスカーフェイスのやつを探そうぜ!」
「スカーフェイス? スカーって傷って意味だっけ? 片目だからか。なるほど、ジョージ君にしてはいいネーミングセンスだね」
ミチルがわかりやすくジョージを褒めると、ジョージが顔を真っ赤にして照れた。
「今日はもう遅いわよ。明日学校が終わったら、またみんなで探しましょ?」
紅葉が言った。空を見ると、太陽もかなり低くてほんのりと赤く染まり始めている。
「そうだね。今日は解散して、明日から本格的にスカーフェイスを捜索しよう」
そのとき、聞き覚えのない声が頭の中に響いた。
(じゃあボクは、おじいさんのところに戻ることにするね)
エコーがかかったみたいに直接脳内に届いた声に驚いて、僕は辺りを見渡した。気がつけば他のみんなも同じ仕草を見せている。
「今、わたしの頭の中で、誰かがしゃべったわ!」
「あたしも聞こえた! お爺さんのところに戻るって!」紅葉も声の出所を探る。
「男の子の声だったよ! ボクって言ってたし」
そのときマルコの足元で、大きな鳴き声があがった。
「「ボクだよ」」
みんなが一斉にマシュマロに目をやる。
「クレイジー……おまえ、話せるのか?」
「うん、ボクはみんなの頭の中に、直接話しかけることができるんだ」
「夢……、なんかじゃないよな?」
ジョージが辺りを伺った。
ついさっきまで体験していた出来事が、自分たちだけが見ていた不思議な夢のように思えて仕方がなかった。
「ニャーン!」
マルコの足元には、すまし顔のマシュマロが座っている。
「ねえ! お爺さんからもらったこの時計の時間を見て!」
紅葉の声に、僕たちがそれぞれ腕時計に目をやると――時刻は午後五時。
やっぱり、夢なんかじゃなかったんだ!
「あー……あー……こちらクレイジー1号、応答してください!」
ジョージが通信ボタンを押して話し出す。通信機を通さなくても十分届く距離でまたおかしなことをやっているけど、みんな冷ややかに見るだけで誰も応答しない。
「本当だ! 夢じゃねえ!」
「じゃあ、さっそくスカーフェイスのやつを探そうぜ!」
「スカーフェイス? スカーって傷って意味だっけ? 片目だからか。なるほど、ジョージ君にしてはいいネーミングセンスだね」
ミチルがわかりやすくジョージを褒めると、ジョージが顔を真っ赤にして照れた。
「今日はもう遅いわよ。明日学校が終わったら、またみんなで探しましょ?」
紅葉が言った。空を見ると、太陽もかなり低くてほんのりと赤く染まり始めている。
「そうだね。今日は解散して、明日から本格的にスカーフェイスを捜索しよう」
そのとき、聞き覚えのない声が頭の中に響いた。
(じゃあボクは、おじいさんのところに戻ることにするね)
エコーがかかったみたいに直接脳内に届いた声に驚いて、僕は辺りを見渡した。気がつけば他のみんなも同じ仕草を見せている。
「今、わたしの頭の中で、誰かがしゃべったわ!」
「あたしも聞こえた! お爺さんのところに戻るって!」紅葉も声の出所を探る。
「男の子の声だったよ! ボクって言ってたし」
そのときマルコの足元で、大きな鳴き声があがった。
「「ボクだよ」」
みんなが一斉にマシュマロに目をやる。
「クレイジー……おまえ、話せるのか?」
「うん、ボクはみんなの頭の中に、直接話しかけることができるんだ」
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