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兵どもの夢
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「れでぃーすえんじぇるとんめーーー?」
音だけで覚えたであろう単語がステージ中央から聞こえると、照明が強烈に少女を照らす
「バターじゃないよ!パン子だよー!」
湧き上がる歓声
ほぼ身内の会場に緊張など欠片も感じさせない声が伸び伸びと響き渡る
後ろの巨大スクリーンには
パン子ォォォォォォ!!!!弾幕
成り上がりぱんがーる
圧倒的こなれ感
wwwwwww
など、大量のコメントが生放送仕様で流れている
「たいりょーたいりょー!折角お兄達が草刈りしたのに草増やさないでよ皆!!」
ぷんすこ!と音が聞こえるかのように怒りんぼポーズのパン子ちゃん
絶好調である
「お兄達ちゃーんと頑張ってたんだよ?ちょっとーー」
お?パン子ちゃんデレるか!?
「臭かった♪」
「「「パン子ォォォォォォ!!!」」」
ドッと笑いが広がる会場
草まみれになるスクリーン
涙拭けよ兄貴
つ【ハンカチ】
つ【デオドラント】
つ【雑巾】
アッシュ様脱いだ服言い値で買います
希望者抽選お願いします@ソルト
アタシはフロウきゅんのが欲しいわぁ@かぐや
エッグさんのは頂いていきますね
なんてコメントが流れるあたり、愛されてるなぁコロッケ団
一部愛が歪んでるけどね
「最初のさぷらぁいずは私!コロッケ団のパン子ちゃんでっす☆」
更にボルテージを上げる会場
「パン子ちゃんすごーーい!」
「あの人のああいう部分は羨ましいわ」
ルナと茉莉花ちゃん
テンションの差がすごいな
「おー!ルナっち!お褒めいただき光栄ですわよー!こっち来るかい?」
「うん!」
「ちょっ!」
マジかよパン子ちゃん
ここでアドリブとか肝が胡座かいてんな!
良いぞもっとやれ!!
ステージへ向かうルナの手はしっかり茉莉花ちゃんと繋がっており
哀れ茉莉花ちゃんの“必要最小限の出演で終わらせる”という密かな目標は早々に砕かれるのであった
「信じらんない!!台本渡されたでしょ!その通りにやりなさいよ!」
「えー?全力出すんだよ?敷かれたレールの上だとあぶないじゃーん」
「法定速度を守れって言ってんのよ!」
「茉莉花ちゃん、ルナと一緒イヤだった?」
「そんな事あるわけないじゃない、緊張するから手を繋いでって頼んだのはワタシだもの///」
「パン子と一緒は??」
「一昨日いらして下さいまし」
「にゃっはっは!」
「笑ってないで進めなさいよ全く!ライブの前に前座があるんでしょう?」
「ぜんざ?おねぇちゃん達の試合!!」
「そうよルナ!こうなったら私達で行程を進めまーー」
「ここで更なるさぷらぁいず!!本日だけのスペシャルマァァァッチ!早速行きましょう!!立てば触発座ればドカン!歩く姿は不死身鳥!!我らが料理長!真っ赤な炎を宿した燈赤コーナーに灯るぅぅぅぅぅ!!!」
「おねぇちゃーーん!がんばってー!」
「それフェニックスよ!ルビ振ってないの!?」
パン子ちゃんの潜在能力パねぇ
最早コメントもパン子さんになってるし
「果たして業火を制する味の伝道師は対戦相手を調理調伏出来るのかーーっ!?」
「え、この人これもアドリブなの?」
「パン子ちゃんすごいねー」
「続いて登場するのはぁぁぁぁ!」
最早トランス状態のパン子ちゃんさん
茉莉花ちゃんの畏怖の目もお構いなしのフルスロットルだ
「遠くの薔薇より近くのダンデライオン!!皆様ご存知でしょうかっ!ライオンの狩りはメスの仕事なんだぞぉぉぉ!」
「意外と博識ね」
「白い綿毛ふーってやるの楽しいよね!」
「師匠の教えは鯨幕!青コーナーに現れし執行人は夏に狂い咲く徒花か!?丸亀流拳闘術最年少師範代!PNたんぽぽこと丸亀 美咲ィィィィィィ!!!」
「たんぽぽは春のお花!」
「ルナはたんぽぽ好きなの?家のお庭に毎年生えるところがあるから来年見に来ない??」
「わーい!楽しみにしてるね!」
パン子ちゃんのノリノリの実況であるが私達がスタンバイしたのは赤も青もない正方形に敷き詰められた畳の上
会場の割れんばかりの大歓声を意識の遠くの方で聞き、相対するたんぽぽちゃんと視線を交わせる
主審は咲山さん
副審に私の父とたんぽぽちゃんのお父さん
ルールは顔面及び首への攻撃無しのフルコンタクト
咲山さんの説明が終わり
私達の勝負が始まった
お互いに様子見の打ち合いを交わし、隙を探る展開が続く
先制したのはたんぽぽちゃん
鳩尾への攻撃が変化して腕を取られた所で
「技あり!」
「有効」
「技あり」
の声がかかる
主審の咲山さんと副審の私の父が同判定の為“技あり”を取られてしまった
私だって負けてられない!
仕切り直して合図が出ると間髪入れずに間合いに入り込み仕返しとばかりに鳩尾への一撃を繰り出す
先程私に当てた手がたんぽぽちゃんの頭を過ぎったのだろう
変化に対応すべくギリギリまで引き付けられる
ーかかった!
私は拳を更に加速させる
決まれば悶絶必死の一撃はインパクトの瞬間に身体を捻って3割程衝撃を逃された
「技あり!」
「一本」
「有効」
今度は判定が分かれたので主審と副審が集まって協議をする
出た結果は“技あり”
これでイーブンだ
いつの間にか会場は静まり返っている
集中しているせいなのか、それとも観客が息を飲んでいるのか
わからないがどうでもいい
この勝負以外考える事ができない
白熱する試合は進み
制限時間残り1分となった
そこから30秒睨み合い
最後の攻撃を仕掛けるべく前に出た
「止めっ!」
咲山さんが私達を制止した時
私は懐から顎目掛けて掌底を
たんぽぽちゃんは迎撃の膝をこめかみに
其々ピタリと寸止めしている状態だった
残り時間は20秒
私達は2人仲良く“反則負け”となった
そんな両者を讃える万雷の拍手
「負けちゃったね?お互い」
「勝てなかっただけですわ」
試合後の握手を交わして微笑み合う
「はい、ランプちゃんそのまま確保ねー」
「うっす」
芽衣さんがパン子ちゃんを引きずってきた
台本無視は流石にお冠のようです
「さぁ“たんパンず”!これから忙しくなるわよー!皆様も新ユニットを応援してくださいね!!!」
大歓声が会場を包み
“たんパンず”コールが早くも始まっている
「えっ…えぇ!?」
「たんぽぽの姐さん、ランプさんはこういう人です諦めていっそ楽しみましょー♪」
そう言ってステージ上から客席に手を振るパン子ちゃん
「試合は引き分けて勝負には負けてましたわ…」
たんぽぽちゃんはそう項垂れるも
「まぁ就職先が決まったと思えば良いですわね」
案外あっさり立ち直ったのであった
音だけで覚えたであろう単語がステージ中央から聞こえると、照明が強烈に少女を照らす
「バターじゃないよ!パン子だよー!」
湧き上がる歓声
ほぼ身内の会場に緊張など欠片も感じさせない声が伸び伸びと響き渡る
後ろの巨大スクリーンには
パン子ォォォォォォ!!!!弾幕
成り上がりぱんがーる
圧倒的こなれ感
wwwwwww
など、大量のコメントが生放送仕様で流れている
「たいりょーたいりょー!折角お兄達が草刈りしたのに草増やさないでよ皆!!」
ぷんすこ!と音が聞こえるかのように怒りんぼポーズのパン子ちゃん
絶好調である
「お兄達ちゃーんと頑張ってたんだよ?ちょっとーー」
お?パン子ちゃんデレるか!?
「臭かった♪」
「「「パン子ォォォォォォ!!!」」」
ドッと笑いが広がる会場
草まみれになるスクリーン
涙拭けよ兄貴
つ【ハンカチ】
つ【デオドラント】
つ【雑巾】
アッシュ様脱いだ服言い値で買います
希望者抽選お願いします@ソルト
アタシはフロウきゅんのが欲しいわぁ@かぐや
エッグさんのは頂いていきますね
なんてコメントが流れるあたり、愛されてるなぁコロッケ団
一部愛が歪んでるけどね
「最初のさぷらぁいずは私!コロッケ団のパン子ちゃんでっす☆」
更にボルテージを上げる会場
「パン子ちゃんすごーーい!」
「あの人のああいう部分は羨ましいわ」
ルナと茉莉花ちゃん
テンションの差がすごいな
「おー!ルナっち!お褒めいただき光栄ですわよー!こっち来るかい?」
「うん!」
「ちょっ!」
マジかよパン子ちゃん
ここでアドリブとか肝が胡座かいてんな!
良いぞもっとやれ!!
ステージへ向かうルナの手はしっかり茉莉花ちゃんと繋がっており
哀れ茉莉花ちゃんの“必要最小限の出演で終わらせる”という密かな目標は早々に砕かれるのであった
「信じらんない!!台本渡されたでしょ!その通りにやりなさいよ!」
「えー?全力出すんだよ?敷かれたレールの上だとあぶないじゃーん」
「法定速度を守れって言ってんのよ!」
「茉莉花ちゃん、ルナと一緒イヤだった?」
「そんな事あるわけないじゃない、緊張するから手を繋いでって頼んだのはワタシだもの///」
「パン子と一緒は??」
「一昨日いらして下さいまし」
「にゃっはっは!」
「笑ってないで進めなさいよ全く!ライブの前に前座があるんでしょう?」
「ぜんざ?おねぇちゃん達の試合!!」
「そうよルナ!こうなったら私達で行程を進めまーー」
「ここで更なるさぷらぁいず!!本日だけのスペシャルマァァァッチ!早速行きましょう!!立てば触発座ればドカン!歩く姿は不死身鳥!!我らが料理長!真っ赤な炎を宿した燈赤コーナーに灯るぅぅぅぅぅ!!!」
「おねぇちゃーーん!がんばってー!」
「それフェニックスよ!ルビ振ってないの!?」
パン子ちゃんの潜在能力パねぇ
最早コメントもパン子さんになってるし
「果たして業火を制する味の伝道師は対戦相手を調理調伏出来るのかーーっ!?」
「え、この人これもアドリブなの?」
「パン子ちゃんすごいねー」
「続いて登場するのはぁぁぁぁ!」
最早トランス状態のパン子ちゃんさん
茉莉花ちゃんの畏怖の目もお構いなしのフルスロットルだ
「遠くの薔薇より近くのダンデライオン!!皆様ご存知でしょうかっ!ライオンの狩りはメスの仕事なんだぞぉぉぉ!」
「意外と博識ね」
「白い綿毛ふーってやるの楽しいよね!」
「師匠の教えは鯨幕!青コーナーに現れし執行人は夏に狂い咲く徒花か!?丸亀流拳闘術最年少師範代!PNたんぽぽこと丸亀 美咲ィィィィィィ!!!」
「たんぽぽは春のお花!」
「ルナはたんぽぽ好きなの?家のお庭に毎年生えるところがあるから来年見に来ない??」
「わーい!楽しみにしてるね!」
パン子ちゃんのノリノリの実況であるが私達がスタンバイしたのは赤も青もない正方形に敷き詰められた畳の上
会場の割れんばかりの大歓声を意識の遠くの方で聞き、相対するたんぽぽちゃんと視線を交わせる
主審は咲山さん
副審に私の父とたんぽぽちゃんのお父さん
ルールは顔面及び首への攻撃無しのフルコンタクト
咲山さんの説明が終わり
私達の勝負が始まった
お互いに様子見の打ち合いを交わし、隙を探る展開が続く
先制したのはたんぽぽちゃん
鳩尾への攻撃が変化して腕を取られた所で
「技あり!」
「有効」
「技あり」
の声がかかる
主審の咲山さんと副審の私の父が同判定の為“技あり”を取られてしまった
私だって負けてられない!
仕切り直して合図が出ると間髪入れずに間合いに入り込み仕返しとばかりに鳩尾への一撃を繰り出す
先程私に当てた手がたんぽぽちゃんの頭を過ぎったのだろう
変化に対応すべくギリギリまで引き付けられる
ーかかった!
私は拳を更に加速させる
決まれば悶絶必死の一撃はインパクトの瞬間に身体を捻って3割程衝撃を逃された
「技あり!」
「一本」
「有効」
今度は判定が分かれたので主審と副審が集まって協議をする
出た結果は“技あり”
これでイーブンだ
いつの間にか会場は静まり返っている
集中しているせいなのか、それとも観客が息を飲んでいるのか
わからないがどうでもいい
この勝負以外考える事ができない
白熱する試合は進み
制限時間残り1分となった
そこから30秒睨み合い
最後の攻撃を仕掛けるべく前に出た
「止めっ!」
咲山さんが私達を制止した時
私は懐から顎目掛けて掌底を
たんぽぽちゃんは迎撃の膝をこめかみに
其々ピタリと寸止めしている状態だった
残り時間は20秒
私達は2人仲良く“反則負け”となった
そんな両者を讃える万雷の拍手
「負けちゃったね?お互い」
「勝てなかっただけですわ」
試合後の握手を交わして微笑み合う
「はい、ランプちゃんそのまま確保ねー」
「うっす」
芽衣さんがパン子ちゃんを引きずってきた
台本無視は流石にお冠のようです
「さぁ“たんパンず”!これから忙しくなるわよー!皆様も新ユニットを応援してくださいね!!!」
大歓声が会場を包み
“たんパンず”コールが早くも始まっている
「えっ…えぇ!?」
「たんぽぽの姐さん、ランプさんはこういう人です諦めていっそ楽しみましょー♪」
そう言ってステージ上から客席に手を振るパン子ちゃん
「試合は引き分けて勝負には負けてましたわ…」
たんぽぽちゃんはそう項垂れるも
「まぁ就職先が決まったと思えば良いですわね」
案外あっさり立ち直ったのであった
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