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プレゼン大決戦!!本番はお昼ごはんから
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結論から言わせてもらおう!
私達は大勝利を収めた!
その証拠に私達が必死に作り上げたフローチャートをこの特別会議室にいる幹部達があーでもないこーでもないと弄くり回して議論している
え?展開が早いって?だって超嬉しいんだもん!!!早く言わせてくれたっていいじゃないか!!けち!!
ちゃんと説明するし!
きっかけは午後13:00の聖☆お姉さんSの強烈な援護射撃から始まった--
のだが、それよりも前の朝8:30、私が起きて準備を整えて入室する前後から話を始めようと思う
私は太っ腹なので!
天野副社長に指定されたのは11:00
それまでは朝ごはんを食べたり、資料の最終確認とゲスト回線でアトラスワールドに入って良いか許可をもらってから
ルナと共にアトラスワールドで精神統一と素振りと型を行った今回使用したVRセットは持参した物ではなく、借り物だったが全然問題なく動ける事にちょっとした感動を覚える
暫くすると他のメンバーもログインしてきたので戦う調理師の拠点に向かう事にした
拠点には三人の他に三人、系六名がリビングで飲み物を飲みつつ談笑していた
「まさかココが手狭になるとはねぇ」
「ギルドシステムがそろそろ実装されるから直ぐよ」
「おい運営」
「今ある施設の拡張も出来るから私達の場合はそっちのが良いかしら~?」
「おい開発」
「キッチンはー?拘りたいよねー??」
「それはあるわねぇ!!折角の仮想世界なんだから素敵なキッチン作ってみたいわぁーー♪」
「仲のいい嫁姑?」
ルナは昨日見たまどかちゃんの動画のように六人の身体に飛びついたりよじ登ったり飛び移ったり忙しそうだ
「今よろしくて?」
たんぽぽちゃんもやってきた、師匠ズは庭行きだな
扉を開けてたんぽぽちゃんを迎え入れるかって知ったると言った感じではいったら見慣れぬ美女が三人も増えていたので猫のように大人しくなってしまった、ちょっとかわいい
「癒し系お姉様二人に女神系お姉様!?完全に想定外ですわっ!?」
どうやらたんぽぽちゃん的にドストライクだった模様
ポンポンと背を叩きながらたんぽぽちゃんを立ち上がらせる時、ほぼ確信した
たんぽぽちゃん…結構ガチだ!
父親の方針でずっと女子校に通ってるみたいだし男性プレイヤーともNPCともそれとなくしか会話しない、極め付けはこの表情だ
先程の談笑中、話題にも登ったがアトラスと現実では若干差があり、それが顕著に出てるのは私とルナと芽衣さんらしい、ルナと芽衣さんは私でも感じるくらいなのだ、私はどうなるのだろう…
現実でたんぽぽちゃんに認識されないかもしれないなぁ、私
とりあえず冷蔵庫型インベントリから飲み物を取ってくるようたんぽぽちゃんに促して軽い自己紹介と、たんぽぽちゃんにも色々手伝ってもらうかもと告げておく
快い返事がもらえた所で時間が来たので私はログアウトする事に
ログアウト後の景色がいつもの部屋じゃなかったので少しビックリしたが、隣のベッドでVRセットをつけたルナを見てホッとする頭を撫でるとさっきまでと同じ手触りと匂いが鼻腔を擽ったのだった
「最終確認&充電完了!準備して出ますか!」
そして午前10:55
特別会議室前、私は扉の前で待機していた
中からは拍手と何か盛り上がってる声、アウェイ感がもの凄いけど天野副社長の作戦だろうか??
午前10:59
扉をノックする、コンコンコンコン
返事はない
「田中 燈です、天野副社長にお話しがあって参りました。入っても宜しいでしょうか?」
「…どうぞ」
午前11:00
扉を閉める為一旦半身で入り、鍵もついてたのでついでに掛けた
ガチャン!!
結構な音を立てて鍵がかかるが気にしない、これで不埒物も入るまい
会議室を見渡してお辞儀をする、リクルート関係で何度がマナーとか言われているらしいがそんなのは最低限だけ置いておいて、相手に対する敬意を出来るだけ表現する
それだけだ
一度胸の前で両腕をクロスして、バッと払い開いて指を揃えた左手を前に、同様にした右手を後ろにして丹田の前に持ってこれるように肘を調節し、相手側に最高の礼を込めてゆっくりと頭を下げる
始まりの“間”というものがある
試合ならば審判がかけてくれるのだが、ココは戦いの場ではあるが審判なぞいない、組み手のように互いの呼吸を見てからのスタートなのだ
そうしているうちに“間”が顔を出したのでバッと顔をあげて再度自己紹介を行う
「初めましての方もお見受け致しますので再度自己紹介をしたいと存じます、XIO高等学校 2年 田中 燈 と申します!会議中のご様子でしたが、割り込む形となり申し訳ございません」
「田中さん、呼び出したのは私よ?気にする事はないわ、これ以上増える事もないしそのまま前に進んで空いている席に座って頂戴」
会議テーブルは大きな楕円形のテーブルとなっており、その間に椅子が置かれたりなどしていない
…つまりはこの楕円の輪の中に入れという事なのだろう
席に進む間にこの場全員の顔を確認する…知らない人は4名、知っている人は8名の計12名のおそらく幹部達が集まっていた
空いている席は3つ
空間的にはかなり余裕があるのだが3つしか無かった…なんかあるな?
空いている席の内、2つは並んでおり残りの1つはというと…
樹さんの隣だった
絶対に何か仕掛けてる!!
とりあえず一番近い席を引いて座る部分を外すと
ブーブークッションが出てきた
パーティーかよっ!?
「…小娘で構いませんよ?冬華さん♪」
「ちっ!!」
隣の席に座ろうとしたが嫌な予感がしたのでブーブークッションを隣の席に載せると
ゴム製のブーブークッションがリズミカルに震えていた
「ちぃぃっ!!」
「「「「「wwwwwww」」」」」
会議室が笑いで包まれる
いい大人が揃いも揃ってなにしてるんだろうか…いや、小娘の戯言を聞きにきてくれただけでも感謝しないといけないな
しかしどんだけ強力な振動なんだろ、ゴム製だから物理的に叩かないと震えないだろうし、モーター?…樹さんあたりが嬉々として魔改造してそうだなぁ、と言うか
「北月さんも酷いですよ!乙女の恥ずかしい所みて笑うつもりだったんですかっ///」
「いやぁ、君の恥ずかしがる表情が見たくなってね?でも今の表情もなかなか良いよ!」
黒パパさんだった
そうか、我々がSの名を襲名したばかりに樹さんにもS属性がっ…いや、よく考えたら前からあったや今回もご馳走様ですデュフフ
「ルナに報告しますよ?」
「誠に申し訳ない!いつもありがとう!」
「はいはい!夫婦ごっこは余所でやりな!これから私達はいつも通り会議をするから小娘は初めは聞いときなさい、わからない事や気になる事があったらバンバン言いなさいよ?遠慮なんかしたら許さないからね!?」
「「ふ、ふぅふぁっ!?///」」
冬華さん、今その辺1番デリケートなんで触らないで頂けるとありがたいです///
「の、望む所です!!」
「じゃあ目の前のタブレットのスリープ解除して資料に目を通しておいて」
そこから会議が始まるのだが、冬華さんの質問に淀みなく答える重役達
話されている話題と資料を照合するだけで精一杯だった、最初のうちは
猿渡さんや次長さん、芽衣さんが言っていた無駄を省いた資料の話を思い出すと読み方というかコツが分かり、ついていけるようになった
「次は【研究】からね?“擬似社会実験”の結果はどうなってるか突かれてると…実際どうな感じ??」
「“死ぬ事はない”と分かって以降チキンレースみたいな事ばかりして馬鹿な事ばかり繰り返してますね、男女問わず」
「バイタルサインで警告してもログアウトせずに糞尿垂れ流し、こちらで点滴を投与と言うのも珍しくありません」
「…やはり模範囚とは言えども自堕落な物は溺れるーーか」
今まで目を通していた資料から目を離し、話題に上っている資料の方を見てみるとどうやら囚人を利用して社会実験を色々と試みているようだ
現在は模範囚にご褒美として仮想世界で自由にさせて行動パターンを取っているようだがこれは酷い
だが、1つ思いついたので発言してみた
「あの、この社会実験の囚人達はどこまでの人権が認められていますか??拷問、とまでは行きませんがナイフで斬りつけるとかもアウトですかね?」
「…アウトね、言いたい事はなんとなくわかるわゲーム内と現実をリンクさせて脳に勘違いさせてゲーム内の痛みを再現させたいのよね?けどそこまで過激なのは出来ないのよ、依頼元もそれを期待してるんだろうけどね?」
冬華さんが淡々と答える
「大丈夫です!多分そうだと思いましたから、じゃあ実験のデータ採取の為の採血とかなら行けませんか?例えば蛇や蜘蛛などに噛まれたタイミングでどういった反応を見せるか、とか」
私はちょっとした提案をしてみる
「ふぅん?それくらいなら行けそうだけど何企んでるのよ小娘?」
悪い顔してるなぁ、薄々気がついてるくせに
「お話を聞く限り、被験者さん達ははしゃぎ過ぎてお疲れのご様子なので眠っていただいて“夢”を見て頂けたらなぁと」
多分私も似たような顔をしている自覚がある
「ちなみにどんな“夢”なのかな?」
医療チームの社員証をつけたおじさんが乗ってきた
「はい!えぇと…益岡さんで宜しいでしょうか?」
「あぁ!これは失礼した!一方的に知っていたから初対面だという事を失念してしまっていたよ!医療チームの次長、益岡秀弘と言います、よろしくね?燈さん」
私が目を凝らしながら社員証を確認しながらそう言うと慌てて自己紹介をしてくれた
一方的に知られていたのか、なんかむず痒いなぁ
なんて思っていたら残りの知らない3人も同じだったらしく、ここぞとばかりに自己紹介をして来た
「経理の潮崎琉華です!燈さん、会えて嬉しいですよ」
眼鏡がよく似合うマダムの潮崎さん、この会社社員の顔面レベル高くない??
「研究室室長補佐の君島修です、室長と馬場にはもう会ったと聞きました、私とも仲良くして欲しいものですね?」
こちらも高い顔面レベルでさらっとそんな台詞を吐く君島さん
ガッ!
あ、なんか椅子ごと揺れた!隣の樹さんがにっこりと君島さんを見ている
マイハートがドンドコドンドコ原住民ダンスを披露している、私も混ざりたい
「開発室室長補佐の松下貞治言いますー!ウチの渋やんとか猪ちゃんと仲良うしてくれてありがとなー?でもいくら可愛いゆうても持ってったらあかんで?」
関西弁だぁ!そしてしっかり釘をさされたぁ!!大丈夫ですよ、猪瀬さんは…
そっと目を伏せる私
「んんー?ビンビン来てんでぇ!?フラグっちゅう奴が!」
「ギクゥー!」
「ゆうてもうてるやんもー!やんなるわー」
「ほれほれ、その辺にして最後に儂も挨拶させてくれんかのぅ?」
いやさっきからずぅっとスルーして来ましたがなんでいるんですか
「狸のお爺ちゃん…は後で結構なので説明の続き行きますねー」
「儂、寂しい…」
うるさいやい!私の口調が崩れる1番の原因となったお爺ちゃんには何も言われたくない!!
「“夢”の内容ですが、とある世界のとある場所に行ってしまって体はウサギやネズミなどの小動物、周りはそれを餌としている中型モンスターやその屍肉を狙う動物や虫等ですかね?たまに狩人とかが来て弓で射られたりする事もあるかもしれません。」
「それって…」
「もしかして」
「はい♪資料4-12【A・W運営】の危険ゾーンDに関する所です、この場所ですが私が拠点としている始まりの街の近くの森近辺ですよね?あの辺り、2匹確認されているフィールドボスの食性が被っているのか同時に存在すると深いところではダブルで会っちゃったりもするんですよね、さらに魔物AIはボス達を避けて森の外側へ向かうから初心者達がまだ対応できない攻撃をしてくる魔物と遭遇してしまうことが多々あるんです」
「なぁるほどね?この問題に餌として社会実験をぶつけると、今まで強者として好き勝手やってたものが捕食される側になるとどうなるか、良いデータがとれそうね?依頼人の反応も良さそうだわぁ」
「あと、この問題はギルドの方でも新人が近辺の依頼を受けたあとにひっそりと追跡依頼も出してプレイヤーが受けなかったらNPCに委託するという方法もつけた方がよろしいかと、餌場が増えてそこに合わない魔物が止まる事も考えられますし、プレイヤー同士の交流とプレイヤーとNPCの交流双方が見込めます」
「そこは承知済みさ、燈ちゃん?酒入れて聞くもんじゃねぇな?これはよ!」
確か運営部の部長さんが楽しそうな顔をしてこっちを見ている
「「「俺たちの所にもなんかあるかい??」」」
酔っ払っていないおじさま達が愉快そうに声をかけて来たので
他にも考えついた案をジャンル問わず答えていくと
コンコンコンコンコン!
と小気味良いノックが聞こえる
私が入った来た扉とは別の大きな扉の方からだ
時刻は午後13:00
「ゲストの方々と一部社員より昼食の差し入れです、お持ちしても宜しいでしょうか?」
それは、
ーー仲間達からの援護射撃到着の合図だった
私達は大勝利を収めた!
その証拠に私達が必死に作り上げたフローチャートをこの特別会議室にいる幹部達があーでもないこーでもないと弄くり回して議論している
え?展開が早いって?だって超嬉しいんだもん!!!早く言わせてくれたっていいじゃないか!!けち!!
ちゃんと説明するし!
きっかけは午後13:00の聖☆お姉さんSの強烈な援護射撃から始まった--
のだが、それよりも前の朝8:30、私が起きて準備を整えて入室する前後から話を始めようと思う
私は太っ腹なので!
天野副社長に指定されたのは11:00
それまでは朝ごはんを食べたり、資料の最終確認とゲスト回線でアトラスワールドに入って良いか許可をもらってから
ルナと共にアトラスワールドで精神統一と素振りと型を行った今回使用したVRセットは持参した物ではなく、借り物だったが全然問題なく動ける事にちょっとした感動を覚える
暫くすると他のメンバーもログインしてきたので戦う調理師の拠点に向かう事にした
拠点には三人の他に三人、系六名がリビングで飲み物を飲みつつ談笑していた
「まさかココが手狭になるとはねぇ」
「ギルドシステムがそろそろ実装されるから直ぐよ」
「おい運営」
「今ある施設の拡張も出来るから私達の場合はそっちのが良いかしら~?」
「おい開発」
「キッチンはー?拘りたいよねー??」
「それはあるわねぇ!!折角の仮想世界なんだから素敵なキッチン作ってみたいわぁーー♪」
「仲のいい嫁姑?」
ルナは昨日見たまどかちゃんの動画のように六人の身体に飛びついたりよじ登ったり飛び移ったり忙しそうだ
「今よろしくて?」
たんぽぽちゃんもやってきた、師匠ズは庭行きだな
扉を開けてたんぽぽちゃんを迎え入れるかって知ったると言った感じではいったら見慣れぬ美女が三人も増えていたので猫のように大人しくなってしまった、ちょっとかわいい
「癒し系お姉様二人に女神系お姉様!?完全に想定外ですわっ!?」
どうやらたんぽぽちゃん的にドストライクだった模様
ポンポンと背を叩きながらたんぽぽちゃんを立ち上がらせる時、ほぼ確信した
たんぽぽちゃん…結構ガチだ!
父親の方針でずっと女子校に通ってるみたいだし男性プレイヤーともNPCともそれとなくしか会話しない、極め付けはこの表情だ
先程の談笑中、話題にも登ったがアトラスと現実では若干差があり、それが顕著に出てるのは私とルナと芽衣さんらしい、ルナと芽衣さんは私でも感じるくらいなのだ、私はどうなるのだろう…
現実でたんぽぽちゃんに認識されないかもしれないなぁ、私
とりあえず冷蔵庫型インベントリから飲み物を取ってくるようたんぽぽちゃんに促して軽い自己紹介と、たんぽぽちゃんにも色々手伝ってもらうかもと告げておく
快い返事がもらえた所で時間が来たので私はログアウトする事に
ログアウト後の景色がいつもの部屋じゃなかったので少しビックリしたが、隣のベッドでVRセットをつけたルナを見てホッとする頭を撫でるとさっきまでと同じ手触りと匂いが鼻腔を擽ったのだった
「最終確認&充電完了!準備して出ますか!」
そして午前10:55
特別会議室前、私は扉の前で待機していた
中からは拍手と何か盛り上がってる声、アウェイ感がもの凄いけど天野副社長の作戦だろうか??
午前10:59
扉をノックする、コンコンコンコン
返事はない
「田中 燈です、天野副社長にお話しがあって参りました。入っても宜しいでしょうか?」
「…どうぞ」
午前11:00
扉を閉める為一旦半身で入り、鍵もついてたのでついでに掛けた
ガチャン!!
結構な音を立てて鍵がかかるが気にしない、これで不埒物も入るまい
会議室を見渡してお辞儀をする、リクルート関係で何度がマナーとか言われているらしいがそんなのは最低限だけ置いておいて、相手に対する敬意を出来るだけ表現する
それだけだ
一度胸の前で両腕をクロスして、バッと払い開いて指を揃えた左手を前に、同様にした右手を後ろにして丹田の前に持ってこれるように肘を調節し、相手側に最高の礼を込めてゆっくりと頭を下げる
始まりの“間”というものがある
試合ならば審判がかけてくれるのだが、ココは戦いの場ではあるが審判なぞいない、組み手のように互いの呼吸を見てからのスタートなのだ
そうしているうちに“間”が顔を出したのでバッと顔をあげて再度自己紹介を行う
「初めましての方もお見受け致しますので再度自己紹介をしたいと存じます、XIO高等学校 2年 田中 燈 と申します!会議中のご様子でしたが、割り込む形となり申し訳ございません」
「田中さん、呼び出したのは私よ?気にする事はないわ、これ以上増える事もないしそのまま前に進んで空いている席に座って頂戴」
会議テーブルは大きな楕円形のテーブルとなっており、その間に椅子が置かれたりなどしていない
…つまりはこの楕円の輪の中に入れという事なのだろう
席に進む間にこの場全員の顔を確認する…知らない人は4名、知っている人は8名の計12名のおそらく幹部達が集まっていた
空いている席は3つ
空間的にはかなり余裕があるのだが3つしか無かった…なんかあるな?
空いている席の内、2つは並んでおり残りの1つはというと…
樹さんの隣だった
絶対に何か仕掛けてる!!
とりあえず一番近い席を引いて座る部分を外すと
ブーブークッションが出てきた
パーティーかよっ!?
「…小娘で構いませんよ?冬華さん♪」
「ちっ!!」
隣の席に座ろうとしたが嫌な予感がしたのでブーブークッションを隣の席に載せると
ゴム製のブーブークッションがリズミカルに震えていた
「ちぃぃっ!!」
「「「「「wwwwwww」」」」」
会議室が笑いで包まれる
いい大人が揃いも揃ってなにしてるんだろうか…いや、小娘の戯言を聞きにきてくれただけでも感謝しないといけないな
しかしどんだけ強力な振動なんだろ、ゴム製だから物理的に叩かないと震えないだろうし、モーター?…樹さんあたりが嬉々として魔改造してそうだなぁ、と言うか
「北月さんも酷いですよ!乙女の恥ずかしい所みて笑うつもりだったんですかっ///」
「いやぁ、君の恥ずかしがる表情が見たくなってね?でも今の表情もなかなか良いよ!」
黒パパさんだった
そうか、我々がSの名を襲名したばかりに樹さんにもS属性がっ…いや、よく考えたら前からあったや今回もご馳走様ですデュフフ
「ルナに報告しますよ?」
「誠に申し訳ない!いつもありがとう!」
「はいはい!夫婦ごっこは余所でやりな!これから私達はいつも通り会議をするから小娘は初めは聞いときなさい、わからない事や気になる事があったらバンバン言いなさいよ?遠慮なんかしたら許さないからね!?」
「「ふ、ふぅふぁっ!?///」」
冬華さん、今その辺1番デリケートなんで触らないで頂けるとありがたいです///
「の、望む所です!!」
「じゃあ目の前のタブレットのスリープ解除して資料に目を通しておいて」
そこから会議が始まるのだが、冬華さんの質問に淀みなく答える重役達
話されている話題と資料を照合するだけで精一杯だった、最初のうちは
猿渡さんや次長さん、芽衣さんが言っていた無駄を省いた資料の話を思い出すと読み方というかコツが分かり、ついていけるようになった
「次は【研究】からね?“擬似社会実験”の結果はどうなってるか突かれてると…実際どうな感じ??」
「“死ぬ事はない”と分かって以降チキンレースみたいな事ばかりして馬鹿な事ばかり繰り返してますね、男女問わず」
「バイタルサインで警告してもログアウトせずに糞尿垂れ流し、こちらで点滴を投与と言うのも珍しくありません」
「…やはり模範囚とは言えども自堕落な物は溺れるーーか」
今まで目を通していた資料から目を離し、話題に上っている資料の方を見てみるとどうやら囚人を利用して社会実験を色々と試みているようだ
現在は模範囚にご褒美として仮想世界で自由にさせて行動パターンを取っているようだがこれは酷い
だが、1つ思いついたので発言してみた
「あの、この社会実験の囚人達はどこまでの人権が認められていますか??拷問、とまでは行きませんがナイフで斬りつけるとかもアウトですかね?」
「…アウトね、言いたい事はなんとなくわかるわゲーム内と現実をリンクさせて脳に勘違いさせてゲーム内の痛みを再現させたいのよね?けどそこまで過激なのは出来ないのよ、依頼元もそれを期待してるんだろうけどね?」
冬華さんが淡々と答える
「大丈夫です!多分そうだと思いましたから、じゃあ実験のデータ採取の為の採血とかなら行けませんか?例えば蛇や蜘蛛などに噛まれたタイミングでどういった反応を見せるか、とか」
私はちょっとした提案をしてみる
「ふぅん?それくらいなら行けそうだけど何企んでるのよ小娘?」
悪い顔してるなぁ、薄々気がついてるくせに
「お話を聞く限り、被験者さん達ははしゃぎ過ぎてお疲れのご様子なので眠っていただいて“夢”を見て頂けたらなぁと」
多分私も似たような顔をしている自覚がある
「ちなみにどんな“夢”なのかな?」
医療チームの社員証をつけたおじさんが乗ってきた
「はい!えぇと…益岡さんで宜しいでしょうか?」
「あぁ!これは失礼した!一方的に知っていたから初対面だという事を失念してしまっていたよ!医療チームの次長、益岡秀弘と言います、よろしくね?燈さん」
私が目を凝らしながら社員証を確認しながらそう言うと慌てて自己紹介をしてくれた
一方的に知られていたのか、なんかむず痒いなぁ
なんて思っていたら残りの知らない3人も同じだったらしく、ここぞとばかりに自己紹介をして来た
「経理の潮崎琉華です!燈さん、会えて嬉しいですよ」
眼鏡がよく似合うマダムの潮崎さん、この会社社員の顔面レベル高くない??
「研究室室長補佐の君島修です、室長と馬場にはもう会ったと聞きました、私とも仲良くして欲しいものですね?」
こちらも高い顔面レベルでさらっとそんな台詞を吐く君島さん
ガッ!
あ、なんか椅子ごと揺れた!隣の樹さんがにっこりと君島さんを見ている
マイハートがドンドコドンドコ原住民ダンスを披露している、私も混ざりたい
「開発室室長補佐の松下貞治言いますー!ウチの渋やんとか猪ちゃんと仲良うしてくれてありがとなー?でもいくら可愛いゆうても持ってったらあかんで?」
関西弁だぁ!そしてしっかり釘をさされたぁ!!大丈夫ですよ、猪瀬さんは…
そっと目を伏せる私
「んんー?ビンビン来てんでぇ!?フラグっちゅう奴が!」
「ギクゥー!」
「ゆうてもうてるやんもー!やんなるわー」
「ほれほれ、その辺にして最後に儂も挨拶させてくれんかのぅ?」
いやさっきからずぅっとスルーして来ましたがなんでいるんですか
「狸のお爺ちゃん…は後で結構なので説明の続き行きますねー」
「儂、寂しい…」
うるさいやい!私の口調が崩れる1番の原因となったお爺ちゃんには何も言われたくない!!
「“夢”の内容ですが、とある世界のとある場所に行ってしまって体はウサギやネズミなどの小動物、周りはそれを餌としている中型モンスターやその屍肉を狙う動物や虫等ですかね?たまに狩人とかが来て弓で射られたりする事もあるかもしれません。」
「それって…」
「もしかして」
「はい♪資料4-12【A・W運営】の危険ゾーンDに関する所です、この場所ですが私が拠点としている始まりの街の近くの森近辺ですよね?あの辺り、2匹確認されているフィールドボスの食性が被っているのか同時に存在すると深いところではダブルで会っちゃったりもするんですよね、さらに魔物AIはボス達を避けて森の外側へ向かうから初心者達がまだ対応できない攻撃をしてくる魔物と遭遇してしまうことが多々あるんです」
「なぁるほどね?この問題に餌として社会実験をぶつけると、今まで強者として好き勝手やってたものが捕食される側になるとどうなるか、良いデータがとれそうね?依頼人の反応も良さそうだわぁ」
「あと、この問題はギルドの方でも新人が近辺の依頼を受けたあとにひっそりと追跡依頼も出してプレイヤーが受けなかったらNPCに委託するという方法もつけた方がよろしいかと、餌場が増えてそこに合わない魔物が止まる事も考えられますし、プレイヤー同士の交流とプレイヤーとNPCの交流双方が見込めます」
「そこは承知済みさ、燈ちゃん?酒入れて聞くもんじゃねぇな?これはよ!」
確か運営部の部長さんが楽しそうな顔をしてこっちを見ている
「「「俺たちの所にもなんかあるかい??」」」
酔っ払っていないおじさま達が愉快そうに声をかけて来たので
他にも考えついた案をジャンル問わず答えていくと
コンコンコンコンコン!
と小気味良いノックが聞こえる
私が入った来た扉とは別の大きな扉の方からだ
時刻は午後13:00
「ゲストの方々と一部社員より昼食の差し入れです、お持ちしても宜しいでしょうか?」
それは、
ーー仲間達からの援護射撃到着の合図だった
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