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聖☆シスターズ、始めました。
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「そんな『冷やし中華始めました』みたいにいわれても…」
Suicaさんはわがままだなぁ
じゃあこれならどうだ!
「聖☆シスターズ、始めませんか?」
「暮れの大掃除の販促POPね」
うどんさん、わかってるのにわざと捻くれてとらないでよぅ
「大型量販店の掃除機コーナーで高圧洗浄機買っちゃたからなー」
蜜柑さん…話が大掃除の方に引っ張られちゃってます!私は掃除機売ってるわけではありません!!
「芽衣さん!渋澤さん!何関係ない顔してるんですか!!お二人もですよ!?」
「えぇっ!!!?」
「…やっぱり~?」
芽衣さん、本気で関係ないと思ってたんですね…
「はいはい!この話は後にして、私達はもう出るわよ?折角天野副社長が“コレ”預けてくれたんだから♪」
そう言って一枚のカードを取り出すうどんさん、噂では戦車も一括で買えるという黒光りしたソレは聖☆お姉さんに対する昨日の報酬とこれまでの広告料も兼ねての感謝の気持ちとの事
そしてこれを利用して芽衣さんの美意識改革もおこなって欲しいという依頼料も含まれている
…本当ココに私も入っていたらしいが私は明日、重役達にプレゼンしないといけないので今日の参加は見送った(見逃してもらえた)形となった、らっきー!
ルナは
「おねぇちゃんといっしょにいる!!」
の一点張りで私の作業する様子を見るそうだ、ルナが見てくれるなら百人力!お姉ちゃん頑張っちゃうぞー♪
東雲さん、いや咲山さんで良いだろもう
咲山一家は山の浅い所でピクニックだそうな
もう秋穂さんのウェディングドレス姿が幻視できるもんだ、似合うだろうなー秋穂さん
愁くんがルナを誘っていたが撃沈して少し口を尖らせていた
ふはは!私からルナを離そうなぞ100年早いわ小童ァ!ちょっとドキドキしたけどなァ!
あと、100年は言い過ぎた!15~20年の間でお願いします!
…私だってルナのウェディングドレス姿は見たいのだ
「秋穂さん!大事な話がありますので夕方は空けておいてもらえますか?」
「えぇ!いいわよ!いくら近いと言ってもくらい山は危ないし…」
「しゅーくん!山でお宝があったら持ってきて欲しいな!!」
「ん!まぁ…別に良いけど?///」
おやおやー?さっきまで口を尖らせてたのに急にごきげんさんですねぇしゅーくん?
はぁー!尊い!!これは樹さん共感しにくいだろうなぁ…
てかルナ?小悪魔力もぐんぐん成長してるね?誰から教えて貰ってるの!?私も習いたい
「…教えましょうか??」
え!?こ、こ、声に出てた!?いや、出していないはず!!…秋穂さん、昨日のことと言いミステリアス過ぎじゃないですかね
そう!昨日と言えば東雲フィーバーが物凄かった
--------------------
『ムーンリバー』
大きくも小さくも無い河だけど
今は枯れてしまったその河は幼い私の友達だった
夢をくれて
心は打ち砕かれてしまったけど
いつか私は河を渡って辿り着くのだ
あなたの元へ
二人の冒険者が輝く虹のその先に歩き出す
あなたと共に
この曲は歌詞が難解で様々な訳があってこれは恋愛よりの訳と授業で習った、私もこの訳が大好きだった
というか今となってはこの訳以外認めたくない!
あんなにも秋穂さんが感情を込めて歌っていたのだ
事情を聞いていた者たちは皆号泣し、ルナですら圧倒的な何かを感じ取り、不思議そうにハラハラと涙を流していた
歌い終わり、演奏が止まるとドワァッ!と余韻が押し寄せてきた
ウッドベースの清掃員さんが
「ばんびばびばびばぁ!!」
と号泣しながら東雲さんに抱きついていた
…お風呂はいりたいのかな?
東雲さんは優しく受け止めて
「あらあら♪」
と頭を撫でていた
「「「「「「ママみがヤバい」」」」」」
私が言うのと同時に何人かの社員(聖☆お姉さん含む)が口を開いていた
清掃員さんはママみに癒されたのかすぐに立ち直り
「ファンになりました!次、私達の曲なんですが、歌えるなら是非参加して欲しいです!!」
「歌えたら歌ってみたいわねぇ、私も皆さんの演奏のファンになっちゃいましたもの♪」
「すっっっごい嬉しいです!!曲はですね『Sing Sing Sing』です!!」
「まぁ!!とっても素敵!!キーとか変更出来るかしら!?そのままでも歌えるけど…」
「「問題ないです!」」
「あ、あらぁ??」
気がつくと清掃員さんが増えていた
「あー、東雲さん?これはジャズベースで行くつもりです」
ピアノのエリマキトカゲさんが一声かける
「そうじゃな、久々に血が滾るの!」
ドラムのお爺ちゃんもニッと笑っている
「分かってるつもりですわ♪」
「「???」」
「えぇと、今来た清掃員ちゃんは何を演るのかしら?」
「あ!初めまして!私はクラリネットを弾きます!この子とは同級生で吹奏楽部で一緒だったんです!一度就職先が別れたあとココで再開したんです!!あとファンになりました!握手してください!!」
「ずるい!私もまだなのに!!東雲さん!私は今度はトランペットで演る予定です!」
「そう、二人ともこの曲におけるジャズ調の意味はわからないのよね??」
「はい…」
「恥ずかしながら…」
「いいのよー♪その方が絶対に楽しいから!羨ましいくらいよ?」
「「確かにねww」」
男性陣が笑ってる
「この曲のジャズはね、『闘い』なの♪もちろん目配せをちゃんとして被らないようにするのは鉄則なんだけどね?」
「「へぇ~」」
「さあ!セッティングも終わったみたい!忘れられないステージにしましょう!」
「「応!」」
「「はいっ!!」」
ステージに上がる五人
「~♪~~♪キーはこれでいけますか~?」
「もうちょい上でもいけるけど?」
「出来るなら今のが今日のベストです~」
「「あの!」」
「最初やりたい事があるので最初だけノーマルってオッケーですか!?」
「それもいいわね!私はおっけーよ~」
「「問題ない」」
「やった!」
「よろしくお願いします!!」
そうして会場を振り向く東雲さん
「ごめんなさいねぇ、マイク離さないおばちゃんがまた出て来ちゃって…///」
会場中が笑って首を横に振る
「この曲が終わるとカラオケ大会参加受付も始まるので歌う方は本部のリストの中から選んで下さいね~♪まぁ多分殆ど大丈夫だと思うからリストに無くても聞いて見たらいいと思うわ~!」
「それじゃあ行くわね~!アップテンポな曲だから踊っちゃっても…いいのよ?『Sing Sing Sing』!!」
軽快なドラムが小気味良いリズムを運んでくる
その後に続くのはピアノだエリマキトカゲさんにしてはシンプルな音を叩いている
すると割れるようなトランペットが強烈な存在感で唸り声を上げる
「象さんの鳴き声だ!!お喋りしてる!!」
とはルナの言葉だ
成る程確かに聞こえる
そんな事考えていたら、すかさずクラリネットがやってきた
おそらくメインパートなのだろう、東雲さんも一緒にユニゾンしている
と言うか…クラリネットとトランペットの清掃員ズがヤバい
しっかりと笑顔で演奏しているのだが、ステップを踏んだり飛んだり足を伸ばしたり…しかもその振りが一糸乱れぬ完璧な物なのだ。吹奏楽ってあんなんだっけ!??
「私の母校の吹奏楽部だわー♪懐かしい!」
蜜柑さんが橙ペンラをふりふりそんな事を言っている
「蜜柑の母校は凄かったもんねぇ?オレンジの悪魔とか呼ばれて」
うどんさん、何ですかその物騒な字名!
「だから清掃員さんの服オレンジ色々だったんだね!ハロウィンにしては早いと思ってたんだよ!」
Suicaさんの予想は相変わらずぶっ飛んでますね!
そして曲が一段落すると
…ミュージックバトルが始まったのだった
最初は東雲さんだ、クラリネットのソロの最後らへんの所から乱入してメロディのコール&レスポンスを行う、クラリネットのレスポンスが返ってくるとトランペットにも同じ事をするいくつかのパターンをやると指揮者のようにクラリネットとトランペットを交互に指してメロディを完成させる
「Good Job!!piano!come singing of join!」
エリマキトカゲが本領発揮だ
今までの鬱憤を晴らすかのような超絶アレンジと何か他のメロディも混ざってるような…
「喜びの歌?」
「that's right!」
東雲さんが手を叩いて喜んでいる
そうか、『Singing of join』と『Song of joy』をかけたのか!
憎い演出に気がつくと今度はドラムのターンだ、場の全体の音量を支配して徐々に音を絞る
雷の様なシンバルの一撃に目を覚ます音楽隊
息もつかせぬタムタムの連撃
クライマクックスは東雲さんが指揮をとり全体へのコールだ
「エーォ!」
\エーォ!/
「エーエォゥ!」
\エーエォゥ!/
「ドゥ!シュバラピピッタッターンドゥー!」
\ドゥ!シュバラビビッタッターンドゥー!/
「トゥルリラバ♪トゥルリラバッ♪」
\トゥルリラバ♪トゥルリラバッ♪/
「ディーリッタッタディラッティ!トゥルリラリラリディーディラ」
\ディーリッタッタディランリー?ドゥルレラリラリ…難っっ!!/
「Sing sing sing sing!come on singing a song tonight !the Singing all enjoy to now! Now you're singing with a swing!」
「it's Singing tonight!!」
盛大なフィナーレを迎え曲が終わった
会場はノリノリで踊ったり歌ったりしていた為、熱がこもって大変だった
でも全然不快などではなく心地の良い余韻に全員が浸っているのが感じ取れた
「あ、あんな」
「世界があるなんて…」
清掃員ズはヘトヘトになって倒れ込んでいた
「東雲さんにうまくひっぱりあげられたよね」
「こっちがお願いした筈なのに…けど」
「「とっても楽しかった!!」」
「二人ともすごーく良かったわ~♪初めてがこの場なんて羨ましいくらいよ?」
「まったくだ」
「あのマーチングには度肝をぬかれたけどね?」
ステージからはそんな話が聞こえる
そのあとはカラオケ大会へと移行するのだが
…社員さんうま過ぎません??男性五人アカペラでハモる人達が出たと思ったらHBBで演奏陣と戦う人が出てきたり
昔の曲から最近の曲、アニソンから洋楽、演歌まで幅広いジャンルが歌われて行くが、みんな上手だった
入社試験にカラオケの項目でもあるのだろうか?
そして樹さんが舞台に出て来た
側にはケンジと呼んでいたダンディが立っている
「キャーーーー!!///」
「パパとゴリラさんだ!!」
という黄色い声が場内に響き始める
絵になりますもんね、あの二人
あのダンディ、ゴリラさんなの!?ルナ!?
「開発、研究、医療の室長してます北月です。今日は洋楽二曲やろうとおもいます!
賢仁はギターが必要だから引っ張ってきましたw二曲ですが各々短くして歌いますので案外早く終わると思いますので聞いてくれると幸いです」
「あぁ、やっぱり室長には次長が必要なのねっ!!滾るっ!!」
「次長もイヤそうなフリして張り切ってるじゃない!あぁもう!嫌なら断ればいいのにぃ~♪」
…黄色い声はどうやら向こう側から聞こえていたようだ
絵になりますもんね!あの二人!薄い本的に
尚、ベーコンレタス的な発言はこれ以外にも聞こえたが芽衣さんの物は無かったと記しておく
だって芽衣さんは
舞台袖で舞台を一心に見つめていたんだから--
ズグン!と心が粟立つ
あぁ私の心はそんな所にあるのか…形も色も、重さもわからないけど場所だけははっきりわかる
いくら阿保の私でも、この気持ちの名前くらい知っている、静電気なんて誤魔化したりしたけど駄目だった
私は樹さんを好きになってしまったんだ。
ルナとの約束はどうなった!?
あれだけ姉を求めているルナに私は姉になれないとでもいうのか!?
不義理も甚だしい!
「この気持ちも、どうにか落ち着けないとなぁ…」
芽衣さんは樹さんと幼なじみと聞いた
樹さんも芽衣さんには心を許している感じがするので、時期を待っているのかな?
ルナも一緒にいて楽しそうだし、そこに私が姉として存在する、それでいいじゃないか!
「とりあえずはこの方向…かなぁ?」
舞台を見ると、ちょうど次長さんに右手でしっしっ!と払われてとぼとぼ客席に戻る芽衣さんを樹さんが笑いながら見ていた
場所は分かったから静かにしろ!マイハート!
「それじゃあ行きます、『Stranger』あ!僕は口笛は苦手なのでハーモニカを使います!」
言い切らないうちにピアノの旋律が流れ始めた、最初から締まらないなぁもうw
物悲しいピアノの旋律にハーモニカの音がどことなく寂しげに吹き渡る
曲調がギターの参入によって変わる
樹さんが歌い出した
さっきまで燻んだ色のイメージだったマイハートは呆気なく血色が戻り、ピンクのペンラを振っていた
知らない曲なのだが、雰囲気があってとても良い曲だと思った
マイハートのペンラ効果なのか樹さんがこっちを見ている気がする
まぁ見てるのは私の膝の上に座っているルナだろうけどね!
そうこうしている内に曲が終わってしまった
短くするって言ってたもんね
『stranger』だっけ?明日あたり和訳を捜してみよう
「次の曲はここの賢仁と一緒に歌いたいと思います!大切なメッセージソングなのでお聞き逃しなく!『Just The Way You Are』」
今度は聞いたことのある曲だった
樹さんが真っ直ぐにこちらを見て歌を歌い出すルナに向けたメッセージソングなのだろうか?
しかし、私もルナも怒涛のスケジュールだったせいか、眠気に負けてルナを抱え込みながら私は樹さんの素敵な歌声を子守唄がわりに眠ってしまうのだった
--------------------
外に出るみんなを見送るゲート前では
「だから私は大丈夫なのよっ!昨日聞いたでしょ!?『ありのままの君でいて』『髪なんて染めないでいい』『流行りのファッションなんか追わなくていい』彼は私にそう言ってくれたのよっ!!」
芽衣さんが最後の抵抗を試みていた
「だからと言ってー」
「手入れを怠れとは一言も言ってないわよー」
「そうだそうだ!」
「そうよ~芽衣ちゃん?素敵になって芽衣ちゃんの姿から目を離せない彼…見たくな~い?」
「むむっ渋澤め!ぐ、ぐぅ///」
見たいらしい
「昨日そんな事あったのかー?」
「あったのかー?」
「室長さんと次長さんが歌った洋楽の訳ですよ♪私も昨日歌いましたがどうでした?」
「先生、凄かったなぁ…夜の王女様みたいで、綺麗でした。」
「うふふ♪///頑張っちゃいました♪///」
これ以上芽衣さんと咲山家の惚気はお腹いっぱいなので、黙ってゲートを閉める事にした
「あぁー!閉まっていくー!!私の休日ライフがー!!」
閉まる直前、せめて一言言ってやろうと思い
「芽衣さん?私とルナのお義母さんになろうってんだから受け入れてください♪私は綺麗なお義母さんの方が好きです!!」
「「「「「「えっ!?」」」」」」
ガシャン!
ゲートが閉まる
「「「「「えっ!?」」」」」
「あんのポンコツ娘がぁ!」
「もしかしなくても燈ちゃん、自己評価相当低いよね?」
「ポンコツなりに考えた結果ですよー、何でその結論に至ったかは何となくわかりますしー」
「え?私燈ちゃんに嫌われるとか耐えられないんだけど?why!?」
「ん~、無理矢理にでもこっちに引っ張り込んで連れ回した方が良かったかも~?」
「それは逆効果かもしれないわねぇ?どちらにせよ、帰ったら燈ちゃんのお話をちゃんと聞いてみましょうか~?」
この日の夕方、聖☆シスターズとなる面々の午前中の会話だった
Suicaさんはわがままだなぁ
じゃあこれならどうだ!
「聖☆シスターズ、始めませんか?」
「暮れの大掃除の販促POPね」
うどんさん、わかってるのにわざと捻くれてとらないでよぅ
「大型量販店の掃除機コーナーで高圧洗浄機買っちゃたからなー」
蜜柑さん…話が大掃除の方に引っ張られちゃってます!私は掃除機売ってるわけではありません!!
「芽衣さん!渋澤さん!何関係ない顔してるんですか!!お二人もですよ!?」
「えぇっ!!!?」
「…やっぱり~?」
芽衣さん、本気で関係ないと思ってたんですね…
「はいはい!この話は後にして、私達はもう出るわよ?折角天野副社長が“コレ”預けてくれたんだから♪」
そう言って一枚のカードを取り出すうどんさん、噂では戦車も一括で買えるという黒光りしたソレは聖☆お姉さんに対する昨日の報酬とこれまでの広告料も兼ねての感謝の気持ちとの事
そしてこれを利用して芽衣さんの美意識改革もおこなって欲しいという依頼料も含まれている
…本当ココに私も入っていたらしいが私は明日、重役達にプレゼンしないといけないので今日の参加は見送った(見逃してもらえた)形となった、らっきー!
ルナは
「おねぇちゃんといっしょにいる!!」
の一点張りで私の作業する様子を見るそうだ、ルナが見てくれるなら百人力!お姉ちゃん頑張っちゃうぞー♪
東雲さん、いや咲山さんで良いだろもう
咲山一家は山の浅い所でピクニックだそうな
もう秋穂さんのウェディングドレス姿が幻視できるもんだ、似合うだろうなー秋穂さん
愁くんがルナを誘っていたが撃沈して少し口を尖らせていた
ふはは!私からルナを離そうなぞ100年早いわ小童ァ!ちょっとドキドキしたけどなァ!
あと、100年は言い過ぎた!15~20年の間でお願いします!
…私だってルナのウェディングドレス姿は見たいのだ
「秋穂さん!大事な話がありますので夕方は空けておいてもらえますか?」
「えぇ!いいわよ!いくら近いと言ってもくらい山は危ないし…」
「しゅーくん!山でお宝があったら持ってきて欲しいな!!」
「ん!まぁ…別に良いけど?///」
おやおやー?さっきまで口を尖らせてたのに急にごきげんさんですねぇしゅーくん?
はぁー!尊い!!これは樹さん共感しにくいだろうなぁ…
てかルナ?小悪魔力もぐんぐん成長してるね?誰から教えて貰ってるの!?私も習いたい
「…教えましょうか??」
え!?こ、こ、声に出てた!?いや、出していないはず!!…秋穂さん、昨日のことと言いミステリアス過ぎじゃないですかね
そう!昨日と言えば東雲フィーバーが物凄かった
--------------------
『ムーンリバー』
大きくも小さくも無い河だけど
今は枯れてしまったその河は幼い私の友達だった
夢をくれて
心は打ち砕かれてしまったけど
いつか私は河を渡って辿り着くのだ
あなたの元へ
二人の冒険者が輝く虹のその先に歩き出す
あなたと共に
この曲は歌詞が難解で様々な訳があってこれは恋愛よりの訳と授業で習った、私もこの訳が大好きだった
というか今となってはこの訳以外認めたくない!
あんなにも秋穂さんが感情を込めて歌っていたのだ
事情を聞いていた者たちは皆号泣し、ルナですら圧倒的な何かを感じ取り、不思議そうにハラハラと涙を流していた
歌い終わり、演奏が止まるとドワァッ!と余韻が押し寄せてきた
ウッドベースの清掃員さんが
「ばんびばびばびばぁ!!」
と号泣しながら東雲さんに抱きついていた
…お風呂はいりたいのかな?
東雲さんは優しく受け止めて
「あらあら♪」
と頭を撫でていた
「「「「「「ママみがヤバい」」」」」」
私が言うのと同時に何人かの社員(聖☆お姉さん含む)が口を開いていた
清掃員さんはママみに癒されたのかすぐに立ち直り
「ファンになりました!次、私達の曲なんですが、歌えるなら是非参加して欲しいです!!」
「歌えたら歌ってみたいわねぇ、私も皆さんの演奏のファンになっちゃいましたもの♪」
「すっっっごい嬉しいです!!曲はですね『Sing Sing Sing』です!!」
「まぁ!!とっても素敵!!キーとか変更出来るかしら!?そのままでも歌えるけど…」
「「問題ないです!」」
「あ、あらぁ??」
気がつくと清掃員さんが増えていた
「あー、東雲さん?これはジャズベースで行くつもりです」
ピアノのエリマキトカゲさんが一声かける
「そうじゃな、久々に血が滾るの!」
ドラムのお爺ちゃんもニッと笑っている
「分かってるつもりですわ♪」
「「???」」
「えぇと、今来た清掃員ちゃんは何を演るのかしら?」
「あ!初めまして!私はクラリネットを弾きます!この子とは同級生で吹奏楽部で一緒だったんです!一度就職先が別れたあとココで再開したんです!!あとファンになりました!握手してください!!」
「ずるい!私もまだなのに!!東雲さん!私は今度はトランペットで演る予定です!」
「そう、二人ともこの曲におけるジャズ調の意味はわからないのよね??」
「はい…」
「恥ずかしながら…」
「いいのよー♪その方が絶対に楽しいから!羨ましいくらいよ?」
「「確かにねww」」
男性陣が笑ってる
「この曲のジャズはね、『闘い』なの♪もちろん目配せをちゃんとして被らないようにするのは鉄則なんだけどね?」
「「へぇ~」」
「さあ!セッティングも終わったみたい!忘れられないステージにしましょう!」
「「応!」」
「「はいっ!!」」
ステージに上がる五人
「~♪~~♪キーはこれでいけますか~?」
「もうちょい上でもいけるけど?」
「出来るなら今のが今日のベストです~」
「「あの!」」
「最初やりたい事があるので最初だけノーマルってオッケーですか!?」
「それもいいわね!私はおっけーよ~」
「「問題ない」」
「やった!」
「よろしくお願いします!!」
そうして会場を振り向く東雲さん
「ごめんなさいねぇ、マイク離さないおばちゃんがまた出て来ちゃって…///」
会場中が笑って首を横に振る
「この曲が終わるとカラオケ大会参加受付も始まるので歌う方は本部のリストの中から選んで下さいね~♪まぁ多分殆ど大丈夫だと思うからリストに無くても聞いて見たらいいと思うわ~!」
「それじゃあ行くわね~!アップテンポな曲だから踊っちゃっても…いいのよ?『Sing Sing Sing』!!」
軽快なドラムが小気味良いリズムを運んでくる
その後に続くのはピアノだエリマキトカゲさんにしてはシンプルな音を叩いている
すると割れるようなトランペットが強烈な存在感で唸り声を上げる
「象さんの鳴き声だ!!お喋りしてる!!」
とはルナの言葉だ
成る程確かに聞こえる
そんな事考えていたら、すかさずクラリネットがやってきた
おそらくメインパートなのだろう、東雲さんも一緒にユニゾンしている
と言うか…クラリネットとトランペットの清掃員ズがヤバい
しっかりと笑顔で演奏しているのだが、ステップを踏んだり飛んだり足を伸ばしたり…しかもその振りが一糸乱れぬ完璧な物なのだ。吹奏楽ってあんなんだっけ!??
「私の母校の吹奏楽部だわー♪懐かしい!」
蜜柑さんが橙ペンラをふりふりそんな事を言っている
「蜜柑の母校は凄かったもんねぇ?オレンジの悪魔とか呼ばれて」
うどんさん、何ですかその物騒な字名!
「だから清掃員さんの服オレンジ色々だったんだね!ハロウィンにしては早いと思ってたんだよ!」
Suicaさんの予想は相変わらずぶっ飛んでますね!
そして曲が一段落すると
…ミュージックバトルが始まったのだった
最初は東雲さんだ、クラリネットのソロの最後らへんの所から乱入してメロディのコール&レスポンスを行う、クラリネットのレスポンスが返ってくるとトランペットにも同じ事をするいくつかのパターンをやると指揮者のようにクラリネットとトランペットを交互に指してメロディを完成させる
「Good Job!!piano!come singing of join!」
エリマキトカゲが本領発揮だ
今までの鬱憤を晴らすかのような超絶アレンジと何か他のメロディも混ざってるような…
「喜びの歌?」
「that's right!」
東雲さんが手を叩いて喜んでいる
そうか、『Singing of join』と『Song of joy』をかけたのか!
憎い演出に気がつくと今度はドラムのターンだ、場の全体の音量を支配して徐々に音を絞る
雷の様なシンバルの一撃に目を覚ます音楽隊
息もつかせぬタムタムの連撃
クライマクックスは東雲さんが指揮をとり全体へのコールだ
「エーォ!」
\エーォ!/
「エーエォゥ!」
\エーエォゥ!/
「ドゥ!シュバラピピッタッターンドゥー!」
\ドゥ!シュバラビビッタッターンドゥー!/
「トゥルリラバ♪トゥルリラバッ♪」
\トゥルリラバ♪トゥルリラバッ♪/
「ディーリッタッタディラッティ!トゥルリラリラリディーディラ」
\ディーリッタッタディランリー?ドゥルレラリラリ…難っっ!!/
「Sing sing sing sing!come on singing a song tonight !the Singing all enjoy to now! Now you're singing with a swing!」
「it's Singing tonight!!」
盛大なフィナーレを迎え曲が終わった
会場はノリノリで踊ったり歌ったりしていた為、熱がこもって大変だった
でも全然不快などではなく心地の良い余韻に全員が浸っているのが感じ取れた
「あ、あんな」
「世界があるなんて…」
清掃員ズはヘトヘトになって倒れ込んでいた
「東雲さんにうまくひっぱりあげられたよね」
「こっちがお願いした筈なのに…けど」
「「とっても楽しかった!!」」
「二人ともすごーく良かったわ~♪初めてがこの場なんて羨ましいくらいよ?」
「まったくだ」
「あのマーチングには度肝をぬかれたけどね?」
ステージからはそんな話が聞こえる
そのあとはカラオケ大会へと移行するのだが
…社員さんうま過ぎません??男性五人アカペラでハモる人達が出たと思ったらHBBで演奏陣と戦う人が出てきたり
昔の曲から最近の曲、アニソンから洋楽、演歌まで幅広いジャンルが歌われて行くが、みんな上手だった
入社試験にカラオケの項目でもあるのだろうか?
そして樹さんが舞台に出て来た
側にはケンジと呼んでいたダンディが立っている
「キャーーーー!!///」
「パパとゴリラさんだ!!」
という黄色い声が場内に響き始める
絵になりますもんね、あの二人
あのダンディ、ゴリラさんなの!?ルナ!?
「開発、研究、医療の室長してます北月です。今日は洋楽二曲やろうとおもいます!
賢仁はギターが必要だから引っ張ってきましたw二曲ですが各々短くして歌いますので案外早く終わると思いますので聞いてくれると幸いです」
「あぁ、やっぱり室長には次長が必要なのねっ!!滾るっ!!」
「次長もイヤそうなフリして張り切ってるじゃない!あぁもう!嫌なら断ればいいのにぃ~♪」
…黄色い声はどうやら向こう側から聞こえていたようだ
絵になりますもんね!あの二人!薄い本的に
尚、ベーコンレタス的な発言はこれ以外にも聞こえたが芽衣さんの物は無かったと記しておく
だって芽衣さんは
舞台袖で舞台を一心に見つめていたんだから--
ズグン!と心が粟立つ
あぁ私の心はそんな所にあるのか…形も色も、重さもわからないけど場所だけははっきりわかる
いくら阿保の私でも、この気持ちの名前くらい知っている、静電気なんて誤魔化したりしたけど駄目だった
私は樹さんを好きになってしまったんだ。
ルナとの約束はどうなった!?
あれだけ姉を求めているルナに私は姉になれないとでもいうのか!?
不義理も甚だしい!
「この気持ちも、どうにか落ち着けないとなぁ…」
芽衣さんは樹さんと幼なじみと聞いた
樹さんも芽衣さんには心を許している感じがするので、時期を待っているのかな?
ルナも一緒にいて楽しそうだし、そこに私が姉として存在する、それでいいじゃないか!
「とりあえずはこの方向…かなぁ?」
舞台を見ると、ちょうど次長さんに右手でしっしっ!と払われてとぼとぼ客席に戻る芽衣さんを樹さんが笑いながら見ていた
場所は分かったから静かにしろ!マイハート!
「それじゃあ行きます、『Stranger』あ!僕は口笛は苦手なのでハーモニカを使います!」
言い切らないうちにピアノの旋律が流れ始めた、最初から締まらないなぁもうw
物悲しいピアノの旋律にハーモニカの音がどことなく寂しげに吹き渡る
曲調がギターの参入によって変わる
樹さんが歌い出した
さっきまで燻んだ色のイメージだったマイハートは呆気なく血色が戻り、ピンクのペンラを振っていた
知らない曲なのだが、雰囲気があってとても良い曲だと思った
マイハートのペンラ効果なのか樹さんがこっちを見ている気がする
まぁ見てるのは私の膝の上に座っているルナだろうけどね!
そうこうしている内に曲が終わってしまった
短くするって言ってたもんね
『stranger』だっけ?明日あたり和訳を捜してみよう
「次の曲はここの賢仁と一緒に歌いたいと思います!大切なメッセージソングなのでお聞き逃しなく!『Just The Way You Are』」
今度は聞いたことのある曲だった
樹さんが真っ直ぐにこちらを見て歌を歌い出すルナに向けたメッセージソングなのだろうか?
しかし、私もルナも怒涛のスケジュールだったせいか、眠気に負けてルナを抱え込みながら私は樹さんの素敵な歌声を子守唄がわりに眠ってしまうのだった
--------------------
外に出るみんなを見送るゲート前では
「だから私は大丈夫なのよっ!昨日聞いたでしょ!?『ありのままの君でいて』『髪なんて染めないでいい』『流行りのファッションなんか追わなくていい』彼は私にそう言ってくれたのよっ!!」
芽衣さんが最後の抵抗を試みていた
「だからと言ってー」
「手入れを怠れとは一言も言ってないわよー」
「そうだそうだ!」
「そうよ~芽衣ちゃん?素敵になって芽衣ちゃんの姿から目を離せない彼…見たくな~い?」
「むむっ渋澤め!ぐ、ぐぅ///」
見たいらしい
「昨日そんな事あったのかー?」
「あったのかー?」
「室長さんと次長さんが歌った洋楽の訳ですよ♪私も昨日歌いましたがどうでした?」
「先生、凄かったなぁ…夜の王女様みたいで、綺麗でした。」
「うふふ♪///頑張っちゃいました♪///」
これ以上芽衣さんと咲山家の惚気はお腹いっぱいなので、黙ってゲートを閉める事にした
「あぁー!閉まっていくー!!私の休日ライフがー!!」
閉まる直前、せめて一言言ってやろうと思い
「芽衣さん?私とルナのお義母さんになろうってんだから受け入れてください♪私は綺麗なお義母さんの方が好きです!!」
「「「「「「えっ!?」」」」」」
ガシャン!
ゲートが閉まる
「「「「「えっ!?」」」」」
「あんのポンコツ娘がぁ!」
「もしかしなくても燈ちゃん、自己評価相当低いよね?」
「ポンコツなりに考えた結果ですよー、何でその結論に至ったかは何となくわかりますしー」
「え?私燈ちゃんに嫌われるとか耐えられないんだけど?why!?」
「ん~、無理矢理にでもこっちに引っ張り込んで連れ回した方が良かったかも~?」
「それは逆効果かもしれないわねぇ?どちらにせよ、帰ったら燈ちゃんのお話をちゃんと聞いてみましょうか~?」
この日の夕方、聖☆シスターズとなる面々の午前中の会話だった
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2人の出会いを描いた作品はこちら
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2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041


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