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闘技大会決勝 -ソロの部-
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その試合は最初から今までの試合とは違った
両選手の握手は無く、その代わり--
互いの流派の構えを取るという
風変わりな始まりとなった
「…審判さん」
「合図をお願い致しますわ。」
「…闘技大会 決勝、始めっ!!!」
審判が開始を告げると同時に衝突する私と対戦相手
互いの腕が接触する度に大気が震える
橙色に金のライン
深くスリットの入ったチャイナ服
背中には丸の中に亀の一文字
その道着は、ランプの習得している田中流と同じ源流を持つ丸亀流派のものに相違ない
この二つの流派は、打倒少林流を掲げる二大流派であり
二人はそれぞれその門下生だったのである
「やはり田中流、それも高位の方とお見受けしますわ!」
「そっちこそ!護り主体の田中流に私のステータスがプラスされてるのにやんなっちゃう!」
「御顔、とても嬉しそうでしてよ?」
「お互い様ってやつだね♪」
そう言葉を交わし、再度組み交わす
一閃、二撃、三蹴…
飛ぶように、跳ねるように、踊るように闘う私達のこの試合は後に『世紀末対戦』と呼ばれる程の闘気の盛り上がりを見せた
尚、殆どのプレイヤーが目視出来ない為
場内は昼間の花火大会のような様相を呈していた
『誰がド○ゴンボールやれって言ったよ!?いや、出来るとは思わなかったけどね!?』
運営が横槍を入れてきた
むぅ、良いところだったのに…
『凄かったわ~!全~然見えなかったけど~♪』
「ここからが本番って所だったんですよ!」
「そうですわ!今なら我が流派の極意、カメハメh」
『ストォォォォォォォォップ!』
『怒られちゃうかもしれないからね~?』
「ランプ様、たんぽぽ様、運営及び場内より嘆願が申請されています。」
んーと?要約すると、何やってるかわかんないからステータス落として見えるようにやってくれ?
「たんぽぽちゃん、それで良い?」
「同条件なら全然構いません!」
では…
「「了承します。」」
二人揃って宣言するとお揃いの腕輪が現れた
『助かるわ~♪決勝戦なのにリアルタイム映像では残像しか残らないところだったのよ~?』
それはまずい気がする、流石に
『それにこの腕輪もステータスを下げると言う事はないぞ!今まで通り闘ってもらって大丈夫だ!』
どうやら腕輪の方に何やら細工がしてあって私達の動きが見えるようになるみたいだ
そうして仕切り直した後
審判より再度試合開始の合図がかかる
今度は一転して静かな立ち上がりだ
相手の攻勢を払い、逆に仕掛けるも空を切る右手
攻撃の手数が増え守備に気を取られた所で
「《エアバレット》」
たんぽぽちゃんの魔法が胸元で炸裂した
あぁ、そうだった…組み手が楽しすぎて失念していた
ここは魔法のある世界だった!!
浮かされた私の落下地点はたんぽぽちゃんの間合いだ…やられた
「おねぇちゃんっ!!!!」
その声だけで回路が繋がる
その姿を意識するだけで心が燃える
「《エアバッグ》」
落下タイミングを一瞬ズラし、私を捉えようと伸びきる前の手を空中で掴む
その後の動きはよく覚えていない
ただ、私は"型"をなぞり
気がつくと残心を取っていた、それだけだ
「勝負ありっ!!勝者ランプ!!」
まるで嘘のように審判の声が響き渡り
ルナがぴょんぴょん跳ねているのをみて私が勝ったことを実感した。
「お見事ですわ、完敗致しました。」
たんぽぽちゃんの声がする
振り向くとこちらに向かって手を差し出している
「正直最後は何がなんだか…何にもない世界?だったよ」
差し出された手を取りしっかりと握手する
…と、凄い力で握り返してきた
「あんなに可愛い勝利の女神がついているなんてズルいですわっ!」
相当悔しいらしい、目が血走っている
そんな顔してもルナはやらん、他をあたれ
「わたくしも弟を誘って…あぁでも危ないかも…」
なんかブツブツ言い始めた
落ち着いて聞いた所によると
たんぽぽちゃんはこの世界に私と同じく初日から居たようだ
ただ、この世界の自由度の高さと身体能力を駆使して初日から山に籠ったそうな
曰く、恐竜が居たら玉乗り仕込みたかったそうです。
そんなたんぽぽちゃんは私とはある意味逆の魔物NPCとの出会いを重ね、修行に明け暮れていたとの事。
口調の割にとんだ野性味溢れる生活である
「個人では負けましたが、ペアでは師匠の一人(?)とのタッグですのよ!?次はまけません!!」
そう言ってステージから降りていくたんぽぽちゃん
惜しみない拍手を浴びてあわあわしているところがとてもキュートだった
--ペアの部 決勝戦--
私とルナを迎え撃つのは
たんぽぽちゃんと
----パンダだった。
「たんぽぽちゃん?そのパンダお湯とか水かけて大丈夫なやつ?」
「???何を言っていますの?師匠とは水浴びをしたりお魚を取ったりいつもしてますわよ?」
そっかー、そっちは知らなかったかー
まぁおっさんが現れる事は無さそうです
…それよりも
「ぱ、ぱ、ぱんだしゃんっ!!!」
ルナが憧れの芸能人に会ったみたいになってて困る、可愛すぎて。
ルナのお願いもあり、今回は握手から始まり
「ペアの部 決勝!始めっ!!」
審判より開始の合図がかかった
パンダが未知数の為、立ち合おうとするもたんぽぽちゃんに阻まれる
私の注意が少しだけ逸れた瞬間、パンダはルナに駆け出していた
ルナの居合いが通用することを願いつつ、たんぽぽちゃんと向き合う
…おかしい
いつまで経っても衝突というか戦闘音が聞こえてこない
たんぽぽちゃんも怪訝な表情だ
お互いに意思疎通したのを確認し
ペアの相手を見ると
二人(?)一塊になって遊んでいた(●REC)
「はぁ、パンダ師匠が絶対自分が出ると仰って他の師匠をボコボコにしてましたのに…」
「ルナは可愛いからね!仕方ないね!」
「貴女までそんな事言うのですか!?まぁ認めますけど!!」
たんぽぽちゃん、素直で好きだわー
そして実質ソロ決勝の第二戦
激しい攻防の末
「し、勝負あり!!たんパンずの勝利!!」
負けた…
闘っている最中パンダがなんか鳴いていたから助言があったのだろう、明らかに動き良くなってたし
パンダ恐るべし
私がたんぽぽちゃんに敗北を喫した後
どう打ち合わせしたのかはわからないが
パンダが右手を出してルナに
「キューン!」
とやると、ルナが胸を押さえて
「うっ!やーらーれーたー!」
というお芝居で幕は降りた
そりゃ審判も戸惑うよなぁ
終わった後の会場はお遊戯会の終わりのようなほっこりとしたムードに包まれていた。
両選手の握手は無く、その代わり--
互いの流派の構えを取るという
風変わりな始まりとなった
「…審判さん」
「合図をお願い致しますわ。」
「…闘技大会 決勝、始めっ!!!」
審判が開始を告げると同時に衝突する私と対戦相手
互いの腕が接触する度に大気が震える
橙色に金のライン
深くスリットの入ったチャイナ服
背中には丸の中に亀の一文字
その道着は、ランプの習得している田中流と同じ源流を持つ丸亀流派のものに相違ない
この二つの流派は、打倒少林流を掲げる二大流派であり
二人はそれぞれその門下生だったのである
「やはり田中流、それも高位の方とお見受けしますわ!」
「そっちこそ!護り主体の田中流に私のステータスがプラスされてるのにやんなっちゃう!」
「御顔、とても嬉しそうでしてよ?」
「お互い様ってやつだね♪」
そう言葉を交わし、再度組み交わす
一閃、二撃、三蹴…
飛ぶように、跳ねるように、踊るように闘う私達のこの試合は後に『世紀末対戦』と呼ばれる程の闘気の盛り上がりを見せた
尚、殆どのプレイヤーが目視出来ない為
場内は昼間の花火大会のような様相を呈していた
『誰がド○ゴンボールやれって言ったよ!?いや、出来るとは思わなかったけどね!?』
運営が横槍を入れてきた
むぅ、良いところだったのに…
『凄かったわ~!全~然見えなかったけど~♪』
「ここからが本番って所だったんですよ!」
「そうですわ!今なら我が流派の極意、カメハメh」
『ストォォォォォォォォップ!』
『怒られちゃうかもしれないからね~?』
「ランプ様、たんぽぽ様、運営及び場内より嘆願が申請されています。」
んーと?要約すると、何やってるかわかんないからステータス落として見えるようにやってくれ?
「たんぽぽちゃん、それで良い?」
「同条件なら全然構いません!」
では…
「「了承します。」」
二人揃って宣言するとお揃いの腕輪が現れた
『助かるわ~♪決勝戦なのにリアルタイム映像では残像しか残らないところだったのよ~?』
それはまずい気がする、流石に
『それにこの腕輪もステータスを下げると言う事はないぞ!今まで通り闘ってもらって大丈夫だ!』
どうやら腕輪の方に何やら細工がしてあって私達の動きが見えるようになるみたいだ
そうして仕切り直した後
審判より再度試合開始の合図がかかる
今度は一転して静かな立ち上がりだ
相手の攻勢を払い、逆に仕掛けるも空を切る右手
攻撃の手数が増え守備に気を取られた所で
「《エアバレット》」
たんぽぽちゃんの魔法が胸元で炸裂した
あぁ、そうだった…組み手が楽しすぎて失念していた
ここは魔法のある世界だった!!
浮かされた私の落下地点はたんぽぽちゃんの間合いだ…やられた
「おねぇちゃんっ!!!!」
その声だけで回路が繋がる
その姿を意識するだけで心が燃える
「《エアバッグ》」
落下タイミングを一瞬ズラし、私を捉えようと伸びきる前の手を空中で掴む
その後の動きはよく覚えていない
ただ、私は"型"をなぞり
気がつくと残心を取っていた、それだけだ
「勝負ありっ!!勝者ランプ!!」
まるで嘘のように審判の声が響き渡り
ルナがぴょんぴょん跳ねているのをみて私が勝ったことを実感した。
「お見事ですわ、完敗致しました。」
たんぽぽちゃんの声がする
振り向くとこちらに向かって手を差し出している
「正直最後は何がなんだか…何にもない世界?だったよ」
差し出された手を取りしっかりと握手する
…と、凄い力で握り返してきた
「あんなに可愛い勝利の女神がついているなんてズルいですわっ!」
相当悔しいらしい、目が血走っている
そんな顔してもルナはやらん、他をあたれ
「わたくしも弟を誘って…あぁでも危ないかも…」
なんかブツブツ言い始めた
落ち着いて聞いた所によると
たんぽぽちゃんはこの世界に私と同じく初日から居たようだ
ただ、この世界の自由度の高さと身体能力を駆使して初日から山に籠ったそうな
曰く、恐竜が居たら玉乗り仕込みたかったそうです。
そんなたんぽぽちゃんは私とはある意味逆の魔物NPCとの出会いを重ね、修行に明け暮れていたとの事。
口調の割にとんだ野性味溢れる生活である
「個人では負けましたが、ペアでは師匠の一人(?)とのタッグですのよ!?次はまけません!!」
そう言ってステージから降りていくたんぽぽちゃん
惜しみない拍手を浴びてあわあわしているところがとてもキュートだった
--ペアの部 決勝戦--
私とルナを迎え撃つのは
たんぽぽちゃんと
----パンダだった。
「たんぽぽちゃん?そのパンダお湯とか水かけて大丈夫なやつ?」
「???何を言っていますの?師匠とは水浴びをしたりお魚を取ったりいつもしてますわよ?」
そっかー、そっちは知らなかったかー
まぁおっさんが現れる事は無さそうです
…それよりも
「ぱ、ぱ、ぱんだしゃんっ!!!」
ルナが憧れの芸能人に会ったみたいになってて困る、可愛すぎて。
ルナのお願いもあり、今回は握手から始まり
「ペアの部 決勝!始めっ!!」
審判より開始の合図がかかった
パンダが未知数の為、立ち合おうとするもたんぽぽちゃんに阻まれる
私の注意が少しだけ逸れた瞬間、パンダはルナに駆け出していた
ルナの居合いが通用することを願いつつ、たんぽぽちゃんと向き合う
…おかしい
いつまで経っても衝突というか戦闘音が聞こえてこない
たんぽぽちゃんも怪訝な表情だ
お互いに意思疎通したのを確認し
ペアの相手を見ると
二人(?)一塊になって遊んでいた(●REC)
「はぁ、パンダ師匠が絶対自分が出ると仰って他の師匠をボコボコにしてましたのに…」
「ルナは可愛いからね!仕方ないね!」
「貴女までそんな事言うのですか!?まぁ認めますけど!!」
たんぽぽちゃん、素直で好きだわー
そして実質ソロ決勝の第二戦
激しい攻防の末
「し、勝負あり!!たんパンずの勝利!!」
負けた…
闘っている最中パンダがなんか鳴いていたから助言があったのだろう、明らかに動き良くなってたし
パンダ恐るべし
私がたんぽぽちゃんに敗北を喫した後
どう打ち合わせしたのかはわからないが
パンダが右手を出してルナに
「キューン!」
とやると、ルナが胸を押さえて
「うっ!やーらーれーたー!」
というお芝居で幕は降りた
そりゃ審判も戸惑うよなぁ
終わった後の会場はお遊戯会の終わりのようなほっこりとしたムードに包まれていた。
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