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ビューティーペアー
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最終候補を二つまで絞りパパさんに連絡する事にした
『北月さんこんにちは!ルナちゃんと共に武闘大会に参加しようと思います。
つきましてはペアグループ名をつける事となり、最終候補二つまで絞りました。
・聖夜姉妹
・月明かりの姉妹
どちらが良いと思いますか?
PS 私を春奈ちゃんの本当のお姉ちゃんにする計画のお返事、待ってます』
仲良しということで『姉妹』は確定だ
聖夜姉妹
月とランプから“夜”を連想
ルナちゃんから溢れる聖属性と私もたまに聖女なんて呼ばれたりするので先程の“夜”とくっ付けて“聖夜”そこに姉妹が合流した形だ、正直言って当て馬である
本命の月明かりの姉妹
単純に二人の名前をいい感じに足して熟語になった“月明かり”に姉妹
語呂が悪いので接続詞をつけてこの名前となった
追伸に関してはそのまんまだ
ルナちゃんが求婚してくれたその日、養子縁組の打診を自分なりに真剣にしたのだが梨の礫なのだ
一応ルナちゃんを通してメッセージが伝わっている事が判明した時はホッとした
アレが空振ってたら黒歴史どころじゃなかったよ…
そんな事よりも今は闘技大会だ!
『送信』ぽちっとなー
「パパさんに送ったよー♪返事早く来るといいね!」
「パパは仲間外れって拗ねるからねー?」
悪戯な笑みを浮かべ、歯を見せるルナちゃん小悪魔としても成長してないかい?お姉ちゃん心配だよ…自分の身体が、鼻血とか動悸的な意味で
「さてと、ペアの申請はパパさん待ちとして…個人かぁ、どうしようかなぁ…?」
「ルナはおねぇちゃんが一緒じゃないと嫌、けどおねぇちゃんのカッコいい所は見たい!どうしようおねぇちゃん!?」
「出ます。」
自分の口から言葉が出る時には参加申請を終えていた。
セコンドとか言って近くに居るのは大丈夫だろう、パパさんから返信が来た時にそれとなく匂わせて無くても制度を設けて貰おう
しかし返信遅いなー?娘第一主義のパパさんならもう返事来てても良いくらいなのに…忙しいのかな?
結局、パパさんから返事が来たのはログアウトしようとルナちゃんと互いに「また明日」と言って別れる間際だった
『大事な話があるので、そのまま残ってくれませんか?』
ルナちゃんがログアウトするのを見送り、暫くしてから私達の本拠地の扉をノックする音が聞こえる
「北月です、ランプさんいらっしゃいますか?」
運営アバターなんだからそのまま中に転送かなんかしてくれば良いのに律儀な人だ
「はい!今開けますね」
扉を開くとパパさんを中へと促す
久しぶりに見るパパさんはどこか疲れている印象を受けた
なので!
「ランプさん、このた…」
「ストォォォォォップ!!」
「!?」
喋り始めたパパさんを強引に止める
「北月さん、お話の前に何か飲みましょう!酷い顔してますよ!休んでないんじゃないですか!?」
インベントリからホットミルクティーとホットカフェオレを取り出してパパさんの前に置く
…置く時静かに置こうと意識して逆にゴッ!と盛大な音を立ててしまったが溢れたりしていないからセーフだ
そして背中側に回り、マッサージを開始する
「時間が無いなら辞めますが、少しゆっくりして下さい。
そもそもデータのカラダに効くかわかりませんけどね?父にも上手だって言わせるんですよ?」
そう言うとパパさんはホットカフェオレに手を伸ばした
「そこは普通褒められるじゃないの?言わせるんだ…うん、これは言ってしまうかもね」
パパさんのカラダから力が抜けて行くのがわかる、リラックスしてくれたら何よりだ
カフェオレがマグカップの内側に線を引く
パパさんが手にとってまたテーブルに置く度
線は消えたり増えたり薄くなったりして、なんとなく海で波際を見ているようなそんな気分だった
カフェオレの海が干上がるまでパパさんは身を任せていたし、私も黙ってマッサージを続けた
「ありがとう、君がなんであんなにAIに好かれるのかよく分かったよ。とっても上手だね??」
「褒めてます?」
「勿論」
「よっしゃ!これで次は父に『お義父さんには上手だねって褒められるんだよ!』って言えますかね!?」
「君はまた本当にもう…ブレないね…まぁそうだね、その事で来たんだからちょうど良いのかカフェオレおかわりあるかな?」
パパさんは嘆息した後おかわりを要求した
私がおかしいみたいな目をしているがなぜだろう?
おかわりをインベントリから出す為パパさんの肩から手を離そうとした瞬間
音のない静電気?が発生した
「どうしたんだい?」
不思議そうな顔をして両手を交互に見ている私にパパさんが話しかけてきた
「静電気?ですかね?」
「そんな仕様無かったはずだけど…」
「まぁいいや、はい!ご注文のホットカフェオレです♪」
インベントリから再度カフェオレを取り出しパパさんの前に置く
今度は静かに置けたよ!さっきよりは!
私は自分の椅子に戻りテーブルを挟んでパパさんと向かい合う
「さて、大事な話と言ったね?君も勘付いている通り“お返事”の事なんだけど、それをする前に一つ確認しておくことがある」
私は温くなったミルクティーを一口飲み頷いてパパさんを見る
「ここは現実じゃない、ゲームの世界だ。そんな中でたまたま会って仲良くなったからって普通ここまではしない、データなんて所詮は虚構だ、今君が見えている春奈と現実の春奈は違うかも知れない」
パパさんは一度呼吸を置く、私の目はパパさんを見据えたままだ、絶対に動かす気はない
「どんな春奈を見ても君の意思は変わらないと誓えるか?」
そんなの答えは決まっている
「誓えません」
少しだけ嘲るような表情のパパさんが口を開く前に
…今度はこっちの番だ!
「それは私にも言える事だからです。」
ずっと考えていた、ゲーム世界なんてわかりきっていた
現実で会った時に、ハルナちゃんと顔を合わせた時に、がっかりされてしまうのではないか?そして心優しい彼女は私を傷つけないように接してくれるだろう。
優しい嘘を吐きながら
そんなもの私が耐えられない
どう考えても不幸せだ
私の行動原理はハルナちゃんの幸せなのだから
思いの丈を話し、考えていた事の半分も上手くは言えなかったが、それでも必死に訴えた
泣くのは卑怯だと思っていたけど
やっぱり我慢出来なかった。
パパさんはずっと私のまとまりの無い主張を目を逸らす事なく聴いてくれた
そして長い瞬きをした後
「君の本気は伝わったよ、試すような真似をしてごめんね?」
言われた瞬間ドッと疲れが出た
「いやはや、想像以上だったよ」
「褒めてます?」
「勿論」
「よっしゃ!」
クタクタになりながらも笑う
すごく気分が良い
「航空チケットの搭乗コードと本社のマップデータをメールで送るから確認してね」
「あれ捨てアドですけど大丈夫です?」
「大丈夫だよ困ったらここに連絡して」
パパさんが名刺をくれた
北月 樹さんかぁ
「ツキが二つもあるなんて超ラッキーな名前ですね!」
パパさんは一瞬目を見開いた後
「似たような事を言われてからこの名前が好きになったのを思い出したよ」
穏やかな表情となり、そう言いながら続けてなんか言ってたけど私の耳に入る事はなかった
はっきり発音せんかい!!
似合うからってなんでも許されると思うなよ!?
『北月さんこんにちは!ルナちゃんと共に武闘大会に参加しようと思います。
つきましてはペアグループ名をつける事となり、最終候補二つまで絞りました。
・聖夜姉妹
・月明かりの姉妹
どちらが良いと思いますか?
PS 私を春奈ちゃんの本当のお姉ちゃんにする計画のお返事、待ってます』
仲良しということで『姉妹』は確定だ
聖夜姉妹
月とランプから“夜”を連想
ルナちゃんから溢れる聖属性と私もたまに聖女なんて呼ばれたりするので先程の“夜”とくっ付けて“聖夜”そこに姉妹が合流した形だ、正直言って当て馬である
本命の月明かりの姉妹
単純に二人の名前をいい感じに足して熟語になった“月明かり”に姉妹
語呂が悪いので接続詞をつけてこの名前となった
追伸に関してはそのまんまだ
ルナちゃんが求婚してくれたその日、養子縁組の打診を自分なりに真剣にしたのだが梨の礫なのだ
一応ルナちゃんを通してメッセージが伝わっている事が判明した時はホッとした
アレが空振ってたら黒歴史どころじゃなかったよ…
そんな事よりも今は闘技大会だ!
『送信』ぽちっとなー
「パパさんに送ったよー♪返事早く来るといいね!」
「パパは仲間外れって拗ねるからねー?」
悪戯な笑みを浮かべ、歯を見せるルナちゃん小悪魔としても成長してないかい?お姉ちゃん心配だよ…自分の身体が、鼻血とか動悸的な意味で
「さてと、ペアの申請はパパさん待ちとして…個人かぁ、どうしようかなぁ…?」
「ルナはおねぇちゃんが一緒じゃないと嫌、けどおねぇちゃんのカッコいい所は見たい!どうしようおねぇちゃん!?」
「出ます。」
自分の口から言葉が出る時には参加申請を終えていた。
セコンドとか言って近くに居るのは大丈夫だろう、パパさんから返信が来た時にそれとなく匂わせて無くても制度を設けて貰おう
しかし返信遅いなー?娘第一主義のパパさんならもう返事来てても良いくらいなのに…忙しいのかな?
結局、パパさんから返事が来たのはログアウトしようとルナちゃんと互いに「また明日」と言って別れる間際だった
『大事な話があるので、そのまま残ってくれませんか?』
ルナちゃんがログアウトするのを見送り、暫くしてから私達の本拠地の扉をノックする音が聞こえる
「北月です、ランプさんいらっしゃいますか?」
運営アバターなんだからそのまま中に転送かなんかしてくれば良いのに律儀な人だ
「はい!今開けますね」
扉を開くとパパさんを中へと促す
久しぶりに見るパパさんはどこか疲れている印象を受けた
なので!
「ランプさん、このた…」
「ストォォォォォップ!!」
「!?」
喋り始めたパパさんを強引に止める
「北月さん、お話の前に何か飲みましょう!酷い顔してますよ!休んでないんじゃないですか!?」
インベントリからホットミルクティーとホットカフェオレを取り出してパパさんの前に置く
…置く時静かに置こうと意識して逆にゴッ!と盛大な音を立ててしまったが溢れたりしていないからセーフだ
そして背中側に回り、マッサージを開始する
「時間が無いなら辞めますが、少しゆっくりして下さい。
そもそもデータのカラダに効くかわかりませんけどね?父にも上手だって言わせるんですよ?」
そう言うとパパさんはホットカフェオレに手を伸ばした
「そこは普通褒められるじゃないの?言わせるんだ…うん、これは言ってしまうかもね」
パパさんのカラダから力が抜けて行くのがわかる、リラックスしてくれたら何よりだ
カフェオレがマグカップの内側に線を引く
パパさんが手にとってまたテーブルに置く度
線は消えたり増えたり薄くなったりして、なんとなく海で波際を見ているようなそんな気分だった
カフェオレの海が干上がるまでパパさんは身を任せていたし、私も黙ってマッサージを続けた
「ありがとう、君がなんであんなにAIに好かれるのかよく分かったよ。とっても上手だね??」
「褒めてます?」
「勿論」
「よっしゃ!これで次は父に『お義父さんには上手だねって褒められるんだよ!』って言えますかね!?」
「君はまた本当にもう…ブレないね…まぁそうだね、その事で来たんだからちょうど良いのかカフェオレおかわりあるかな?」
パパさんは嘆息した後おかわりを要求した
私がおかしいみたいな目をしているがなぜだろう?
おかわりをインベントリから出す為パパさんの肩から手を離そうとした瞬間
音のない静電気?が発生した
「どうしたんだい?」
不思議そうな顔をして両手を交互に見ている私にパパさんが話しかけてきた
「静電気?ですかね?」
「そんな仕様無かったはずだけど…」
「まぁいいや、はい!ご注文のホットカフェオレです♪」
インベントリから再度カフェオレを取り出しパパさんの前に置く
今度は静かに置けたよ!さっきよりは!
私は自分の椅子に戻りテーブルを挟んでパパさんと向かい合う
「さて、大事な話と言ったね?君も勘付いている通り“お返事”の事なんだけど、それをする前に一つ確認しておくことがある」
私は温くなったミルクティーを一口飲み頷いてパパさんを見る
「ここは現実じゃない、ゲームの世界だ。そんな中でたまたま会って仲良くなったからって普通ここまではしない、データなんて所詮は虚構だ、今君が見えている春奈と現実の春奈は違うかも知れない」
パパさんは一度呼吸を置く、私の目はパパさんを見据えたままだ、絶対に動かす気はない
「どんな春奈を見ても君の意思は変わらないと誓えるか?」
そんなの答えは決まっている
「誓えません」
少しだけ嘲るような表情のパパさんが口を開く前に
…今度はこっちの番だ!
「それは私にも言える事だからです。」
ずっと考えていた、ゲーム世界なんてわかりきっていた
現実で会った時に、ハルナちゃんと顔を合わせた時に、がっかりされてしまうのではないか?そして心優しい彼女は私を傷つけないように接してくれるだろう。
優しい嘘を吐きながら
そんなもの私が耐えられない
どう考えても不幸せだ
私の行動原理はハルナちゃんの幸せなのだから
思いの丈を話し、考えていた事の半分も上手くは言えなかったが、それでも必死に訴えた
泣くのは卑怯だと思っていたけど
やっぱり我慢出来なかった。
パパさんはずっと私のまとまりの無い主張を目を逸らす事なく聴いてくれた
そして長い瞬きをした後
「君の本気は伝わったよ、試すような真似をしてごめんね?」
言われた瞬間ドッと疲れが出た
「いやはや、想像以上だったよ」
「褒めてます?」
「勿論」
「よっしゃ!」
クタクタになりながらも笑う
すごく気分が良い
「航空チケットの搭乗コードと本社のマップデータをメールで送るから確認してね」
「あれ捨てアドですけど大丈夫です?」
「大丈夫だよ困ったらここに連絡して」
パパさんが名刺をくれた
北月 樹さんかぁ
「ツキが二つもあるなんて超ラッキーな名前ですね!」
パパさんは一瞬目を見開いた後
「似たような事を言われてからこの名前が好きになったのを思い出したよ」
穏やかな表情となり、そう言いながら続けてなんか言ってたけど私の耳に入る事はなかった
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