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第六話 美波さんの昇進大作戦
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五月中旬の、ある日の夕食時。美波さんは少し嬉しそうに、わたしに報告してきた。
「ねえねえ、ハルナ。私、昇進できるかもしれない」
「……おめでとうございます」
「あれ~? もうちょっと喜んでよ~」
「いや、すいません。喜ばしいことなんでしょうけど、あんまり会社の階級みたいなのがよくわからなくて……」
これは本当のことだ。わたしは二年目で、まだ昇進とかは縁がなかった。
美波さんの話によると、わたしは今一番下で『一般』という役職である。
六年目社員の美波さんは今、一つ上の『担当』。
そして、美波さんが昇進すると『主任』という役職になるそうだ。
「ああ、ドラマとかでよく聞きますね、主任。主人公の女性社員が恋仲になる男上司みたいな人がよく『主任』って呼ばれてます」
「そうそう、そのくらいの役職だよ。仕事としてはリーダーになることができる役職だよ。ハルナの今のチームだと、リーダーの田中さんと、大山さんが主任だよ」
「ええー、じゃあ田中さんと同じ役職ってことですか? スゴイじゃないですか!」
「もちろん同じ役職の中でも、差はあるけどね。まあそんな感じで、仕事だけじゃなくて昇進用の活動もしないといけなくて、けっこう忙しくなりそうってこと言っておきたくて」
「そっか、がんばってね美波さん。わたしも早く『主任』って呼びたいです」
「あんまりそういう呼び方する人いないけどね」
そして、美波さんは本当に忙しくなった。九月ごろに昇進のための成果報告があり、昇進が本決定するのは十月だそうだ。うちの会社では、一月の年始集会で昇進が認められ、反映される。
昇進のために必須ではないけど取っておくと良いと言われて、マネジメントや品質保証についての研修や資格の勉強を始めた。
忙しい日々(特に美波さん)ではあるけど、わたしたちは仲良く過ごしていた。だが――。
「ハルナ、私たちしばらく会うの減らしたい」
ある祝日の次の日。業務後に美波さんの部屋で、夕食としてテイクアウトしたお惣菜を食べているときの唐突な発言だった。
美波さんは、こういうところがある。つまり、一人で色々と考えた結果をいきなり突きつけてくるのだ。結論から話すクセがあるのか、聞く方からするとビックリしてしまう。
「どういうことですか?」
とりあえず、理由を聞いてみる。
「実は先週末、海外の部品メーカーに問い合わせておかないといけないことがあったのに、そのメールを出すの忘れて帰っちゃったの。それで、昨日は祝日だったでしょ? 海外は祝日じゃないから、昨日のうちに回答をもらえてるはずだったのに、それができなかったから実質二日伸びちゃったんだよね。別に致命的な遅れじゃないから良いといえば良いんだけど、やれてたはずのことができてなくって反省してるの」
変な予感がする。
「それでどうして会うの減らすってことになるんですか?」
「金曜日の夜、終わればハルナと連休だって思って、やらないといけないことを漏らしちゃったんだよ。それだけじゃない。部署異動してハルナと別々になってから、私、仕事中にハルナのこと考えすぎてる。もう自分が情けなくって……」
「美波さん……」
言葉とともに美波さんは俯いて、食事の手も止まってしまった。
わたしのことを考えてる時間が多いと言われたのは、正直嬉しい。美波さんと離れてしまって寂しい思いをしているのはわたしの方だけじゃなかったんだ。でも、会う時間を減らしたいというのは納得できない。
「そんなに焦らないでください。たぶん美波さんは、結論を急ぎすぎちゃってますよ。仕事中にわたしのことを考えるのは、そりゃあ仕事にとっては良くないことかもしれないですけど、わたしと会う時間を減らすことで解決になるんですか? 美波さんがリフレッシュするために一人の時間が欲しいというのなら、もちろんそれは構いませんけど、そういうことじゃないんですよね?」
「ううーん……でも……」
きっと、これは美波さんのSOSだ。理詰めで論破しても意味がない。まずは問題を的確に捉えないと。
「まず、美波さんが仕事でミスしてしまったというのは理解しました。でもわたしは仕事のことはよくわからないので、そのフォローは風見さんに任せます。なのでここでは、わたしとのことを一緒に考えませんか?」
「……うん」
「美波さんはわたしのこと好きですか?」
「……もちろん。好きだよ」
「わたしも、美波さんのこと好きです。だから一秒でも長く、美波さんとは一緒に居たいです。美波さんは違うんですか?」
「違わない。私もハルナと一緒に居たいよ。でも、申し訳なくて」
「何に対して申し訳ないんですか?」
「うーん……。ハルナに対して?」
「わたしに対して、どんな後ろめたさがあるんですか?」
「……ハルナの前で、情けない姿を見せたくない……んだと思う」
「そうなんだ。でもわたしは美波さんに『仕事のデキる先輩』を求めてないですけどね」
「?」
「わたしは、美波さんを『美波さんとして』求めてるってこと。仕事ができるからじゃないし、先輩だからとか、主任だからとかじゃない。わたしのそばに居てくれる美波さんが、わたしを好きと言ってくれる美波さんが好きなんです」
「……」
「美波さんはきっと今、つらいんです。環境が変わって、やることが増えて、……わたしとも離れ離れになって、すごく不安なんです。だから解決が難しい問題に対して、何らかのアクションをしたいという気持ちが先走って、よく分からない結論になっちゃったんじゃないですか?」
美波さんは少し考えて、答え始めた。
「……そうかも。このままじゃ駄目だって思ってる。ハルナと会えないのが嫌で、会わないのは自分の意思だって思い込もうとしてたのかもしれない……。でも、こんなのおかしいよね? こうやって仕事が終われば会えるのに、チームが変わっただけでこんなに会いたくなるなんて、依存しすぎじゃないかな……?」
(ああ、そうか)
わたしは気づいた。
「わたしも、本当は我慢してたんです」
「何を?」
「美波さんに心配かけないように、たぶん我慢してました、無意識に。美波さんが仕事を頑張っているのを、邪魔したくないって思ってた。……わたしも本当は、美波さんと会える時間が減って寂しいです。不安にもなりますし、愚痴も聞いてほしいんです」
「……そうだったんだ」
「だから、わたしと会う時間を減らすのなんてやめましょう。わたしは必要なんです。美波さんとの時間が」
美波さんは、ハッとしたように顔を上げてわたしの顔を見た。
わたしは立ち上がり、座椅子に座っている美波さんに近づいて見下ろした。
上から肩をつかんで押さえつけるように半ば無理やり唇を奪った。キスをしながら押し倒して、舌を口の中に侵入させる。すると美波さんは口を離して、
「ちょ、ちょっと待って汚いよ。食べたものがまだ……」
「だからぁ、良いんですってば。わたし、美波さんの全部が欲しいんです。わたしとセックスして乱れてるところも。カッコよく仕事をこなしてるところも。上手くいかなくて落ち込んでるところも。家でまったりしてるところも。全部ひっくるめて美波さんなんです。その全部の美波さんがわたしは欲しいんです。好きなんです」
「……それが、ハルナの思いなの」
「そうです。わたし、我慢してたんです。自分はもっとサバサバ系というか、ドライな感じでいたほうが良いんじゃないかって。美波さんの負担になるんじゃないかって。でもごめんなさい。我慢できないです。こんな異動くらいで、こんなに寂しい思いをするなんて思ってなかった。美波さんと会える時間がちょっと減っただけで、意味わかんないくらい動揺してます。美波さんは自分がおかしいって言いましたけど、わたしも同じだったんです」
目の奥が熱を帯びて、表面が潤んだ。まつげに涙がかかる、こそばゆい感じ。美波さんは倒れたまま下からわたしの体を抱きしめた。いつもの暖かく柔らかい声がわたしの耳を撫でた。
「ごめんハルナ。私、自分のことばっかりで。仕事で失敗したのまでハルナのせいにしちゃって。もう勝手に決めつけたりしない。ちゃんと相談する」
「……はい」
「だからハルナも約束して。わたしの全部、ハルナにあげる。だからハルナの全部も私にちょうだい。」
「はい……! あげます。わたしも全部、あげます。美波さんに全部を」
離れたくなかった。キスの応酬は絶えることなく、抱き合う腕と絡む脚は何度となく組み換えられ、一番密着できる姿勢を探し求めた。強く強く押し付け合われる体は、一つになれるものなら一つになりたかった。美波さんがお風呂に誘うまで、たぶん一時間近くそうしていたと思う。
「たぶんさ、私たちってプライドが高いでしょ」
明かりを消して同じベッドで手をつなぎながら眠りに入るとき、美波さんは言った。
「……そうかもですね」
「大手メーカーの子会社とはいえ、どちらも正社員。同年代の男性平均年収よりもだいぶ上だし。けっこうなパワーカップルだと思ってるんだよね」
「美波さんはバリキャリだし?」
「バリキャリかは分かんないけど……。でもそういう自負があるから、私は自立できてると思ってたし、思おうとしてたのかもしれない。ハルナに対して甘えきれないところがあったかも」
「甘えましょう。わたしは美波さんをもっと甘やかしたいですよ」
「ふふっ……。ハルナってさ、本当に私のことよく分かってるよね。私が嬉しい言葉をかけてくれるのが上手いよ。ありがとね」
美波さんはわたしの頭を抱きかかえて、額にキスをしてくれた。眼の前に胸元の香りが立ち込めて、安らいだ。今日は感情が揺さぶられて疲れてしまったので、そのまま柔らかい胸に顔をあずけて眠りに落ちようとしていた。
「おやすみなさい、美波さん」
「おやすみ。一つ、考えてることがあるんだけどまた相談させてね。良い話だから安心して」
美波さんの声と香りと温もりに包まれて眠るのは幸せだった。
「ねえねえ、ハルナ。私、昇進できるかもしれない」
「……おめでとうございます」
「あれ~? もうちょっと喜んでよ~」
「いや、すいません。喜ばしいことなんでしょうけど、あんまり会社の階級みたいなのがよくわからなくて……」
これは本当のことだ。わたしは二年目で、まだ昇進とかは縁がなかった。
美波さんの話によると、わたしは今一番下で『一般』という役職である。
六年目社員の美波さんは今、一つ上の『担当』。
そして、美波さんが昇進すると『主任』という役職になるそうだ。
「ああ、ドラマとかでよく聞きますね、主任。主人公の女性社員が恋仲になる男上司みたいな人がよく『主任』って呼ばれてます」
「そうそう、そのくらいの役職だよ。仕事としてはリーダーになることができる役職だよ。ハルナの今のチームだと、リーダーの田中さんと、大山さんが主任だよ」
「ええー、じゃあ田中さんと同じ役職ってことですか? スゴイじゃないですか!」
「もちろん同じ役職の中でも、差はあるけどね。まあそんな感じで、仕事だけじゃなくて昇進用の活動もしないといけなくて、けっこう忙しくなりそうってこと言っておきたくて」
「そっか、がんばってね美波さん。わたしも早く『主任』って呼びたいです」
「あんまりそういう呼び方する人いないけどね」
そして、美波さんは本当に忙しくなった。九月ごろに昇進のための成果報告があり、昇進が本決定するのは十月だそうだ。うちの会社では、一月の年始集会で昇進が認められ、反映される。
昇進のために必須ではないけど取っておくと良いと言われて、マネジメントや品質保証についての研修や資格の勉強を始めた。
忙しい日々(特に美波さん)ではあるけど、わたしたちは仲良く過ごしていた。だが――。
「ハルナ、私たちしばらく会うの減らしたい」
ある祝日の次の日。業務後に美波さんの部屋で、夕食としてテイクアウトしたお惣菜を食べているときの唐突な発言だった。
美波さんは、こういうところがある。つまり、一人で色々と考えた結果をいきなり突きつけてくるのだ。結論から話すクセがあるのか、聞く方からするとビックリしてしまう。
「どういうことですか?」
とりあえず、理由を聞いてみる。
「実は先週末、海外の部品メーカーに問い合わせておかないといけないことがあったのに、そのメールを出すの忘れて帰っちゃったの。それで、昨日は祝日だったでしょ? 海外は祝日じゃないから、昨日のうちに回答をもらえてるはずだったのに、それができなかったから実質二日伸びちゃったんだよね。別に致命的な遅れじゃないから良いといえば良いんだけど、やれてたはずのことができてなくって反省してるの」
変な予感がする。
「それでどうして会うの減らすってことになるんですか?」
「金曜日の夜、終わればハルナと連休だって思って、やらないといけないことを漏らしちゃったんだよ。それだけじゃない。部署異動してハルナと別々になってから、私、仕事中にハルナのこと考えすぎてる。もう自分が情けなくって……」
「美波さん……」
言葉とともに美波さんは俯いて、食事の手も止まってしまった。
わたしのことを考えてる時間が多いと言われたのは、正直嬉しい。美波さんと離れてしまって寂しい思いをしているのはわたしの方だけじゃなかったんだ。でも、会う時間を減らしたいというのは納得できない。
「そんなに焦らないでください。たぶん美波さんは、結論を急ぎすぎちゃってますよ。仕事中にわたしのことを考えるのは、そりゃあ仕事にとっては良くないことかもしれないですけど、わたしと会う時間を減らすことで解決になるんですか? 美波さんがリフレッシュするために一人の時間が欲しいというのなら、もちろんそれは構いませんけど、そういうことじゃないんですよね?」
「ううーん……でも……」
きっと、これは美波さんのSOSだ。理詰めで論破しても意味がない。まずは問題を的確に捉えないと。
「まず、美波さんが仕事でミスしてしまったというのは理解しました。でもわたしは仕事のことはよくわからないので、そのフォローは風見さんに任せます。なのでここでは、わたしとのことを一緒に考えませんか?」
「……うん」
「美波さんはわたしのこと好きですか?」
「……もちろん。好きだよ」
「わたしも、美波さんのこと好きです。だから一秒でも長く、美波さんとは一緒に居たいです。美波さんは違うんですか?」
「違わない。私もハルナと一緒に居たいよ。でも、申し訳なくて」
「何に対して申し訳ないんですか?」
「うーん……。ハルナに対して?」
「わたしに対して、どんな後ろめたさがあるんですか?」
「……ハルナの前で、情けない姿を見せたくない……んだと思う」
「そうなんだ。でもわたしは美波さんに『仕事のデキる先輩』を求めてないですけどね」
「?」
「わたしは、美波さんを『美波さんとして』求めてるってこと。仕事ができるからじゃないし、先輩だからとか、主任だからとかじゃない。わたしのそばに居てくれる美波さんが、わたしを好きと言ってくれる美波さんが好きなんです」
「……」
「美波さんはきっと今、つらいんです。環境が変わって、やることが増えて、……わたしとも離れ離れになって、すごく不安なんです。だから解決が難しい問題に対して、何らかのアクションをしたいという気持ちが先走って、よく分からない結論になっちゃったんじゃないですか?」
美波さんは少し考えて、答え始めた。
「……そうかも。このままじゃ駄目だって思ってる。ハルナと会えないのが嫌で、会わないのは自分の意思だって思い込もうとしてたのかもしれない……。でも、こんなのおかしいよね? こうやって仕事が終われば会えるのに、チームが変わっただけでこんなに会いたくなるなんて、依存しすぎじゃないかな……?」
(ああ、そうか)
わたしは気づいた。
「わたしも、本当は我慢してたんです」
「何を?」
「美波さんに心配かけないように、たぶん我慢してました、無意識に。美波さんが仕事を頑張っているのを、邪魔したくないって思ってた。……わたしも本当は、美波さんと会える時間が減って寂しいです。不安にもなりますし、愚痴も聞いてほしいんです」
「……そうだったんだ」
「だから、わたしと会う時間を減らすのなんてやめましょう。わたしは必要なんです。美波さんとの時間が」
美波さんは、ハッとしたように顔を上げてわたしの顔を見た。
わたしは立ち上がり、座椅子に座っている美波さんに近づいて見下ろした。
上から肩をつかんで押さえつけるように半ば無理やり唇を奪った。キスをしながら押し倒して、舌を口の中に侵入させる。すると美波さんは口を離して、
「ちょ、ちょっと待って汚いよ。食べたものがまだ……」
「だからぁ、良いんですってば。わたし、美波さんの全部が欲しいんです。わたしとセックスして乱れてるところも。カッコよく仕事をこなしてるところも。上手くいかなくて落ち込んでるところも。家でまったりしてるところも。全部ひっくるめて美波さんなんです。その全部の美波さんがわたしは欲しいんです。好きなんです」
「……それが、ハルナの思いなの」
「そうです。わたし、我慢してたんです。自分はもっとサバサバ系というか、ドライな感じでいたほうが良いんじゃないかって。美波さんの負担になるんじゃないかって。でもごめんなさい。我慢できないです。こんな異動くらいで、こんなに寂しい思いをするなんて思ってなかった。美波さんと会える時間がちょっと減っただけで、意味わかんないくらい動揺してます。美波さんは自分がおかしいって言いましたけど、わたしも同じだったんです」
目の奥が熱を帯びて、表面が潤んだ。まつげに涙がかかる、こそばゆい感じ。美波さんは倒れたまま下からわたしの体を抱きしめた。いつもの暖かく柔らかい声がわたしの耳を撫でた。
「ごめんハルナ。私、自分のことばっかりで。仕事で失敗したのまでハルナのせいにしちゃって。もう勝手に決めつけたりしない。ちゃんと相談する」
「……はい」
「だからハルナも約束して。わたしの全部、ハルナにあげる。だからハルナの全部も私にちょうだい。」
「はい……! あげます。わたしも全部、あげます。美波さんに全部を」
離れたくなかった。キスの応酬は絶えることなく、抱き合う腕と絡む脚は何度となく組み換えられ、一番密着できる姿勢を探し求めた。強く強く押し付け合われる体は、一つになれるものなら一つになりたかった。美波さんがお風呂に誘うまで、たぶん一時間近くそうしていたと思う。
「たぶんさ、私たちってプライドが高いでしょ」
明かりを消して同じベッドで手をつなぎながら眠りに入るとき、美波さんは言った。
「……そうかもですね」
「大手メーカーの子会社とはいえ、どちらも正社員。同年代の男性平均年収よりもだいぶ上だし。けっこうなパワーカップルだと思ってるんだよね」
「美波さんはバリキャリだし?」
「バリキャリかは分かんないけど……。でもそういう自負があるから、私は自立できてると思ってたし、思おうとしてたのかもしれない。ハルナに対して甘えきれないところがあったかも」
「甘えましょう。わたしは美波さんをもっと甘やかしたいですよ」
「ふふっ……。ハルナってさ、本当に私のことよく分かってるよね。私が嬉しい言葉をかけてくれるのが上手いよ。ありがとね」
美波さんはわたしの頭を抱きかかえて、額にキスをしてくれた。眼の前に胸元の香りが立ち込めて、安らいだ。今日は感情が揺さぶられて疲れてしまったので、そのまま柔らかい胸に顔をあずけて眠りに落ちようとしていた。
「おやすみなさい、美波さん」
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