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第三話 私がルームメイトの胸を②

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 私――舞鶴まいづるミサは、次の計画に移ろうとしていた。

 今夜は、私がひなたさんのところに行く日――私が勝手に決めただけだが――だ。計画というほどのものではないが、今日の目的は「思いっきり好き勝手する」。

 私は、自分の寝込みをひなたさんに襲われていることを知っている。だがひなたさんは、私がそれを知っていることを知らない。
 ならば、ひなたさんにも私が寝込みを襲うことを知ってもらおうということである。目を覚ましたとき、どう反応するのかを知りたかった。

 少し遡り昨日の朝――

「ひなたさん、おはよう」
「おはよ、ミサちゃん」

 朝六時半。ひなたさんはソフトテニス部の朝練習が七時半からあるので、私もいつも同じ時間に起きている。自主練だが、彼女は毎日参加している。

「ミサちゃん、行ける?」
「うん、行こっか」

 制服に着替えが済んだので、朝食を摂りに一緒に食堂に向かう。昨晩、私がひなたさんにしたことは、気づいていないようだ。彼女はかなり眠りが深いのだろう。
 そもそも、一日置きに深夜一時から私のところに来ているので、慢性的に寝不足のはずだ。毎朝ちゃんと起きられるのが不思議なくらいである。
 私はというと、授業中はなんとか起きていたが、部活中にうつらうつらと船を漕いでしまった。それも無理はない、昨晩は私が遅くまで起きて――そして寝ているひなたさんを襲って――いたのだから。少し、生活サイクルを見直す必要がある……。

 というわけで、今夜はしっかり眠ることにした。幸い、明日は土曜日だ。ゆっくり寝ていても大丈夫。順番的にはひなたさんがやってくる夜だが、構わずに寝ていよう。夕食後の学習タイム(午後七時から午後九時まで)は地獄だった。まあ、この時間に居眠りしてしまうのは私だけではないが。消灯は午後十一時だが、十時過ぎには意識を失っていた。
 よほど深く眠っていたのか、私はその晩、ひなたさんに触られたのかどうかすら分からなかった。

 ――そして土曜日の夜、深夜零時。
 ひなたさんはぐっすり寝ている。一昨日の夜よりも大胆に攻め、起こしてしまうつもりだ。だが、事前よりも襲っている最中が良い。最初は慎重に起こさないように、事を始める。

 パジャマのシャツをめくり、引き締まったおなかから、控えめで可愛らしい胸まで露わにする。さすがにまだ慣れない。見ているとだんだん鼓動が早まり、顔面が充血しそうになる。
 緊張で震える手で、そっとひなたさんの乳房を揉む。まだゆっくり。私も心の準備が必要だ。乳首をつまんだり、膨らみをこねたりと少しずつ刺激を与えていく。ひなたさんの息が上がり、胸も熱くなってきた。

 私は半分理性を飛ばし、腰をかがめて彼女の乳首に吸い付いた。もう一度、もっと強く。ひなたさんは眉をひそめ、ピクリと体を震わせた。心地良い体臭が鼻孔を満たす。口の中で、吸いながら舌を使ってねぶる。頭と心と下腹部がヒートアップしてきた。
 これ以上はもう、いつ目を覚ますか分からない。今までより大胆に、強く吸ってみる。
「くふっ……」
 ひなたさんが声を発した。お構いなしに、さらに音を立てて吸い上げる。

「んっ…… はぁっ……」
 さらに声が漏れてくる。感じているのだろうか。私がひなたさんにされて感じているように、彼女も感じてくれているのだろうか。嬉しい気持ちになり、もっとしてやりたくなる。不思議なことに、彼女が気持ち良くなってくれることが、私にとっての快感になっているようだ。世の中のセックスというのは、こういうものなのだろうか。
「ふぅっ……あっ……! んはぁ……っ!」
 胸を吸いながら、もう片方の乳首を引っ張ったり押し込んだりしてやると、彼女は身をよじらせて息を荒らげる。

「はぁんっ……!」
 ビクッと大きく体を反応させ、ひなたさんは寝返りをうった。腕を上げて、顔を隠したまま息を切らせている。起きたのだろうか。
 少し様子を見ていたが、動かないので続けてみる。

 ひなたさんはこちらから見て奥向きになったので、この前のようにはできない。そこで私は、自分でも驚くほど大胆な行動を取った。
 寝返りで空いたベッドの半分に乗り、ひなたさんの後ろに横たわった。そのまま腕で彼女の体をそっと包み、私の前半身をひなたさんの背中にぴたりとくっつけた。目の前に汗ばんだ頭があるので、髪の匂いが鼻いっぱいに広がる。
 胸、おなか、それから太ももあたりまで密着しているので、温もりが伝わってくる。さっきまでの興奮もあって、とても温かい。体温と、匂いと、肌で彼女を感じたあと、手を滑らせて胸を触った。

 後ろから触ると、手にフィットするように包み込めた。ぐにぐにと、指に弄ばれて形を変える乳房。指を順番に曲げて不規則にこね回したり、胸全体の表面を撫でるように滑らせたりと、様々な刺激を与えるとその度に体が反応する。

親指で胸の膨らみの横、腋の近くを撫でた。
「くっ……!」と声を押し殺した吐息が漏れた。
 親指を押し当てて前後に滑らせると、
「んっ! ふっ…!」
 と体を縮めて逃れようとする。声を我慢しようとする意思が感じられる。十中八九起きているだろう。やや嗜虐的な気がするが、楽しくなってきた。どこまで我慢できるだろう。

 私は鼻を使ってひなたさんの後ろ髪をかき分け、うなじに口づけをした。
「っひゃ……」
 突然のことで出てしまった声を、手を使って抑えている。もう、確実に起きている。このまま寝たフリを続けるつもりだろうか。私はやめる気はなかった。
 左足を彼女の両足の間に差し込み、太もも同士で撫で合う。柔らかいものに挟まれる圧迫感が心地良い。後ろ髪を嗅ぎながら、胸の愛撫を強めていく。私とひなたさんの呼吸が激しくなってきた。

 親指と人差し指の第一関節あたりで乳首をはさみ、そのまま擦り合わせてしごく。体は反射的に前に逃げようとするが、私の手が抑えているのでより強く触られることになる。
「んぅ……! はぁっ……ぁん……っ!」
 刺激のリズムに合わせて、体が律動し嬌声が溢れる。
 私の指先だけで動く操り人形のようだ。

 口を耳の近くに移動させ、舌を出して耳たぶを舐めてみた。
「はぅっ……!」
 今までで一番大きい声。
 呼気と喘ぎ声が混ざったひなたさんの息使いが早まる。
 私の興奮も最高潮に達している。足を絡ませながら、胸への愛撫を激しくする。中指で乳首を押し込み、ぐりぐりと肋骨を感じるまで掘り進む。そのまま、親指の付け根で再び横乳あたりを擦った。

「……っ!」
 ひなたさんは声にならない喘ぎ声を上げ、一際激しく体を痙攣させた。
「はぁっ……はぁっ……」
 息が上がって、力が抜けているようだ。やりすぎたかな、とも思ったが私も満足感を得て頭が真っ白になっていた。もう一度、腕を回してひなたさんの体を抱きしめた。抱きまくらを抱いているような安心感にあふれていたら、突如、回した手の指が掴まれた。

 ドキッとして、覚悟を決めて話しかけてみる。
「ひなたさん……?」
 返事はすうすうと穏やかな寝息だった。狸寝入りではなさそうである。再び寝入ってしまったのか。マイペースというか大物というか……。ちょっと子供らしくて笑ってしまった。

 私は起こさないようにベッドを降りた。明日は日曜日だ。ひなたさんと、どう顔を合わせたらいいだろうか、などと考えながら眠りに落ちた。
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