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第二話 私がルームメイトの胸を

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 私――舞鶴まいづるミサがを決行するまで、二週間もかからなかった。

 一つ、仮説を立ててみた。
 ひなたさんは、一日置きに私のベッドに来る。それはつまり、「答え」を待っているのではないか? 彼女は、その「空き日」に、私が行くことを期待しているのではないか?
 都合のいい解釈かもしれない。しかし、彼女に同じことをしたいという気持ちを、もう抑えられなかった。ひなたさんは、私の行動をどう思うのだろうか。

 その夜。昨晩は、ひなたさんが私のところに来た。順番からすると、今日は「空き日」となるはずだ。私は布団の中で、彼女が寝入るのを待った。自分が先に眠ってしまうかもしれない心配もあったが、やると決めたことによる興奮で、その心配はなさそうだった。
 逆に、ひなたさんは普段、寝付きが良かった。部活で運動しているからだろう。「おやすみ」と言った五分後には寝息が聞こえてくることも珍しくない。今夜もそうだった。

 私たちの寮の居室は二人部屋。入り口から見て正面に備え付けの机が二人分置いてあり、右側が私のスペース。机のすぐ横には、奥側に枕を置く形でベッドがある。ベッドの手前にはクローゼット。部屋の左側は、左右対称の配置でひなたさんのスペースとなっている。
 私たちは、二メートルほどの距離をおいて寝ていることになる。


 「ひなたさん……」
 ベッドから出ずに、声をかけてみる。返事はない。寝ているフリをしている可能性もあるが、分からない。
 ベッドのきしむ音を大きく立てないようゆっくり起き上がり、しばらく様子を観察する。変わらず、寝息を立てている。ベッドから降りて、近づいていく。心臓の音が高まるのが分かる。

 ひなたさんの顔を近くで見てみる。人の顔をこんなに近くで見るのは初めてかもしれない。
 常夜灯のおかげで顔のうぶ毛まではっきり見える。程よく日焼けした健康的な肌。薄くて可愛い唇。この唇が、私の乳首に吸い付いていたのだ。張りのある頬。自然な形のままの眉毛。ツヤツヤのまつ毛が、まぶたの裏の目の動きで少し揺れている。寝顔はとても幼く見え、赤ちゃんが眠っているようにも見える。

 再び寝息を確認し、慎重に、慎重にひなたさんの掛け布団をめくる。パジャマはゆったりめのTシャツタイプで、中央には猫のキャラクターがプリントされていた。裾が少しめくれていて、ちらりとおへそが見えている。薄い生地のようで、体の形がよく分かる。
 無防備な彼女の姿を見て、とてもイケないことをしているような気になってきた。いや、実際イケないことである。

 自分の顔をひなたさんの顔に近づける。鼻息がかからないように息を止め、そっと頬にキスをしてみた。これは彼女の真似である。
 頬にキス。妹が小さいときにはよくしていたが、家族以外にするのは初めてだった。何となく気分が昂ぶり、もう一度同じところにキスをしてしまった。

 次は……というより、これがメインイベント。私も、ひなたさんの胸を愛撫するのだ。
 パジャマの上から、ひなたさんの胸を触ってみた。他人の胸を触るのも、もちろん初めてだった。三本指の腹で胸の中央あたりを、ピアノの鍵盤だったら鳴らないくらいの強さでふに、ふに、ふに、と弾ませる。
 自分の胸とは違った触り心地だな、と思った。密度が高いというか、ギュッと詰まっている感じがする。他人の胸を触っている感覚。私はものすごく興奮していた。

 パジャマをめくってみる。緊張で手が震える。裾を上げていくと、乳房の膨らみが見えてきた。衝撃が、目の奥から脳に走り抜けた。下着姿くらいは見たことがあるが、同級生の生の乳房を見るのは初めてで、それはとても禁忌のように感じられた。心臓は爆発しそうに脈を打っている。顔が熱くなってきた。私の下半身も熱を帯びて反応している。これ以上は本当に……後戻りできない。
 シャツをさらにめくり上げる。その際、裾が乳首に少し触れて擦り上げた。

 「んっ」

 ひなたさんが反応を示した。私は動きを止めて、思わず息も止めてひなたさんの顔を見た。変わりはなく、穏やかに眠っている。
 胸の上まで露出したひなたさんをじっくり観察する。さすが運動部、おなかが引き締まっている。おへそは小さくて可愛い。乳房の膨らみは小ぶりながら存在感があり、呼吸に合わせてゆっくりと上下している。

 指の腹で膨らみに触れてみる。少し汗ばんだ肌が指に吸い付く。ほどよい弾力を感じた。緊張や興奮よりも、今は愛しさがあふれてきている。
 親指と他の指で、柔らかさを堪能するように乳房全体を挟む。私の手によって、ひなたさんの胸が形を変える。次は両手で両胸に同じことをしてみる。触感が二倍になったが、両手から味わえる幸福感はそれ以上だった。手のひら全体を彼女の胸に乗せると、温もりを感じた。眠っているからか、またおそらく代謝もあって私よりも体温が高いのだろう。我慢できずにそのまま指に力を入れて、爪が当たらないようにだけ気をつけて揉み始めた。

 弾力により胸から受ける反発力を両手全体で感じる。魅力的な触り心地だった。ずっといじって触っていたい。禁を侵しているという自覚が、ますます自分を興奮させる。でも、私だって同じことをされているのだから、ひなたさんに非難されるいわれはないはず。

 ぐっすり眠っていて、反応もないので少し大胆に顔を近づけてみる。胸元から匂いが伝わってくる。ボディソープと汗の混ざった体臭が鼻から通り抜け、頭の中にじわじわと欲望が拡がっていく。顔をうずめる、ということはできないが、頬で彼女の膨らみを味わってみた。頬の中央に、ちょうど乳首が触りくすぐったい。こんな状態で彼女が起きたら、どうなってしまうんだろう。

 そのまま顔を滑らせ、乳首に唇を合わせる。ちゅっ…ちゅっ…と少しずつ強くキスをする。ひなたさんの体全体がもぞもぞと動き、左向きに寝返った。体の正面がこちらを向くような体勢だ。ドキリとしたが、起きたわけではないようだ。

 これ以上続けたら本当に起きてしまうかな、と思い離れようとしたが、ひなたさんの胸が気になってしまった。私もそうだが、横向きに寝転がるとそれほど大きくなくても胸の谷間ができる。彼女の胸も、上側の右胸と下側の左胸の間に深い谷間ができていた。シャツもまだ上までめくれていて、丸出しだった。その魅惑から目を背けることができず、もう少し続けたくなった。

 少し待って、ひなたさんが起きないのを確認したあと、ベッドの近くにしゃがんで近づいた。二つの乳房がこちらを向いている。上側の右胸を指で触ってみると、深く埋まった。さっきまでとはまた違う抵抗が返ってくる。

 次は手を貫手の形にして、手のひらを上にして谷間に侵入させてみた。重力による右胸の重みが感じられる。内側は温かく、汗でしっとりと濡れている。指だけを上下に動かして、重さと柔らかさと弾力を確かめてみる。おっぱいというものは、こんなに素晴らしいものなのか。興奮で目が回ってきた。

 少し距離をとり、脳と心臓がクールダウンするまで待つことにした。このまま続けると倒れてしまいそうだった。
 ひなたさんの全身を見ながら、少し落ち着いてきた。そうだ。されたことは、全部やり返そう。やり返すというのは仕返しというつもりはない。単に、私にはやる権利が――そしてやりたい気持ちが――あるという考えのもとだ。

 呼吸を整え、再び顔を近づけた。汗の匂いが甘く感じられる。ひなたさんの右腕は、腋を上げて顔を隠すような体勢になっている。腕に邪魔されないように乳首を咥えようとすると、ベッドに手をかけて顔を横にしてやる必要がある。少し首に無理のある姿勢だ。
 それにこれではまるで……仔犬の授乳だ。割と情けない格好になっていると思うが、あまり気にしないことにする。

 仔犬のように、彼女の乳首をペロッと舐め上げた。汗で少ししょっぱい。幸せを感じる。柔らかめに咥えて、ひなたさんがやったようにちゅうちゅうと吸ってみる。ピクッピクッと彼女の体が律動する。私のすることで反応するひなたさんが、とてもいじらしく思えた。愛しい、とはこういう気持ちだろうか。下腹部が熱くなり、パンツの中でヌルヌルが溢れ出してきた。

 チュッ…チュッ…チュッ…

 赤ん坊のように――どのように吸うのかはよく知らないが――ひたすら吸っている。クセになりそうだった。そういえば、人間は本能的に何かを咥えていると安心すると聞いたことがある。
 ひなたさんの匂いをかぎ、
 ひなたさんを触り、
 ひなたさんを見ながら、
 ひなたさんの寝息を聞き、
 ひなたさんを舐めている。
 つまり、今私は五感すべてを使ってひなたさんを感じている。これはすごいことだ。ずっとこうしていたくなる。ひなたさんもそうなのだろうか。

 とは言え、本当にずっとこうしているわけにはいかない。明日も金曜日で、学校はある。名残惜しいが、ひなたさんのシャツを直してベッドから離れた。頭が茹だったようにポーっとするが、自分のチェストからパンツを取り出し、トイレで履き替えるだけの理性は残っていた。

 自分のベッドに潜ってからも、何度かひなたさんのほうを見ては悶々としていたが、そのうちひなたさんに背を向けて、見ないようにして眠りについた。

 甘い誘惑の時間だった。もっとひなたさんに触れたい。もっとひなたさんに触れてほしい。
 もっと。もっと――。
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