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九十三話

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 ※ニュースを見てておもったこと(*´-`)
 もしニュースで「○○さんは自分は紳士だと意味不明な言動をしており~」って流れたらきっと私だと思われる可能性が無きしにもあらず……(*´∀`*)
 いや犯罪なんてやりませんけどね、怖いし(*´∀`*)

 笑わない自信がある方は最後のあとがき付近まで来たら口にジュースでも含んで眺めてみてください(  ´∀`)σ)∀`)w
 
 





 
 ヴィスコールにて一週間ほど幸せな時間を過ごしたあと。
 とある目的でレムナントの王立学園に戻ってきていた。
 目的は簡単で、セインとエルレイアの確保である。
 ミソラから話を聞くとどうも彼女達もそこそこに強くなっているとか。
 それなら今回の視察にピッタリじゃないかと思い拉致……じゃなくて勧誘する事にした。

 「という訳で行きましょうかエルレイア様。 いい経験になりますよ?」

 「ん、うむ。 ……視察に同行するのは構わんが……それはどうしたんだ?」

 「んふー! うふふふふふふふ」

 「あーこれはですね……ちょっと厄介な病気でして。 トリップしてしまうと中々戻ってこれないんですよ」

 エルレイアが指摘したのはリリアの状態である。
 俺の腕に絡み付き、満面の笑みで離れようとしないのだ。
 上機嫌なその顔を崩したくないのでそのままにしているが、歩きにくいので正直離れてほしい。

 「そうか……まぁ大体想像はつくが……。 まさかそんなに盛大にぶち壊れるとは思わなかった」

 ぶち壊れるという表現がまさにしっくり来るな。
 その通りというかなんというか、あの日以降リリアは壊れた。
 今までもお互いの好意を確認するような事はあったのだが、正式に伝えて所謂恋人関係になってから箍が外れたようだった。
 その夜は文字通り寝かせてくれないレベルであったし、朝から晩まで付きっきりである。
 鬱陶しかったので一時間ほどホームに逃げようかと思ったら十分程度の間隔で呼び出しがかかるためホームにいるだけ無駄である。
 ある程度は覚悟していたが、ここまで重い愛情表現をしてくるタイプだったとは。


 「ほらリリア様。 エルレイア様の前ですよ」

 「ん? え、あ、ちょっ!? ち、違うの! ちが……わないけど、とにかくえっと! あれ!? なんだっけ!?」

 「視察への勧誘ですよリリア様」

 「あっそうだった! えと、こほん。 実はフォームランドのレーゲンスファルにリクシアの代表として視察に同行してほしいの。 エルちゃんは貴族だし強いから安心だし」

 「あ、ああ。 王家からの依頼でもあるし、私にいやはない」

 「よかった! ありがとうエルちゃん!」

 嬉しそうに抱きつくリリア。
 以前からエルレイアにはスキンシップで抱きつく事も多かったようだが、以前よりも明らかに幸せオーラがスゴい。
 受け止めたエルレイアもかなり困惑しているようだ。
 
 頑張れ、俺はその十倍くらいのオーラを頑張って受け止めているぞ。
 
 「エルレイア様、セイン様はどこにいらっしゃいますか?」

 「ああ。 セイン殿なら中庭で呆けていたぞ」

 「呆けて?」

 「ああ。 心ここに在らずといった様子だった」

 はて?あの超人吸魔族がそれほどまでに呆けるとは何があったのだろうか。
 それはそれで心配になるな。

 リリアは取りあえずエルレイアに任せて教えてもらった中庭にいくとセインが燃え尽きたように呆けていた。
 才媛と呼ばれる彼女には中々に似つかわしくない状態である。

 「セイン様? 燃え尽きた灰のようになっていますが、どうされたのですか?」

 「ゼクトさん……あぁ……貴方はリリアさんのものになってしまったのね。 ……貴方の血が飲めないと思うと切なくて……。 それにゼクトさん本人も私のものにしたかったのに」

 ん? ああ、俺を恋人にしたかったって事か。
 まぁそこは仕方無いが、別に血は良いけどな。

 「恋人は無理だが、吸魔なら別にやってもいいですよ? 薬みたいなものでしょう」

 「い、良いんですか!? 約束ですよ! いきなりやっぱり飲ませないとか言い出したらゼクトさんのおうちに血の槍降らせますからね!」

 「その程度余裕で防ぎますけどね。 あ、あと一つ。フォームランドのレーゲンスファルに視察にいくのですが、セイン様も一緒に行きませんか? 一応エルレイア様もいきますよ」

 「ああ……レーゲンスファルですか。 ……まぁ構いませんけど、いったい何をしに行かれるのですか?」

 「勿論他国のスカートチェッ……じゃなくて、他国の暮らしぶりによる生活水準の確認や治安の状態。 それに周辺環境や教育制度ですね。 見るべき場所は色々ありますよ」

 最初の失言を誤魔化すようにちょっと早口になってしまったが問題ない。
 うん、きっと問題ない。

 「スカートチェッっていうのがかなり気になりましたけど、まぁそういう事でしたら。 外交的な意味合いも強いでしょうし、確かに私やエルレイアさんなら貴族ですし角も立たないでしょうし」

 「それに私とリリア様はしっかりと変装して名前も変えていきますので、そうそう面倒事にもならない……はずですし」

 「そこは自信持って面土事にはならないと言ってほしいのですけど……」

 「いやぁ……リリア様ってトラブルメーカーというか、トラブルを呼び寄せるヒトですから」

 「それは絶対にリリアさんじゃなくてゼクトさんですわね。 ゼクトさんが来るまでの間リリアさんは問題なんて一つも起こしたこと無いですもの」

 呆れたような視線を向けてくるセイン。
 俺がトラブルを引き寄せているのか……そんなバカな。
 俺だってそんな前はトラブルとか…………いや、結構あったような気もしてきたな。 
 あ、あれ?認めたくないけど俺がトラブルメーカーだったのか……なるべく自重しよう。

 「まさか私が原因とは……ならまぁ仕方無いですね。 諦めましょう」

 「せめて起こさないようにしましょうねゼクトさん」

 諦めを口にするとセインから軽めのおしかりを受けるのだった。





 




 
 
 
 視察のためにリクシアから旅立って数日。
 馬車を繰りながらレーゲンスファルまではもう目と鼻の先という距離まで近づいていた。
 リリアを始めセインやエルレイアも問題なく旅を進め、本来よりもかなり早い行程で進んでいるのでひと安心だ。
 普段ならレイブンの転移で一っ飛びなのだが、リクシアからレーゲンスファル間で何か問題がないか、あった場合はその解決もと言うことでゴードから依頼されていた為の歩きの旅になっている。
 正直転移の楽さに慣れると面倒と感じるのは仕方無いかもしれない。
 そんな順調な旅ではあったが一つ気がかりなことがある。

 それはアカネとミソラの事だ。
 
 リリアと恋仲になった事を二人に告げたその日に報告していたのだが、ミソラはともかくアカネの反応が普段と違ったのだ。
 普段な頼んだことは何をおいても優先し、従ってきたアカネが無言でホームに戻り、以来引きこもっているのである。
 ミソラは比較的穏やかな反応だった、というかやっぱりみたいな反応だったので取りあえずアカネの事をミソラに任せたのだが……それからずっと二人ともホームに引きこもっているのである。
 
 「うーん……行くべきかなぁ……」

 「どうしたんですかゼクトさん」

 「あー……実はアカネとミソラにリリアとの事を数日前に話したんだ。 それからアカネが引きこもっててな……。 どうしたものかと悩んでる」

 「……引きこもるって……出てきてないんですか?」

 「ああ。 ……あいつらが俺に好意を向けているのは知っている……というか俺のせいだよな」

 元が俺が作り出した存在であり、好感度なんていうものを俺が上げていたせいでこうなっていると考えると罪悪感を感じてしまうな。
 今が人間らしいせいで余計にそう感じてしまう。
 
 「…………ゼクトさん。 今日はここで野宿にしませんか? 私と、アカネさんとミソラさんの三人で話がしたいんです」

 「二人とか? …………大丈夫かな……主に生命的な意味で」

 「き、きっと、大丈夫ですよ! ……たぶん……おそらく」

 三人で話させるかぁ……正直あの二人が暴走しそうで怖いんだけどなぁ……。
 でもリリアがやる気を見せているし、きちんと話し合うのならまぁ……話し合いだけだよな?
 大丈夫と信じてるけど、こればっかりはなぁ。

 「んー……まぁわかった。 じゃあ今日はここで休もう。 変な気配を感じたら即邪魔するからな」

 「はい! じゃあ、ちょっと離れますね!」

 リリアはそう言って道から外れ、離れた場所に歩いていった。
 流石にアカネもミソラもリリアに手を出すことはないとは思うが……。
 気配だけはしっかりと探っておこう。
 というか離れててもしっかりと見ておこう。





 
 一旦ゼクト達の元を離れたリリアは、本来の道から少し離れた場所に向かいちょうど良さそうな小さな林を見つけ、そこで話し合うことを決めて一つ深呼吸をする。

 (これは私が決めていたこと……。 この考えを認めてもらえないなら……ううん。 私は、私だけじゃなくて皆で幸せになりたい。 だから、絶対に納得させてみせる)

 元々ゼクトとの将来を考えていたリリアにはアリアと悩んで出した一つ案があった。
 その考えは歪で、まだゼクトにも話していない事だった。
 例えどれたげ歪で他者から非難を浴びようとも、リリアもアリアもそれを押し通すつもりでいる。

 「アカネさん、ミソラさん。 リリアです。 少し話をさせてくれませんか? いまはゼクトさんもいません。 私一人です。 私と話し合いをさせてもらえませんか?」

 ホームである宝玉に訴えかけるリリア。
 少し間が開いた後、リリアがダメかと思った矢先にアカネとミソラがホームから姿を現した。
 ミソラは普段とあまり変わりないが、アカネは泣き続けていたのか、目の周囲は赤くなり充血していた。
 普段の自信と色香に溢れた妖艶な姿はそこには無く、ただ一人傷心した少女がいた。

 「……なんですの」

 深く、掠れたような悲しい響きを持つその声に内心締め付けられるような想いを感じるリリア。
 よく見るとミソラの目もうっすらと赤みがさしている。

 「私は……ゼクトさんが好きです。 そしてお二人が家族としてじゃなく、女性としてゼクトさんが好きなのも理解しています」

 「そうですわね。 妾は……妾はご主人様を誰よりも、貴女よりも愛していますわ! それでも! ご主人様はリリア様を選ばれた……ただそれだけの話でしょう? これ以上何が話したいんですの……」

 「りりあ様。 わたしたちにもちょっとじかんがほしい」

 「いいえ! 今私に話をさせてください! ……私はゼクトさんも好きですけどアカネさんもミソラさんも大好きです! 私は……欲張りなんです! 始めてお二人に会って、同じ時間を過ごして……このままだとこうなるだろうなっていうのは考えてました」

 今までの時間、リリアとアカネやミソラが共に過ごした時間は決して短くない。
 お互いに思うことがあっても共にゼクトを想い、慕ってきたのは間違いのない事実である。

 「だから、お姉ちゃんと話し合って……お二人が納得出来るならっていう案で考えていた事があるんです」

 「……」

 真剣なリリアの様子に沈黙を返す二人。
 この状況で冗談を言うはずもないが、もしふざけるようならアカネは例えリリアであっても首をはねるくらいはやっていたかもしれない。

 「私は……他のヒトだったらイヤですけど……もしアカネさんやミソラさん、それにゼクトさんが望むなら皆で一緒になりませんか?」

 「……ん?」

 「どういう……意味かしら? ちょっといまいち……え?」

 リリアよ言うことがいまいち飲み込めない二人。
 皆で一緒に、という部分に引っ掛かったようだ。
 そんな二人に決意をもってリリアは言い放つ。


 「三人でゼクトさんのお嫁さんになりましょう!」


 リリアの決意を込めた言葉がアカネとミソラの鼓膜と心を揺らしたのだった。
 







 ※女性関係の話はきちんとしておかないと大変だよね(  ´∀`)!
 




 

 ぺすさんは今日久しぶりにブランコを見て懐かしくなり乗りました。
 調子に乗ってこいでたら見事にコケてお尻に素敵なお怪我をしてしまいました。

 そんな一部始終を女子高生にみられていたぺすさんは何事もなかったかのように家に帰り……恥ずかしさのあまり布団で叫んでいました(*´-`)



 イェアアアアアアアアアアアアア!
 恥ずかしいいいいいいい( ´;゚;∀;゚;)!

 あ、次回更新はちょっと遅いかもです(人*´∀`)
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