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九十話

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 ※お気付き頂けただろうか……頂いた感想を元にタグがちょろっと変わっていることに(*゚∀゚)w
 

 

 ルベドとニグレドを始末して一週間。
 修練祭は当然といえば当然だが、中止となった。催しの最中に他国が攻めいって来たのだ。幸いなのは、鎮圧にそれほど掛からなかった事と人的被害が極限までに抑えられている事。
 そして何より首謀者とその目的・・・・・がハッキリとしている事だ。
 
 今回の事態はライノルト殿下の命により行われた事で、目的はリリアを魅了し傀儡とすること。

 実に分かりやすく、対外的にも扱いやすい。
 更に言えば、これからベルトラントは今後の方針をどうするかで大いに混乱するだろう。
 裏で糸を引いていた真の首謀者は消え、御飾りさんがドエライ事をしでかした、という結果だけが残るのだ。
 状況から考えれば、多額……という言葉で済むか分からない賠償金を支払うか、もしくはこのまま徹底抗戦をするか。
 はたまた第三国と協力して別の道を模索するか。

 更に一週間後にリクシアの国王含む筆頭達と顔を付き合わせて協議が待っているのだ。
 どう考えてもリクシアに有利にしか運ばない内容になるであろう。

 ベルトラントにとって選べる選択肢は恐ろしいほどに少ないのだ。
 
 しかも御飾りさんは敵の手の内。
 責任を全て押し付ける事も出来なくはないが、国内世論の口撃を受けてもらう人身御供がいなくなってしまう。

 御飾りさんを救うためと称して協力国の力を借りて取り戻し、リクシアを倒すか。
 ただこの作戦では他国に常ならぬ助力を得ることが出来なければ、間違いなく自分達が不利になる。
 ただでさえ平身低頭で助力を乞う以上、足元を見られるのは致し方ないこと。
 だがそれだけの譲歩となると、もはや国の存続も危うくなる。
 リクシアそのものを完全に打ち倒したならば、リクシアそのものを手にいれて貰うか、協力者達に分配すればいい。
 
 ただし、この話はうまくいった場合の話だ。

 もちろん巨大な問題が立ちはだかっている。
 英雄リリアとその使い魔であるゼクト達である。
 リクシアを討ち滅ぼすには彼らを倒す必要がある。
 もちろん物理的にだ。

 今までの彼らの功績、そしてルベドとその同族であるニグレドですらも一蹴したその実力を前に抗う力など存在しない。

 故に徹底抗戦など夢のまた夢である。

 更にいえば他国もこの現状を理解したならば、きっと助力など不可能である。
 何故ならば、失敗して自分達もリクシアの牙にかかることを畏れるからだ。


 そこでベルトラントはまだ間に合ううちにと、隣国で魔族の支配から解放されたリーンスレイブという国に協力を得ようとした。
 かの国ならばきっと敵をうまくでっち上げれば魔族憎しで、戦ってくれるだろうと。

 しかし、リーンスレイブ側が出した答えは拒否だった。
 リクシアを敵にするという話が出た瞬間から、穏便な空気が殺意に変わったのだ。

 「リクシアを攻撃する……と?」

 「名目は我々の援助だ。 そう難しいことでは……」

 「貴国にはまだ伝えていなかったな。 我が国はリクシアに、ではなく英雄様に大恩がある。 我々は例え死んでもかの国を、英雄様を裏切ることはありません」
 
 リーンスレイブはベルトラントが思っていた以上に英雄達に深く関わっていた。ベルトラントからすれば、予想外の味方を失ったことになる。


 そんなこんながあり、ベルトラントの将兵達は連日、寝る時間も惜しまず顔を付き合わせ落とし所、どこまでやれば許してもらえるかというその一点を期日までに本気で探り続けた。
 だがそんな彼等を取りまとめていたのはルベドとライノルトがほとんどであった為、遅々として進まず、結果的にベルトラントにとっては未曾有の事態となる。




 
 


 王都襲撃事件の犯人と、その関係者を集めての協議会が開かれるという事で王都リクシアの中は、小さな事件一つでも起こそうものなら極刑とでもいうような非常に険悪な雰囲気に包まれている。
 普段よりも道行く人々は少なく、好奇心の多い子供達ですら、その物々しい雰囲気から逃れるように姿を隠している。
 町行くのは大体が兵士のみ。
 それも戒厳令もしかれているため、皆表情に余裕などなく緊張の糸を張りつめている。

 そんな警戒体制のリクシア王城の迎賓館。
 ここでリクシアとベルトラントとの協議が待っている。

 「…………私のこの格好……おかしくないですか?」

 「いえ、完璧ですよ。 目を向けただけで大体の犯人はイチコロです」

 「フフッ……じゃあゼクトさんもですか?」

 「愚問ですね。 私は随分と前から貴女の魅力にヤられて転がされてますよ」

 「ぜ、ゼクトさんったら……私もゼクトさんの魅力にメロメロですよ?」

 「……リリア。 本当に可愛いなお前は」

 「えへへへへへ。 なんだったらキスしてくれても良いですよー」

 誉められて上機嫌になっているリリア。
 本日は暗めの赤、青を基調としたサテンドレスに身を纏っている。髪もアップスタイルでうなじがエロい。

 実に愛らしい。この表情を慌てさせるのはもっと楽しい。
 故に………。

 「では、お言葉に甘えて」

 「ふぇ! ん! ……うむ………ん……ぷはぁ!」

 「ご満足いただけましたか?」

 「……は、ふぁぃ……………」

 予想外の攻撃に顔を真っ赤にしてへたりこむリリア。
 この手の攻撃にはまだ耐性はつかないようだ。
 あだ名がそろそろムッツリスケベとか呼ばれそう。
 いやまぁキスなんて仕掛けた俺のせいでもたるんだけども。

 「ほら、だらしない顔しているとベルトラントに舐められますよ。 せっかくの美人が台無しです。 しっかりしてくださいね?」

 「はぅぅぅ……顔真っ赤にさせたのゼクトさんじゃないですかぁ」

 「そこはそれ。 リリアが可愛かったから仕方無い」

 「もう……嬉しいから良いですけど……」

 口では愚痴りつつもにやけ顔は収まっていないリリア。
 感情が表に出てて分かりやすすぎる。
 
 「ほら、見てください。 陛下も王女殿下も堂々としておられるでしょう?」


 「堂々としてますけど、こっちに憐れみの視線向けてきてるじゃないですか!?」

 「え!? い、いえいえ! そんなことはありませんわ!」

 フィオナは図星だったのか慌てたように視線をそらす。
 今回の会談は彼女にとってもいい経験になるだろうし、しっかりとケジメをつけてやらないとな。
 しかし、王族の護衛についているのが三人。
 エレインさんにチサトさんは分かる。
 あと一人はエイワスかと思ったが、どうやら別行動をとっているようだ。代わりにヤクトが入っている。

 紳士のうち三人も揃っていると悪ふざけがはじまってしまいそうだな。


 「お待たせしたようだな」

 そんなやり取りをしていると入ってきたのは、ベルトラントの現国王であるグリム・ベルトラントさん。
 褐色でよく焼けた肌に白い髪とお髭が眩しい男性だ。

 グリムは自分の席につくと、睨め回す様に一同を見た後にリリアに憎々しげな視線を向けてきた。
 流石にイラっと来るので遮るように前に出ると、意図を理解したのかグリムは何事もないように動きを再開する。

 「では堅苦しいのは抜きにして、今回のリクシアの行った暴挙の損害賠償について話し合おうか」

 「…………はっ? いま何と申されたのかな?」

 「おやおやゴード陛下。 耳まで耄碌されたのかな? リクシアがうちに支払う賠償金についてですよ」

 「何をふざけた事をいっている? 今回攻めてきたのは貴方達。 それは貴殿の息子であるライノルト殿下もそう言っている。 耄碌されているのは貴方の頭のようだなグリム陛下」

 「ははっ、これは手厳しい。 そこにいるのは私の愚息ではない。 よって今回の争いにおいてベルトラントが主導した、という主張は通らないのだよ」

 「ち、父上!? 何をいっている? 貴方の息子は私だろう!? 確かにルベドほど優秀ではなかったが、それでも私は貴方の為に尽力してきた! だというのに何だこの仕打ちは!」

 父であるグリムの言葉に動揺を隠せないライノルト。
 リリアの素敵調教によってかなり大人しくなったが、今回ばかりは声を抑えられないでいた。
 まぁ実の父親から目の前で家族じゃないとか言われたら辛いよな。

 「父などと軽々しく呼ばないで頂きたいな。 話が逸れた。 まずは罪状を確認しておこう。 我が国の部隊の一部が行方不明になっていたそうだが、その部隊はなんとそこの英雄の使い魔によって全滅させられた。 中には我が国の王子ライノルト殿下もいた。 これは重大な法律違反だ。 更には! そこのライノルトを騙る者達を本物だと思い込み、王都内に貴賓として案内して都を危険に陥れてしまう……由々しき問題だ。 我が国のせいにするために自作自演など」

 グリムの堂々とした言葉に誰もがフリーズしていた。
 ついで言えば俺もよく分からなかった。
 つまりあれかな?王子に化けた偽物が代わりに王都内に行っちゃって暴れたんだよ?
 本物達は道に迷ってたけど、途中で俺に殺されたよって事か。これは無理があると思うけどなぁ。 
 
 「……ふむ。 それで、貴国の望みはなんだ?」

 あくまで冷静に尋ねるゴード陛下。
 内心ブッチ切れてそうだな。
 暴れた相手が損害賠償請求するとか、タチ悪すぎるわ。


 「そうだな。 王位継承権を持つのは他にもいたが、あれほど優秀な人材も他にはおらなんだ。 よってそこな英雄、リリア殿をもらおうか。 もしくは王金貨で五千といった所か」

 またすごい値段をふっかけてきたなぁ。
 王金貨と言えば、通常出回らない金貨でたしか日本円にすると一枚百万するかしないかくらいだったかな?
 つまりグリムとやらは五十億近い請求をしてきた訳だ。
 まぁルベドを手放すことになったのならそのくらいの値段は請求したくなるよな。

 鼻で笑いたくなる話だが。

 
 「ふむ。 そちらの言い分はお聞きした。 ではこちらは、まずは最初にそちらのライノルト殿下が迷子中だった、という時に殺害したダークエルフの谷の者達の損害賠償を請求しよう。 死んだのは合計で一万人。 これは谷を滅ぼしたといっても過言ではない数字だ。 王金貨で言えば三千、といった所か。 そして今回の王都襲撃の件だが、祭りの中止に人的や公共物、建物の破壊などもろもろを含めると王金貨一万枚で手を打とうか」

 「はっ……何をバカな。 偽物が行った事など知らんよ」

 「そちらの国の高名な冒険者テアトリス様も、こやつが貴国の王子であると認めているが?」

 「銀の君か……そなたも帰るぞ。 弟ぎみも船でお待ちだからな。 こんな茶番劇のためにそなたのような冒険者を失うのは損失だからな」

 「……今さら何を……」
 
 なるほど。弟は船か。
 いちいちベルトラントに乗り込む手間が省けてよかった。
 早速レイブンとアカネに任せるか。
 不愉快そうな表情をしているテアトリスさんも、ここにいるよりはいいだろう。
 腕を引き、そっと耳打ちする。

 (テアトリスさん。 今のうちにレイブンとアカネを連れて船に乗り込んでください。 ここであいつの話を聞いておくのも面倒でしょう?)

 (……そうだな。 正直グリム陛下がこれほどのゲスだとは思わなかった。 後は任せる)
 
 テアトリスに部屋を退室させると、その行動が気に入らなかったのか不愉快そうな顔をしている。
 が、言葉に出さないあたり何かしら考えているのかもしれやい。

 「ふむ。 グリム陛下よ。 貴殿の話には証拠がない。 ただそれらしい事を言ってなんとか責を逃れるつもりだという意図しか見えぬ。 これ以上無駄な時間を過ごされるのであれば、こちらにも考えがあるが……」

 そう、証拠がない。
 この王子が偽物だという証拠もないし、第一すでに自分も黒だと吐いているようなもんだしな。

 「それに行方不明となっていた部隊にいた殿下が、ゼクト殿に全滅させられた、と申したな」

 「それがなんだ?」

 「余がそちに伝えたのはお主のバカ息子がこの国において騒動を起こしたこと、ダークエルフの谷がその巻き添えを受けていたこと。 その二つのみだ。 行方不明中に全滅したのであればそれを知るものはいないであろうし、ましてや犯人がゼクト殿だと何故わかる。 さらに言えばダークエルフの谷の名前を出したときお主は些かも表情を変えなかった。 まるで知っているかのようにな。 そしてここにいるライノルト殿下は偽物だという。 ならば何故王印までお持ちなのか。 これは例え盗まれたとしても使えるのはベルトラントの王家のみ。 これ以上ない証拠だ」

 
 グリムは形のいいお髭を歪め、忌々しそうな表情を作る。
 悪くはなさそうな案とも思えたが、抜け穴が多すぎる、というかもう少し話術の出来るやつが相手だったらこうはいかなかっただろうけど……。いやはや人材に恵まれていないなベルトラント。

 「……っ! そもそも何故貴様が生き残っているのだ! さっさと死んでルベドと入れ替わればよかったものをぉ!」

 急に激昂したグリムは近くにいたライノルトの顔面を蹴り飛ばし、倒れた彼の顔をひたすらに殴り始めた。
 ただでさえリリアに心を折られていた彼にとって救いとなるはずだった父親の蛮行は完全にライノルトの立ち上がる力を奪っていた。
 ていうか化けの皮剥がれるの早くない?


 「貴様なぞっ! 魅了の力がなければ! なにも出来ん役立たずがぁ!」

 最早自国の敗けを悟ったのか、なりふりなど構わず八つ当たり気味に拳を振るうグリム。
 見かねた周囲の者達がグリムを止めようと動くが、それよりも早く動いた人物がいた。

 ヤクトが剣の鞘でグリムの顔の横っ面を全力で殴打し、吹き飛ばしていた。
 見事にぶち当たった鞘が頬にめり込む姿は中々に総観である。

 「自分の息子にかける言葉じゃねぇなぁ……王さまよ。 気に入らねぇ、実に気に入らねぇ。 別に死んでいい人間なんていない、なんて綺麗事を言うつもりはねぇ。 だが自分の息子にそんなドギツイ言葉を吐くのはどうなんだ?」

 「きっさまぁ! 余に手を上げたなぁ! 打ち首にしてくれるわぁ!」

 鼻からダラダラと血を流しながら叫ぶグリム。
 そんな彼を助け起こそうとするものは誰もいない。
 誰もが白い目でグリムを見ている。
 折角なので俺は生ぬるい感じで見ておこう。

 「あんた息子に役立たずとか言ってたな。 あんたは役に立つのか? この状況であんたは何が出来るんだ? ん?」

 「ぬぅ……黙れ黙れ黙れぇ!」

 グリムは鼻息荒く、とうとう剣を抜きグリムの引き連れていた近衛兵達も剣を抜いた。
 ルベドが仕切っていたから大人しかっただけで、ベルトラントの王ってのはこんなにバカというか……後先考えない奴だったんだな。ルベドは苦労していたんだろうなぁとちょっと思う。
 というかルベドはちゃんと躾とけよ。あいつならやれただろうに。

 「余はベルトラントを強くするためにルベドに従ってきたのだ! あと一歩だぞ! あと一歩で余は世界の王たれたというのに、貴様が! 貴様達が邪魔をしおってぇ!!!」

 リリアと俺に物凄い形相で剣を向けるグリム。
 口角から泡を飛ばし、血走った目で睨みを効かせている。
 しかし……面倒だなぁ。
 グリムを守るように八人の近衛兵が立ち回り、グリムはその陣形を崩してまでこちらに向かってきた。
 まぁルベドみたいなのがいたら確かにこの世を統べる王なんて夢も実現したかもしれないな。
 そんな壮大な夢を邪魔されたのならお怒りもごもっともだ。
 一ミリたりとも興味はないけど。

 「死ねぇぇぇぇ!」

 「お断りしますねー」

 「あっ」

 「あっ」

 猛々しいグリムの剣がリリアに振り下ろされそうになっていたのでお断りしながら俺が腕を斬り飛ばした瞬間。
 リリアも反射的に魔力弾を放ってしまった。
 正当防衛なので仕方無いし、別にいいのだがその威力が問題だった。反射的に出たその魔力弾はグリムの胸に直撃し、貫通して大穴を開けた。
 今までの比ではない威力の魔力弾に周囲も、放った本人すらも驚いている。

 「ばか……な……」

 自らの臓物と大量の血溜まりの上に沈むグリム。
 近衛兵達もあまりに一瞬の出来事に固まってしまっている。

 「えっと…………あはははは」

 「流石ですねリリア様。 竜殺しに国堕とし、次は王殺しですかね?」

 なんとか誤魔化し笑いを絞り出すリリア。
 表情のキョドり方がすごい。
 一人七面相でもしているかのようだ。

 「そ、そそそそそんなん本当に笑えませんけど!? いや、ホント助けてやってくださいよゼクトさん! ちょっとぶっ飛ばすだけのつもりだったのに予想以上の威力出ちゃったんですよ!?」

 「アレでぶっ飛ばすだけって……リリア嬢って意外と野蛮ね」

 「ダメよチサト。 ヤクト様いわくリリアさんもかなり危ないヒトらしいから」

 「そこぉ! 聞こえてますからね! っていうかヤクトさんも何教えてるんですか!」

 「いや、事実だと思うが」

 チサトとエレインの内緒話に素早く反応したリリア。
 こうしてあらぬ誤解が増えていくのだと、リリアは身をもって痛感した。

 しかし王は殺っちゃったから仕方無いとして……。
 理由は色々難癖つけて誤魔化せる。
 
 いっそ、このままライノルトを傀儡にして王位継承しておいてもらうか。
 父に裏切られ、リリアに心を折られて自分の役割を見失った彼。
 むしろここでメンタルケアでもして、しっかりと立て直せればいい玩具になってくれるのではなかろうか。
 
 よし。しっかりと手助けしてやろうじゃないか。

 考えたことを全員に伝え、プランは決まった。
 ライノルトが嫌いなリリアは最初はメチャクチャ嫌がっていたが、今後関わらないようにする為にも、と説明すると意外と簡単に納得してくれた。








 こうして、ベルトラントが修練祭を襲撃してきた事件は早めに幕を下ろした。
 
 後日、対外的にはベルトラントの王グリムが乱心してリクシアを襲い、リリア達を手にいれようとした。操られていたライノルトがグリムを処断し、簡易的にではあるが王位を継承。
 リクシアがライノルトを後押しして、ベルトラントとの関係改善に努める……と伝えられた。

 ある意味間違いではないが、この状況は様々な憶測を呼ぶことになるが確認のしようもないことばかりなので、噂は徐々に小さくなっていった。

 逆に大きく噂になっていった事がある。
 一つはリクシアについて。
 国内に兵を配置した状態で、中から攻めるという巧妙な策を用いても打ち破れないという強固な国。

 もう一つは英雄リリアとその使い魔の強さ。
 魔力弾でグリムの着込んでいた魔導鎧を撃ち抜くという強大な魔法使いへと成長しているリリアに、とうとう世界最強という言葉がついて回るようになっていた。
 使い魔もまたそれに準じる異常さが際立っていると。




 リリアはまだ知らない。

 レベルカンストしていたルベドとニグレドを倒す際にゼクトがまた経験値増加アイテムを使っていたことを。
 

 リリアはまだ知らない。

 人類がいまだ到達したことのないレベルに自分が足を踏み入れているということを。



 リリア・クラッツェ・ヴィスコール。現在百五十八レベル。









 ※ミソラちゃんアルバイトでござるよー( *・ω・)デュフフフフフ!




 ミソラ「らっしゃっせー。 ろんりーまーとへようこそー」
 DQN「おうマイセン二箱くれや」
 ミソラ「まいせん? ちょっとまて」
 DQN「待てってくちわりぃなてめぇ。 一応客だぞこっちは」
 ミソラ「あー……どうもさーせんでしたー。 はい」
 DQN「ちげーよ! これエイトスターだろ!?」
 ミソラ「あーもううるさい。 たべちゃって、しょくしゅさん」
 DQN「え、あ、ちょっと待っ!」
 ミソラ「……ふぅ。 このばいとはおなかいっぱいになるなぁ」
 アカネ「品出し終わりましたわ。 あれ? お客いましたわよね?」
 ミソラ「かえったよー(おなかのなかに)」
 アカネ「そう。 最近はお客も少ないから楽でいいですわね」
 ミソラ「そだねー。 あか姉きゅーけいしてきていいよー」
 アカネ「あら本当? じゃあ少し休んでくるわ」
 ミソラ「いてらー。 あ、らっしゃっせー」
 客「あ、店員さん可愛いねー! 動画とっていい? っていうか撮るねー!」
 ミソラ「…………」
 客「ほら笑って笑って! ネットに上げるんだから愛想よくしないと!」
 ミソラ「ははっ」
 客「あー。 分かってないなぁ。 いい素材を僕がしっかりと料理して最高の状態でアップするのにこれじゃあ変だよ」
 ミソラ「はーい。 しょくしゅさん、ごはんですよー」
 客「え、あ、ちょっと!」
 ミソラ「まったく。 きょういちにちでなんにんたべたか。 はっ!? このままいけばわたしないすばでぃーになれるかも! つまりますたー、あ、いやてんちょーにかわいがってもらえるかも! よし、どんどんたべるぞー!」
 



 このあとスタッフ(ミソラ)が(客を)美味しく頂き続けました☆



 売り上げが下がった事で不振に思ったゼクト店長が防犯カメラを確認してミソラを怒るのはそう遠くない話……。






 ※いつもたくさんの感想ありがとぅー(*´∀`*)!
 感想欄のやり取りが楽しくてやってるまであるからね(*゚∀゚)w

 今日は昼からチューハイ片手に書いてるから途中変なところがあるかもしれないけどすまぬぅなぁ(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノイエーイ
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