138 / 171
第138話 黄金の小麦畑
しおりを挟む
―――コンコン…
出発してからだいぶ時間が経ち
心地よい揺れにウトウトし始めていたとき…
馬に乗り馬車の護衛についてくれていたロンが小窓を軽く叩いてこう言った。
「ニコル様、見てください。
ニコル様が憧れていると仰っていた田舎町の風景ですよ!」
ロンに言われるがまま小窓を覗き込むと…
そこには夕焼けに照らされた小麦畑が一面に広がっていた!
「わぁぁ…!すごいわ!オレンジ色の夕日に照らされて、黄金の絨毯みたい……」
小麦畑はキランキランと輝いていて
風に揺られてサワサワとやわらかく波打っていた。
わたしがあまりに感動し夢中になって景色を見ていることに満足したのか、
ロンがクスクス笑いながらこの村についていろいろ話してくれた。
ここはグリタ島までの中間地点あたり。
小麦の出荷量が王国イチなんだそう。
住民は代々、小麦や野菜作りを中心とした畑仕事をしながら暮らしてして
細々とはいえど生活には困っておらず平和そのものなんだそうだ。
それもあって、みんなゆったりと穏やかな人が多いんだとか。
『それこそまさにスローライフ!』
「ほぉぉぉ…!」と思わず声が出てしまったが、続いての情報にびっくり仰天!
なんとこの村……
庭師のおじいさんの出身地なんだそうだ。
以前、畑仕事の最中に
庭師さんは田舎の小さな男爵家出身だと言っていたけど。
まさかここがそうだったとはね!
『どおりでマイナスイオンたっぷりなはずだよ…野菜作りにも色々詳しいわけだ。』
このあたたかく照らされた小麦畑の上に、
庭師さんの恵比寿顔がほわっと浮かんだ。
―――そういえば、
この村を抜けて街に出たら今日の宿があるらしい。
街とはいっても王都の街とは違って
だいぶ庶民的で人は少ないようだけど、
わたしは下町っぽいそういう雰囲気も好きだから楽しみだ。
街まではあと1時間くらいとの事で内心助かった。
揺れは心地いいけど腰がそろそろ限界……
乗ってるだけだけど、楽な姿勢をとれないから体がカチコチで!
そうしてしばらく…
このままのんびりとした平和な風景を見ていると、畑仕事を終えて帰り支度をしているひとたちを見かけた。
『おうちに帰ったら、家族と一緒にごはんをたべるのかな?ふふっ。今日も一日ご苦労様でした…』
そんなことを思っていたら、
まぁるく優しい気持ちになって、
またウトウトしてきてしまった。
この睡魔に乗っかって、宿に着くまで少しだけ目を瞑ってみようかと思ったけれど、
美しい景色と夕日に照らされるみんなの姿を目に焼き付けたくて我慢することにした。
……どうやら今日の夜は、早いうちにぐっすり眠ることになりそうだ。
出発してからだいぶ時間が経ち
心地よい揺れにウトウトし始めていたとき…
馬に乗り馬車の護衛についてくれていたロンが小窓を軽く叩いてこう言った。
「ニコル様、見てください。
ニコル様が憧れていると仰っていた田舎町の風景ですよ!」
ロンに言われるがまま小窓を覗き込むと…
そこには夕焼けに照らされた小麦畑が一面に広がっていた!
「わぁぁ…!すごいわ!オレンジ色の夕日に照らされて、黄金の絨毯みたい……」
小麦畑はキランキランと輝いていて
風に揺られてサワサワとやわらかく波打っていた。
わたしがあまりに感動し夢中になって景色を見ていることに満足したのか、
ロンがクスクス笑いながらこの村についていろいろ話してくれた。
ここはグリタ島までの中間地点あたり。
小麦の出荷量が王国イチなんだそう。
住民は代々、小麦や野菜作りを中心とした畑仕事をしながら暮らしてして
細々とはいえど生活には困っておらず平和そのものなんだそうだ。
それもあって、みんなゆったりと穏やかな人が多いんだとか。
『それこそまさにスローライフ!』
「ほぉぉぉ…!」と思わず声が出てしまったが、続いての情報にびっくり仰天!
なんとこの村……
庭師のおじいさんの出身地なんだそうだ。
以前、畑仕事の最中に
庭師さんは田舎の小さな男爵家出身だと言っていたけど。
まさかここがそうだったとはね!
『どおりでマイナスイオンたっぷりなはずだよ…野菜作りにも色々詳しいわけだ。』
このあたたかく照らされた小麦畑の上に、
庭師さんの恵比寿顔がほわっと浮かんだ。
―――そういえば、
この村を抜けて街に出たら今日の宿があるらしい。
街とはいっても王都の街とは違って
だいぶ庶民的で人は少ないようだけど、
わたしは下町っぽいそういう雰囲気も好きだから楽しみだ。
街まではあと1時間くらいとの事で内心助かった。
揺れは心地いいけど腰がそろそろ限界……
乗ってるだけだけど、楽な姿勢をとれないから体がカチコチで!
そうしてしばらく…
このままのんびりとした平和な風景を見ていると、畑仕事を終えて帰り支度をしているひとたちを見かけた。
『おうちに帰ったら、家族と一緒にごはんをたべるのかな?ふふっ。今日も一日ご苦労様でした…』
そんなことを思っていたら、
まぁるく優しい気持ちになって、
またウトウトしてきてしまった。
この睡魔に乗っかって、宿に着くまで少しだけ目を瞑ってみようかと思ったけれど、
美しい景色と夕日に照らされるみんなの姿を目に焼き付けたくて我慢することにした。
……どうやら今日の夜は、早いうちにぐっすり眠ることになりそうだ。
4
お気に入りに追加
2,012
あなたにおすすめの小説
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます
今野綾
ファンタジー
住んでいた村が襲われ家族も住む場所も失ったアリシャ。助けてくれた村に住むことに決めた。
アリシャはいつの間にか宿っていた力に次第に気づいて……
表紙 チルヲさん
出てくる料理は架空のものです
造語もあります11/9
参考にしている本
中世ヨーロッパの農村の生活
中世ヨーロッパを生きる
中世ヨーロッパの都市の生活
中世ヨーロッパの暮らし
中世ヨーロッパのレシピ
wikipediaなど
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
【超不定期更新】アラフォー女は異世界転生したのでのんびりスローライフしたい!
猫石
ファンタジー
目が覚めたら、人間と、獣人(けものびと)と鳥人(とりびと)と花樹人(はなきひと)が暮らす世界でした。
離婚後、おいしいお菓子と愛猫だけが心の癒しだったアラフォー女は、どうか自分を愛してくれる人が現れますようにと願って眠る。
そうして起きたら、ここはどこよっ!
なんだかでっかい水晶の前で、「ご褒美」に、お前の願いをかなえてあ~げるなんて軽いノリで転生させてくれたでっかい水晶の塊にしか見えないって言うかまさにそれな神様。
たどり着いた先は、いろんな種族行きかう王都要塞・ルフォートフォーマ。
前世の経験を頼りに、スローライフ(?)を送りたいと願う お話
★オリジナルのファンタジーですが、かなりまったり進行になっています。
設定は緩いですが、暖かく見ていただけると嬉しいです。
★誤字脱字、誤変換等多く、また矛盾してるところもあり、現在鋭意修正中です。 今後もそれらが撲滅できるように務めて頑張ります。
★豆腐メンタルですのであまめがいいですが、ご感想いただけると豆腐、頑張って進化・更新しますので、いただけると嬉しいです、小躍りします!
★小説家になろう 様へも投稿はじめました。
今日も誰かが飯を食いに来る。異世界スローライフ希望者の憂鬱。
KBT
ファンタジー
神の気まぐれで異世界転移した荻野遼ことリョウ。
神がお詫びにどんな能力もくれると言う中で、リョウが選んだのは戦闘能力皆無の探索能力と生活魔法だった。
現代日本の荒んだ社会に疲れたリョウは、この地で素材採取の仕事をしながら第二の人生をのんびりと歩もうと決めた。
スローライフ、1人の自由な暮らしに憧れていたリョウは目立たないように、優れた能力をひた隠しにしつつ、街から少し離れた森の中でひっそりと暮らしていた。
しかし、何故か飯時になるとやって来る者達がリョウにのんびりとした生活を許してくれないのだ。
これは地味に生きたいリョウと派手に生きている者達の異世界物語です。
死に戻り公爵令嬢が嫁ぎ先の辺境で思い残したこと
Yapa
ファンタジー
ルーネ・ゼファニヤは公爵家の三女だが体が弱く、貧乏くじを押し付けられるように元戦奴で英雄の新米辺境伯ムソン・ペリシテに嫁ぐことに。 寒い地域であることが弱い体にたたり早逝してしまうが、ルーネは初夜に死に戻る。 もしもやり直せるなら、ルーネはしたいことがあったのだった。
異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。
長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍2巻発売中ですのでよろしくお願いします。
女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。
お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。
のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。
ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。
拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。
中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。
旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる