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第127話 紫陽花の季節

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―――季節は過ぎ、梅雨。

こちらの世界にも紫陽花が咲いている。
昨日は雨だったので、雫がキラリと輝き
たっぷり水を吸った花々は生き生きとしていた。

4月の始業式から2ヶ月が経ち、
しばらく騒がしかった学園も落ち着きを取り戻してきていた。

わたしも、いまだにニック様とエマ様と殿下とのランチは続いているがだいぶ慣れてきたし、時々お茶会仲間とのランチも楽しめているのでいい感じだ!

『しかし……まさかエマ様が、お茶会に参加してみたいと仰るとはね。』

どうやらエマ様は自国でお友達というお友達はいかなかったらしい。
そんなこともあって、わたしたちの仲の良さが羨ましかったようで…

「ニコル様のお友達ならばみなさん素敵な方なのでしょうね…いつか、ご一緒できたら嬉しいのですが。」

とお茶会参加のお申し出があったのだ。
恐れ多すぎて他のみんなが萎縮してしまわないか心配だったが、そこはさすがご令嬢たち。

「「「「大変光栄ですわ!」」」」と即レスをいただいた。

(さすがに屋敷に招待は大事件なので学校のサロンでお茶会だけど)

ちなみにニック様とアルバート殿下も仲を深めていて、
「我らが父上たちのように親しく話そうではないか。」 「そうだな、そうしよう。」
と、普通の男友達のようになっている。

嫡男ではない者同士通じる部分もあるのだろう。美少年が2人語り合い戯れ合う姿を拝めるのはわたしにとってもありがたいことだ。

―――そういえば!

もちろんこれだけ一緒に過ごしていれば、
お約束通りお菓子もお弁当も美容アイテムもお渡しする機会があったわけで。

ニック様とエマ様は、
とてもとても喜んでくださった。

ニック様は口調と見た目に似合わず可愛いものが好きなようで、特にキャラ弁が気に入ったご様子。今では週1でリクエストされている。(先日はウサギのキャラ弁をご所望だった)

エマ様は、お菓子の中でもタルトタタンにどハマりしてしまい、こちらも度々リクエストされている。
美容アイテムは特にコロコロローラー棒がお好きなようで、小さいお顔がさらに小さくなった気がする…

2人がどんどん普通の同級生ぽくなっていくのでたまに忘れてしまうが、
実際は帝国の皇子と皇女だもんなぁ……

2人にはこの国でぜひ、肩の荷をおろして青春をしていただきたい。

『これから益々賑やかで楽しい学園生活になるんだろうな。』

そんな予感を胸に、教室へと向かった。
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