上 下
97 / 98
第5章 モブだけど、遂に"彼"と出会ってしまったようです

第97話 レベリングは効率的に

しおりを挟む

 どこまでスピカを強くするか、に対する目標。
 つまりゴールライン。

 ”グリフォンを倒せるくらい”

 これが俺の設定した目標だ。

 ――グリフォン。

 鷲とライオンが合体したような見た目をした大型モンスター。

 その性格はかなり獰猛かつ凶暴であり、この世界では極めて危険なモンスターとされている。

 ダンプリにおいては、中級以上のダンジョンにおいてボスクラスモンスターとしてリポップ。

 レベルに比してステータス値が高いことや強力な技が揃っていることから、初見では苦戦することが多い難敵としても知られていた。

 所謂”中盤の壁”的な相手である。

 ちなみに育成モンスターとしても人気が高く、物語終盤までずっとグリフォンを育てて愛用していたというプレイヤーも多い。

 ぶっちゃけ俺も割と好きなモンスターだったりする。

 ……ま、ドラゴンの方がもっと好きだけどな!

 ドラゴン最高!

 ドラゴン、最高!

 イェイイェイ!

「オマエもドラゴン最高と叫びなさい!!!」

「それでグリフォンを倒すのはわかったけど、スピカちゃんはあと何レベル必要なの?」

「…………あ、うん……だいたい10レベルくらいかな……」

「それでしたら、まずは雑魚モンスターを片っ端から倒していくのがよろしそうね。フレン、スピカちゃんの戦いをしっかり見ておくのですわよ」

「きゅわっ」

 ……あまりにも自然にスルーされた……。

 スルーは傷付くからやめてって言ったのに……。

 酷い……。

 ――まあいいや、とにかくクローディアの言った通り雑魚狩りだ。

 30レベルまで持っていけば、『チェルテラの森』のグリフォンは十分倒せるだろう。

 ただ、

「ちょっと待ってくれ。レベリングを始める前に、ちょっとダンジョンで探し物をしたい」

「……? 探し物って?」

「森の中ならどこでも生えてるモノさ。少し探せば見つかるはず――」

 そう言いながら、俺は付近の林の中を散策。
 
 鬱蒼と生い茂る草木をかき分け、日当たりの悪そうな木陰を見つけると――

「あった! これだよこれ!」

「それって……キノコ?」

「きゅーん?」

 スピカも不思議そうに俺が採取した物を見つめる。

 まあ、このキノコは模様が独特だからムリもない。

「”カサマツキノコ”だよ。これを食べると、全ステータスを一定時間引き上げてくれるんだ」

「? でも雑魚を倒すくらいなら、別にスピカちゃんにステータスバフは必要ないんじゃない?」

「ただ倒すだけならね。でもせっかくレベリングに集中するなら、効率を上げたい」

「! ああ、わかりましたわ。ステータスを上げて、雑魚一体辺りを倒す時間を減らそうって考えですわね」

「流石クローディア。そういうこと」

 そう、つまり俺の狙いはTTKタイムトゥキルの上昇。

 当然の話だが、ステータスを上げれば戦闘力が上がる。

 戦闘力が上がれば敵を倒す時間が早まり、より多くの経験値が稼げる。

 無論限度はあるが、バフってのはあるに越したことはないんだ。

 積極的に活用していこう。

「それじゃ、軽く水でゆすいで……はいどうぞ」

「きゅーん!」

パクリ

 スピカはおもむろに”カサマツキノコ”を食べる。

ピコン!


〔〔全ステータスが一時的に上昇〕〕


 彼女の頭上にアイコンが表示。

 ちゃんとバフがかかってくれたようだ。

「よし……それじゃあぼちぼちレベリングといきますか」

 スピカの準備を整え、俺たちは『チェルテラの森』の奥へと進んでいく。

 そしてダンジョンの途中で出会う雑魚モンスターたちを効率的にボコボコにしていくのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

世界一の治癒師目指して頑張ります!

睦月
ファンタジー
神のミスにより異世界で暮らすこととなった花道香織は、医師になるという夢を叶えるべく、治癒師の道を歩み始めた。 チート過ぎるAIサポーターのアイに振り回されつつ、香織はこの世界を旅しながら多くの命を救っていく。 タイトル変更しました。 旧題:夢破れた医学生は異世界で治癒師を目指す

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

異世界転生したら何でも出来る天才だった。

桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。 だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。 そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。 =========================== 始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。

3×歳(アラフォー)、奔放。

まる
ファンタジー
これは職業・主婦(3×歳)の物語。 結婚妊娠後、家事育児パートにと奔走し、気が付いたらアラフォー真っ只中。 夫は遊び歩き午前様、子供たちも自由気まま。何の為に生きているのか苦悩する日々。 パート帰りの川縁でひとり月を見上げた主婦は、疲れた顔で願った。 —このままくたばりたくない。 と。 月明かりなのか何なのか、眩しさに目を閉じると主婦の意識はそこで途絶えた。 眼前に広がる大草原。小鳥の囀り。 拾われ連れられた先、鏡に映る若い娘の姿に、触れた頬の肌のハリに、果たしてアラフォーの主婦は— 開放感と若さを手にし、小躍りしながら第二の人生を闊歩しようと異界の地で奮闘するお話です。 狙うは玉の輿、出来れば若いイケメンが良い。 空回りしながらも青春を謳歌し、泣き笑い苦悶しアラフォーも改めて成長を遂げる…といいな。 *この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト) 前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した 生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ 魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する ということで努力していくことにしました

処理中です...