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第5章 モブだけど、遂に"彼"と出会ってしまったようです
第91話 ファーストコンタクト
しおりを挟む「おはよ、お待たせー!」
「おはようございます、ノエルさん」
「ごきげんよう、今日も冴えない顔しておりますわね」
「きゅわっ!」
――いつものメンバーが集う。
彼女たちはなにも知らないであろうが、俺としては緊張の一瞬。
でもそれを悟られないように、
「ああ、おはよう皆」
「きゅーん♪」
「ん~、今日もスピカちゃんは元気いっぱい――って、あら?」
――ロゼが気付いた。
彼女の視線が、レオンへと向く。
……ダンプリ主人公と、看板ヒロインのご対面だ。
「えっと、その人は……?」
「ああ、彼はレオン・ニーベルング。調教師を志望する転校生なんだ。よろしくしてやってくれ」
「初めまして、皆さん。レオンといいます。どうぞよろしく」
礼儀正しくお辞儀するレオン。
――さあヒロインたちよ、どんなリアクションを見せる!?
ようやく出会えたダンプリの主人公!
しかも超絶イケメン!
「きゃー! かっこいいー!」とか「すごーい! 主人公の風格ー!」みたいにもてはやすか!?
あるいは「トゥンク……」して一瞬で愛情ランクが上がるのか!?
どうなる!?
どう出る――!?
「……ふーん、そうなんだ。よろしくねレオン。私はロゼ・アリッサム」
「私はソリンと申します。以後お見知りおきを」
「クローディア・ベルメール。この子はフレン。まあ同じ調教師同士、多少は仲良くやりましょう」
「…………あれ?」
全員が挨拶を終える。
瞬間、俺は猛烈な肩透かしを食らった。
「あ、あの、レディの皆様方……? なんか反応薄くなぁい……?」
「? なによ、普通に挨拶しただけじゃない」
「いやだって、レオンだよ……? こんなにイケメンだよ……? もっとこう、ときめきとか運命を感じるとかないの……?」
俺が尋ねると、何故かレオンが恥ずかしそうに身をよじる。
「運命だなんて……ノエルくんってば、大胆なこと言うんだね……♪」
ピコン!
〔〔レオンの親密度が5上昇〕〕
んあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――ッ!!!
なんでお前の方がときめくんじゃ!!!
違う、そうじゃない!
モブに運命を感じてどうするねん!
お前が運命を感じるべきはヒロインたちだろうが!!
「はぁ? なによ、またワケのわからないこと言って……」
「でも確かにお綺麗なお顔ですね~。わ、私はノエルさんのお顔の方がいいと思いますけど……!」
「そんなことより、早くトレーニングを始めませんこと? フレンが退屈してしまいますわ」
「きゅわ~」
……あまりにもドライなリアクション。
想像の百倍くらい薄い反応だったな……。
ロゼに至っては、随分前に会話の中で一度"レオン・ニーベルング"って名前出してるのに……。
完全に忘れとるんか……。
い、いや、まだわからん。
最初の出会いは大したことなくて、その後で徐々に関係が深まっていく流れは恋愛ゲームの鉄板。
これから彼女たちがレオンと親密になっていく可能性は十分にあるんだ。
まだあわてるような時間じゃない。
さながらス○ムダンクの仙○のように俺は自分を落ち着かせる。
「そ、そうだな……それじゃぼちぼち始めるとするか。――あ、そういえばレオンの育成モンスターはどこに?」
確か昨日は”もう育成モンスターも準備してある”って言ってたけど、彼の周囲にそれらしき存在は見受けられない。
不思議に思っていると、
「ああ、それじゃ呼ぶね。――おいで、”アークトゥルス”」
彼はその名を呼び、空に向かって指をパチンッと鳴らした。
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