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第4章 モブなので、婚約破棄された悪役令嬢をドラゴン調教師にします。……え、どういうこと?
第57話 卵を探しにダンジョンへ
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「”はぐれ卵”……? なんですの、それ?」
「見つけてみればわかるよ。それより足元滑るから気をつけてね」
「え? わひゃあっ!?」
「おおぉ――っとぉッ!?」
言ったそばからかよ!?
このお嬢様運動音痴か!?
俺は慌てて腕を伸ばし、クローディアの手を握る。
間一髪、彼女は頭から転倒しなかった。
「ふぅ……間に合った……」
「あ……」
「ん? なに?」
「う、うるさい! 田舎者風情が、勝手に手を握らないでくださいまし! 不敬ですわよ!」
慌てて手を振り払うクローディア。
ったく、この生意気娘は……。
ドラゴン調教師として鍛える傍ら、この勝気すぎる性格も少しずつ矯正していかないとかなぁ。
――いや、心配いらないか。
俺の見立てじゃ……彼女はドラゴンを育て始めると、心境に変化が出るタイプだと思うし。
精神面に関しては、しばらく見守ろう。
……別に面倒くさいとか、そういうワケじゃない。
スピカと戯れていた方がずっと気が楽だなんて、思ってないからな!
「きゅーん?」
「いや、気にしないで……。さ、先に進もう」
俺たち三人は、足場やモンスターに気を付けながら『岩山ダンジョン』を登っていく。
そしてしばらく進むと――
「ストップ」
俺は足を止めた。
それと同時に背後のクローディアも立ち止まる。
「ど、どうしましたの……?」
「巣が近い」
「――へ?」
「ドラゴンの巣が近い。迂闊にテリトリーに入ると本当に危ないから、慎重に行動してね」
「…………あ、あわわ……!」
顔面蒼白になって、足をガタガタと震わせるクローディア。
もう完全にビビッてしまっている。
「そんな不安になることないよ。こっちにスピカがいる以上、テリトリーに入らなければ積極的に襲われることは少ないから」
この辺りに生息しているドラゴンは、ドラゴン種の中でも最も弱い種族。
対するスピカ――ホワイト・ドラゴンは最上位種。
如何に赤ちゃんと言えど、喧嘩は吹っ掛けてこないだろう。
「きゅーん、きゅーん!」
「うんうん、やっぱりスピカは頼りになるね。偉いぞ~」
「あ、ああああのっ、早く用事を済ませて帰りませんこと!? 私、こんなところにいつまでもいられませんわ!」
「大丈夫だって。それにドラゴン調教師をやるなら、いずれクローディアだけで来ることにもなるんだし」
「わっ、私一人で!?」
「その時は、相棒がいることが望ましいけど。さあ、ちょっと探し回ってみようか」
テリトリーに踏み込まないよう、辺りの散策を開始。
そうしてしばらく歩いてみると――
「やっぱりあった」
「ふぇ? これは……」
「そう――”ドラゴンの卵”だよ」
「見つけてみればわかるよ。それより足元滑るから気をつけてね」
「え? わひゃあっ!?」
「おおぉ――っとぉッ!?」
言ったそばからかよ!?
このお嬢様運動音痴か!?
俺は慌てて腕を伸ばし、クローディアの手を握る。
間一髪、彼女は頭から転倒しなかった。
「ふぅ……間に合った……」
「あ……」
「ん? なに?」
「う、うるさい! 田舎者風情が、勝手に手を握らないでくださいまし! 不敬ですわよ!」
慌てて手を振り払うクローディア。
ったく、この生意気娘は……。
ドラゴン調教師として鍛える傍ら、この勝気すぎる性格も少しずつ矯正していかないとかなぁ。
――いや、心配いらないか。
俺の見立てじゃ……彼女はドラゴンを育て始めると、心境に変化が出るタイプだと思うし。
精神面に関しては、しばらく見守ろう。
……別に面倒くさいとか、そういうワケじゃない。
スピカと戯れていた方がずっと気が楽だなんて、思ってないからな!
「きゅーん?」
「いや、気にしないで……。さ、先に進もう」
俺たち三人は、足場やモンスターに気を付けながら『岩山ダンジョン』を登っていく。
そしてしばらく進むと――
「ストップ」
俺は足を止めた。
それと同時に背後のクローディアも立ち止まる。
「ど、どうしましたの……?」
「巣が近い」
「――へ?」
「ドラゴンの巣が近い。迂闊にテリトリーに入ると本当に危ないから、慎重に行動してね」
「…………あ、あわわ……!」
顔面蒼白になって、足をガタガタと震わせるクローディア。
もう完全にビビッてしまっている。
「そんな不安になることないよ。こっちにスピカがいる以上、テリトリーに入らなければ積極的に襲われることは少ないから」
この辺りに生息しているドラゴンは、ドラゴン種の中でも最も弱い種族。
対するスピカ――ホワイト・ドラゴンは最上位種。
如何に赤ちゃんと言えど、喧嘩は吹っ掛けてこないだろう。
「きゅーん、きゅーん!」
「うんうん、やっぱりスピカは頼りになるね。偉いぞ~」
「あ、ああああのっ、早く用事を済ませて帰りませんこと!? 私、こんなところにいつまでもいられませんわ!」
「大丈夫だって。それにドラゴン調教師をやるなら、いずれクローディアだけで来ることにもなるんだし」
「わっ、私一人で!?」
「その時は、相棒がいることが望ましいけど。さあ、ちょっと探し回ってみようか」
テリトリーに踏み込まないよう、辺りの散策を開始。
そうしてしばらく歩いてみると――
「やっぱりあった」
「ふぇ? これは……」
「そう――”ドラゴンの卵”だよ」
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