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第3章・アイドルの恋愛事情
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***
-マーレ王国・会議室-
雲ひとつない青空の下、マーレ王宮の一室には異様な雰囲気が流れていた。
ウルティムスとソヌスは、部屋の中央に置かれた円卓を挟んで対峙する。
双方の後ろには各々の側近や騎士が控えており、険悪な表情で睨み合う。
そんな中
ウルティムスの一番近くに立つウィズダムと、ソヌスの一番近くに立つレオンは、涼しげな顔で控えていたのだった。
「クフッ、可哀想だ…実に可哀想だ」
「呪われた王など…ベルヴァの行く末が、我は心配である」
「あ"ぁ"ぁ"っ…?はっ、心配には及ばねぇーよ」
「誘拐監禁が趣味な王様より、ずっっっとマシだ」
バチバチと見えない火花を散らす二人に、護衛としてついて来たビクトリアは
「…(こんな雰囲気で、本当に話し合いが出来るのか?)」
と、剣を握る手に力を込める。
「…聖歌人がバダクにいるのは知っている」
「バダクには、早急に聖歌人の身柄引渡しを要求している」
険悪な雰囲気の中、先に言葉を発したソヌス。
「だが何故か、バダクは要求に応じない」
「……何をした?」
ソヌスの鋭く冷たい瞳が、ウルティムスに突き刺さるも
「…さぁ?ベルヴァは何もしていない」
「ベルヴァが孤立しているのは知ってるだろ?いきなりバダクと、どうこう出来る訳がない」
ウルティムスは眉ひとつ動かすことなく、淡々と答える。
その後も、話し合いは平行線を辿る一方であり、時間だけが刻々と過ぎて行った。
すると
「……!!!」
「王!これを……」
ウルティムスは慌てたウィズダムの様子に驚き、言われるがままに「タブレット型PC」に、視線を向ける。
そこに映し出された映像に、ウルティムスは瞳を大きく見開き、フッ…と、笑った。
「マーレ王…テレビを点けてくれ」
「…あんたが望んだ「もの」が、出てるぞ」
ソヌスは怪訝な表情を浮かべるも、従者にテレビを点けるよう指示を出す。
映し出された映像は、テルース星のあらゆる場所で放送されていた。
そこには…
***
-バダク王国-
ざわざわ…ざわざわ…
暗い空間に、興奮と期待を含んだざわめきが木霊する。
「うむ、これで大丈夫だ!」
「フルール様、準備はいいですか?」
バロンとネックが、そうフルールに問いかけて来た。
「ふぅー…(懐かしいな…この感じ…)」
「お願いします!」
フルールの言葉を合図に、辺りは一層暗くなり、色とりどりのスポットライトがステージを照らす。
その瞬間
辺りにはメロディが流れだし
「~♪~♪♪~♪~」
フルールの美しい歌声が響き渡る。
可憐なフルールの容姿と美しい歌声。一緒に踊り出したくなる可愛いダンスに、興味本意で「闘技場」にやって来たバダクの民は、一瞬にしてフルールの虜となった。
そう、フルールが「コンサート会場」に選んだのは、バダクで一番最初にフルールが訪れた場所。
「闘技場」だった。
「~♪~♪~♪♪~」
フルールの歌声と魔法での演出に、観客は立ち上がり、盛り上がりを見せる。
「~♪♪~♪~♪♪~」
今までにない程の歓声が闘技場に沸き上がり、バロンとネックは驚愕した。
「凄い…これが、聖歌人の歌声……」
「うむ、生きてる内に聴けるとは……感動だ!」
瞬く間にフルールの歌声は世界中に届き、皆がフルールに注目していた。
***
『~♪♪~♪~♪~』
久しぶりに見る「番」の姿を、ウルティムスは愛おしげに見つめる。
「…相変わらず美しいですね」
「………あぁ…」
ウィズダムの声が聞こえているのか疑わしい程に、適当な返事をするウルティムスに
「………(やれやれ…)」
と、ウィズダムは肩を竦めるのだった…。
***
終わりが見えてきました…。
頑張ります!
-マーレ王国・会議室-
雲ひとつない青空の下、マーレ王宮の一室には異様な雰囲気が流れていた。
ウルティムスとソヌスは、部屋の中央に置かれた円卓を挟んで対峙する。
双方の後ろには各々の側近や騎士が控えており、険悪な表情で睨み合う。
そんな中
ウルティムスの一番近くに立つウィズダムと、ソヌスの一番近くに立つレオンは、涼しげな顔で控えていたのだった。
「クフッ、可哀想だ…実に可哀想だ」
「呪われた王など…ベルヴァの行く末が、我は心配である」
「あ"ぁ"ぁ"っ…?はっ、心配には及ばねぇーよ」
「誘拐監禁が趣味な王様より、ずっっっとマシだ」
バチバチと見えない火花を散らす二人に、護衛としてついて来たビクトリアは
「…(こんな雰囲気で、本当に話し合いが出来るのか?)」
と、剣を握る手に力を込める。
「…聖歌人がバダクにいるのは知っている」
「バダクには、早急に聖歌人の身柄引渡しを要求している」
険悪な雰囲気の中、先に言葉を発したソヌス。
「だが何故か、バダクは要求に応じない」
「……何をした?」
ソヌスの鋭く冷たい瞳が、ウルティムスに突き刺さるも
「…さぁ?ベルヴァは何もしていない」
「ベルヴァが孤立しているのは知ってるだろ?いきなりバダクと、どうこう出来る訳がない」
ウルティムスは眉ひとつ動かすことなく、淡々と答える。
その後も、話し合いは平行線を辿る一方であり、時間だけが刻々と過ぎて行った。
すると
「……!!!」
「王!これを……」
ウルティムスは慌てたウィズダムの様子に驚き、言われるがままに「タブレット型PC」に、視線を向ける。
そこに映し出された映像に、ウルティムスは瞳を大きく見開き、フッ…と、笑った。
「マーレ王…テレビを点けてくれ」
「…あんたが望んだ「もの」が、出てるぞ」
ソヌスは怪訝な表情を浮かべるも、従者にテレビを点けるよう指示を出す。
映し出された映像は、テルース星のあらゆる場所で放送されていた。
そこには…
***
-バダク王国-
ざわざわ…ざわざわ…
暗い空間に、興奮と期待を含んだざわめきが木霊する。
「うむ、これで大丈夫だ!」
「フルール様、準備はいいですか?」
バロンとネックが、そうフルールに問いかけて来た。
「ふぅー…(懐かしいな…この感じ…)」
「お願いします!」
フルールの言葉を合図に、辺りは一層暗くなり、色とりどりのスポットライトがステージを照らす。
その瞬間
辺りにはメロディが流れだし
「~♪~♪♪~♪~」
フルールの美しい歌声が響き渡る。
可憐なフルールの容姿と美しい歌声。一緒に踊り出したくなる可愛いダンスに、興味本意で「闘技場」にやって来たバダクの民は、一瞬にしてフルールの虜となった。
そう、フルールが「コンサート会場」に選んだのは、バダクで一番最初にフルールが訪れた場所。
「闘技場」だった。
「~♪~♪~♪♪~」
フルールの歌声と魔法での演出に、観客は立ち上がり、盛り上がりを見せる。
「~♪♪~♪~♪♪~」
今までにない程の歓声が闘技場に沸き上がり、バロンとネックは驚愕した。
「凄い…これが、聖歌人の歌声……」
「うむ、生きてる内に聴けるとは……感動だ!」
瞬く間にフルールの歌声は世界中に届き、皆がフルールに注目していた。
***
『~♪♪~♪~♪~』
久しぶりに見る「番」の姿を、ウルティムスは愛おしげに見つめる。
「…相変わらず美しいですね」
「………あぁ…」
ウィズダムの声が聞こえているのか疑わしい程に、適当な返事をするウルティムスに
「………(やれやれ…)」
と、ウィズダムは肩を竦めるのだった…。
***
終わりが見えてきました…。
頑張ります!
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