【完結】売れっ子アイドル、転生したら嫌われ子豚だった!~アイドル魂で子豚人生満喫中です~

赤井たまご

文字の大きさ
上 下
43 / 77
第3章・アイドルの恋愛事情

song.41

しおりを挟む
***

翌朝
-バダク王国・王宮-

窓を開けると漂ってくる砂の香り。
焦げるような太陽の光が、部屋を明るく照らす。

食堂に用意された朝食を、もりもりとフルールが頬張っていると、突然、食堂の扉が開いた。

そこには「やたらと艶々した」バロンとネックの姿があり、寄り添いながら入って来た二人の姿に、フルールは体を硬直させた。

「うむ、おはようフルール」

「おはようございます」

「あ…お、お、おはよう…ございます…」

何事もなかったかの様に接してくる二人……だが、どうしてもフルールの脳裏には昨夜の光景が甦ってしまい、フルールはキョロキョロと辺りに目線をさまよわせた。

「あ…あの、昨夜は…ごめんなさい…邪魔して…」

フルールは顔を紅潮させながら、モジモジと二人に謝罪する。

しかし

「「???」」

「昨夜、何かありました?」

「へ?」

「うむ…あった…だろうか?」

「え?」

二人は不思議そうに、首を傾げた。

フルールは「熱い夜」を過ごした事で、二人は既に覚えていないのかも…と、思うも

「それより、協力して欲しい事があるのだろう?」

「昨夜、報告に来てくださいましたよね?」

「ガッツリ覚えてるじゃん!!!!////」

「「???」」

思わず大きな声で、突っ込んでしまうのであった。

バダクは「愛」に生きる王国だ。

番同士が愛し合うことは、素晴らしい事とされている為「交尾を見られた=恥ずかしい」という概念が薄かった。

その為、従者ですら用があれば「交尾の最中」であっても、何食わぬ顔で主の部屋の扉を開ける事があるという。

「…っ…(…悶々としてる僕が変な奴みたいじゃん…///)」

バダクの出身でもなく、性経験もないフルールが「悶々」としてしまうのは致し方ない事だが、フルールは「あの時の護衛」の言葉に、もっと耳を傾けるべきだったと、項垂れる。

「「???」」

暫くすると、フルールは顔をブンブンと左右に大きく降り、赤く色付いた自分の頬をペチペチと叩いた。

気持ちを切り替えたのか、バッ!と顔を上げ、真剣な表情で二人と向き合い

「僕が、お二人に「お願い」したいのは…」

「…「コンサート会場」を提供して欲しいんです!!!」

フルールは改めて「お願い」をするのだった。

***

-マーレ王国-

嵐が過ぎ去ったマーレ王国は、雲ひとつない快晴の空が広がっていた。

地面に残った水たまりには青い空が反射し、キラキラと輝いている。

今朝方、マーレ王国に到着したウルティムス一同は、広い会議室に連れて来られていた。

会議室の中央には、白い大きな「円卓」が置かれており、ウルティムスは出入口から「一番遠い」席へと案内される。

「…俺様を「この席」に座らせたってことは…話し合いをする意思はあるってことか…あ"ぁ"っ?」

「……まぁ、腐っても王族ですからね」
「…礼儀は弁えているでしょう?」

「………そうだな…」

ウィズダムの返答に納得くしたウルティムスは、そっと窓の外に視線を向けた。

窓の外には色とりどりの花久が、可憐に咲き誇っており、ところどころに溜まっている雨粒はまるで宝石のようで、花久の美しさを更に際立たせる。

1輪の花からポトリ…と、雨粒が落ちた瞬間

「クフッ…マーレへようこそお出でくださいました」
「…ベルヴァの若き王よ…」

酷く冷たい声が辺りに響き渡った。

視線をソッ…と、向けると、そこには能面のような顔をしたソヌスが立っており、その後ろにはレオンの姿も…。

「さぁ、ゆっくり「話し合い」と行きましょう…」

「時間は「沢山」あるのですから…クフフフッ」

不気味な笑みを浮かべるソヌスに、ウルティムスをはじめ一同は、眉間にシワを寄せたのだった…。

***
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【完結】健康な身体に成り代わったので異世界を満喫します。

白(しろ)
BL
神様曰く、これはお節介らしい。 僕の身体は運が悪くとても脆く出来ていた。心臓の部分が。だからそろそろダメかもな、なんて思っていたある日の夢で僕は健康な身体を手に入れていた。 けれどそれは僕の身体じゃなくて、まるで天使のように綺麗な顔をした人の身体だった。 どうせ夢だ、すぐに覚めると思っていたのに夢は覚めない。それどころか感じる全てがリアルで、もしかしてこれは現実なのかもしれないと有り得ない考えに及んだとき、頭に鈴の音が響いた。 「お節介を焼くことにした。なに心配することはない。ただ、成り代わるだけさ。お前が欲しくて堪らなかった身体に」 神様らしき人の差配で、僕は僕じゃない人物として生きることになった。 これは健康な身体を手に入れた僕が、好きなように生きていくお話。 本編は三人称です。 R−18に該当するページには※を付けます。 毎日20時更新 登場人物 ラファエル・ローデン 金髪青眼の美青年。無邪気であどけなくもあるが無鉄砲で好奇心旺盛。 ある日人が変わったように活発になったことで親しい人たちを戸惑わせた。今では受け入れられている。 首筋で脈を取るのがクセ。 アルフレッド 茶髪に赤目の迫力ある男前苦労人。ラファエルの友人であり相棒。 剣の腕が立ち騎士団への入団を強く望まれていたが縛り付けられるのを嫌う性格な為断った。 神様 ガラが悪い大男。  

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

僕だけの番

五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。 その中の獣人族にだけ存在する番。 でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。 僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。 それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。 出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。 そのうえ、彼には恋人もいて……。 後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。

獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた! どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。 そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?! いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?! 会社員男性と、異世界獣人のお話。 ※6話で完結します。さくっと読めます。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

処理中です...