【完結】売れっ子アイドル、転生したら嫌われ子豚だった!~アイドル魂で子豚人生満喫中です~

赤井たまご

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第3章・アイドルの恋愛事情

song.32

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***

-マーレ王国-

ブクッ…ブクブクッ……

ひっそりとした室内は、異様な空気に包まれていた。

そんな中、色とりどりの可愛らしい小魚達は、軽やかにフルールの前を泳いで行く。

しかし

「………………」

「「「!!!??」」」

フルールの「顔」を見た瞬間、小魚達は驚き硬直する。

そこには、異様な雰囲気を漂わせ「般若はんにゃのような顔」をしたフルールが、ブツブツと不気味に小言を呟いていた。

異様な空気の正体は、フルール自身なのであった。

***

レオンが去った後、あたりには静寂が満ちていた。深い静寂はフルールの意識をぼんやりとさせる。

レオンの魔法で「体内時間が停止」しているフルールは「睡眠欲」も「食欲」も沸いてこず、時間感覚が全くなかった。

泣くこと以外にやることがないフルールは、寄り添ってくれる小魚達が心の支えだった。

そんな中、フルールは小魚達とは違う「強い視線」を感じ、辺りを見渡す。

すると

金魚鉢水槽の外側に「何か」が、張り付いていることに気付いた。

その「何か」を視界に映した瞬間、霧が晴れていくように気分がスッキリとし、フルールは冷静になっていく。

冷静になったフルールは「本来の自分」を思い出し、それと同時に、沸々と「激しい怒り」が胸の内に沸き上がる。

「…ごぽぽぽぽっ(何で僕が、こんな場所に閉じ込められないといけない訳?僕って被害者だよね?)」
「…ごぽぽっ…ごぽぽぽぽっ(可愛い僕を独り占めしたい気持ちは分かるけど、会いにも来ないって何?)」
「…ごぽぽぽぽっ(レオンは裏切り者だし、僕のお願い聞いてくれないし!)」
「…ごぽぽぽぽっごぽぽぽぽっ(あっ!裏切り者はティムもか、あの浮気者!!ヤリ○ん!!!)」
「…ごぽぽぽぽっ(夫婦として歩み寄るって、約束したのに!!!)」
「…ごぽぽぽぽっ(ウィズダム達も止めてよ…!)」

ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ…

フルールは自分が納得するまで、ひたすら独り言恨み言を呟き続けたのだった。

***

「…ごぽぽっ…(ふぅー………)」

「…ごぽっ…!(よっと!)」

鬱憤を吐き出し終えたフルールは静かに立ち上がり、ゆっくりと金魚鉢水槽に張り付いている「もの」に近付いて行く。

「…ごぽぽっ…(見当たらなくて、心配したよ…)」

「…ごぽっ…(プリューム)」

小さな手足を大の字に広げ、顔が潰れる程、金魚鉢水槽にベッタリと張り付いていたのは

妖精の「プリューム」だった。

「…ごぽぽっ…(怪我はない?よく此処がわかったね!)」

『大丈夫!でも、疲れた…』

プリュームはニコニコしながら、小さな手で「OKマーク」を作った。

プリュームは「あの」水上竜巻でフルールと引き離されてしまい、その後は、フルールの微かな「魔力」を追って、マーレ王国までやって来たのだった。

「…ごぽぽっ…(ふふっ、不思議…プリュームを見たら、すぐ元気になったよ)」

『私は「妖精」だから「癒し」系なの』

「…ごぽぽっ…(ふふっ、そうだったね!……プリューム)」
「…ごぽぽぽっ…(僕と「駆け落ち」してくれる?)」

二人はじぃ…と、見つめ合う。

『私は「ずっと」聖歌人ヒムと一緒!』

「…………ごぽぽっ…(ありがとう)」

望んでいた「答え」を貰えたフルールは涙ぐみ、心からの感謝をプリュームに伝えた。

フルールは、ずっと心細かった。
誰だって「ひとりぼっち」は寂しい。

だが、プリュームが側に来てくれた事で、フルールは「勇気」が持てたのだった。

声が出せないフルールは「心のこえ」で、唄を歌う。

キラキラした七色の光が、二人を優しく包み込んだ。

広くなった金魚鉢水槽に、小魚達は寂しさを感じるのだった。

***

-???-

「んふっ、ついに動きましたね」

『ーーーーーー…』

「「あなた」の言う通り、妖精も「思い通り」に動いてくれましたよ」

『ーーーーーー……』

「んふっ、ただ向かった先が「あの国」とは…全てが「思い通り」とはいきませんね、流石です」

『ーーーーー!!』

「大丈夫ですよ、少々。。会話が出来ないだけで…マーレ国王よりかは「扱いやすい男」です」

『ーーーーー!!!』

「ご安心を、影はいつでも王妃様。。。と共に…」

『ーーーーーーー』

「んふっ、承知いたしました」

「我が「国王」に「忠誠」を…」

***
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