【完結】売れっ子アイドル、転生したら嫌われ子豚だった!~アイドル魂で子豚人生満喫中です~

赤井たまご

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第2章・アイドルへの試練

song.30

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***

ブクッ……ブクブクッ…

「…っ…(んっ……)」

空気を含んだような鈍い音に反応し、フルールはソッ…と、目を覚ます。

「んふっ、お目覚めですか?王妃様」

「…ごぽっ(レオっ……)……!!?」

フルールは目前の「光景」と自分の「格好」に衝撃を受け、驚愕した。

フルールは「水の入った」金魚鉢水槽の中におり、下半身には「尾びれ」が生えていた。

なんと、フルールは「人魚」になっていたのだった。

「……ごぽぽっ…ごぽっ(何これ!?どうなってるの?まさか…!)」
「…ごぽぽっごぽぽぽっ(僕が可憐過ぎて、豚から人魚に…!?)」

前向きに動揺するフルールに構うことなく、色とりどりの小さな「魚達」がふよふよと、フルールの前を泳いでいく。

するとレオンが

「んふっ…人魚の王妃様…はぁ…はぁ…あぁぁっ…美味しそう…」

血走った目でフルールを見つめながら、金魚鉢に腰を擦り付けていた。

「ごぽぽぽぽぽっ…(ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!変態!!!)」

その姿はまさに、発情期の犬のようであったのだった。

***

「…ごぽっ…(で?)」
「ごぽぽっ…(一から説明して)」

「ゴミ」を見るような目でレオンに問いかけるフルール。

「んふっ、そんな目で見ないでください……」
また。。、興奮してしまいます…///」

「ごぽぽっごぽぽっ!!(いいから!早く!!説明!!!)」

頬を赤く染めうっとりとするレオンに、フルールはゾッ…とした。

「んふっ、冗談ですよ(半分は)」
「王妃様は今「マーレ王国」にいます」

「ごぽぽっ…(マーレ…!本当に…!?)」

何故かレオンの心の声がはっきりと聞こえたフルールだったが、それを華麗に無視する。

「はい、そして此処は「王宮の地下室」です」
「マーレ国王と私、それと……」

「…「ある方」だけが入れる「特別な場所」です」

「…ごぽっ…(ある方…?)」
「ごぽぽっ…(僕のこの格好は?)」

「んふっ、私の「魔法」で、私の「趣味」です」

フルールは頭を抱えた。

「あ、魔法を解くことは出来ませんよ」
「水の中なので…解いたら息が出来ず、王妃様は死んでしまいます」

「…………………ごぽぽっ!(なら今すぐ出して!)」

「それは出来ません」

「っ…!!」

自分の「お願い」をレオンが断るとは思わず、フルールは絶句した。

何より

「マーレ国王は、あなた。。。をこの「金魚鉢」から出す気はないようです」

「永遠に……」

薄く開いたレオンの瞳には「光」がなく、恐怖を感じる程の「冷たい瞳」に、フルールは身を固くする。

「……ごぽっ…(マーレ国王と知り合いなの?)」
「…ごぽぽっ…(何で、マーレ国王に従うの?)」

「……マーレ国王は、私の「実父」です」

「!!!」

「私は、父の命令に従うだけです」

無表情のレオンからは感情が読み取れず、ただ淡々と答えるその姿に、フルールは違和感を感じた。

「んふっ、それに…」
「今のベルヴァに、王妃様の帰る場所はありません」

「…(えっ…?)」

無表情から一変、いつもの笑みを浮かべたレオンは躊躇うことなく、フルールに「残酷な現実」を突きつける。

「ベルヴァ国王から伝達がありました」

王妃様ヒム差し出す。。。。変わりに、マーレとの「和解」と「同盟」を求める、と…」

「!!!」

「他国との関係修復の為に、ベルヴァ国王は王妃あなたを「売った」のです」

「…ごぽぽっごぽっ!(…嘘だよ!ティムは…そんな事しない…!)」

「……ベルヴァ国王は…」
「既に、新しい「王妃」を迎えたそうです」

「…!!」

「お相手の名は、スノー・ティグリス様」
「虎と狼のミックスですが、ベルヴァ国王と同じ「狼獣人」であり」

「ベルヴァ国王の「従兄弟。。」です」

フルールは「絶望」と言う名の「谷底」に、突き落とされたのだった。

***

-ベルヴァ王国・王宮-

「…………」

国王室の窓から「空」を見上げるウルティムスに

「……本当に、これでよろしかったのですか…?」

眉間にシワを寄せたウィズダムが問いかける。

「……あぁ…」
「…これが「最善の策」だ…」

そう、自分に言い聞かせるように呟くウルティムス。

ウルティムスからは哀愁が漂い、ウィズダムは心配げに主の背中を見つめたのだった…。

***

第2章-完-
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