【完結】売れっ子アイドル、転生したら嫌われ子豚だった!~アイドル魂で子豚人生満喫中です~

赤井たまご

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第1章・アイドルへの道

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***

「自分が俺様と対等な「王妃」だと言い張るなら、考えて行動しろ!」
「お前の「わがまま」に付き合あえる程、ここの連中は暇じゃねぇーんだ!」

「…わがまま?…僕の夢は「わがまま」なの?」

ピクリ…と、肩を震わせるフルール。レオンは心配げにフルールを見つめ、ウィズダムは微かにソワソワし出した。

「そうだろうが!」

躊躇ためらいなくウルティムスに肯定され、静かに顔を上げる。

「何が「あいどる」だ。いいか、歌など無駄だ。無駄な事に俺様の側近や騎士を振り回すな!」

「王……流石に言い過ぎですよ。娯楽も国には必要です」

ウィズダムは、ウルティムスのあまりの暴君さに、咄嗟に止めに入るも

「はっ、だからなんだ?歌で、国が守れるのか?」
「国に必要なのは「力」だ。力さえあれば、何でも出来る」

「やるならもっと役立つ事をしろ!」

「………」

プッツン…

この瞬間、従者達は「何か」の切れる音を聞き取り、瞬時に辺りを片付け始めた。

フラッ…と、椅子から立ち上がり、ウルティムスに少しずつ、ゆっくりと近づいていくフルール。

目の前に立った瞬間

「あ"ぁっ…?」

大きな瞳が更に大きく開き

「○ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」

「グハァ!!!!???」

見事な右ストレートが、ウルティムスの顔面にめり込んだのだった。

咄嗟のことで避けきれず、何が起きたのかと呆然とするウルティムスに、フルールは思いの丈をぶつけるように叫んだ。

「例えあなたが僕の夫でも…」
「僕の「好き」を否定する権利はない!!」

「!!」

「あなたが「力」で「国」を守ると言うなら…」
「僕は「歌」で「民の笑顔」を守る!」

「僕のやってる事が、ただの「わがまま」じゃないってこと…証明してやるよ!」

ザァッ…と、風が吹き花久が踊る。太陽の光に照らされた金色の髪は、いっそう輝きを増す。

一国の王に怯むことなく信念を貫く姿は、その場にいた者達に勇敢さを感じさせ、迷いのない瞳で力強く佇む姿は、身体の小さなフルールを大きく見せた。

その姿は、正に「王妃」そのものであった。

全く期待されていなかった小さな子豚は、この日、王妃としての頭角を現した。

この出来事をきっかけに、フルールの未来は大きく変わることになるのだった…。


***

-国王執務室-

ガンッ!

「くそっ!あの子豚!」

「1度ならず2度も…この俺様を殴りやがって…」
「俺様を誰だと思ってんだ!!」

怒りから机を叩き付けるウルティムス。

「…あれは…誰がどう見ても王が悪いですよ」
「殴られて当然です」

憤るウルティムスに淡々と意見を延べられるのは、昔から、幼なじみ兼側近のウィズダムだけだった。

ウィズダムは、殴られ原型の歪んだウルティムスの顔を見て

「前回の飛び蹴りも見事でしたが、今回のストレートもまた…ぶふっ…」

「人の顔見て笑ってんじゃねーよ!!怒」

笑いを堪えられないのであった。

「失礼。ご自慢のお顔に、更に磨きがかかったなと…」

「あ"ぁ"っ!?つまんねーこと言ってないで、さっさと医者を呼べ!」

「それぐらい唾でも付けとけば治ります」
「医者も暇ではないんですよ」

「お前は鬼か…!?」

2人の漫才の様な会話は、執務室の外にまで漏れており、入り口に控えていた騎士達にも丸聞こえなのであった…。

***
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