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零話
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━━━━━━━━━━━━━━━
今日の天気は雨のようだ。誰かがそんなことを言っていた気がする。そう意識すると雨音が聞こえてくるような気がし、石で出来た床がより冷えたような気がした。
窓のない石に囲まれた小さな部屋が僕の家であり世界だ。
読んでいた本を閉じた僕はそこに居た外の人間に声をかけた。
「いつになったら僕はこの世界から出られるのかな?」
「貴様がそこから出ることは有り得ん。無駄口を叩くな」
いつもと何も変わらない。ただ今日は雨が降っている。ただそれだけのいつもと変わらないそんな世界。
のはず、だった。
━━━━━━━━━━━━━━━
その日は地獄の期間の真っ只中だった。私は恐る恐るソレを受け取り見る。
「二....二十五点....!?」
最悪だ。赤点確定補習確定お小遣いダウン確定。
華のJKになったのにも関わらず私の学校生活は地味そのものだった。
入学の時定期を落として盛大な遅刻をし、自己紹介ではすっ転び、さらにはテストでは赤点ばかり....。
「ちゃんと勉強してるのに~....」
私の心に反して今日は晴天だった。天気にすら八つ当たりをしたくなってしまうそんな時だった
「我が妹よ、そう暗い顔をするな!紙に書かれた数字よりももっと大事なものを見失うな!」
「もぅ!お兄ちゃんは頭いいからって!!」
お兄ちゃんはいつも明るく私を励ましてくれた。
「私だって頑張ったんだよ~?励ましにカラオケ連れてって!」
「ふーむ?ならばオレのイケボを堪能させてやろう!」
なんて言いながら私達は行きつけのカラオケ屋さんに向かった。
━━━━━━━━━━━━━━━
少し早めの雪が降り始めた今日この頃。何度目かのお見合いを断ったボクはまた家族からの有難いお説教をくらっていた。
今の時代お家柄とか本家とか政略結婚など、ボクにとってはくだらないものでどうせみんな金目当てだというのになぜ両親はこだわるのだろうか?
なんて思いながらただこの時間が終わるのを待っていた。
テレビからは凶悪犯が脱獄したなんて物騒なニュースが流れてきていてぼんやりとそのニュースをお説教をBGMに思い出していた。
その凶悪犯と呼ばれている少年はボクより一つ下の高校二年生だったと思う。
彼は何人もの人間を無差別に刺したり、精神的に追い詰めたり、女性に暴行をしたりとそれはもうありとあらゆる犯罪行為をしていたのだ。逮捕された時には返り血を浴びた服を着ていたらしい。
周りの人はみんな彼を恨み怖がっていた。
しかしボクに聞こえた言葉は───
「話聞いているのか?!」
「はい、お父様。今後同じことがないように致します」
あの時の事を考え過ぎていたみたいだ。父親は鬼のような形相だった。
━━━━━━━━━━━━━━━
モヤモヤする。まるでこの雲と同じようだね。
というのも、この間僕が落とした定期を拾って届けてくれた人のことで頭がいっぱいだった。
あの時の優しい笑顔に僕は虜になってしまったようだね。
もう一度あの子に会えたなら、もう逃がさないのに。
その時階段を降りてくる音が 廃屋 に響いてくる。
「あぁ、君か。無実の罪はどうなったのかな?」
「何の進展もないよ。僕は心底がっかりしたんだ。だって僕の方が先に犯人にたどりつけてしまったのだから。」
「へぇ?聞かせてもらえるかい?」
こうして僕達は探偵の真似事のように推理を披露しあったりしていた。
だから気が付かなかったのだ。
もう一人の足音に。
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今日の天気は雨のようだ。誰かがそんなことを言っていた気がする。そう意識すると雨音が聞こえてくるような気がし、石で出来た床がより冷えたような気がした。
窓のない石に囲まれた小さな部屋が僕の家であり世界だ。
読んでいた本を閉じた僕はそこに居た外の人間に声をかけた。
「いつになったら僕はこの世界から出られるのかな?」
「貴様がそこから出ることは有り得ん。無駄口を叩くな」
いつもと何も変わらない。ただ今日は雨が降っている。ただそれだけのいつもと変わらないそんな世界。
のはず、だった。
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その日は地獄の期間の真っ只中だった。私は恐る恐るソレを受け取り見る。
「二....二十五点....!?」
最悪だ。赤点確定補習確定お小遣いダウン確定。
華のJKになったのにも関わらず私の学校生活は地味そのものだった。
入学の時定期を落として盛大な遅刻をし、自己紹介ではすっ転び、さらにはテストでは赤点ばかり....。
「ちゃんと勉強してるのに~....」
私の心に反して今日は晴天だった。天気にすら八つ当たりをしたくなってしまうそんな時だった
「我が妹よ、そう暗い顔をするな!紙に書かれた数字よりももっと大事なものを見失うな!」
「もぅ!お兄ちゃんは頭いいからって!!」
お兄ちゃんはいつも明るく私を励ましてくれた。
「私だって頑張ったんだよ~?励ましにカラオケ連れてって!」
「ふーむ?ならばオレのイケボを堪能させてやろう!」
なんて言いながら私達は行きつけのカラオケ屋さんに向かった。
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少し早めの雪が降り始めた今日この頃。何度目かのお見合いを断ったボクはまた家族からの有難いお説教をくらっていた。
今の時代お家柄とか本家とか政略結婚など、ボクにとってはくだらないものでどうせみんな金目当てだというのになぜ両親はこだわるのだろうか?
なんて思いながらただこの時間が終わるのを待っていた。
テレビからは凶悪犯が脱獄したなんて物騒なニュースが流れてきていてぼんやりとそのニュースをお説教をBGMに思い出していた。
その凶悪犯と呼ばれている少年はボクより一つ下の高校二年生だったと思う。
彼は何人もの人間を無差別に刺したり、精神的に追い詰めたり、女性に暴行をしたりとそれはもうありとあらゆる犯罪行為をしていたのだ。逮捕された時には返り血を浴びた服を着ていたらしい。
周りの人はみんな彼を恨み怖がっていた。
しかしボクに聞こえた言葉は───
「話聞いているのか?!」
「はい、お父様。今後同じことがないように致します」
あの時の事を考え過ぎていたみたいだ。父親は鬼のような形相だった。
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モヤモヤする。まるでこの雲と同じようだね。
というのも、この間僕が落とした定期を拾って届けてくれた人のことで頭がいっぱいだった。
あの時の優しい笑顔に僕は虜になってしまったようだね。
もう一度あの子に会えたなら、もう逃がさないのに。
その時階段を降りてくる音が 廃屋 に響いてくる。
「あぁ、君か。無実の罪はどうなったのかな?」
「何の進展もないよ。僕は心底がっかりしたんだ。だって僕の方が先に犯人にたどりつけてしまったのだから。」
「へぇ?聞かせてもらえるかい?」
こうして僕達は探偵の真似事のように推理を披露しあったりしていた。
だから気が付かなかったのだ。
もう一人の足音に。
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