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本編 ─羽ばたき─
霞み露※
しおりを挟む微かな明かりが部屋をぼんやりと照らし、少女の白い顔を浮かび上がらせる。霞み眉は悩まし気に描かれ、朱唇を震わす様は色気が漂う。腰紐をほどき、するすると衣を肌から滑り落とせば青白い肢体が覗く。その肌はゆらゆらと揺れる明かりにさえ溶けてしまいそうな雪の如きものと見えるが触れればほんのりと温かく、乳房の下からは、とく……とく……と響くものがある。
男は少女の髪を指で梳き、寝台に埋もれさせ、その心臓の音を聴き入った。
乳房の表面が男の髪にくすぐられ粟立つ。だが、男はまだ先端の果実には触れはしない。唇をゆるく動かし、双丘の絹肌を撫でくすぐれば口づけられていない尖りは程なくして赤く膨れ始める。
「……っ……ふ……」
生温い息と、触れるか触れないかの微妙な男の愛撫はこの上なくもどかしい。たまらず声を洩らせば、なだめるように頬を撫でられる。まだ我慢していろ、と。
それに応えるように素直に瞼を閉じ、口づけられる感触にふるりと腰を揺らす。そんな甘い空間に似合わない、少女の腕に絡みついている鎖の音。人の身になっているのにも関わらず、男は少女を縛り犯す。
耳を食み舐められながら、我慢できたご褒美とでも言うように胸の果実を優しく一定の間隔で弾かれる。男の硬い指先からもたらされる乳首への刺激に、少女は膝を擦り寄せた。胎内が熱くなるこの感覚には慣れそうにない。
既に抱かれ、花を散らされた身体だが、まだ男には染まりきらない初心な反応。
男を愉しませるには十分だった。
「は……ぁ……んっ……ぅ……」
赤くなった尖りを小指の先で掻くように弾けば、少女の身体は白魚のように跳ね上がる。やがて尖りは吸いつかれやすいように膨らみきり、男を誘惑する。それを視姦した後、誘いに乗った男は果実を口に含み舐め転がした。吸い上げ引っ張れば口から離れる。両の乳首でそれを繰り返し続ければ、もう少女の嬌声は止まらない。
「あ……ん……あっ……ふぁ……あぁぁ……っ」
一度の交わりで乳首が少女の特に弱い部分であることを知っている男は、そこを時間をかけて甘くいじめ抜く。
男自身も少女の胸に触れるのは心地好いようで、全く手を緩めようとしない。乳房を揉みしだきながら目線を上げれば、結ばれていた唇をわずかに開き、上気した少女の顔がある。さわさわと、胸から下へと撫でながら手を伸ばし、下腹に置く。男の温かい掌が子宮の上にあるのを感じ、少女は更に胎内を熱くさせた。
「素直に気持ち良いと言ってしまえばいい。それとも、敵である人間に抱かれるのはそんなに悔しいか」
そう問われた少女は考えてみる。悔しいかと訊かれればそうでもなく、かといって不思議なことに嫌悪もしていない。男は確かに恐ろしいが、その愛撫はむしろ優しいと言える。ではこの胸に巣食う、沸き上がってくる感情は一体何なのだろうか。男に対したものではない、その矛先はどこへ向かっているのだろう。
「っ! ん……くぅ……」
乳首に歯を立てられて顔が歪む。そろそろこちらに集中しろという意味の男の行動に思考が止まり、再び喘がされる。
「可愛がられるよりも痛くされる方が好きか。だったらいくらでも嬲ってやる」
男の歯が乳房に、首に、腹に食い込み赤い痕をつける。
連続する痛みに耐えられなかった少女は、怯えながら弱々しく首を振る。
「あ……いたっ……どうか優しく……してください……」
「なら、もっと素直になれ。何処をどうしてほしい?」
上気した顔を益々赤くして、目を大きく見開いた少女は恥ずかしさで身体を強張らせた。自分の口から言わなければならないなんて……昨日まで処女だった少女にとっては酷な話。男はそれを全て分かった上で仕向け、その反応を愉しんでいる。もちろん、そんな感情は一切出さず、凍てつく瞳で少女を射抜き、自分に逆らわせないようにする。
狩るだけではなく獲物を従わせるのも業であり、それが出来なければ隙を突かれて己が獲物になってしまうことだってある。それが身に染み付いている男に敵うはずもなく、掠れた声で答えた少女は泣きそうだ。
「胸を……優しく、触ってください……」
「胸のどこだ。はっきり言え」
勇気を振り絞り、羞恥に耐えながら言う少女の頑張りを無下にし、更なる答えを男は求めた。
口をつぐめば、また歯を立てられ痛みを与えてくる。男からの責め苦に耐えかねた少女は目を赤くして言う。
「先を……胸の先を、優しく……触ってほしいです……」
「……及第点だな……」
男は親指を乳首に当て、くるくると捏ねながら揉み込んだ。口に含み、ねっとりと舌を這わせる。
男から与えられるのは、怖さと……気持ち良さと……それを感じてしまう怒り。そう、自分への怒り。こんな事態を招いてしまった自分の甘さ。何も出来ない、非力で無力。胸に巣食う正体は悔しさではなく、嫌悪でもない。自分を許せないという感情だった。それを自覚した少女は唇を噛み、目を瞑る。
少女の反応が薄くなったと思った男は一旦手を止め、顔を上げた。目を向けた先の少女は口を噛み、その潤った薄桃色の唇には赤く血の色が兆していた。
男は不思議だった。なぜか責める気にはなれない。少女相手なら、つまらない反応を叱責するであろう本来の自分は消え失せ、気づけばその唇に指を添わせていた。
「自分で痛くするな。血が出るぞ」
歯が食い込んだ唇を指で優しく引き出し、赤くなった部分をなぞる。濡れた目元に口を寄せ、涙を吸いとった。少女の気分が落ち着くまで乳房に顔を横向きで沈ませ、緩く、ごくわずかにやんわりと揉んだ。
とくとく……と、心地好い音が聴こえる。
自分の胸に顔を乗せた男の、決して快楽を無理に引き出そうとはしない指の感触に少女はゆっくりと息を吐いた。先ほどの怒りは落ち着いて、呼吸が安定してきている。
そんな少女の変化をつぶさに感じ取った男は、指を秘部へと添わせる。ゆるゆるとなぞれば愛液が絡みついた。膣口と、その上の粒にはまだ触れず、二本の指で広げながら上下に撫でる。
「んっ……んぁ……ふっ……」
「大分、落ち着いたな。ココが悦いのだろう」
焦らされた小さな粒を弾けば少女の身体は一気に高まる。円を描き、優しく撫でれば少女の息は荒くなり、摘んで振動を与えれば太腿が痙攣し始める。指一本でもきつかった膣に一気に二本、突き立てた。
「はぁ……っ……うぅぅ……」
一度貫かれたそこは、最初よりはいくらか柔軟性を増したかに見えたが、圧迫感は消えない。それでも膣は男からの刺激を受け入れようと、その指を飲み込んでいく。
全て入りきると、男の指は温かさを堪能しようと壁をなぞり始めた。相変わらずこの中は悦い、と呟けば膣壁がピクリと反応する。
確認せずとも少女の顔は真っ赤になっていることだろう。最も反応がいいところで指を曲げれば締まりは更に良くなった。
「はぁ……ふ……あぁぁっ!?」
同時に小さな粒を親指で、乳房の赤い果実を吸って快楽を送り込めば、白い身体は果てる準備を始める。指をぎゅうぎゅうと締め付け、太腿をわなわなと震わせる少女の様子を無表情で見つめながら……手を止めた。
「……っ……え……?」
果てる寸前で愛撫を止められた少女は拍子抜けした声を男に発した。身体は火照り、膣内は激しくうねる状態で放置されても尚、愛液は滴る。埋め込まれている指は、少女に応えてくれない。
薄紫と深い青の瞳がしばし交差し、男はその瞳を細めると―――。
「ああぁああぁぁ!! はぁ……っ!」
男は何の前触れもなく、己を少女に突き刺した。大きすぎる衝撃に、ハクハクと口を開閉させる少女の中は十分に潤っている、が……。
「初めてではないのに、お前のココは強情だな」
荒々しい男のモノをきつく締め付け、これ以上動くのを阻止するかのように留まらせる。初夜の三度の交わりで、既に少女の中は柔らかくなっていると思っていた男は無表情ながらも快楽に息を吐く。
「痛くはないだろう。動くぞ」
「ひぁ……っ!? あっあっぁ……!」
まだ衝撃の余韻に呑まれていた少女の口から、断続的な嬌声が律動と共に迸る。確かに初めの時より痛くはないが、それでも男のモノと比べたら少女の膣は狭い。強い圧迫感が下腹部を襲い、まともな言葉を紡げないでいる。激しく突かれて白い肢体が――形の良い乳房が揺れて男の目を愉しませた。
部屋の仄かな光が、刻々と二人の身体の陰影を変化させていく。汗ばんだ肌は、しっとりと照らされた。
締め付けを振り切り腰を打ち込めば、一層、昂りは大きくなる。男も止められなかった。
「あっあっあっひぅ……は……はぁっ……!!」
「ここも触ってほしそうだな」
いきなり胸の尖りを摘まれ、止まらない律動に、少女はとうとう果てを迎えた。それでも男は腰を動かし、果てた膣のうねりを味わう。
「あぁっ! とめ……てぇぇ!! つらい……つら、いのっ!」
快楽に呑まれながら新たな快楽を注ぎ込まれる少女の身体は壊れてしまいそうなほど悶え、下腹部からの激しい水音はもう耳に入らなくなっていた。
男はその儚げな少女を抱き込み、長い時を使い最奥へと白濁を放ち続けた。朧気な少女の乳房に強く吸い付き、何度もその胎内を欲で満たした。
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✱これはシリーズ化してますが、他を読んでなくても分かる様には書いてあると思います。
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