鬼と猫又のお話

ももちよろづ

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牡丹の雛祭り③

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タタン、タタン、タタ

タンタタ、タンタンタン


ラーララ、ララララ

ラララララ チャン



紅葉「灯りを点けましょ、ぼんぼりに」



呉葉「お花をあげましょ、桃の花」



紅葉「五~人囃子の」



呉葉「笛太鼓~」



紅葉&呉葉「今日~は楽しい雛祭り」




明石「可愛らしい、官女さん達やなぁ。」



伊吹「茨木の、年の離れた妹達だよ。」



明石「そうやったん。 うち、姉妹が居らんから、羨ましいわ。」



伊吹「お前と気が合う様だし、妹みたいに思うと良いさ。」



明石「あは、おおきに。」



伊吹「しかし、先刻の歌は、桃の花より、牡丹の花だな。

今日は、『牡丹の節句』だ!」



明石「まぁ……。」




タタン、タタン、タタ

タンタタ、タッタッ……


ドンッ



虎熊「ちょ、熊さん! 俺等、一応、五人囃子なんですから。

ちゃんと拍子、取って下さいよ!」



熊「しょーがねぇだろ、太鼓なんて、叩いた事、無ぇし!」



金熊(タン、タタン)



虎熊「金熊さん、上手ですね。」



金熊「ま、この位は、嗜みとしてな。」



熊「くっ……、負けたぜ……!」



茨木「金の屏風に 映る灯を

微かに揺する 春の風……」



虎熊「副将、凄い美声だ……。」



熊「聴き惚れちまうよな。」



虎熊「しっかし、星熊姐さんの官女姿なんて、貴重だなぁ。

眼福……!」



星熊「何か言ったか、虎熊……?」



虎熊「! い、いえ、何でも……。 ゴニョゴニョ。」



頼光(プピィ~~!)



熊「下手クソ……。」



頼光「煩い! 文句を言うなら、帰るぞ!」



茨木「頼光?」



頼光「! あぁもう、分かった、分かった!

畜生、覚えておれ……!」



紅葉「伊吹さん、お姉ちゃん。」



呉葉「甘酒を、お持ちしましたわ。」



明石「おおきに。 うちは、ちょこっとで、ええよ。」



伊吹「じゃあ、俺は、この盃に。」



明石「!? 旦那、何どすか、この、

阿呆みたいに大っきい盃は!?」



伊吹「なぁ~に、甘酒なんか、呑んだ内に入らねぇってw」



明石「…………。

うちの見世では、此処迄は呑まはらへんねんけど、

いつも、こうなん?」



紅葉「うん。」



呉葉「焼酎なんかも、この器ですね。」



明石「…………。

聞いただけで、酔いそうやわ。」



伊吹「ぷっはぁ、美味ぇ。

お~い、お代わり!」



明石「も、もう、あの器が、空!?」



紅葉「兄上、只今ー!」



呉葉「お二人に甘酒、お注ぎして来ましたわ。」



茨木「二人共、御苦労だったな。(伊吹の盃に注ぐのが)」



紅葉「伊吹さんとお姉ちゃん、幸せそうだね。」



呉葉「仲睦まじくて、羨ましいですわー。」



茨木「ふふ、そうだな。」



紅葉「ねぇ、兄上も、お嫁さん、貰うの?」



呉葉「!」



茨木「ん? 俺か?

まぁ、そりゃあ、いつかは……。」



呉葉「!!

うっ……うぅっ……!(涙目)」



紅葉「やだやだー!

ずっと、紅葉の兄上がいいー!」



茨木「……ま、まぁ、明日、明後日って話じゃないし……。」



紅葉「やったぁー!」



呉葉「ほっ。」



茨木「は、はは……。

はぁ……。」



虎熊「頭領達、幸せそうで、良かったですね。」



熊「似合いの二人だな。」



虎熊「よーし、俺もいつか、星熊姐さんと……。」



星熊「妾と、何だと……?」



虎熊「! ななな、何でもありませんッ!」



金熊「虎熊……。 高い壁だな。」



頼光「なぁ、我輩はもう、帰って良いか?」




明石「旦那……。」



伊吹「ん?」



明石「今日は、ほんまに、おおきに。

こんなに楽しかった雛祭り、うち、生まれて初めて。」



伊吹「へへっ。」



明石「おおきに……。」



伊吹「……いつか。」



明石「え?」



伊吹「いつか、本当に、お前と、

こんな風に、並べたら良いな。」



明石「えっ?」



伊吹「…………///

な、何でも無ぇよ!///

おーい、酒が足りねぇぞ!」



明石「もうっ、呑み過ぎどすぇ!」

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