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あたしは東家の椅子に腰掛けて、アメジストの水晶を改めて触ってみた。水晶だなんて本でしか見たことないから、実際の水晶と、この試練用に用意された水晶に何か異なる部分があるのかなんてあたしの知識ではわからない。今すぐ図書館に飛んで行って、鉱物図鑑を引っ張り出してみても良いんだけど、それってほんとに必要なことなんだろうか。知識を問うような試験じゃないなら、わざわざそんなことさせる必要あるのかな。
注意深く紫水晶を眺めていると、水晶の置かれている底、つまり机の上に水晶をくるりと囲うように何かが描かれていることに気がついた。
「白い……チョークのような……」
まるで魔法陣のような、複雑な文様が描かれている。もちろん水晶で隠れて全貌は見えないけれど、魔法使いが扱うような文様が描かれている。まるでファンタジーものみたいで、こんな状況だって言うのにちょっとドキドキした。
何かがあるかも知れないと思って、白い紋様を指でなぞってみたけれど、何も変化はない。文様も消えない。つまり、チョークのような簡単に消える筆記具で書かれたものではないみたい。
「これが、水晶をひっぺがさないようにしてるのは間違いないですよね」
つまりこれを無力化する必要があるってこと。
例えば、三人で一斉に一つの水晶を触るんじゃなくて、それぞれを一つずつ、同じタイミングで触るのはどうだろう。水中は深雪ちゃんが、空中は赤石くんが。そしてこの目の前の水晶はあたしが触ればいい。けど、本当に? これだけ長い時間が与えられておいて、三つの水晶を見つけるのだって簡単だったのに、本当にそんな回答でいいの? それにもう一度試してみたくても、深雪ちゃんも赤石くんもどこかに行ってしまった。二人を呼んで、試して、無意味だったら。
そりゃああの二人のことだから、さらに喧嘩がヒートアップするに違いない。そうしたらさらに時間もなくなるし、推理する時間も削られちゃうし。
「あー……もう!」
どうすればいいんだろう! むしゃくしゃして思わず髪の毛を掻きむしったら、何かがあたしの腰元で揺れた。なんだっけ、と思って目をやると、深雪ちゃんに「水に潜った時に万が一壊すとあかんから」と言われて、すっ飛んで行く前に預かっていた、支給されたショルダーバッグに入った端末だった。
肌身離さず持っていろ、って言われたけど、だからどうとか、何かに使うとは言われてない。ショルダーバッグに入れたままになっていたそれを、引っ張り出してみた。
小型のトランシーバーのような、軽量な端末だ。ゴテゴテした装飾もついていないし、一見なんの機械なのかはわからない。ものは試しだ。端末を水晶に恐る恐る近づけてみた。
ビー
「うああっ」
驚いたあたしはびくーっと全身を硬直させてしまった。変なエラー音みたいな音が、端末から鳴り響いた。
けど、それだけだ。コツコツ、と端末を指で叩いてみたけれど、それ以降端末が反応を示すことはなかった。
「……で」
どうしよう。
この端末を鳴らすのは正解だったの? 誤作動? もしかして鳴らしちゃダメだった?
どうすればいいのって相談したいのに、あたしの隣には誰もいない。でも責めちゃダメだ、この原因を作った一因はあたしなんだもん。
あたしは、背中につぅっと冷や汗が流れるのを実感した。焦ってる、あたし。何かヒントは散りばめられているのに、明確に答えに導くためのルートは示してくれているのに、捻り出しても何も浮かんでこない。本当にどうしよう。
神様なんてこの世にいるのかあたしは知らないけれど、気がついたらあたしは指と指を合わせ、祈りを捧げるように両手を握っていた。
「……お願いします。どうすればいいのか、教えてください」
困った時の神頼みというけれど、本当に神様がいるのなら、縋りたい一心だった。
願っただけでどうにかなるなんて、思ってない。もし何かに祈ってなんでも叶うなら、あたしは記憶喪失になんてなってないんだから。
でもその時、あたしの頭がグググ、と重くなった。あっ、やばいと思って頭部を押さえようと手を伸ばしたけれど遅かった。あたしの頭からはいつぞやの鹿のような角がニョキニョキ生えてしまった。それと同時に、耳元がじんわりと熱い。慌てて耳に手を伸ばすと、いつもの耳の形ではなくなっている。丸みを帯びていたはずの耳が、尖り、固くなっている。
「ひっ」
とりあえず誰にもバレないようにと、あたしは机の下に潜り込んだ。強く思えば変化するのは知っていたけれど、神頼みしただけなのに、迂闊だった。あたしが現状を打破したいがために、体の変化を引き起こしてしまったのかも。
机に潜り込んだあたしの、尖った耳はふいに何らかの声を拾ってきた。
「この端末を実際に試練で必要としてるのって、半分くらいよね」
仁先生の声だ。近くにいるのだろうか。だけど、キョロキョロと低い位置で見渡してみても、それらしい姿は見当たらない。それなのに、耳のそばで間近に話されているような感覚になっている。
「そうだヨ。半分の班にも配ったのはダミー。必要ないものに振り回されるのもまた、醍醐味だからネ」
「必要か不必要か、見極める力も大切な能力だ」
「……宇和先生と戸鳴先生も?」
三人の話声だ。三人がまるであたしを取り囲んで会話しているみたいな、そんな感覚。
もしかしてこの尖った耳のせいなのかもしれない。何が起こっているのかはわからないけれど、あたしはただ黙って、喋り続ける三人の会話に集中して耳を傾けた。
「ところで、どうして飛騨をあの班に組み込んだんだ?」
ドキッとした。あたしが盗み聞きしているのがバレてて、わざとあたしに聞かせているのかと思った。
「うーん……一言で言えば、つなぎカナ」
つなぎ? あたしの中にハンバーグが捏ねられる様子がぽわぽわ浮かび上がった。俵型に形成するところまで映像が流れたところで、慌てて頭を振る。違う、絶対そういうことじゃない。気を取り直しでもう一度耳を澄ます。
「それにしても、能力解放を感知して作用する端末が、こんなに軽量化に成功するとは」
「これでも十分大きいんじゃないカナ」
「そお~? 重くないしいいと思うけど」
能力を解放して、作用?
重要なヒントを受け取ったような気がした瞬間、あたしの耳の熱は引いて行き、頭は軽くなった。慌てて頭を触ると、予想通りただの丸い頭になっていたし、耳はいつも通り柔らかく戻っていた。
「よく、わかんないけど……」
どこかで話ていた先生たちの声が聞こえた。机の下から這い出て、あたりをキョロり見渡すと、生垣の奥の噴水広場で、ベンチに腰をかけている三人が木々の合間から見えた。遠くもないけれど、大声でも張り上げていなければこちらに声は決して届くことはない。そして今話し込んでいる三人の声は、息づかい一つすらあたしの耳には飛び込んで来ない。
あの状況が特殊だったってこと。それを深く考えたかったけど、今はやめた。偶然か何かわからないけれど、耳に飛び込んできたよくわからないヒント。それがきっと、あたしたちの班の解決策に絶対になる。
「能力を解放しなきゃ、作用しないんだよね」
あたしが実は能力持ちであることは、三人の専科の先生は知らないはず。じゃあもしかしたら。
「あたしはいらない。もしかしたら、深雪ちゃんと赤石くんが能力を解放して触れば……」
もしその仮説があっているとすれば、さっきは水晶を引き剝がせなかったことにも納得がつく。そして、空中の水晶も水中の水晶も、三人で無理やり触る必要はない。あの二人がなんとか協力して、端末に能力を感知させれば、このよくわからない魔法陣みたいな固定も解けるのかもしれない。
さっき建てた仮説みたいに、確証は持てない。でも、ヒントが一つ増えたなら、希望だって持っていいんじゃない。
「この端末で、二人の個人能力を認識して、その端末が発する電波か電磁波か何かで、水晶を固定している何かを無力化して……」
あたしは駆け出した。あたしが動かせるのは現状、ただの両足くらいしかない。
向かったのは赤石くんがいるはずの体育館。きっとさっき見つけた空中に浮いていた水晶の傍で、赤石くんも何かを試しているはずだから。赤石くんはきっとそういう人。あたしは短い期間しか赤石くんと過ごしていないけど、何となくわかる。
赤石くんはあたしの秘密を今も守り続けてくれている。仲の悪い深雪ちゃんとあたしとの、時々開催される密会も、約束の五分前には秘密通路を通って書庫で待ってくれている。嫌味しか言わなくて、あたしたちを心から面倒くさがっているような人じゃない。態度と言葉がチグハグで、表面だけ見れば誤解されちゃうけど、多分。「本当の赤石くん」は何重にも隠されている気がする。
注意深く紫水晶を眺めていると、水晶の置かれている底、つまり机の上に水晶をくるりと囲うように何かが描かれていることに気がついた。
「白い……チョークのような……」
まるで魔法陣のような、複雑な文様が描かれている。もちろん水晶で隠れて全貌は見えないけれど、魔法使いが扱うような文様が描かれている。まるでファンタジーものみたいで、こんな状況だって言うのにちょっとドキドキした。
何かがあるかも知れないと思って、白い紋様を指でなぞってみたけれど、何も変化はない。文様も消えない。つまり、チョークのような簡単に消える筆記具で書かれたものではないみたい。
「これが、水晶をひっぺがさないようにしてるのは間違いないですよね」
つまりこれを無力化する必要があるってこと。
例えば、三人で一斉に一つの水晶を触るんじゃなくて、それぞれを一つずつ、同じタイミングで触るのはどうだろう。水中は深雪ちゃんが、空中は赤石くんが。そしてこの目の前の水晶はあたしが触ればいい。けど、本当に? これだけ長い時間が与えられておいて、三つの水晶を見つけるのだって簡単だったのに、本当にそんな回答でいいの? それにもう一度試してみたくても、深雪ちゃんも赤石くんもどこかに行ってしまった。二人を呼んで、試して、無意味だったら。
そりゃああの二人のことだから、さらに喧嘩がヒートアップするに違いない。そうしたらさらに時間もなくなるし、推理する時間も削られちゃうし。
「あー……もう!」
どうすればいいんだろう! むしゃくしゃして思わず髪の毛を掻きむしったら、何かがあたしの腰元で揺れた。なんだっけ、と思って目をやると、深雪ちゃんに「水に潜った時に万が一壊すとあかんから」と言われて、すっ飛んで行く前に預かっていた、支給されたショルダーバッグに入った端末だった。
肌身離さず持っていろ、って言われたけど、だからどうとか、何かに使うとは言われてない。ショルダーバッグに入れたままになっていたそれを、引っ張り出してみた。
小型のトランシーバーのような、軽量な端末だ。ゴテゴテした装飾もついていないし、一見なんの機械なのかはわからない。ものは試しだ。端末を水晶に恐る恐る近づけてみた。
ビー
「うああっ」
驚いたあたしはびくーっと全身を硬直させてしまった。変なエラー音みたいな音が、端末から鳴り響いた。
けど、それだけだ。コツコツ、と端末を指で叩いてみたけれど、それ以降端末が反応を示すことはなかった。
「……で」
どうしよう。
この端末を鳴らすのは正解だったの? 誤作動? もしかして鳴らしちゃダメだった?
どうすればいいのって相談したいのに、あたしの隣には誰もいない。でも責めちゃダメだ、この原因を作った一因はあたしなんだもん。
あたしは、背中につぅっと冷や汗が流れるのを実感した。焦ってる、あたし。何かヒントは散りばめられているのに、明確に答えに導くためのルートは示してくれているのに、捻り出しても何も浮かんでこない。本当にどうしよう。
神様なんてこの世にいるのかあたしは知らないけれど、気がついたらあたしは指と指を合わせ、祈りを捧げるように両手を握っていた。
「……お願いします。どうすればいいのか、教えてください」
困った時の神頼みというけれど、本当に神様がいるのなら、縋りたい一心だった。
願っただけでどうにかなるなんて、思ってない。もし何かに祈ってなんでも叶うなら、あたしは記憶喪失になんてなってないんだから。
でもその時、あたしの頭がグググ、と重くなった。あっ、やばいと思って頭部を押さえようと手を伸ばしたけれど遅かった。あたしの頭からはいつぞやの鹿のような角がニョキニョキ生えてしまった。それと同時に、耳元がじんわりと熱い。慌てて耳に手を伸ばすと、いつもの耳の形ではなくなっている。丸みを帯びていたはずの耳が、尖り、固くなっている。
「ひっ」
とりあえず誰にもバレないようにと、あたしは机の下に潜り込んだ。強く思えば変化するのは知っていたけれど、神頼みしただけなのに、迂闊だった。あたしが現状を打破したいがために、体の変化を引き起こしてしまったのかも。
机に潜り込んだあたしの、尖った耳はふいに何らかの声を拾ってきた。
「この端末を実際に試練で必要としてるのって、半分くらいよね」
仁先生の声だ。近くにいるのだろうか。だけど、キョロキョロと低い位置で見渡してみても、それらしい姿は見当たらない。それなのに、耳のそばで間近に話されているような感覚になっている。
「そうだヨ。半分の班にも配ったのはダミー。必要ないものに振り回されるのもまた、醍醐味だからネ」
「必要か不必要か、見極める力も大切な能力だ」
「……宇和先生と戸鳴先生も?」
三人の話声だ。三人がまるであたしを取り囲んで会話しているみたいな、そんな感覚。
もしかしてこの尖った耳のせいなのかもしれない。何が起こっているのかはわからないけれど、あたしはただ黙って、喋り続ける三人の会話に集中して耳を傾けた。
「ところで、どうして飛騨をあの班に組み込んだんだ?」
ドキッとした。あたしが盗み聞きしているのがバレてて、わざとあたしに聞かせているのかと思った。
「うーん……一言で言えば、つなぎカナ」
つなぎ? あたしの中にハンバーグが捏ねられる様子がぽわぽわ浮かび上がった。俵型に形成するところまで映像が流れたところで、慌てて頭を振る。違う、絶対そういうことじゃない。気を取り直しでもう一度耳を澄ます。
「それにしても、能力解放を感知して作用する端末が、こんなに軽量化に成功するとは」
「これでも十分大きいんじゃないカナ」
「そお~? 重くないしいいと思うけど」
能力を解放して、作用?
重要なヒントを受け取ったような気がした瞬間、あたしの耳の熱は引いて行き、頭は軽くなった。慌てて頭を触ると、予想通りただの丸い頭になっていたし、耳はいつも通り柔らかく戻っていた。
「よく、わかんないけど……」
どこかで話ていた先生たちの声が聞こえた。机の下から這い出て、あたりをキョロり見渡すと、生垣の奥の噴水広場で、ベンチに腰をかけている三人が木々の合間から見えた。遠くもないけれど、大声でも張り上げていなければこちらに声は決して届くことはない。そして今話し込んでいる三人の声は、息づかい一つすらあたしの耳には飛び込んで来ない。
あの状況が特殊だったってこと。それを深く考えたかったけど、今はやめた。偶然か何かわからないけれど、耳に飛び込んできたよくわからないヒント。それがきっと、あたしたちの班の解決策に絶対になる。
「能力を解放しなきゃ、作用しないんだよね」
あたしが実は能力持ちであることは、三人の専科の先生は知らないはず。じゃあもしかしたら。
「あたしはいらない。もしかしたら、深雪ちゃんと赤石くんが能力を解放して触れば……」
もしその仮説があっているとすれば、さっきは水晶を引き剝がせなかったことにも納得がつく。そして、空中の水晶も水中の水晶も、三人で無理やり触る必要はない。あの二人がなんとか協力して、端末に能力を感知させれば、このよくわからない魔法陣みたいな固定も解けるのかもしれない。
さっき建てた仮説みたいに、確証は持てない。でも、ヒントが一つ増えたなら、希望だって持っていいんじゃない。
「この端末で、二人の個人能力を認識して、その端末が発する電波か電磁波か何かで、水晶を固定している何かを無力化して……」
あたしは駆け出した。あたしが動かせるのは現状、ただの両足くらいしかない。
向かったのは赤石くんがいるはずの体育館。きっとさっき見つけた空中に浮いていた水晶の傍で、赤石くんも何かを試しているはずだから。赤石くんはきっとそういう人。あたしは短い期間しか赤石くんと過ごしていないけど、何となくわかる。
赤石くんはあたしの秘密を今も守り続けてくれている。仲の悪い深雪ちゃんとあたしとの、時々開催される密会も、約束の五分前には秘密通路を通って書庫で待ってくれている。嫌味しか言わなくて、あたしたちを心から面倒くさがっているような人じゃない。態度と言葉がチグハグで、表面だけ見れば誤解されちゃうけど、多分。「本当の赤石くん」は何重にも隠されている気がする。
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