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1 異世界トリップ即挙式
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その日は、いつもと変わり映えのない日として終わるはずだった。
仕事に仕事、仕事に追われて今日も今日とて深夜残業。俺に仕事を押し付けて、とっとと定時で帰りやがった上司に恨み言を呪詛のようにぶつぶつ呟きながら、俺はパソコンに向かっていた。薄暗いオフィスで、自分の真上の蛍光灯だけが煌々と光り輝いていて、デスクの上にはひしゃげたエナジードリンクの缶がふたつ転がっている。
「あー……終わった」
ようやく今日中に終わらせるべき仕事に片が付き、俺は首をぐるりと回した。凝り固まった筋肉がほぐされていく感覚がする。パソコンをシャットダウンすると、真っ黒なモニターに自分の顔が映り込んだ。鏡ではっきり映し出さなくとも分かる、やつれた自分の顔。改めて自分の顔面なんてじっくり見る機会はほとんどないが、ぱっと見ただけで、これはあまりにも酷いとなんとなくわかる。隈も目の下にこびり付いているし、げっそりとやせこけた頬は見るに堪えない。
ブラック企業勤めが数年続けばこうもなるよな、と自分自身に対してため息を吐いた。ただ、どうやったって現状が変えられないことに諦めきった俺は、デスク近くの床に置いてある鞄を手に取って、終電もとっくに乗り過ごした時間のオフィスを後にしようと椅子から立ち上がった。
だが一歩踏み出した途端、突然視界がぐにゃりと歪んだ。慌ててデスクに左手をついて体制を立て直そうとするが、足に力が入らない。まるで自分の足元が波打っているように感じる。俺はどうにもできず、そのまま床に前のめりで倒れこんだ。
おい、嘘だろ。俺の人生もしかして終わりかよ。ろくでもない人生だった、と振り返る時間すら与えてくれず、俺の意識はふっと遠のいていった。
◆
「――殿下、殿下。聞こえていらっしゃいますか」
「……?」
誰かに優しく肩を揺さぶられた。聞きなれない名称で呼ばれたが、自分に向かって声を掛けられていることはわかる。俺は何が何だかわからず、瞑っていた瞳をゆっくりと開いた。
「長旅でお疲れのところ、申し訳ございません。到着当日に式など本来挙げるものではございませんが……」
「……は、はあ」
ぼんやりとした視界が次第に晴れていく。ぱちぱちと瞬きを繰り返すとようやく周囲の様子がはっきりと見えてきた。
俺のことをのぞき込んでいたのは、日本ではおよそお目に掛かれないような美しい銀色の髪の毛を結い上げた女性だった。くるぶしが隠れるほどの長い丈のメイド服に身を包んでいる。いわゆる安っぽいコスプレでよく見かけるようなメイド服とは異なり、エプロンのフリルも控え目だ。上品に仕立てられたその洋装と、美しい容姿におれはぽかんと口を開けた。
慌てて女性から視線を逸らして、今自分の置かれている状況を確認する。ここは小部屋のようだった。俺は二人掛けのソファに腰を掛け、肘置きに体を預けて眠りこけていたらしい。だが、俺の理解は全く進まない。
ここはどこだ? 俺は確か最後、会社で倒れたはず、だよな? 転んだ衝撃で頭を打ち付けて、どこかおかしくなったのか? それとも今、俺は夢の中に居るのか?
混乱したまま真正面を向いた俺は、そこに大きな姿見があることに気が付いた。そこに映り込んでいるのは、まぎれもなく俺だ。いや、俺のはずだ。現に俺が右手を挙げたら鏡の中の相手も手を挙げている。だが最後に覚えている自分自身の姿とまるで違う鏡の中の姿に、俺は思わずソファから立ち上がった。そのまま姿見の前に立ち、愕然とする。
「これ……俺か?」
目や鼻、口の形には見覚えがある。俺の顔立ちそのものだ。背の高さも覚えのある高さ。だが、典型的な日本人且つ疲労を溜め込んだ社畜の俺の容姿とは明らかに変わり果てていた。
まず目につくのは、金色に輝く頭髪。一度も染めたことのなかったはずの真っ黒な頭髪は、見事なプラチナブロンドに変わり果てていた。そっと触れてみると、頭髪へのダメージとは無縁のふわっふわの触り心地だった。毎日欠かさずに手入れされているであろう美しい髪の毛だ。それに続いて目を引くのは、まるでサファイアのような透き通ったブルーの瞳。室内灯の光を受けて、疲れ目なんて無縁のその瞳はきらきらと輝き、目の下に隈の影はみじんも見当たらない。痩せこけていたはずの頬も健康的な膨らみを持っている。髪の毛に触れていた手を頬へとずらすと、すべすべとした肌触りに思わずびっくりして背筋を伸ばす。そのまま頬を摘まんでみると、もちもちとしたきわめて健康的な肉付きと、肌に確かな痛みを感じた。
痛み? そうだ。摘まんだら肉は痛い。だけど夢なら痛くないはずだろう。
「……えっ、現実?」
「殿下、そろそろお時間です」
そっと後ろから声を掛けられる。俺に対して“殿下”と言った。俺が殿下?
ただただ混乱している俺は、よく見ると確かに“王子様”という装いに身を包んでいることに気が付いた。上着もズボンも全身真っ白、金色糸の刺繍があしらわれ、肩についた紐のような装飾ももれなく金色だ。それが、この現実離れした容姿と相まって、まさに王子と呼ぶに相応しい姿になっている。
俺は昏倒した拍子に全身コスプレでもさせられて、壮大なドッキリでも仕掛けられているのか? けど、だとしたら一晩で顔色がよくなり、肩にずっしりと重しが乗ったようだった強力な肩こりも改善され、体の調子が整っているのはおかしい。俺はただただ混乱した状態で、メイド姿の女性に促されるままに扉の外へと出た。
夢なのか、なんなのか。戸惑ったままあれよあれよと連れてこられたのはチャペルのような場所だ。すっかり日も落ちて空は夕闇に包まれている。取り囲む人々がわあわあと騒ぎ立てているが、状況が掴めていない俺は何も分からない。ただ、星が照らす空の下、チャペルの前に立たされて、もう引き返せないところまで来ていることだけは分かった。
「殿下。事前にお知らせしたとおり、簡易的な式ですから、お名前を呼ばれたら『誓います』と仰っていただければ問題ございませんので」
「は、はあ……」
なにも分からないまま、傍に待機していたこれまた煌びやかな服に身を包んだ人が、チャペルの扉を二人掛かりで開いた。俺は格闘ゲームの2Pカラーのようになった自分がどこに連れ出され、何をされるのかも分からないまま、開いたチャペルの中に一歩踏み入れた。
チャペルの中は荘厳な音楽が流れていた。それ以外、人の話し声は一言も聞こえては来ない。通路や壁にはキャンドルに明かりが灯され、幻想的だ。ただ、左右どちらの参列者席にもずらりと人が着席している。俺はどうしたらいいかよく分からず、後ろでぱたんと扉が閉じられた音を聞きながら、呆然とその場に立ち尽くした。
「――イストワール国第五王子。カミーユ・スフェール殿下。前へ」
“殿下”と呼ばれた。つまり俺のことだろう。作法も何も分からないが、とりあえずまっすぐ進む。だが歩いている間に、この“式”がなんなのか、ごちゃごちゃになっている頭の中でも段々と分かり始めてきた。
(式って、結婚式のことか……?)
つまり、俺は今から知らない相手と結婚式を挙げるところってこと!? ぎょっとしながらも、どこか他人事のようにも思っていた。そもそも、いまだに俺はこの出来事が現実だと思えていない。だって何もかもが俺の知っている現実からかけ離れて居る。頬を触ったときに痛みを感じたけれど、それももしかしたら錯覚かもしれない。頭を打った衝撃で長い長い、現実じみた夢を見ているだけかもしれない。だから俺は呼ばれるがままにチャペルの最奥、祭壇の前まで足を進めた。その隣に、誰かがいる。そりゃあそうだ、結婚式なんだから、結婚する相手が居て初めて成り立つのだろう。祭壇の前に立つ、俺と対照的にうって変わって真っ黒な装いの相手が、その結婚相手というわけだ。
どんな女性だ? 女性にしては背が高くないか? でも今時そんなことは気にするようなもんでもないか、などとごちゃごちゃ考えながら近づいていく。だが俺が自分の思い込みと勘違いに気づいたのは、恥ずかしながら相手の隣に立って、相手の顔を覗き込んだ時だった。
後ろ姿や服装、体格で気づくべきだったのに。勘違いを起こすほどの動揺が俺の中に巡っていたことを改めて気づかされてしまった。
「なっ……」
思わず叫び声を挙げそうになり、慌てて両手で口を押える。俺のそんな慌ただしい動作にも、相手の“男”は何一つ動じず、眉一つ動かすことなく、正面の祭壇だけに向かい合っていた。
そう、男だった。同性の男だ。腰まで届く、長い漆黒の髪の毛を、銀色の髪飾りで低い位置で一括りにしている。自分とは真逆の、黒い王子服に銀色の刺繍や装飾の施された煌びやかな服装は、端正な顔立ちをより際立たせていた。男らしく、彫の深い顔立ちと、凛々しさの際立つ眉毛や、蜂蜜色の瞳がきらきら輝いている。
「それではこれより、エルドラード皇国第二皇子、テオ・シュトゥルム殿下とストワール国第五王子。カミーユ・スフェール殿下の結婚式を執り行います。参列者の方々、ご起立ください」
え、え、と俺が動揺している間、後ろで座っていた人たちが一斉に立ち上がる音がする。血の気が引いて、俺はこれが夢だと再確認したくて、こっそり腿を服の上からぎゅっと抓った。
痛い。
これは、夢じゃない。
夢でも幻でも幻覚でもなく、俺は今、男と結婚式を挙げている。
仕事に仕事、仕事に追われて今日も今日とて深夜残業。俺に仕事を押し付けて、とっとと定時で帰りやがった上司に恨み言を呪詛のようにぶつぶつ呟きながら、俺はパソコンに向かっていた。薄暗いオフィスで、自分の真上の蛍光灯だけが煌々と光り輝いていて、デスクの上にはひしゃげたエナジードリンクの缶がふたつ転がっている。
「あー……終わった」
ようやく今日中に終わらせるべき仕事に片が付き、俺は首をぐるりと回した。凝り固まった筋肉がほぐされていく感覚がする。パソコンをシャットダウンすると、真っ黒なモニターに自分の顔が映り込んだ。鏡ではっきり映し出さなくとも分かる、やつれた自分の顔。改めて自分の顔面なんてじっくり見る機会はほとんどないが、ぱっと見ただけで、これはあまりにも酷いとなんとなくわかる。隈も目の下にこびり付いているし、げっそりとやせこけた頬は見るに堪えない。
ブラック企業勤めが数年続けばこうもなるよな、と自分自身に対してため息を吐いた。ただ、どうやったって現状が変えられないことに諦めきった俺は、デスク近くの床に置いてある鞄を手に取って、終電もとっくに乗り過ごした時間のオフィスを後にしようと椅子から立ち上がった。
だが一歩踏み出した途端、突然視界がぐにゃりと歪んだ。慌ててデスクに左手をついて体制を立て直そうとするが、足に力が入らない。まるで自分の足元が波打っているように感じる。俺はどうにもできず、そのまま床に前のめりで倒れこんだ。
おい、嘘だろ。俺の人生もしかして終わりかよ。ろくでもない人生だった、と振り返る時間すら与えてくれず、俺の意識はふっと遠のいていった。
◆
「――殿下、殿下。聞こえていらっしゃいますか」
「……?」
誰かに優しく肩を揺さぶられた。聞きなれない名称で呼ばれたが、自分に向かって声を掛けられていることはわかる。俺は何が何だかわからず、瞑っていた瞳をゆっくりと開いた。
「長旅でお疲れのところ、申し訳ございません。到着当日に式など本来挙げるものではございませんが……」
「……は、はあ」
ぼんやりとした視界が次第に晴れていく。ぱちぱちと瞬きを繰り返すとようやく周囲の様子がはっきりと見えてきた。
俺のことをのぞき込んでいたのは、日本ではおよそお目に掛かれないような美しい銀色の髪の毛を結い上げた女性だった。くるぶしが隠れるほどの長い丈のメイド服に身を包んでいる。いわゆる安っぽいコスプレでよく見かけるようなメイド服とは異なり、エプロンのフリルも控え目だ。上品に仕立てられたその洋装と、美しい容姿におれはぽかんと口を開けた。
慌てて女性から視線を逸らして、今自分の置かれている状況を確認する。ここは小部屋のようだった。俺は二人掛けのソファに腰を掛け、肘置きに体を預けて眠りこけていたらしい。だが、俺の理解は全く進まない。
ここはどこだ? 俺は確か最後、会社で倒れたはず、だよな? 転んだ衝撃で頭を打ち付けて、どこかおかしくなったのか? それとも今、俺は夢の中に居るのか?
混乱したまま真正面を向いた俺は、そこに大きな姿見があることに気が付いた。そこに映り込んでいるのは、まぎれもなく俺だ。いや、俺のはずだ。現に俺が右手を挙げたら鏡の中の相手も手を挙げている。だが最後に覚えている自分自身の姿とまるで違う鏡の中の姿に、俺は思わずソファから立ち上がった。そのまま姿見の前に立ち、愕然とする。
「これ……俺か?」
目や鼻、口の形には見覚えがある。俺の顔立ちそのものだ。背の高さも覚えのある高さ。だが、典型的な日本人且つ疲労を溜め込んだ社畜の俺の容姿とは明らかに変わり果てていた。
まず目につくのは、金色に輝く頭髪。一度も染めたことのなかったはずの真っ黒な頭髪は、見事なプラチナブロンドに変わり果てていた。そっと触れてみると、頭髪へのダメージとは無縁のふわっふわの触り心地だった。毎日欠かさずに手入れされているであろう美しい髪の毛だ。それに続いて目を引くのは、まるでサファイアのような透き通ったブルーの瞳。室内灯の光を受けて、疲れ目なんて無縁のその瞳はきらきらと輝き、目の下に隈の影はみじんも見当たらない。痩せこけていたはずの頬も健康的な膨らみを持っている。髪の毛に触れていた手を頬へとずらすと、すべすべとした肌触りに思わずびっくりして背筋を伸ばす。そのまま頬を摘まんでみると、もちもちとしたきわめて健康的な肉付きと、肌に確かな痛みを感じた。
痛み? そうだ。摘まんだら肉は痛い。だけど夢なら痛くないはずだろう。
「……えっ、現実?」
「殿下、そろそろお時間です」
そっと後ろから声を掛けられる。俺に対して“殿下”と言った。俺が殿下?
ただただ混乱している俺は、よく見ると確かに“王子様”という装いに身を包んでいることに気が付いた。上着もズボンも全身真っ白、金色糸の刺繍があしらわれ、肩についた紐のような装飾ももれなく金色だ。それが、この現実離れした容姿と相まって、まさに王子と呼ぶに相応しい姿になっている。
俺は昏倒した拍子に全身コスプレでもさせられて、壮大なドッキリでも仕掛けられているのか? けど、だとしたら一晩で顔色がよくなり、肩にずっしりと重しが乗ったようだった強力な肩こりも改善され、体の調子が整っているのはおかしい。俺はただただ混乱した状態で、メイド姿の女性に促されるままに扉の外へと出た。
夢なのか、なんなのか。戸惑ったままあれよあれよと連れてこられたのはチャペルのような場所だ。すっかり日も落ちて空は夕闇に包まれている。取り囲む人々がわあわあと騒ぎ立てているが、状況が掴めていない俺は何も分からない。ただ、星が照らす空の下、チャペルの前に立たされて、もう引き返せないところまで来ていることだけは分かった。
「殿下。事前にお知らせしたとおり、簡易的な式ですから、お名前を呼ばれたら『誓います』と仰っていただければ問題ございませんので」
「は、はあ……」
なにも分からないまま、傍に待機していたこれまた煌びやかな服に身を包んだ人が、チャペルの扉を二人掛かりで開いた。俺は格闘ゲームの2Pカラーのようになった自分がどこに連れ出され、何をされるのかも分からないまま、開いたチャペルの中に一歩踏み入れた。
チャペルの中は荘厳な音楽が流れていた。それ以外、人の話し声は一言も聞こえては来ない。通路や壁にはキャンドルに明かりが灯され、幻想的だ。ただ、左右どちらの参列者席にもずらりと人が着席している。俺はどうしたらいいかよく分からず、後ろでぱたんと扉が閉じられた音を聞きながら、呆然とその場に立ち尽くした。
「――イストワール国第五王子。カミーユ・スフェール殿下。前へ」
“殿下”と呼ばれた。つまり俺のことだろう。作法も何も分からないが、とりあえずまっすぐ進む。だが歩いている間に、この“式”がなんなのか、ごちゃごちゃになっている頭の中でも段々と分かり始めてきた。
(式って、結婚式のことか……?)
つまり、俺は今から知らない相手と結婚式を挙げるところってこと!? ぎょっとしながらも、どこか他人事のようにも思っていた。そもそも、いまだに俺はこの出来事が現実だと思えていない。だって何もかもが俺の知っている現実からかけ離れて居る。頬を触ったときに痛みを感じたけれど、それももしかしたら錯覚かもしれない。頭を打った衝撃で長い長い、現実じみた夢を見ているだけかもしれない。だから俺は呼ばれるがままにチャペルの最奥、祭壇の前まで足を進めた。その隣に、誰かがいる。そりゃあそうだ、結婚式なんだから、結婚する相手が居て初めて成り立つのだろう。祭壇の前に立つ、俺と対照的にうって変わって真っ黒な装いの相手が、その結婚相手というわけだ。
どんな女性だ? 女性にしては背が高くないか? でも今時そんなことは気にするようなもんでもないか、などとごちゃごちゃ考えながら近づいていく。だが俺が自分の思い込みと勘違いに気づいたのは、恥ずかしながら相手の隣に立って、相手の顔を覗き込んだ時だった。
後ろ姿や服装、体格で気づくべきだったのに。勘違いを起こすほどの動揺が俺の中に巡っていたことを改めて気づかされてしまった。
「なっ……」
思わず叫び声を挙げそうになり、慌てて両手で口を押える。俺のそんな慌ただしい動作にも、相手の“男”は何一つ動じず、眉一つ動かすことなく、正面の祭壇だけに向かい合っていた。
そう、男だった。同性の男だ。腰まで届く、長い漆黒の髪の毛を、銀色の髪飾りで低い位置で一括りにしている。自分とは真逆の、黒い王子服に銀色の刺繍や装飾の施された煌びやかな服装は、端正な顔立ちをより際立たせていた。男らしく、彫の深い顔立ちと、凛々しさの際立つ眉毛や、蜂蜜色の瞳がきらきら輝いている。
「それではこれより、エルドラード皇国第二皇子、テオ・シュトゥルム殿下とストワール国第五王子。カミーユ・スフェール殿下の結婚式を執り行います。参列者の方々、ご起立ください」
え、え、と俺が動揺している間、後ろで座っていた人たちが一斉に立ち上がる音がする。血の気が引いて、俺はこれが夢だと再確認したくて、こっそり腿を服の上からぎゅっと抓った。
痛い。
これは、夢じゃない。
夢でも幻でも幻覚でもなく、俺は今、男と結婚式を挙げている。
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