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第八章「腐れ縁は切れるなら切りたい」
31.やって来たのはイケメン
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今日もマーシャ達3人の弟子を鍛えながら、読書をしているハルは思い出したかのようにショコラに1つの疑問を投げかけた。
「そう言えば、確かショコラさんこの前森に調査に行きましたよね。モンスター関連で」
「ああ、行ったな。どうした?」
「いや、何か手がかりとか見つかったのかなって思いまして」
「まぁ、見つかったちゃ見つかったな」
「本当ですか!?」
弟子2人が来る前、森の方でモンスターが大量発生し、ここではまず出ることがあり得ない巨大樹木モンスターが起きた事件。リディルの町の捜査官は何も得られなかったとあったので、この言葉はハルを驚かせた。
ショコラはポケットから小さな尖っている輝く紫のかけらを見せた。
「なんですか? これ、魔石ですか?」
「お、鋭いな。そうなんだよ。しかもこれ使っちゃいけないって奴」
「禁術もの!?」
「そう、これはちっぽけなかけらだから、力も弱いがかけらになる前の結晶で何かやっていたことは明白だ」
「嘘…何で捜査官たちはこれを見逃したんです?」
「捜査官は魔道士もいたが恐らくこのかけらの魔力は微量……私ぐらいの力にならないと気づくことも出来ないぐらいに薄められているな」
「そんなこと出来るの……?」
「まぁ、出来なくは無いが……かなりの調整が必要だ。それに犯人はこのかけらだけを意図的に残したみたいだし」
「つまり、犯人はこのかけらを使って今回の暴走を起こしたって事ですか?」
「ああ、そうだ」
「……許せない」
「そうだな、森の動物や植物を傷つける真似をして……」
「そのせいでこの前の読書時間が5時間も減ったんだから……!」
「そっちかーい」
そう言って血の涙を流すハルを見てショコラはずっこける。そしてその様子を弟子達はちょっと見た後すぐに修行に戻った。
さて、それから数日後。ショコラは自室で例のかけらとにらめっこしていた。机の上にはかけらと魔石に関する本、そして虫眼鏡などが置いてあった。
「多分これで分かる気がする……っと来たな」
ショコラが虫眼鏡を通して、魔石の鑑定をすると、魔力を込めた時期や人物そして砕かれた時まではっきりと判明した。
そして、その人物を通してショコラは苦虫をかみつぶしたような表情になる。
「ま、やるとは思っていたがアイツかよ……しかもこの魔力の様子、近日中に来るという事か……」
ショコラは椅子にもたれかかり、顔を上げて右腕を目の上にかけて、ふーっとため息をついた。
そこから数日間、ショコラは結構挙動不審な態度を取っていた。どこかそわそわして落ち着きが無いのだ。しかも屋敷の誰が聞いても大丈夫と答えるだけなので、皆の心配を深めるだけだった。
そして遂にその日はやって来た。いつものようにショコラとハルが図書館で本を読んでいると、マーシャがとても興奮したようでやって来た。マーシャは嬉しそうにショコラに話した。
「ショコラ師匠! やっぱりアナタは凄い魔女様です!」
「あ? どうしたいきなり褒めて、褒めても何も出ないぞ」
「あんなイケメンから呼ばれるなんて……その人まさか師匠の恋人ですか?」
「は? イケメン?」
マーシャの言葉に頭にハテナマークがたくさん浮いていたショコラだが、ふと1つの事に辿り着き、マーシャに言った。
「今、分かったわ。ところでマーシャ、その『イケメン』とやらはどこにいる?」
「はい、応接室に通してあります。今、ルビィさんがお茶を用意してると思いますよ」
「分かった。すぐに案内して」
「はーい!」
嬉しそうなマーシャとは対照的にショコラはどこか慌てた様子で応接室に向かう。その様子を見てハルは嫌な予感しかしなかった。
「やぁショコラ久しぶりだねっといきなり、バーニングをとばすのはやめてくれないか?」
「アンタみたいな極悪非道魔女に歓迎する要素があるとでも?」
応接室に来たショコラはそこにいた人物に向かって、燃えさかる炎を投げ飛ばす。しかし、その人物はたやすく魔法を吸収した。
あまりの高レベルな戦いにマーシャが口を開くとショコラが指示を出す。
「あ、あの、ショコラ師匠。この方は一体……?」
「とりあえずリリィとクロエを呼んでこい。話はそれからだ」
「は、はい!」
マーシャは普段見せ無いショコラの気迫に押され、弟子仲間であるほかの二人を呼びにいった。ショコラは怒りの目線を先程の人に向けて、地の底から匍うような声で言った。
「オマエが来ると、ホントに碌な事にならん、何しに来た『精神のルチア』!」
「そんなに怒らなくてもいいじゃん?」
ルチアと呼ばれた紺色のショートカットをした人物は先程と変わらないような笑い方を見せた。それが、ショコラの怒りを増幅させる。
「ショコラ師匠、呼んできました……って何があったんです!?」
マーシャが他の2人を連れてみるとそこにはショコラによって拘束され、蓑虫になっている。ルチアがいた。マーシャ達が来たことに気づいたショコラが楽しそうに話す。
「とりあえず、コイツをボコボコにしていいからな」
「話が見えません……」
「そう言えば、確かショコラさんこの前森に調査に行きましたよね。モンスター関連で」
「ああ、行ったな。どうした?」
「いや、何か手がかりとか見つかったのかなって思いまして」
「まぁ、見つかったちゃ見つかったな」
「本当ですか!?」
弟子2人が来る前、森の方でモンスターが大量発生し、ここではまず出ることがあり得ない巨大樹木モンスターが起きた事件。リディルの町の捜査官は何も得られなかったとあったので、この言葉はハルを驚かせた。
ショコラはポケットから小さな尖っている輝く紫のかけらを見せた。
「なんですか? これ、魔石ですか?」
「お、鋭いな。そうなんだよ。しかもこれ使っちゃいけないって奴」
「禁術もの!?」
「そう、これはちっぽけなかけらだから、力も弱いがかけらになる前の結晶で何かやっていたことは明白だ」
「嘘…何で捜査官たちはこれを見逃したんです?」
「捜査官は魔道士もいたが恐らくこのかけらの魔力は微量……私ぐらいの力にならないと気づくことも出来ないぐらいに薄められているな」
「そんなこと出来るの……?」
「まぁ、出来なくは無いが……かなりの調整が必要だ。それに犯人はこのかけらだけを意図的に残したみたいだし」
「つまり、犯人はこのかけらを使って今回の暴走を起こしたって事ですか?」
「ああ、そうだ」
「……許せない」
「そうだな、森の動物や植物を傷つける真似をして……」
「そのせいでこの前の読書時間が5時間も減ったんだから……!」
「そっちかーい」
そう言って血の涙を流すハルを見てショコラはずっこける。そしてその様子を弟子達はちょっと見た後すぐに修行に戻った。
さて、それから数日後。ショコラは自室で例のかけらとにらめっこしていた。机の上にはかけらと魔石に関する本、そして虫眼鏡などが置いてあった。
「多分これで分かる気がする……っと来たな」
ショコラが虫眼鏡を通して、魔石の鑑定をすると、魔力を込めた時期や人物そして砕かれた時まではっきりと判明した。
そして、その人物を通してショコラは苦虫をかみつぶしたような表情になる。
「ま、やるとは思っていたがアイツかよ……しかもこの魔力の様子、近日中に来るという事か……」
ショコラは椅子にもたれかかり、顔を上げて右腕を目の上にかけて、ふーっとため息をついた。
そこから数日間、ショコラは結構挙動不審な態度を取っていた。どこかそわそわして落ち着きが無いのだ。しかも屋敷の誰が聞いても大丈夫と答えるだけなので、皆の心配を深めるだけだった。
そして遂にその日はやって来た。いつものようにショコラとハルが図書館で本を読んでいると、マーシャがとても興奮したようでやって来た。マーシャは嬉しそうにショコラに話した。
「ショコラ師匠! やっぱりアナタは凄い魔女様です!」
「あ? どうしたいきなり褒めて、褒めても何も出ないぞ」
「あんなイケメンから呼ばれるなんて……その人まさか師匠の恋人ですか?」
「は? イケメン?」
マーシャの言葉に頭にハテナマークがたくさん浮いていたショコラだが、ふと1つの事に辿り着き、マーシャに言った。
「今、分かったわ。ところでマーシャ、その『イケメン』とやらはどこにいる?」
「はい、応接室に通してあります。今、ルビィさんがお茶を用意してると思いますよ」
「分かった。すぐに案内して」
「はーい!」
嬉しそうなマーシャとは対照的にショコラはどこか慌てた様子で応接室に向かう。その様子を見てハルは嫌な予感しかしなかった。
「やぁショコラ久しぶりだねっといきなり、バーニングをとばすのはやめてくれないか?」
「アンタみたいな極悪非道魔女に歓迎する要素があるとでも?」
応接室に来たショコラはそこにいた人物に向かって、燃えさかる炎を投げ飛ばす。しかし、その人物はたやすく魔法を吸収した。
あまりの高レベルな戦いにマーシャが口を開くとショコラが指示を出す。
「あ、あの、ショコラ師匠。この方は一体……?」
「とりあえずリリィとクロエを呼んでこい。話はそれからだ」
「は、はい!」
マーシャは普段見せ無いショコラの気迫に押され、弟子仲間であるほかの二人を呼びにいった。ショコラは怒りの目線を先程の人に向けて、地の底から匍うような声で言った。
「オマエが来ると、ホントに碌な事にならん、何しに来た『精神のルチア』!」
「そんなに怒らなくてもいいじゃん?」
ルチアと呼ばれた紺色のショートカットをした人物は先程と変わらないような笑い方を見せた。それが、ショコラの怒りを増幅させる。
「ショコラ師匠、呼んできました……って何があったんです!?」
マーシャが他の2人を連れてみるとそこにはショコラによって拘束され、蓑虫になっている。ルチアがいた。マーシャ達が来たことに気づいたショコラが楽しそうに話す。
「とりあえず、コイツをボコボコにしていいからな」
「話が見えません……」
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