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第四章「小説家にな…ってみよう」
16.評価は上々!
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夕食後、片付けもひと段落し各々のやる事をしようと出ようとしたとき、ショコラから待ったがかかった。
「はーい、ちょっと全員注目ー」
その場にいたクロエ以外の全員がショコラに向いた。
全員の視線が向いたことを確認したショコラはハルが書いた原稿を高々と取り出した。
「ちょっと皆に読んで貰いたい物があるんだよね。ハルが最近自室に籠もって、何をしているのか疑問に思った人もいるだろう。なんと、ハルはこの原稿を書いていたのだ!」
ショコラの言葉に一同は驚きで目を開く。
ショコラは全員の反応が気に入ったのか高々と声をあげ続けた。
「個人的にはとても面白かったが、ハルがこの屋敷全員の意見が聞きたいと言ってな! とりあえず全員分刷ったから読んで欲しい。読むのは自室でも良いよ」
と、ショコラは全員に配った。ハルはその様子を見ながら、(一体全体いつ刷ったのよ!)と額を押さえた。
ショコラがそれらを配り終わると配られた全員は自分の部屋へと帰っていった。
翌朝、ハルは起きると部屋の前が騒がしいと思い、ドアを開けた。そこには屋敷のメンバーが勢揃いしており、皆すっごく目を輝かせていた。
ハルはその景色を見て早急にドアを閉めたが、すぐに開けられ部屋に雪崩れ込むように入られた。
「ハル! やっぱり天才だな!」
「どうしたらそう言う展開に持ち込めるんですか!? ハル様凄いです」
「なんか今凄く清々しいわ!」
「はじめて全部読めたよー!」
とまぁ絶賛の嵐を広げる4人を何とか押さえながら、ハルは苦笑する。そして、その後ろで冷静なセレネを見つけて声をかけた。
「あれ、セレネも読んだの?」
「はい。私としてもかなり素晴らしいとは思いましたが、少し気になる点がございまして」
「気になる点?」
「はい」
他の4人を何とか掻き分け、ハルはセレネのところへ向かう。セレネはいつ用意していたのか眼鏡と赤ペンを持って、原稿を持っていた。
「何度も面白くて読んだのですが、冷静に見てみると、ちょっと誤字脱字がありまして…」
「え? ほんと? てかどこ?」
「例えば123ページの『アキは着火した杖をそのまま怪物に投げた。』のシーンですが、ここ『そのま』になってます」
「あ、ホントだ。ありがとう。ところでセレネ、こういう間違いってあと何カ所ある?」
「そうですね……ざっと見たところまぁ10カ所程度ですかね」
「うわっ意外に多いな。セレネありがとう」
原稿をパラパラと捲り、ハルはセレネが赤ペンで印を付けたところを確認する。
一通り確認した後、ハルはセレネから原稿を受け取った。
「分かった。修正しとくね。ところでセレネ、内容的にはどうだった?」
「内容としては特に矛盾点は無いです。私としても本にすれば必ず売れるでしょう」
眼鏡をクイと押し上げながらセレネは自信ありげに言う。そして、他の4人を見てるとやはり
同じような表情をしていたため、ハルは大分自信がついた。
朝食後、ハルはまたリディルの町に来ていた。ショコラに聞くと、本にするにはまず印刷業をやっている紹介を訪ねるのが良いとのことで、ハルはそこを訪ねた。
「あのー……すみません」
「はい、どうしました?」
商会で受付をしたのは赤い頬をした可愛らしい少女だった。
「ちょっと、この本を刷りたいんですが……」
「製本ですね、分かりました」
受付嬢は奥に行き、店主らしき人物を呼んだ。
「えーっと、こちらのお嬢さんが本を刷りたいと?」
「はい。原稿ならこちらにあります」
「なるほど。分かりました。少々拝借いたします」
頭は光り輝いているが、一方で笑顔も優しい老店主はハルから原稿を取り、読み始めた。
ある程度読み終わると店主はハルの方を向いて笑顔で話した。
「お嬢さん、これ初めて書いたのかい?」
「ええ……まぁそうですけど……」
「とてもすばらしい才能をお持ちですな! 今まで見たフィクションは陰鬱な物が多くて気持ちも沈みましたが、これは明るくていい! ワシもなんだか気持ちが軽くなってきましたぞ」
それを聞いてハルは(だからどんだけバットエンド多いのよこの世界……)と思いながら笑顔で答えた。
「ありがとうございます。そう言われるとこちらまで嬉しくなります」
「ほほ、そうですか。ではこちらは早急に製本いたしますので、楽しみに待っていて下さいな」
「はい、分かりました」
ハルはその商会から足取り軽くスキップしながら外に出た。早く自分の本が世に出ないかなと期待も込めた足取りだった。
さて、それから1週間後、ハルは商会からの手紙を受け取った。どうやら製本できたらしく、今日から販売されるとのこと。そして手紙の中には商会の皆にも好評とあり、大々的に宣伝するとのことだった。
「へー、お前の書いたやつ凄く評価良いな。こっちとしても嬉しくなるな」
「うん。果然創作意欲湧くよね」
ハルはそう言ってまた新たな本を書き始めた。
すると、その様子を見たショコラがハルに言う。
「なぁ、ハルひとついいか?」
「どうしました、ショコラさん」
「私達も小説というのを書きたいんだが…」
「はーい、ちょっと全員注目ー」
その場にいたクロエ以外の全員がショコラに向いた。
全員の視線が向いたことを確認したショコラはハルが書いた原稿を高々と取り出した。
「ちょっと皆に読んで貰いたい物があるんだよね。ハルが最近自室に籠もって、何をしているのか疑問に思った人もいるだろう。なんと、ハルはこの原稿を書いていたのだ!」
ショコラの言葉に一同は驚きで目を開く。
ショコラは全員の反応が気に入ったのか高々と声をあげ続けた。
「個人的にはとても面白かったが、ハルがこの屋敷全員の意見が聞きたいと言ってな! とりあえず全員分刷ったから読んで欲しい。読むのは自室でも良いよ」
と、ショコラは全員に配った。ハルはその様子を見ながら、(一体全体いつ刷ったのよ!)と額を押さえた。
ショコラがそれらを配り終わると配られた全員は自分の部屋へと帰っていった。
翌朝、ハルは起きると部屋の前が騒がしいと思い、ドアを開けた。そこには屋敷のメンバーが勢揃いしており、皆すっごく目を輝かせていた。
ハルはその景色を見て早急にドアを閉めたが、すぐに開けられ部屋に雪崩れ込むように入られた。
「ハル! やっぱり天才だな!」
「どうしたらそう言う展開に持ち込めるんですか!? ハル様凄いです」
「なんか今凄く清々しいわ!」
「はじめて全部読めたよー!」
とまぁ絶賛の嵐を広げる4人を何とか押さえながら、ハルは苦笑する。そして、その後ろで冷静なセレネを見つけて声をかけた。
「あれ、セレネも読んだの?」
「はい。私としてもかなり素晴らしいとは思いましたが、少し気になる点がございまして」
「気になる点?」
「はい」
他の4人を何とか掻き分け、ハルはセレネのところへ向かう。セレネはいつ用意していたのか眼鏡と赤ペンを持って、原稿を持っていた。
「何度も面白くて読んだのですが、冷静に見てみると、ちょっと誤字脱字がありまして…」
「え? ほんと? てかどこ?」
「例えば123ページの『アキは着火した杖をそのまま怪物に投げた。』のシーンですが、ここ『そのま』になってます」
「あ、ホントだ。ありがとう。ところでセレネ、こういう間違いってあと何カ所ある?」
「そうですね……ざっと見たところまぁ10カ所程度ですかね」
「うわっ意外に多いな。セレネありがとう」
原稿をパラパラと捲り、ハルはセレネが赤ペンで印を付けたところを確認する。
一通り確認した後、ハルはセレネから原稿を受け取った。
「分かった。修正しとくね。ところでセレネ、内容的にはどうだった?」
「内容としては特に矛盾点は無いです。私としても本にすれば必ず売れるでしょう」
眼鏡をクイと押し上げながらセレネは自信ありげに言う。そして、他の4人を見てるとやはり
同じような表情をしていたため、ハルは大分自信がついた。
朝食後、ハルはまたリディルの町に来ていた。ショコラに聞くと、本にするにはまず印刷業をやっている紹介を訪ねるのが良いとのことで、ハルはそこを訪ねた。
「あのー……すみません」
「はい、どうしました?」
商会で受付をしたのは赤い頬をした可愛らしい少女だった。
「ちょっと、この本を刷りたいんですが……」
「製本ですね、分かりました」
受付嬢は奥に行き、店主らしき人物を呼んだ。
「えーっと、こちらのお嬢さんが本を刷りたいと?」
「はい。原稿ならこちらにあります」
「なるほど。分かりました。少々拝借いたします」
頭は光り輝いているが、一方で笑顔も優しい老店主はハルから原稿を取り、読み始めた。
ある程度読み終わると店主はハルの方を向いて笑顔で話した。
「お嬢さん、これ初めて書いたのかい?」
「ええ……まぁそうですけど……」
「とてもすばらしい才能をお持ちですな! 今まで見たフィクションは陰鬱な物が多くて気持ちも沈みましたが、これは明るくていい! ワシもなんだか気持ちが軽くなってきましたぞ」
それを聞いてハルは(だからどんだけバットエンド多いのよこの世界……)と思いながら笑顔で答えた。
「ありがとうございます。そう言われるとこちらまで嬉しくなります」
「ほほ、そうですか。ではこちらは早急に製本いたしますので、楽しみに待っていて下さいな」
「はい、分かりました」
ハルはその商会から足取り軽くスキップしながら外に出た。早く自分の本が世に出ないかなと期待も込めた足取りだった。
さて、それから1週間後、ハルは商会からの手紙を受け取った。どうやら製本できたらしく、今日から販売されるとのこと。そして手紙の中には商会の皆にも好評とあり、大々的に宣伝するとのことだった。
「へー、お前の書いたやつ凄く評価良いな。こっちとしても嬉しくなるな」
「うん。果然創作意欲湧くよね」
ハルはそう言ってまた新たな本を書き始めた。
すると、その様子を見たショコラがハルに言う。
「なぁ、ハルひとついいか?」
「どうしました、ショコラさん」
「私達も小説というのを書きたいんだが…」
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