上 下
46 / 56
六章

6−7[R-18]

しおりを挟む
 僕の訴えを受け流し、尻穴を撫で摩りながら、メイディ氏はガサガサと何やら大きな音を立て始める。何事かと視線をそちらに送ると、彼の手には僕が貰ったものの元となる大きな油紙の包みが乗っていた。油紙の包装を開いて、中から小さな琥珀色の塊を摘んで取り出す。それを指先で捏ね回すことで生じたふわりと鼻腔をくすぐる花の香りに気を取られたのも束の間、捏ねて柔らかくなった琥珀色の塊を僕の尻穴に押し当ててくるではないか。

 冷たい感触にびくりと背筋を震わせるが、塊はすぐに体温に馴染んで溶けていく。僅かに粘性のある液体になったそれは、溶けて流れる前にメイディ氏の指に掬い上げられ、また僕の尻穴へと戻ってくる。

「メ、イディ、さんっ……」
「怖がらないで、力を抜いて」

 まるで泣いている赤子を宥めるような優しい声でメイディ氏が囁く。そんなことを言われてもパニックと羞恥で頭がいっぱいになっている僕には効果がない。しかし、琥珀の液体を纏った彼の指は確実に僕の中へと侵入していった。初めて受け入れる感覚に圧迫感と痛みを感じながら、僕は枕に顔を押し付けてふーっふーっと荒く息を吐くことしかできなかった。

「……おやおや。 夢魔だと聞いていたので抵抗は少ないと思っていたのですけれど」

 僕の中で2本の指を動かし、内側に液体を塗りつけながらメイディ氏は意外そうにポツリと零した。僕の種族については、勉強が始まる前に主人からメイディ氏に伝わっている。とは言え、僕は夢魔として未発達だし、他者から精を受ける行為も不勉強で未熟だ。それについては追々、と主人から含ませられていたつもりではあったが。

「過保護にも程がありますねぇ、かのロードともあろう方が」

 ふむ、とメイディ氏が唸るように息を吐く。その間も指は蠢くのをやめず、僕を追い立て、高まらせていく。2本の指で内側を優しく押し広げられているだけだと言うのに、顔と下腹部は熱を持ち、頭の中に小さな電流が走る。細くしなやかな指がある一点を押さえると、目の前でチカチカと火花が飛び散るほど強い快感が全身に走り、僕は背筋を震わせながら高い声で嬌声を上げて果ててしまった。

 びくびくと全身を痙攣させ、肩で荒い呼吸を繰り返す。ゆっくりと指を僕の中から引き抜いたメイディ氏は、上下する僕の肩を優しく掴んで仰向けに転がした。生理的な涙で腫れた僕の目元を手の甲で軽く拭う。

「やりすぎたとは言いませんが、心の準備をさせなかったことは謝りましょう。 ごめんなさい。 でも───」

 続きの声は、部屋の外から響くドタバタという激しい足音で掻き消された。その足音は僕の部屋の前で止まり、ついでバタンと大きく扉が開かれた先には怒りを顕にした主人が立っており、謝罪の途中であるメイディ氏の首根っこを掴んで呆気に取られた僕を置き去りに、また騒々しい足音を立てて出て行ってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

処理中です...