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五章

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 ギルドで冒険者登録をしてから、僕は朝食の後、朝の勉強代わりに屋敷の周りで薬草を摘むことになった。6束分を目安に摘み、束ね、昼食と午後の勉強、お茶の時間を経て、また街までメイディ氏の転移魔法で送ってもらい、納品したら屋敷に戻って畜舎の清掃、というルーチンワーク。転移魔法には未だ慣れないが、重圧感に負けることは無くなっていた。

「そろそろ薬草摘み以外の依頼にも手を出したいところですねぇ」

 ある日の夕食の席で、メイディ氏がポツリと漏らした。主人も元々その気だったのか、特に異論はなさそうだった。

 しかし、僕は街に滞在している訳ではないので、街の中での依頼には向かない。以前、街の中のとある店舗で倉庫の掃除をするという依頼を受けたのだが、昼前から夕方まで時間を拘束されたその日、ギルドからの帰り道に息苦しくなって倒れてしまった。

 どうやら僕の首輪は物理的な距離だけでなく、主人から一定時間離れているだけでも効力を発揮するものだったらしく、知らず知らずのうちに首が締め上げられていたようだ。

 その日もメイディ氏は主人に絞られていたが、僕が倒れたことで珍しく反省の色を見せていたらしい。そんなこともあり、僕は普段屋敷の外に長く出ることはなくなった。

「この辺りでウサギ狩りでもしますか?」
「ああ、そろそろ増える時期だな」

 主人とメイディ氏が揃って窓に目を向けた。陽の落ちた空は暗く、森で囲まれた屋敷の外は闇の中だ。その闇の中に動くものを捉えているのか、はたまた例年通り増えているらしいウサギに思いを馳せているのかはわからないが。

 翌朝、薬草を摘みながらメイディ氏に獣道について話を聞いた。屋敷の周りには舗装のされていない細い砂利道が続いているが、それを外れて森の中に入ると野生の鳥や動物、小動物のような魔獣が生息しているという。

 魔獣の数が増えると薬草などの素材が荒らされてしまうため、繁殖期などの時期には狩猟依頼が出るらしい。また、それらの皮や骨は素材に、肉は食料になるらしく、狩猟が落ち着いたら街の酒場で肉のメニューが豊富になるのだとか。

「オフィシエも肉料理は得意ですからね、夕食が豪華になりますよ」

 オフィシエとは、厨房を任されている騎士の甲冑のことだ。主人がそう呼んでいた訳ではないが、メイディ氏がそう呼ぶと彼(?)が反応するので、恐らくそれでいいのだと思われる。

 次の繁殖期には小型の魔獣を獲り、オフィシエに料理してもらおう、余った分はギルドに納品しよう───魔獣の繁殖期前に、僕たちの方針は確定したのだった。
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