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四章

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 ふわりとした浮遊感、ついで頭から水を大量に浴びせられたかのような重圧感が襲ってきた。メイディ氏は「重力や空気抵抗が」と説明してくれたが、一切理解できなかった。

「さて、前に来た時は人酔いを起こしたんでしたよね」

 降り立った場所は街がそばに見える、森の中の開けた場所だった。そういえば、と思い出すと、急に緊張が押し寄せてくる。街を行き交う人々の生気に当てられて、主人の足についていこうと必死だったせいもあり、少し進んだだけで息が上がって疲れ果ててしまった。そのことを思い出して、気分が落ち込んでしまう。

「人通りの少ない道を選ぶつもりではありますが、少しは慣れた方が良いでしょう」

 メイディ氏は僕の手を引いて、街へと歩み出した。その足取りはゆったりとしており、僕の足でも簡単に追うことができた。というより、僕の歩幅に合わせてくれているのだろう。丸太づくりの門の前で一度立ち止まり、門の影で大きく深呼吸をしてから、僕たちは町の中へと足を踏み入れた。

「ふわぁぁ……」

 街は以前と変わりなく人がごった返し忙しなく行き交い、活気に溢れている。しかし先ほどの深呼吸のおかげか、はたまた繋いだ手から伝わる温もりの安心感からか、先日のような体調の悪さは感じなかった。

 メイディ氏を見上げると、柔らかな笑みでこちらを見下ろしていた。僕の様子に満足そうに頷き、大丈夫そうですねとひとこと確認のように漏らしてから、僕の手を軽く引いて街中へと足を促した。

 門に面した街の入り口エントランスは半円状をしており、その奥に建物が並び、きれいな区画を作っている。門の正面からまっすぐ伸びる大通りを、僕はメイディ氏とはぐれないようにしっかり手を繋いで人混みを避けながら進んだ。

「そこの、ニワトリの看板のお店。 あれはこの街で評判の食事処で、お昼時や夕食時にはとても賑わうんです。 街の入り口エントランスと違ってもっと窮屈ですよ」

 キョロキョロと辺りを見回す僕に、メイディ氏は特徴的な店をあれこれと教えてくれた。文字の書かれたものより大きな絵が載った看板を見せてくれているようで、店の名前が読めなくても───読めはしてもそれが何の店か判断できない僕にはとても有難い。

 食事処、服屋、宿屋、雑貨屋。メインの大通りには様々な店が立ち並ぶ。僕の身長よりも高く大きなガラスが嵌め込まれた窓の向こうには、見たことのない形の商品が並び、別世界が広がっているようにすら思えた。

「……さて、着きましたよ」

 通り過ぎる店に名残惜しそうにしていると、メイディ氏が大通りの正面に立つ石造りの大きな建物を指差した。
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