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12・超大型巡洋艦 畝傍w
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朝潮型駆逐艦はゲームツリー最高位にある米駆逐艦と同等の5インチ級6門を装備し、発射速度もそん色ない様な強力な艦である。もうこれ以上の艦なんか作る必要ないやろ?
と思っていたのだが、用兵側はまだ満足がいかないらしく、島風ぜかまし型の原型となる要求仕様を持ち込んできた。
「四連装発射管3基12射線の駆逐艦ですか。確かに現在の物より500トン大きな船として良いのであれば可能ですね」
まあ、やれるっちゃやれる話である。ただ、そこにはなぜか他の案も存在している。
魚雷発射管を五連装にする案、主砲塔を4基に増やす案なども存在している。
艦型を分けて、秋月型準拠な防空艦やモガドールもどきな嚮導駆逐艦を同じ船体から作れそうな魅力的な話が舞い込んできたので、喜んで受けることにした。
そんな秋である。やはりというか、第四艦隊事件が発生した。
艦隊の演習に口出しできる立場にある訳でも無いので「演習やるな」とか「時期を変えろ」なんて言えるはずもなく、友鶴にしろ第四艦隊にしろ、事件は史実からずれることなく発生する事と相成った。
この演習には特型駆逐艦や仁淀型軽巡洋艦、最上型軽巡洋艦と藤本作品も多数参加していたことで大きな被害を被る結果となっている。
「どうした?やはり転覆事故を起こすような艦を送り出して不安になっているのか?」
と、嘱託のお方が嘲笑いに来た。
「妙高型の被害が深刻らしいですが、ご存知でしょうか?」
藤本作品も艦橋やマストへの甚大な被害を出しているし、一部の艦では船体にすら被害が出てしまっている。
だが、那珂での経験を生かして後の時代の工法を先取りしたり、溶接性鋼材の開発にいち早く取り組んだ結果、仁淀型や特型で起きている問題は最上型では解消されている事が判明した。
必死になって仁淀型や特型の船体に起きた問題を誇張して溶接批判をする面々も散見されたが、最新の技術を適用した大鯨の船体に何の被害も起きていない事実を見れば、全くの言いがかりである。
責任転嫁著しい勢力が見ようともしない大規模な鋲弛緩を引き起こしている妙高型の設計にこそ問題があるんじゃないのかな?
結局、勢い込んで乗り込んできた嘱託殿ではあったが、結果は悲惨である。
この事件の調査結果から、太平洋の海象が想定以上に厳しい事が判明し、朝潮型としてそのまま建造する予定であった駆逐艦の設計すら、新たに判明した海象データを反映させ、より船体強度の高いものへと改善していくことが決定した。
そして、次期駆逐艦に関しては、3基の魚雷発射管を備える場合、更なる船体強度を得るために、もはや夕張や那珂ではないかという様なサイズへと肥大化する事が決定した。基準排水量で2800トンて・・・
まあ、それに関しては満賢船形を導入して波浪貫通型バウを用いた速力確保は行うんだけどね?
そんな、忙しさが再来している所へと、新たに変なものが持ち込まれてきた。
「貴様、これについて心当たりはあるか?我々も寡聞にして知らんのだ」
と言って現れた軍人グループが持ち込んできたのは、欧米で刊行されているらしい書籍である。読んでみろというので読んでみると
「12インチ砲を6~9門搭載の大型巡洋艦ですか。しかも秩父という艦名まで判明していると。さぁ?知りませんね。ちなみに嘱託殿には?」
まあ、これは例のアレである。戦艦ヒラヌマとかと同じ類のフェイクニュースだ。
「彼によると、『そんなチャチなもんじゃ断じてねぇ!もっと強力な超巡洋艦が設計されてるぜ☆』との事だったが?」
何言ってんだ、あの人は・・・・・・
しかし、断じてウソは言っていないから困る。しかも、なぜ知っている?
「そうですか、知られてしまっているのでは仕方がないですね······」
渋々といった様子で、とある設計図を取り出して彼らへと開陳する。
基準排水量3万3千トン、全長242m、全幅32.6mという船体に30.5センチ三連装砲を3基9門という、普通に戦艦である。
「待て!畝傍とは何だ!!この名前だけはやめてくれ!!!」
え?注目するところはそこなの??
適当に、大和三山の名前を冠して少々毛色の違う3タイプの試案を作成しただけなんだけどね?36センチ連装4基、38センチ連装4基、30センチ三連装3基という各タイプである。
「しかし、名前は秩父ではないのか。という事は、これが何らかの経緯で欧米へと流れ、あの内容へと至ったというのだな?」
いやいや、それこそあり得ない。
「いえ、アレはドイツの装甲艦を脅威とみなす思考の下、日本も同じような着想をもって計画を立てるはずだという思考実験にすぎません。ちなみにこれは、条約に適した金剛型代艦案の一例として考察していたものになります」
そう、全くの別物である。問題は、なぜそれを嘱託殿が知っているのかという極めて難解な一点のみであり、他には全く何も他意も影響もないはずだ。
「ただ、私のところに居る大西提督の御子息が言うには、新たに建設中の工厰が完成すれば、不幸な四姉妹を改修する余裕が生まれ、その改修でもって艦首を延長し、ちょいとばかり出力を増せば、ここに示した程度の高速戦艦をデッチアゲるのは容易く、そこから取り外す余った36センチ連装砲塔を用い、ここに示したフネを2隻ほど建造出来るとか」
と、話しを満賢君に振っておく。なにせ、かの父君は嘱託殿など足元にも及ばない暴風雨を海軍内で振りまいているお方だ。どうやら彼の一声で大分に新工廠が建設されるらしいという驚きの話すら聞いたくらいだから。
と思っていたのだが、用兵側はまだ満足がいかないらしく、島風ぜかまし型の原型となる要求仕様を持ち込んできた。
「四連装発射管3基12射線の駆逐艦ですか。確かに現在の物より500トン大きな船として良いのであれば可能ですね」
まあ、やれるっちゃやれる話である。ただ、そこにはなぜか他の案も存在している。
魚雷発射管を五連装にする案、主砲塔を4基に増やす案なども存在している。
艦型を分けて、秋月型準拠な防空艦やモガドールもどきな嚮導駆逐艦を同じ船体から作れそうな魅力的な話が舞い込んできたので、喜んで受けることにした。
そんな秋である。やはりというか、第四艦隊事件が発生した。
艦隊の演習に口出しできる立場にある訳でも無いので「演習やるな」とか「時期を変えろ」なんて言えるはずもなく、友鶴にしろ第四艦隊にしろ、事件は史実からずれることなく発生する事と相成った。
この演習には特型駆逐艦や仁淀型軽巡洋艦、最上型軽巡洋艦と藤本作品も多数参加していたことで大きな被害を被る結果となっている。
「どうした?やはり転覆事故を起こすような艦を送り出して不安になっているのか?」
と、嘱託のお方が嘲笑いに来た。
「妙高型の被害が深刻らしいですが、ご存知でしょうか?」
藤本作品も艦橋やマストへの甚大な被害を出しているし、一部の艦では船体にすら被害が出てしまっている。
だが、那珂での経験を生かして後の時代の工法を先取りしたり、溶接性鋼材の開発にいち早く取り組んだ結果、仁淀型や特型で起きている問題は最上型では解消されている事が判明した。
必死になって仁淀型や特型の船体に起きた問題を誇張して溶接批判をする面々も散見されたが、最新の技術を適用した大鯨の船体に何の被害も起きていない事実を見れば、全くの言いがかりである。
責任転嫁著しい勢力が見ようともしない大規模な鋲弛緩を引き起こしている妙高型の設計にこそ問題があるんじゃないのかな?
結局、勢い込んで乗り込んできた嘱託殿ではあったが、結果は悲惨である。
この事件の調査結果から、太平洋の海象が想定以上に厳しい事が判明し、朝潮型としてそのまま建造する予定であった駆逐艦の設計すら、新たに判明した海象データを反映させ、より船体強度の高いものへと改善していくことが決定した。
そして、次期駆逐艦に関しては、3基の魚雷発射管を備える場合、更なる船体強度を得るために、もはや夕張や那珂ではないかという様なサイズへと肥大化する事が決定した。基準排水量で2800トンて・・・
まあ、それに関しては満賢船形を導入して波浪貫通型バウを用いた速力確保は行うんだけどね?
そんな、忙しさが再来している所へと、新たに変なものが持ち込まれてきた。
「貴様、これについて心当たりはあるか?我々も寡聞にして知らんのだ」
と言って現れた軍人グループが持ち込んできたのは、欧米で刊行されているらしい書籍である。読んでみろというので読んでみると
「12インチ砲を6~9門搭載の大型巡洋艦ですか。しかも秩父という艦名まで判明していると。さぁ?知りませんね。ちなみに嘱託殿には?」
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しかし、断じてウソは言っていないから困る。しかも、なぜ知っている?
「そうですか、知られてしまっているのでは仕方がないですね······」
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基準排水量3万3千トン、全長242m、全幅32.6mという船体に30.5センチ三連装砲を3基9門という、普通に戦艦である。
「待て!畝傍とは何だ!!この名前だけはやめてくれ!!!」
え?注目するところはそこなの??
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「しかし、名前は秩父ではないのか。という事は、これが何らかの経緯で欧米へと流れ、あの内容へと至ったというのだな?」
いやいや、それこそあり得ない。
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