びるどあっぷ ふり〜と!

高鉢 健太

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8・初春型に連装砲はムリポな件

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ロンドン軍縮条約の結果、巡洋艦や駆逐艦への制約が新たに追加されている。



 その中で、ジュネーブ交渉の頃から分かっていた巡洋艦の主砲口径制限に関しては、先に対策を行い、用兵側の無茶な要求への回答として最上型軽巡洋艦をもって解決がなされている。史実の最上型と違い、欧米でも予想された形態である為、警戒感も強い訳ではないらしいが、ゲームの登場艦ツリーを優先したため、軽巡枠を先食いする事になり、用兵側には不満が高いようである。



 そんな事を言っても仕方がないではないか。



 日本艦ツリーを充実させるには、天龍型、球磨型に次ぐ軽巡洋艦が欲しかった。さらに言えば、それが英国面ツリーのように安定して遊べそうなミドルクラス艦であってほしかった。



 確かに、他国ツリーに先駆けて重巡洋艦が使えるのはうれしくはあるのだが、何か違くないか?



 その不満に対処できる艦こそ、仁淀型である。英国面軽巡ツリーとそん色ない軽巡洋艦が欲しかった。英国面で遊ぶ楽しさを日本艦でも味わってみたかった。

 だってそうだろう?夕張やこの世界の那珂なんて、課金艦や褒賞艦としての価値はあっても、ツリー実装するには微妙なんだよ!(あくまで個人の感想です)



 そんな不満に応えてくれるフネこそ仁淀型。それというのも、ロンドン条約の規制として軽巡主砲の上限が6.1インチと明記されてしまうと、軍備計画において14センチ砲などと言う、フランス海軍の大型駆逐艦と大差ない口径の大砲など巡洋艦には威力過小と言われてしまうわけ。

 その為、14センチ砲を使う最後の機会は、ロンドン条約締結以前にしかありえなかった。仁淀型の14センチ砲は八八艦隊計画にて試作された五五口径砲を引っ張り出してきたシロモノなので、三年式14センチ砲と言っても夕張や那珂の主砲とは別物である。

 そして、その射程距離は毘式15.2センチ砲に迫るものがあるため、この14センチ砲を超える軽巡洋艦砲となると、新型の15.5センチ砲となる。



 そんな事もあって最上型の誕生と相成ったという経緯があるが、条約の詳細など不明な時期に建造されたため、公表要目をワシントン軍縮条約基準とし、明らかにロンドン軍縮条約のクラスB保有枠への対策が出来ない事態に陥った。こうなると仁淀型はとんでもない邪魔ものなのだが・・・・・・



 その問題も絡み、慌てて先送りしていた重巡洋艦の整備を始める事となり、用兵側は試案であった三連装3基9門、連装魚雷発射管4基というソレに飛び乗るしかなくなったと、まあ、そう言うチョロい構図と相成った訳だ。ゲーム艦の整備には実に余念がない!



 さて、そんな優越感に浸っても居られない問題が眼前に提示された。



 ロンドン条約の制限により、特型駆逐艦が問題となって個艦トン数制限が課された結果、2000トン級駆逐艦の保有制限に引っかかるため、以後の建造が打ち切られ、今後は1400トンという小型船体のフネしか建造出来ないという話になるらしい。



 そこで登場する史実艦は例の初春型である。そう、復元性がやり玉に挙げられたアレ。



 攻め過ぎた結果、思わぬ大傾斜を招いてしまい、あっという間に改善工事と以後の艦の見直しが行われたという次第である。だが、あのデザインはしびれる、あこがれる!

 しかし、だからといって史実準拠で設計するなんてバカのやることだ。



 水雷艇で仕掛けて来たかの御仁がこちらの弱味を見逃すバズはない。新型艦が出来て早々問題児なんて事になったら喜び勇んでやって来るのは目に見えている。そんな事になる訳にはいかんのだよ。



 それを避けるためにトップヘビーにならず、さりとて用兵側にも配慮した艦に仕上げなくてはならない。



 そこで改めて50口径十一年式12.7センチ砲を調べてみたら、史実より重くなっていやがった!



 史実のB型砲塔は大仰角と独立作動な為に32トンだが、こちらは高射能力を最大限付加し、装填補助装置や信管調定装置まで付属し、自由装填、全角毎分12発が謳われている。

 まあ、金剛代艦への搭載を前提に、両用高角砲として開発が行われた結果だ。いくら戦艦用装甲を取り払っても軽くするには限度があり、重量36トンにもなる。コレはムリ!



 では、特型と同じ砲塔なら?



 こちらも2門連動というだけで仰角65度の準高角砲として開発されたため、重量28トンに達する。では単装砲は?と

調べたら、そいつすら19トンだよ。ムリポ······



 知識チートで歴史改変したら万事ハッピーじゃなかったのか?これ、袋小路だよね?



 どうしよう······



 と言う事で、45口径十一年式12センチ連装砲にしてみた。

 コイツならば22トン、単装砲架ならば8トンなのでコレに決定。用兵側から威力がどうのと言われたが、そこは仕方がない。復元性の問題があるんだから。

 復元性に関しては満賢君の成果によって、史実では第四艦隊事件後に採用される数値を実証出来たので、それを元に設計を行い、その結果から導き出したのだから覆しようがない。



「こちらとしては、こうしないと復元性が保てない。もし、どうしてもと望むなら、そちらの責任であると明確にして変更を行いたい」



 と、伝えたところ、顔を真っ赤にしながらも、何も言わずに立ち去って行ったので良しとしよう。



 だが、それでも末弟の賢吾君が開発した射撃指揮装置を艦橋トップに載せる事を熱望され、実際の復元性は悪化気味である。そら、史実よりはるかにマシだけども。
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