びるどあっぷ ふり〜と!

高鉢 健太

文字の大きさ
上 下
4 / 22

4・平賀デザインって事にしといてやんよw

しおりを挟む
 さて、夕張問題と共にこの頃もう一つの問題が存在していた。



 そう、長門型の煙突である。



 後世の人々にとっては、長門と言えば一本煙突が普通の姿なのだが、完成当初は二本煙突だった。まるで金剛型のように二本の煙突が並ぶ姿など、想像するのが難しいかもしれないが、事実はそうなのだ。(まあ、金剛型はこの頃は三本煙突なんだけどね)



 だが、この煙突配置には問題があり、前方側の煙突が艦橋に近い事から排煙が艦橋に流れ込む事が問題になってしまった。



 煙突の処理と言えば高さを増して排煙経路を上へ逃がすのが一般的だが、戦艦の場合はそう簡単には問屋が卸さない。



 戦艦の交戦距離がどんどん離れていき、20kmなどと言う遠距離ともなると、普通の高さに測距儀や観測要員を配置したところでどうしようもなく、かなりの高所に配置する訳で、「煙突を高くしましょう」などと言う事は解決策にはならない。



 ならば、後ろへ向かうように煙突の開口部を後ろへと向けたら良いかというと、そんな簡単な事では解決できず、風向き次第で前へと流れてくることになる。



 結局、何をどうやっても解決が出来ずにほとほと困り果てている状態だった。



 いや、そんなの簡単やんと思わずにはいられないのだが、どうしてその簡単な解決策を誰も採用しないんだろうね?



 艦橋へと煙が流れてしまうなら、そうならない様に煙突自体を艦橋から離してしまえばよいじゃないか。簡単な話だろう?



 何も悩むような問題では無いので、その様に提案したのだが、やはりあの人が何だかんだと言って来るんだ。



「何を簡単そうに言ってるんだ?貴様は。戦艦の煙突の話をしているんだ。駆逐艦や巡洋艦と一緒にするんじゃない!」



 と言いなさる。



 では解決策を出せばよいのだが、全く解決できる見通しなく、ア~でもないコ~でも無いと時間ばかりが費やされている。



 そして、史実の芋虫煙突を提案してみたが、一笑に付されてしまった。



「貴様は品性の欠片も無いようだな。戦艦にその様な煙突が採用できるとでも思っているのか?」



 まあ、実際にその様に言ったたとされているようなので、実際に言われても、やっぱりなぁとしか思わなかった。まあ、こういう人なんだろうから。



 だが、考えてみると、この後の金剛代艦案において、藤本案はオーソドックスな三連装三基に対し、平賀案は三連装と連装の混載。

 は、問題ではなく、これだけネチネチ文句を言ってる当人が芋虫だけ煙突にしてるんやで?言ってることとやってることがここまで違うと怒りよりも呆れが出て来るんだが、どうなんだ?



 その戦艦に関しては、金剛代艦案としてロンドン条約後に英国がキングジョージ五世級に採用し、米国もノースカロライナで計画した四連装砲塔に挑戦してみたくはある。



 あれはもはやフランスの専売特許ではないんだという所を見せてみたい。



 というか、現実的な用兵を云々しているのではなく、ゲームでの実装を意識しての話ではあるんだがね。

 那珂に関しても、そこを最も意識している。溶接がどうのや復元性問題は副次的な話に過ぎない。



 で、長門型の煙突問題については中々解決策が見いだせずに迷走しているらしい。



 そこで第二弾として二本の煙突をまとめた「夕張型煙突」を提案する事にした。史実とは異なる動きである。



「問題解決として、煙突を一本とするのはどうでしょうか。下手な纏め方では品性の欠片も無く、戦艦としての格式も台無しになってしまう事から、流麗な形状をしたこの様な煙突とするのです」



 時間がかかっていただけに、古鷹や夕張の煙突形状を提案できるタイミングが巡って来た。



 まさか、自分の傑作に採用した煙突を否定する事は出来んのではないかな?自己否定になるからなぁwという流し目を向けると、不機嫌そうな顔でこちらを睨んでおられる。



 だが、他の人々からは名案だ。流石、平賀式煙突なら見栄えも悪くないと変に勘違いする意見まで出る始末、もはや否定は出来まい?批判も無理だろう?



 こうして、長門型の煙突も夕張同様に延長して1本化がなされる事と相成ったが、それでも煙の流れはまだ問題になったようで、更なる改修が生じることとなった。



「貴様はまだまだ未熟だな。巡洋艦の煙突とは一味違う、しっかり対策の取れた煙突を私が考えておこう」



 と、なんだか誇らしげな事を言って、当初考えていた様に、後の大和型煙突みたいなものが長門型に採用されることとなった。



 こうして、平賀デザインとして世の中で評価され、鼻高々としているが、提案したのは藤本さんですよ?まあ、今更反論しても譲らない事は分かり切っているのだけどね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

近衛文麿奇譚

高鉢 健太
歴史・時代
日本史上最悪の宰相といわれる近衛文麿。 日本憲政史上ただ一人、関白という令外官によって大権を手にした異色の人物にはミステリアスな話が多い。 彼は果たして未来からの転生者であったのだろうか? ※なろうにも掲載

旧式戦艦はつせ

古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。

鈍亀の軌跡

高鉢 健太
歴史・時代
日本の潜水艦の歴史を変えた軌跡をたどるお話。

日は沈まず

ミリタリー好きの人
歴史・時代
1929年世界恐慌により大日本帝國も含め世界は大恐慌に陥る。これに対し大日本帝國は満州事変で満州を勢力圏に置き、積極的に工場や造船所などを建造し、経済再建と大幅な軍備拡張に成功する。そして1937年大日本帝國は志那事変をきっかけに戦争の道に走っていくことになる。当初、帝國軍は順調に進撃していたが、英米の援蔣ルートによる援助と和平の断念により戦争は泥沼化していくことになった。さらに1941年には英米とも戦争は避けられなくなっていた・・・あくまでも趣味の範囲での制作です。なので文章がおかしい場合もあります。 また参考資料も乏しいので設定がおかしい場合がありますがご了承ください。また、おかしな部分を次々に直していくので最初見た時から内容がかなり変わっている場合がありますので何か前の話と一致していないところがあった場合前の話を見直して見てください。おかしなところがあったら感想でお伝えしてもらえると幸いです。表紙は自作です。

【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部

山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。 これからどうかよろしくお願い致します! ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。

皇国の栄光

ypaaaaaaa
歴史・時代
1929年に起こった世界恐慌。 日本はこの影響で不況に陥るが、大々的な植民地の開発や産業の重工業化によっていち早く不況から抜け出した。この功績を受け犬養毅首相は国民から熱烈に支持されていた。そして彼は社会改革と並行して秘密裏に軍備の拡張を開始していた。 激動の昭和時代。 皇国の行く末は旭日が輝く朝だろうか? それとも47の星が照らす夜だろうか? 趣味の範囲で書いているので違うところもあると思います。 こんなことがあったらいいな程度で見ていただくと幸いです

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

大日本帝国、アラスカを購入して無双する

雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。 大日本帝国VS全世界、ここに開幕! ※架空の日本史・世界史です。 ※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。 ※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。

処理中です...