33 / 80
33・おっさんは逃げ腰になる
しおりを挟む
ブツブツうわ言を呟く冒険者たちを見たコータが彼らへと歩み寄り、はじめて見る魔法を使う。
「ディスペル」
仄かに冒険者たちが光に包まれた気がしたが、すぐに消えてしまった。
「あんた、ヒーラーか?」
取り囲むひとりがコータに声をかける。
「はい、僧侶です。一応」
そう答えはしたが、顔は困惑したままだった。
「って、オレンジメダルだと!」
件の冒険者はコータのメダルを見て驚きの声をあげる。
「終わりだ!この町のヒーラーより上なのに解呪できねぇとか、どんな呪いなんだよこれ」
そう、冒険者たちは変わらずうわ言を呟くばかりで改善した様子がまるでなかった事に、おっさんも驚きを隠せなかった。
「それで、どうして彼らがこうなったか状況は分かりますか?」
コータが周りの冒険者に尋ねるが、誰も何も分からなかった。
彼らは問題となっている現場から少し外れたところを彷徨う姿が発見され、宿場町まで連れてきたそうで、取り囲むメンツにパーティメンバーや目撃者が居るわけではなかった。
そもそもおっさんには手に負える案件では無さそうだったのでスルーしたかったのだが、これまで何の活躍も出来ていないコータが得意分野っぽい状況に首を突っ込んでしまったと、心の中で嘆いていた。
しばらく考え込んだコータであったが、おもむろに人差し指を立てた。
「皆さん、こっちを見て!」
虚ろな目をした冒険者たちがまるでゾンビの様な緩慢な反応を示し、指へと視線が集まった。
「はい、あなたはこの指を見ている。これから指が見えなくなって、手を叩く音がしたら、夢から覚めます!」
などと、何かの催眠術の様な事をやり始めたコータ。
呆れた顔で眺めるキャリーに、興味津々なエミリー、半眼で半顔のキョーコ。おっさんはどうでもよさそうな顔で眺めていた。
パチン!
静かな空間に手をうつ音だけが鳴り響いた。
「あれ?いつの間にギルドに帰ったんだ?」
「さあ?お前ら、どうしたんだよ。あの戦いは?」
「え?俺の美女が居ねぇ!」
驚いた事に、冒険者たちはあんな催眠術で正気に戻ってしまった。
「スゲェーじゃねぇ~か、嬢ちゃん!」
取り囲む冒険者のひとりがそう言ってコータの肩を叩く。
おっさんもびっくりして冒険者の間違いなど聞こえていなかった。
ワイワイ騒ぐ冒険者たちの中で、コータのつぶやきは誰にも聞こえていなかった。
「ウソ、なんで高校生になって小三時代の黒歴史が掘り出されるの?」
誰にも聞かれず、訂正のタイミングすら失ったコータは、冒険者たちに聞かれるがまま、先ほどの魔法が何かを解説する。
「魔法じゃなくて催眠術だよ。本当に掛けたり解いたりしたのははじめてだけど」
などと答え、冒険者の輪に絡め取られてしまった。
「なあ、エミリー。催眠術を掛ける魔物とかって居るのか?」
おっさんがエミリーにそんな疑問を投げかける。
「真っ先に思いつくのは肉食キノコですかね?」
あまりな名前に驚くおっさん。
「いえ、キノコが口を開けて噛みついてくるんじゃないですよ?周りに幻覚を見せるニオイを放出して食べさせるんです」
もちろん、食べた魔物や人間はキノコの毒で死に、苗床となるという。魔性植物だと聞いて、ビビるおっさん。
「いや、今回はキノコじゃねぇな」
聞いていた冒険者が口を挟んでくるので、エミリーがその理由を聞く。
「まずは、キノコが育つ環境じゃねぇ。ここに来るまでの道を考えてみろ」
冒険者の言う通り、乾燥していてキノコが生えるには適していない。
「それにだ、コイツら3日前に出発してる。1日は彷徨ってたハズだ。それなのに死んでないだろ?」
それを聞いて頷くエミリー。
「そうですね。キノコの毒なら、2日も生きているのはありえません」
と、エミリーも同意する猛毒キノコ。
「だとすると、暴音蝙蝠の変異種でしょうか?」
おっさんにはまるで分からない新たな単語だった。
これに反応したのはキョーコ。
「エルラッドって、クソでっかい音で鳴いたりする?」
なんて聞いているので余計に分からないおっさん。
「そう。暴音蝙蝠は音魔法を使うコウモリだよ。よくわかったね、キョーコ」
おっさんも驚いた。
「だって、米軍の音響兵器の名前だよ?それ」
キョーコが単なる歴女ではなく、さらに幅が広かった事に尚更驚いたおっさん。
「ベーグンは分からないが、あのコウモリの音魔法は兵器だぜ」
と、別の冒険者が口を開くので、耳がスピーカーになったコウモリを想像したおっさん。
「だが、アイツだったらこうはならんだろ」
と、その冒険者が続ける。
「確かに。暴音蝙蝠なら、音で動けなくなる事はあっても、こんな幻覚症状は聞いたことありません。だから、変異種だと思います」
と推測したエミリー。
それから冒険者達の議論が始まるが、おっさんとキャリーは蚊帳の外。キョーコが盛んに音響兵器対策法の話をしているくらいで、コータは男だと明かすタイミングを逸し、被害を受けた冒険者たちに囲まれたままだった。
終わりの見えないこの状況に手を差し伸べる神はギルド職員だった。
「お前ら、いつまでダベってんだ?」
カウンターから出て来た職員がこちらへとやって来てそう言った。
「ほら、正気に戻ったんなら部屋へ行きな。お前らも、話し合うなら明日にしろよ。そろそろメシの時間も終わるんだ。食うならさっさと注文しな。お前らはこっち来い」
ギルド職員はそれぞれにそう声をかけ、おっさん達をカウンターへと誘う、
ようやくたどり着いたカウンターで、個室に余裕があった事から5部屋を押さえ、そそくさと夕食を注文しようと頭を切り替えるおっさんだった。
しかし、先ほどの冒険者達も席についており、パスタと思しきモノを食べていた。
おっさんも日替わりメニューのそれを注文する。
しばらく待つとやって来たパスタは、パスタ?と首をかしげる、ミートなのにトマトっ気のない肉味噌が載せられていた。
「どうした、あんちゃん。水が貴重なこの辺りじゃ、これが一番のごちそうだ」
そういう冒険者の言葉を聞いて口にすると、旨味が口に広がり、後から辛さが襲ってきた。
見た目、盛り付けはパスタだが、その中身は四川担々麺、あの汁なしに近い食べ物に思えたおっさん。
冒険者の説明によると、南の町で栽培されているイモが原料で、その粉から作った麺は乾燥に強く10日程は日持ちするとかで、こうしてひき肉そぼろと油、薬味を混ぜればまるで普通の麺として食せるごちそうであると聞き、おっさんは味わいながら食べるのだった。
「ディスペル」
仄かに冒険者たちが光に包まれた気がしたが、すぐに消えてしまった。
「あんた、ヒーラーか?」
取り囲むひとりがコータに声をかける。
「はい、僧侶です。一応」
そう答えはしたが、顔は困惑したままだった。
「って、オレンジメダルだと!」
件の冒険者はコータのメダルを見て驚きの声をあげる。
「終わりだ!この町のヒーラーより上なのに解呪できねぇとか、どんな呪いなんだよこれ」
そう、冒険者たちは変わらずうわ言を呟くばかりで改善した様子がまるでなかった事に、おっさんも驚きを隠せなかった。
「それで、どうして彼らがこうなったか状況は分かりますか?」
コータが周りの冒険者に尋ねるが、誰も何も分からなかった。
彼らは問題となっている現場から少し外れたところを彷徨う姿が発見され、宿場町まで連れてきたそうで、取り囲むメンツにパーティメンバーや目撃者が居るわけではなかった。
そもそもおっさんには手に負える案件では無さそうだったのでスルーしたかったのだが、これまで何の活躍も出来ていないコータが得意分野っぽい状況に首を突っ込んでしまったと、心の中で嘆いていた。
しばらく考え込んだコータであったが、おもむろに人差し指を立てた。
「皆さん、こっちを見て!」
虚ろな目をした冒険者たちがまるでゾンビの様な緩慢な反応を示し、指へと視線が集まった。
「はい、あなたはこの指を見ている。これから指が見えなくなって、手を叩く音がしたら、夢から覚めます!」
などと、何かの催眠術の様な事をやり始めたコータ。
呆れた顔で眺めるキャリーに、興味津々なエミリー、半眼で半顔のキョーコ。おっさんはどうでもよさそうな顔で眺めていた。
パチン!
静かな空間に手をうつ音だけが鳴り響いた。
「あれ?いつの間にギルドに帰ったんだ?」
「さあ?お前ら、どうしたんだよ。あの戦いは?」
「え?俺の美女が居ねぇ!」
驚いた事に、冒険者たちはあんな催眠術で正気に戻ってしまった。
「スゲェーじゃねぇ~か、嬢ちゃん!」
取り囲む冒険者のひとりがそう言ってコータの肩を叩く。
おっさんもびっくりして冒険者の間違いなど聞こえていなかった。
ワイワイ騒ぐ冒険者たちの中で、コータのつぶやきは誰にも聞こえていなかった。
「ウソ、なんで高校生になって小三時代の黒歴史が掘り出されるの?」
誰にも聞かれず、訂正のタイミングすら失ったコータは、冒険者たちに聞かれるがまま、先ほどの魔法が何かを解説する。
「魔法じゃなくて催眠術だよ。本当に掛けたり解いたりしたのははじめてだけど」
などと答え、冒険者の輪に絡め取られてしまった。
「なあ、エミリー。催眠術を掛ける魔物とかって居るのか?」
おっさんがエミリーにそんな疑問を投げかける。
「真っ先に思いつくのは肉食キノコですかね?」
あまりな名前に驚くおっさん。
「いえ、キノコが口を開けて噛みついてくるんじゃないですよ?周りに幻覚を見せるニオイを放出して食べさせるんです」
もちろん、食べた魔物や人間はキノコの毒で死に、苗床となるという。魔性植物だと聞いて、ビビるおっさん。
「いや、今回はキノコじゃねぇな」
聞いていた冒険者が口を挟んでくるので、エミリーがその理由を聞く。
「まずは、キノコが育つ環境じゃねぇ。ここに来るまでの道を考えてみろ」
冒険者の言う通り、乾燥していてキノコが生えるには適していない。
「それにだ、コイツら3日前に出発してる。1日は彷徨ってたハズだ。それなのに死んでないだろ?」
それを聞いて頷くエミリー。
「そうですね。キノコの毒なら、2日も生きているのはありえません」
と、エミリーも同意する猛毒キノコ。
「だとすると、暴音蝙蝠の変異種でしょうか?」
おっさんにはまるで分からない新たな単語だった。
これに反応したのはキョーコ。
「エルラッドって、クソでっかい音で鳴いたりする?」
なんて聞いているので余計に分からないおっさん。
「そう。暴音蝙蝠は音魔法を使うコウモリだよ。よくわかったね、キョーコ」
おっさんも驚いた。
「だって、米軍の音響兵器の名前だよ?それ」
キョーコが単なる歴女ではなく、さらに幅が広かった事に尚更驚いたおっさん。
「ベーグンは分からないが、あのコウモリの音魔法は兵器だぜ」
と、別の冒険者が口を開くので、耳がスピーカーになったコウモリを想像したおっさん。
「だが、アイツだったらこうはならんだろ」
と、その冒険者が続ける。
「確かに。暴音蝙蝠なら、音で動けなくなる事はあっても、こんな幻覚症状は聞いたことありません。だから、変異種だと思います」
と推測したエミリー。
それから冒険者達の議論が始まるが、おっさんとキャリーは蚊帳の外。キョーコが盛んに音響兵器対策法の話をしているくらいで、コータは男だと明かすタイミングを逸し、被害を受けた冒険者たちに囲まれたままだった。
終わりの見えないこの状況に手を差し伸べる神はギルド職員だった。
「お前ら、いつまでダベってんだ?」
カウンターから出て来た職員がこちらへとやって来てそう言った。
「ほら、正気に戻ったんなら部屋へ行きな。お前らも、話し合うなら明日にしろよ。そろそろメシの時間も終わるんだ。食うならさっさと注文しな。お前らはこっち来い」
ギルド職員はそれぞれにそう声をかけ、おっさん達をカウンターへと誘う、
ようやくたどり着いたカウンターで、個室に余裕があった事から5部屋を押さえ、そそくさと夕食を注文しようと頭を切り替えるおっさんだった。
しかし、先ほどの冒険者達も席についており、パスタと思しきモノを食べていた。
おっさんも日替わりメニューのそれを注文する。
しばらく待つとやって来たパスタは、パスタ?と首をかしげる、ミートなのにトマトっ気のない肉味噌が載せられていた。
「どうした、あんちゃん。水が貴重なこの辺りじゃ、これが一番のごちそうだ」
そういう冒険者の言葉を聞いて口にすると、旨味が口に広がり、後から辛さが襲ってきた。
見た目、盛り付けはパスタだが、その中身は四川担々麺、あの汁なしに近い食べ物に思えたおっさん。
冒険者の説明によると、南の町で栽培されているイモが原料で、その粉から作った麺は乾燥に強く10日程は日持ちするとかで、こうしてひき肉そぼろと油、薬味を混ぜればまるで普通の麺として食せるごちそうであると聞き、おっさんは味わいながら食べるのだった。
371
お気に入りに追加
1,700
あなたにおすすめの小説
とある中年男性の転生冒険記
うしのまるやき
ファンタジー
中年男性である郡元康(こおりもとやす)は、目が覚めたら見慣れない景色だったことに驚いていたところに、アマデウスと名乗る神が現れ、原因不明で死んでしまったと告げられたが、本人はあっさりと受け入れる。アマデウスの管理する世界はいわゆる定番のファンタジーあふれる世界だった。ひそかに持っていた厨二病の心をくすぐってしまい本人は転生に乗り気に。彼はその世界を楽しもうと期待に胸を膨らませていた。
おいでませ異世界!アラフォーのオッサンが異世界の主神の気まぐれで異世界へ。
ゴンべえ
ファンタジー
独身生活を謳歌していた井手口孝介は異世界の主神リュシーファの出来心で個人的に恥ずかしい死を遂げた。
全面的な非を認めて謝罪するリュシーファによって異世界転生したエルロンド(井手口孝介)は伯爵家の五男として生まれ変わる。
もちろん負い目を感じるリュシーファに様々な要求を通した上で。
貴族に転生した井手口孝介はエルロンドとして新たな人生を歩み、現代の知識を用いて異世界に様々な改革をもたらす!かもしれない。
思いつきで適当に書いてます。
不定期更新です。
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます
ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。
何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。
生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える
そして気がつけば、広大な牧場を経営していた
※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。
7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。
5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます!
8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる