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1.神託の結果は――。

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「これは神からのお告げです」

 グレンカミラ王国の王宮《神託の間》にて、その儀式は執り行われていた。

「第一王子、アールド・グレンカミラ。神託――『剣聖』。圧倒的な武と、圧倒的な王の素質を持ってして民を導く先導者としての責務を果たすのだ」

 一時的に神を憑依させた神官が、手に宿った黄金の光をアールドの身体に付与させた。
 片膝を付いた金の長髪を持つアールドが、『剣聖の神託』を自分の身体に宿した瞬間だった。


「ありがたき幸せ。この身を賭して、僕は国家に尽くすことを誓います」


「アールド様が剣聖! 剣聖だ! 期待された卓越した剣技通りの結果ですね、国王様!」
「よくやったぞ、アールド。さすがは我が子だ。これで安心してこの国を任せられる」
「アールド様……ご立派になられて、爺は嬉しゅうございます……!!」


 アールドの周りからは一斉に歓声が巻き起こる。
 アールドは、にこりと爽やかに笑った。

「続いて第二王子、ファルヴァ・グレンカミラ。神託――『魔法術師』。圧倒的な魔法と、聡明な知性を持ってして国家繁栄の礎となるのだ」

 神官の手に宿った紫紺の光がファルヴァの身体に宿る。
 ファルヴァは片膝を突いたまま表情を変えずに呟いた。


「神のお言葉、承りました。私に出来ることがあるならば、全力で尽くすのみ」


「ファルヴァ様は魔法術師か! 王族二人が伝説級の神託を受け取るとは……!」
「うむ。昔より賢かったファルヴァに合った神託だ。よくやったぞ。ファルヴァ」
「ファルヴァ様ー! おめでとうございます、ファルヴァ様ーーーッ!!」


 ファルヴァの周りにも凄まじい歓声が巻き起こる。
 中でも大泣きしている燕尾服の白髪男性を見て、ファルヴァは「侍従長、騒ぎすぎだみっともない……」と小さく苦言を呈した。

「最後に第三王子、レアル・グレンカミラ。神託――……えぇと、その……」

 神官が明らかに戸惑っている。

「何をしている。陛下の御前だぞ、早く読み上げんか!」

 後ろにいる人々は、もう神託は全て終わったとでも言うようにアールドとファルヴァを祝うように囲う。

 ただ一人、紅髪のポニーテールを揺らした少女が一人、祈るようにレアルを見つめている。

「は、はっ! 失礼しました! 神託――し、『召喚術師』。魔物を召喚し、困難なる敵を打ち砕……け……」

 神官の言葉に、王宮は静まりかえった。
 神官の手に宿った灰色の光がレアルの身体に宿っていった。
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