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異世界食材で親子丼!①
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「よしっと! これでよろしいでしょうか、タツヤ様」
「おー、いやぁ本当助かる。役に立たないって言ってるけど、これホントにありがたいことなんだよな……」
「タツヤ様の御役に立てるのならば、私も幸せですよ。ご飯にも困りませんし」
「あぁ。もはや旅の要はルーナだからな」
「もう、そんな恥ずかしいこと言わないでくださいよぅ」
「――っ!?」
ルーナは恥ずかしそうに右手で俺をトンと叩こうとするが、今となってみれば――冷蔵庫、キッチン、電子レンジ、炊飯器を含めたキッチンスペースを丸ごと左腕で持ち上げたその少女に恐怖しか湧かない。
その右手が俺に触れただけで俺はこの世の物とは思えない形にされてしまうんではないか……と。
というか本当に助かるな。人間式……いや、獣人式トラックなのだろうか、その安定度は抜群である。
この安定さでは冷蔵庫の中身がぐちゃぐちゃになることも恐らくはないだろう。
そんな俺とルーナは、先ほどまでにいた草原を二人で歩いていた。
暖かい風が妙に肌の心地にいいものだ。
そんな中で、ルーナは告げる。
「この大荷物だと、街中を自由に散歩できませんからね。大きな町に行けば、魔法具と言ってコンパクトに収納できる道具があるんですよ」
「へぇ、そりゃどんなのだ?」
「袋状の物で、その中には特殊な空間が広がっているんです。その中には大きな荷物でもうまく収納できる。物理的な法則も真っ青な超便利アイテムなんです! とんでもなく高くつきますけどね!」
「……そりゃどこの猫型ロボットの道具だ」
「ねこがたろぼっと?」
「いや、忘れてくれ」
考えてみるも、いくら筋力があるからと言ってルーナにずっと荷物を持ってもらうわけにもいかないしな。
「ところで、とんでもなく高くつくってのはまぁ、どのくらいのもんなんだ?」
俺の言葉に、ルーナは荷物を持っていない方の左手でパーを作った。
「五千万リルです。この世界における通貨なのですが、まぁ……家を一つ建てるくらいに必要なお金でしょうか」
「……どうやってそんな金を捻出しろと。一大学生のこの俺に。一文無しのこの俺に!」
「方法は、無いこともないんですよ」
――と、ルーナは真面目な顔をして呟いた。
「先ほど食べさせていただいた『らーめん』、そして『さんどうぃっち』。こちらを街で売ってしまえばいいんです。正直、先ほど食べさせていただいた二品ともこの世のものとは思えない美味しさがあります。あわよくば、評判を聞いた貴族たちがそれを欲しがるかもしれないんです」
「俺に、街で店を構えろってことか?」
「えぇ。あのこの『れいぞうこ』と言われる不思議な冷気を放つ魔法具を使えば、あの二品を中心に回転させればどんどん顧客もつきますし、どうでしょう?」
自信満々に告げるルーナだったが……どうしようか、冷蔵庫は買いだしたばかりで結構あるけど、素材的にもかなり有限的なんだよな。
もともと俺一人で二週間保たせるつもりだったし……。
だが、今後どこかに移動する際にこのデカいキッチンスペースは明らかに邪魔だ。かといって、この世界の調理形態も一切分からない以上このキッチンを捨て置くわけにはいかない。今、このキッチンは俺の唯一の現代への道しるべであり、ライフラインでもあるからだ。
「仕方がない、こうなったらお前の案に乗るしかないな……。とはいってもさっきのラーメンとサンドウィッチでは圧倒的に客も捌けない。
となると、この世界の食材もある程度把握しておく必要があるってことだ。
それで代替できるものはそうしたいしな……。
話はそれからだ! 今ここで有限の食料と一文無しでは何考えてもまったく意味がない!
「おっけィ! 行くぞ、ルーナ。こっから一番近い町ってのはどこだ!」
「えっと……えっと、そうですね。レスタル国領北方都市、ルクシアと呼ばれる都市であれば……。あそこは、旅人の開店事情にも寛容ですしね」
「ルクシア、か。聞いたことも見たこともねぇけどそこはもうルーナに任せる。あぁ、五千万リル……家を買うくらいの特大収納か、魅力的だ」
本当に、ルーナが先ほどの二品を『この世の物とは思えない美味さ』だと形容したのならば、その可能性は高い。
なにより、この世界の食事情を把握しておく必要がある。
ルーナは右手で大きなキッチンスペースを担ぎこんで、俺よりも速く歩みを進める。
「……店……か」
生まれてこの方、自分の店を構えるなんてことは考えたこともなかった。
普通に大学に入り、普通に就職して、普通にサラリーマンとして暮らしていく。
開業なんて金がかかるし、潰れたら借金だけ残ってしまう。そんなものはこの目で嫌というほど見てきた。
だからこそ、自分で店を構えることなんてまずないと思ってたんだ。
それなのに――。
「考えもしたこともなかった……っはは、面白そうじゃん」
不思議と俺のわくわくが止まらなかった。
それも、さっき出会ったばかりの少女――ルーナのおかげなんだろう。
俺はルーナに、この世界のことについて少しずつ教えて貰いながら北方都市――ルクシアを目指していた。
「おー、いやぁ本当助かる。役に立たないって言ってるけど、これホントにありがたいことなんだよな……」
「タツヤ様の御役に立てるのならば、私も幸せですよ。ご飯にも困りませんし」
「あぁ。もはや旅の要はルーナだからな」
「もう、そんな恥ずかしいこと言わないでくださいよぅ」
「――っ!?」
ルーナは恥ずかしそうに右手で俺をトンと叩こうとするが、今となってみれば――冷蔵庫、キッチン、電子レンジ、炊飯器を含めたキッチンスペースを丸ごと左腕で持ち上げたその少女に恐怖しか湧かない。
その右手が俺に触れただけで俺はこの世の物とは思えない形にされてしまうんではないか……と。
というか本当に助かるな。人間式……いや、獣人式トラックなのだろうか、その安定度は抜群である。
この安定さでは冷蔵庫の中身がぐちゃぐちゃになることも恐らくはないだろう。
そんな俺とルーナは、先ほどまでにいた草原を二人で歩いていた。
暖かい風が妙に肌の心地にいいものだ。
そんな中で、ルーナは告げる。
「この大荷物だと、街中を自由に散歩できませんからね。大きな町に行けば、魔法具と言ってコンパクトに収納できる道具があるんですよ」
「へぇ、そりゃどんなのだ?」
「袋状の物で、その中には特殊な空間が広がっているんです。その中には大きな荷物でもうまく収納できる。物理的な法則も真っ青な超便利アイテムなんです! とんでもなく高くつきますけどね!」
「……そりゃどこの猫型ロボットの道具だ」
「ねこがたろぼっと?」
「いや、忘れてくれ」
考えてみるも、いくら筋力があるからと言ってルーナにずっと荷物を持ってもらうわけにもいかないしな。
「ところで、とんでもなく高くつくってのはまぁ、どのくらいのもんなんだ?」
俺の言葉に、ルーナは荷物を持っていない方の左手でパーを作った。
「五千万リルです。この世界における通貨なのですが、まぁ……家を一つ建てるくらいに必要なお金でしょうか」
「……どうやってそんな金を捻出しろと。一大学生のこの俺に。一文無しのこの俺に!」
「方法は、無いこともないんですよ」
――と、ルーナは真面目な顔をして呟いた。
「先ほど食べさせていただいた『らーめん』、そして『さんどうぃっち』。こちらを街で売ってしまえばいいんです。正直、先ほど食べさせていただいた二品ともこの世のものとは思えない美味しさがあります。あわよくば、評判を聞いた貴族たちがそれを欲しがるかもしれないんです」
「俺に、街で店を構えろってことか?」
「えぇ。あのこの『れいぞうこ』と言われる不思議な冷気を放つ魔法具を使えば、あの二品を中心に回転させればどんどん顧客もつきますし、どうでしょう?」
自信満々に告げるルーナだったが……どうしようか、冷蔵庫は買いだしたばかりで結構あるけど、素材的にもかなり有限的なんだよな。
もともと俺一人で二週間保たせるつもりだったし……。
だが、今後どこかに移動する際にこのデカいキッチンスペースは明らかに邪魔だ。かといって、この世界の調理形態も一切分からない以上このキッチンを捨て置くわけにはいかない。今、このキッチンは俺の唯一の現代への道しるべであり、ライフラインでもあるからだ。
「仕方がない、こうなったらお前の案に乗るしかないな……。とはいってもさっきのラーメンとサンドウィッチでは圧倒的に客も捌けない。
となると、この世界の食材もある程度把握しておく必要があるってことだ。
それで代替できるものはそうしたいしな……。
話はそれからだ! 今ここで有限の食料と一文無しでは何考えてもまったく意味がない!
「おっけィ! 行くぞ、ルーナ。こっから一番近い町ってのはどこだ!」
「えっと……えっと、そうですね。レスタル国領北方都市、ルクシアと呼ばれる都市であれば……。あそこは、旅人の開店事情にも寛容ですしね」
「ルクシア、か。聞いたことも見たこともねぇけどそこはもうルーナに任せる。あぁ、五千万リル……家を買うくらいの特大収納か、魅力的だ」
本当に、ルーナが先ほどの二品を『この世の物とは思えない美味さ』だと形容したのならば、その可能性は高い。
なにより、この世界の食事情を把握しておく必要がある。
ルーナは右手で大きなキッチンスペースを担ぎこんで、俺よりも速く歩みを進める。
「……店……か」
生まれてこの方、自分の店を構えるなんてことは考えたこともなかった。
普通に大学に入り、普通に就職して、普通にサラリーマンとして暮らしていく。
開業なんて金がかかるし、潰れたら借金だけ残ってしまう。そんなものはこの目で嫌というほど見てきた。
だからこそ、自分で店を構えることなんてまずないと思ってたんだ。
それなのに――。
「考えもしたこともなかった……っはは、面白そうじゃん」
不思議と俺のわくわくが止まらなかった。
それも、さっき出会ったばかりの少女――ルーナのおかげなんだろう。
俺はルーナに、この世界のことについて少しずつ教えて貰いながら北方都市――ルクシアを目指していた。
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