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おばちゃんVS検問員
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「ここが首都……ここが、この国の都! 初めて来ました……!」
魔猪を討伐し終わったのも束の間、ぼく達を乗せたゴブリン車はサルディア皇国と呼ばれるこの国の首都に入るための検問へと立ち寄っていた。
「地方にも国営ギルドが創設されるようになって、都と地方間との連携も強まってきたからねぇ。おばちゃん達みたいな民泊ギルドは煽り食らって経営が厳しくなっちまったけども、その分人死には少なくなったさねぇ」
ガラガラとゴブリン車が検問に移る際に、おばちゃんは教えてくれる。
「ぐぁっ! ぐあぉあ、ぐあ!」
「な、何だ何だ? 何言ってるのか分かんねぇんだが……? お、おい、ラグルド、お前こういうの得意なこととかないのか?」
「無茶言わないでくださいよグランさん!? 俺たち元々ただの冒険者ですし、人数足りないから来たってだけなんすからね!?」
どうやら、この検問制度も出来て日が浅いらしい。
首都在住の冒険者までが人手不足のために検問員として派遣されている現状だ。
現サルディア皇国の女王様が次々と革新的な改革を行っているらしく、この国は絶賛転換期だってことみたいだ。
とはいえ、ずっと地方で冒険者やってると特に関係ないし面倒な手続きが増えたっていうイメージしかないんだけどね。
「えぇと、これが承認……と。民泊ギルド経営者、サンドラ・マクレーン。合格だ。悪いがゴブリンだけは街に入れるのは禁止なんでそこさえ守ってくれりゃぁ問題ない。手数料さえ払えばウチのギルド員を駆り出せるぜ」
「あらそうかい。……昔は検問なんてなかったのに、堅苦しくなったもんさねぇ。ほら、ゴブリン共! また帰りはよろしく頼むさね! そーれっ!!」
『アグァーーーーーーーーーーーーーーー!!』
おばちゃんは手に持った銅貨をふわりと空に投げ込んだ。
ゴブリンたちは飛び交う金属に夢中で顔を真っ赤にしながらお金に向かってダイブしていく。
……扱いが手慣れすぎてるよね。
手をパンパンと叩いて、おばちゃんは検問員に言う。
「仕方ないねぇ。それなら、営業所までの運搬はこっちのモンに任せるしかないねぇ。いいかい、積み荷に傷をつけたら承知しないからね!」
「あぁ、分かってるさ。おい、ラグルド! ローグ呼んでこい。今呼んだのがウチのギルド構成員の中でも一番のやり手だ、安心してくれ。手数料はそんなかからねぇ。それがウチの王の意向だ」
「そりゃ助かるねぇ」
おばちゃんと検問員のやりとりを耳にしながら荷台にいるぼく達は、都の華やかさに見惚れてさえいた。
街の中心に輝くガラス張りの建造物。周囲には様々な商店が建ち並び、多種多様な人種が街を行き交う。
すぐ中に見える冒険者ギルドだって、『アスカロン』と書かれたその看板自体からぼく達のいたギルドとは大違いに綺麗だ。
「わっふー!」
壮大な都の景色に看過されたのか、フェウも空を見上げて大きな声で一鳴きをかましたのだった。
魔猪を討伐し終わったのも束の間、ぼく達を乗せたゴブリン車はサルディア皇国と呼ばれるこの国の首都に入るための検問へと立ち寄っていた。
「地方にも国営ギルドが創設されるようになって、都と地方間との連携も強まってきたからねぇ。おばちゃん達みたいな民泊ギルドは煽り食らって経営が厳しくなっちまったけども、その分人死には少なくなったさねぇ」
ガラガラとゴブリン車が検問に移る際に、おばちゃんは教えてくれる。
「ぐぁっ! ぐあぉあ、ぐあ!」
「な、何だ何だ? 何言ってるのか分かんねぇんだが……? お、おい、ラグルド、お前こういうの得意なこととかないのか?」
「無茶言わないでくださいよグランさん!? 俺たち元々ただの冒険者ですし、人数足りないから来たってだけなんすからね!?」
どうやら、この検問制度も出来て日が浅いらしい。
首都在住の冒険者までが人手不足のために検問員として派遣されている現状だ。
現サルディア皇国の女王様が次々と革新的な改革を行っているらしく、この国は絶賛転換期だってことみたいだ。
とはいえ、ずっと地方で冒険者やってると特に関係ないし面倒な手続きが増えたっていうイメージしかないんだけどね。
「えぇと、これが承認……と。民泊ギルド経営者、サンドラ・マクレーン。合格だ。悪いがゴブリンだけは街に入れるのは禁止なんでそこさえ守ってくれりゃぁ問題ない。手数料さえ払えばウチのギルド員を駆り出せるぜ」
「あらそうかい。……昔は検問なんてなかったのに、堅苦しくなったもんさねぇ。ほら、ゴブリン共! また帰りはよろしく頼むさね! そーれっ!!」
『アグァーーーーーーーーーーーーーーー!!』
おばちゃんは手に持った銅貨をふわりと空に投げ込んだ。
ゴブリンたちは飛び交う金属に夢中で顔を真っ赤にしながらお金に向かってダイブしていく。
……扱いが手慣れすぎてるよね。
手をパンパンと叩いて、おばちゃんは検問員に言う。
「仕方ないねぇ。それなら、営業所までの運搬はこっちのモンに任せるしかないねぇ。いいかい、積み荷に傷をつけたら承知しないからね!」
「あぁ、分かってるさ。おい、ラグルド! ローグ呼んでこい。今呼んだのがウチのギルド構成員の中でも一番のやり手だ、安心してくれ。手数料はそんなかからねぇ。それがウチの王の意向だ」
「そりゃ助かるねぇ」
おばちゃんと検問員のやりとりを耳にしながら荷台にいるぼく達は、都の華やかさに見惚れてさえいた。
街の中心に輝くガラス張りの建造物。周囲には様々な商店が建ち並び、多種多様な人種が街を行き交う。
すぐ中に見える冒険者ギルドだって、『アスカロン』と書かれたその看板自体からぼく達のいたギルドとは大違いに綺麗だ。
「わっふー!」
壮大な都の景色に看過されたのか、フェウも空を見上げて大きな声で一鳴きをかましたのだった。
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