LOOK AT ME

天宮叶

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信じてるから

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もぐもぐ

もぐもぐもぐもぐ

「…おい。」

「ん?」

朝起きて時くんとご飯を食べていると時くんに呼ばれて僕はおかずをつまむ手を止めた。

「食いすぎだろ。」

「…え…あっ…。」

時くんに言われて皿を見ると半分以上のおかずがすっかり無くなっていて驚く。

「…胃が大きくなったかも…。」

「太るぞ。」

「もう遅いかも。」

どうやら僕は監禁されてる2週間の間に体内まで変化してしまったようだ。

まだ大丈夫だけどこの調子で食べてたらそのうちぽよぽよになるかもしれない。

「時くんって細身の子が好きなの?」

「…別に。」

視線を逸らされて僕は首を傾げた。

やっぱり細身の子が好きなのかな。

少しだけ増えたお腹のお肉を摘んで眉を寄せる。

「…前の方がいい。」

「健康的になったのに。」

「やっぱムカつく。」

「…変な時くん。」

そう言って僕がまたおかずを掴もうとしたら、時くんが皿を全部自分の方に寄せて僕が止める暇もなくあっという間に全部食べてしまった。

「…お腹減ってたの?」

「……ちげえ。」

やっぱり噛み合わない会話に僕は困惑するけど、時くんはちゃんと言ってくれないから結局分からないまま学校に行く時間になった。

時くんと2人で学校に向かうと、時くんが離れるのを頑なに嫌がって僕もそのまま屋上へ向かうことになった。

「そ~ら~!!!!」

「うわっ!?」

屋上に着いた瞬間、光成くんが僕に抱きついて来ようとしてそれを時くんが光成くんの首根っこを掴んで止めると、ぽいって投げ捨てた。

「ひ、酷いっす!ダチとの感動の再会なんすよっ!?」

「うるせえ。購買で飲みもんでも買ってこい。」

「…わ、わかったっす!」

「あ、僕にプリンも買ってきて欲しい。お金は後で渡すね。」

「了解っ!」

「…ピンク頭、プリンは買ってくんな。」

時くんの言葉に僕が頬を膨らませると時くんはぷいって僕から顔を逸らした。

光成くんは僕たちに挟まれてどうしたらいいか頭を悩ませている。

「ちょっと~2人揃ってわんちゃんのこと虐めないでよ。」

他の不良さん達と何か話していた柴くんがこっちに寄ってきて光成くんを僕たちの間から救出したことで光成くんは少しだけほっとした顔になった。

「久しぶりパシリくん。」

「柴くん久しぶり。」

久しぶりの柴くんの笑顔に僕も笑顔で返すと、少し太った?って言われて苦笑いする。

「髪も切っちゃって。すっかり垢抜けたね~。」

「…そうかなあ…。」

お兄さんに無理矢理されたことだから複雑な気持ちになってると時くんが柴くんにあっち行けって怒った。

「相変わらずラブラブだね。羨ましいな~。」

柴くんはそう言って光成くんをちらっと見てからまた不良さん達のところに戻って行く。
光成くんはそんな柴くんの視線には気づいていないのかぽけーっとした顔で僕たちの様子を眺めていた。

「あっ、結局プリンどうするんすか?」

「やっぱり要らないや。ごめんね。」

「ん!了解。んじゃ、飲み物買ってくるっす。」

そう言って光成くんも僕達から離れて屋上から出ていった。

「なんだかこの雰囲気懐かしいな。」

「うるせえだけだろ。」

「それがいいんじゃない。戻ってこれて嬉しい。」

僕が笑うと時くんがポンって僕の頭に手を乗せてきて、軽く撫でられる。

「良かったな。」

それと同時に言われた言葉に僕は大きく頷いて、また時くんに笑顔を向けた。
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