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信じてるから
9〜時視点〜重複箇所あります
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それから何日も俺は実家へと足を運んだ。
その度にすげなく追い返されて、どんどん焦りだけが募っていく。
「…あ゛ぁ!糞があああ!!」
イライラして家の物に当たり散らかした。
空がどう思うとかそんなの考えてる余裕はなくて、棚に置かれた2つのマグカップだけが確かに空が俺の横にいたことを証明しているようにも感じてこんな物壊してやろうかって頭を過ったりもした。
それでも空の目の色に似た榛色のそのカップを壊すことなんて出来なくて俺はそれを手で包んで胸に閉じこめる。
「…空っ…。」
会いたい…。
何もされてねえのか?
泣いてねえのか?
お前を早く見つけたいのに手がかりすら見つけられねえ。
ピーンポーン
鳴り響いたインターホンに俺はカップを棚に戻してゆらりと玄関へと向かった。
扉を開けると柴が立っている。その横にはピンク頭もいた。
「うわあ…酷い顔。ここ2、3日、2人とも顔出さないしパシリ君の方は連絡取れないって言うから様子見に来てみたけど何かあった?」
「……お前らには関係ねえ。」
玄関を閉めようとすると柴が足を滑り込ませてそれを防ぐ。
「時、俺の目を見て言ってみてよ。」
「あ゛あ?」
「もう1回、関係ないって俺の目を見て言ってみて。」
訳わかんねえこいつの言葉に俺は何故か素直に従う。
「…関係ねえ…っ…これでいいかよ。」
「だめでーす。最後、目逸らしたでしょ。パシリ君になにかあった?手貸してほしいならそういいなよ。」
「そうっすよ!空は俺のダチなんすよっ!!それに朔間さんは俺たちの大事なリーダーっす!」
うぜえ…。
心底そう思うのに、それが声として形をなさないのは1人じゃ限界を感じてたからかもしれねえ。
それに多分…こいつらは信用出来る。
俺の周りには空しかいねえと思ってた。
けど、今やっとこいつらも居ることに気づく。
うぜえけど、こういうヤツらのことを世間じゃダチって言うのかもしれねえ。
弱ってるからこんなキモイこと思うのか…。
「…手、貸せよ。」
俺は2人を中に入れると適当に座れって促す。
「…ちょっと…これは流石にパシリ君怒ると思うよ。」
物が割れたり散らばったりしているリビングを2人がみて、うわぁって顔をする。
それに、いいから座れってキレると2人は渋々近くのソファーに腰掛けた。
詳細を話終えると、柴もピンク頭も顔を歪めて、頭を抱える。
やっぱ無理かって俺が溜息をつきかけたとき、柴が急に笑い出して俺はついキモイって呟いた。
「時~、パシリ君とのほほんとした生活してたせいで牙を何処かに置き忘れてきたんじゃない?」
「…あ゛?」
訳のわかんねえことを言い始める柴にキレると、柴はいつも通りの食えない笑みを浮かべる。
「簡単な事だよ。話を聞いてくれないなら、話を聞いて貰えるように仕向ければいい。というか確実に聞かせるように仕向けるんだよ。」
柴の言葉に俺はなんで気づかなかったんだって思いながら口の端を歪に上げた。
そうだよなあ。
真正面から聞いてもらおうなんて俺らしくもなかった。
俺はいつだって聞いてもらう側じゃなく、聞かせる側だったじゃねえか。
「ふ、2人が怖いっす…。」
柴の隣でぷるぷる震えてるピンク頭は放置して2人でどうするか話し合う。
「おい、ピンク、仲間集めてこい。」
「は、はいっす!」
「柴はそいつらに指示だせ。」
「了解~。」
「俺も心当たりを探る。」
「「了解。」」
話し合いが終わると俺たちは一旦解散して、それぞれ動き始めた。
俺は噂好きのやつに心当たりがあるからそこに向かうことにして、誰も居なくなったリビングのソファーにもたれかかって目を閉じた。
「やっと進む…。」
やっと空に届くようなそんな確信が頭の中に浮上する。
そうと決まれば、俺は着ていた窮屈なスーツを脱いで私服に着替えると外に出た。
その度にすげなく追い返されて、どんどん焦りだけが募っていく。
「…あ゛ぁ!糞があああ!!」
イライラして家の物に当たり散らかした。
空がどう思うとかそんなの考えてる余裕はなくて、棚に置かれた2つのマグカップだけが確かに空が俺の横にいたことを証明しているようにも感じてこんな物壊してやろうかって頭を過ったりもした。
それでも空の目の色に似た榛色のそのカップを壊すことなんて出来なくて俺はそれを手で包んで胸に閉じこめる。
「…空っ…。」
会いたい…。
何もされてねえのか?
泣いてねえのか?
お前を早く見つけたいのに手がかりすら見つけられねえ。
ピーンポーン
鳴り響いたインターホンに俺はカップを棚に戻してゆらりと玄関へと向かった。
扉を開けると柴が立っている。その横にはピンク頭もいた。
「うわあ…酷い顔。ここ2、3日、2人とも顔出さないしパシリ君の方は連絡取れないって言うから様子見に来てみたけど何かあった?」
「……お前らには関係ねえ。」
玄関を閉めようとすると柴が足を滑り込ませてそれを防ぐ。
「時、俺の目を見て言ってみてよ。」
「あ゛あ?」
「もう1回、関係ないって俺の目を見て言ってみて。」
訳わかんねえこいつの言葉に俺は何故か素直に従う。
「…関係ねえ…っ…これでいいかよ。」
「だめでーす。最後、目逸らしたでしょ。パシリ君になにかあった?手貸してほしいならそういいなよ。」
「そうっすよ!空は俺のダチなんすよっ!!それに朔間さんは俺たちの大事なリーダーっす!」
うぜえ…。
心底そう思うのに、それが声として形をなさないのは1人じゃ限界を感じてたからかもしれねえ。
それに多分…こいつらは信用出来る。
俺の周りには空しかいねえと思ってた。
けど、今やっとこいつらも居ることに気づく。
うぜえけど、こういうヤツらのことを世間じゃダチって言うのかもしれねえ。
弱ってるからこんなキモイこと思うのか…。
「…手、貸せよ。」
俺は2人を中に入れると適当に座れって促す。
「…ちょっと…これは流石にパシリ君怒ると思うよ。」
物が割れたり散らばったりしているリビングを2人がみて、うわぁって顔をする。
それに、いいから座れってキレると2人は渋々近くのソファーに腰掛けた。
詳細を話終えると、柴もピンク頭も顔を歪めて、頭を抱える。
やっぱ無理かって俺が溜息をつきかけたとき、柴が急に笑い出して俺はついキモイって呟いた。
「時~、パシリ君とのほほんとした生活してたせいで牙を何処かに置き忘れてきたんじゃない?」
「…あ゛?」
訳のわかんねえことを言い始める柴にキレると、柴はいつも通りの食えない笑みを浮かべる。
「簡単な事だよ。話を聞いてくれないなら、話を聞いて貰えるように仕向ければいい。というか確実に聞かせるように仕向けるんだよ。」
柴の言葉に俺はなんで気づかなかったんだって思いながら口の端を歪に上げた。
そうだよなあ。
真正面から聞いてもらおうなんて俺らしくもなかった。
俺はいつだって聞いてもらう側じゃなく、聞かせる側だったじゃねえか。
「ふ、2人が怖いっす…。」
柴の隣でぷるぷる震えてるピンク頭は放置して2人でどうするか話し合う。
「おい、ピンク、仲間集めてこい。」
「は、はいっす!」
「柴はそいつらに指示だせ。」
「了解~。」
「俺も心当たりを探る。」
「「了解。」」
話し合いが終わると俺たちは一旦解散して、それぞれ動き始めた。
俺は噂好きのやつに心当たりがあるからそこに向かうことにして、誰も居なくなったリビングのソファーにもたれかかって目を閉じた。
「やっと進む…。」
やっと空に届くようなそんな確信が頭の中に浮上する。
そうと決まれば、俺は着ていた窮屈なスーツを脱いで私服に着替えると外に出た。
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