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頼れよ……
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「……蒼葉お前よく平気だよな」
突然言われたクラスメイトからの言葉に僕は首を傾げた。
消しても消してもいつも通り落書きされる机を眺めながら、備品なのに…って思う。そんなときに話しかけられてなんて返したらいいか迷う。
正直な話、自分の私物ではない下駄箱やロッカー、机とかになにをされても、使うのに不便だと思うだけで対してダメージはないからなんとも思わないんだ。
物が落ちてきたり盗撮されるのは自分自身に被害が及ぶからかなりダメージを受けているけど……。
「だってこれ僕の物じゃないし」
「……いや、そういうことではないだろ……」
「じゃあなに?それを聞いてどうしたいの。代わってくれるの?それとも助けてくれる?」
「……え、いや~……」
そんなに関わりもないのにこういうときだけ話しかけてきて、結局はなにもしてくれないのはただの野次馬と同じだ。
それならほっといてくれた方がまだ有難いとすら思う。
「僕は大丈夫だよ。それに、僕と話してたらどこかで見てる犯人に君もいじめられちゃうかもよ?」
わざと笑顔を作って無邪気に言ってやれば、彼は慌てて僕から離れていった。
「なんだよ……折角話しかけてやったのに」
離れたところでそう愚痴り始めた彼のことは無視して、僕は鞄から教科書類を取り出す。
そして、つい机の中を確認せずに中に手を入れたとき、突然ビリリと体に走った異常な痛みに思わず手を引っ込めた。瞬間、たらりと手から血が零れ落ちて唖然とする。
中を確認すると無造作に包丁やらナイフなんかが詰めてあって、カッターの刃が縦にしてテープで停めてある所もあった。
確認せずに手を入れた自分を叱咤する。
「だ、誰か先生呼んでっ!!」
血を見たクラスメイト達が騒ぎ出して、それをBGMにしながら流れる血をひたすら見つめ続ける。
このまま死んだらお父さんに会えるだろうか……。
ふとそんなことを思った。
会ったらなにを言おう。
まずはΩだったことを報告しようかな。
それから好きな人と運命の番だったことも話そう。
本当はβが良かったって言ったらお父さんはなんて答えるかな。
また僕を殴るのかな。
ぼーっとただ虚ろにそんなことを思った。
「おいっ!!!」
そのとき、誰かが僕の腕を引いて現実に引き戻される。
陽だまりの香りが鼻腔をくすぐる。
血が流れた手を布のようなもので包まれて、それからふわりと体が宙を浮いた。
「……と、き、くん?」
回らない思考の中で時くんに横向きに抱えられていることだけは分かって、それに酷く安心感を覚えたんだ。
突然言われたクラスメイトからの言葉に僕は首を傾げた。
消しても消してもいつも通り落書きされる机を眺めながら、備品なのに…って思う。そんなときに話しかけられてなんて返したらいいか迷う。
正直な話、自分の私物ではない下駄箱やロッカー、机とかになにをされても、使うのに不便だと思うだけで対してダメージはないからなんとも思わないんだ。
物が落ちてきたり盗撮されるのは自分自身に被害が及ぶからかなりダメージを受けているけど……。
「だってこれ僕の物じゃないし」
「……いや、そういうことではないだろ……」
「じゃあなに?それを聞いてどうしたいの。代わってくれるの?それとも助けてくれる?」
「……え、いや~……」
そんなに関わりもないのにこういうときだけ話しかけてきて、結局はなにもしてくれないのはただの野次馬と同じだ。
それならほっといてくれた方がまだ有難いとすら思う。
「僕は大丈夫だよ。それに、僕と話してたらどこかで見てる犯人に君もいじめられちゃうかもよ?」
わざと笑顔を作って無邪気に言ってやれば、彼は慌てて僕から離れていった。
「なんだよ……折角話しかけてやったのに」
離れたところでそう愚痴り始めた彼のことは無視して、僕は鞄から教科書類を取り出す。
そして、つい机の中を確認せずに中に手を入れたとき、突然ビリリと体に走った異常な痛みに思わず手を引っ込めた。瞬間、たらりと手から血が零れ落ちて唖然とする。
中を確認すると無造作に包丁やらナイフなんかが詰めてあって、カッターの刃が縦にしてテープで停めてある所もあった。
確認せずに手を入れた自分を叱咤する。
「だ、誰か先生呼んでっ!!」
血を見たクラスメイト達が騒ぎ出して、それをBGMにしながら流れる血をひたすら見つめ続ける。
このまま死んだらお父さんに会えるだろうか……。
ふとそんなことを思った。
会ったらなにを言おう。
まずはΩだったことを報告しようかな。
それから好きな人と運命の番だったことも話そう。
本当はβが良かったって言ったらお父さんはなんて答えるかな。
また僕を殴るのかな。
ぼーっとただ虚ろにそんなことを思った。
「おいっ!!!」
そのとき、誰かが僕の腕を引いて現実に引き戻される。
陽だまりの香りが鼻腔をくすぐる。
血が流れた手を布のようなもので包まれて、それからふわりと体が宙を浮いた。
「……と、き、くん?」
回らない思考の中で時くんに横向きに抱えられていることだけは分かって、それに酷く安心感を覚えたんだ。
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