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天宮叶

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俺の物〜時視点〜

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ガキの頃から3つ上の兄貴と比べられて育ってきた。家は所謂エリート家系とかいうやつで、昔から出来が良くていい子ちゃんなあいつは親にも気に入られてた。

俺はといえば成績は良くも悪くも平均ぐらい。
スポーツだけは得意だったが、それも直ぐに飽きてやらなくなった。
結果、親は俺のことなんて見向きもしなくなって、なにかあれば兄貴の名前を出しては俺を叱責しっせきした。

そんなだから当たり前に俺は反抗的になって、中学に上がるとあっという間にグレた。

喧嘩に明け暮れる日々。
友達なん呼べるやつは居ない。

誰も使ってない別宅に1人追いやられるように住み始めて、金だけは振り込まれるから、それからはそれを元手に1人で生活してきた。

喧嘩の毎日は正直つまらないとしか言いようがない。

周りには俺に媚びるやつしかいねえ。

親も誰も俺の話なんか聞きやしない。

そんな日々の中で、暴力が1番手っ取り早く思い通りに事を運べることに気づいてからは、気に食わなかったり言う事聞かないやつがいたら直ぐに殴って相手を捩じ伏せた。

空虚だった。

親は兄貴しか見てない。

親が経営してる会社も兄貴が継ぐだろう。

友達も居ない。

俺の物なんかなにも無かった。

高校は別に何処でも良かったから、適当に選んだ所を受験したらたまたま受かった。

αの少ないそこでは俺は目立って、中学のときの良くねえ噂とかも広まってたから当たり前に孤立した。

「あれ~君って朔間時じゃない?」

「ああ゛?」

入学して数週間経ったころに、久々に登校したらやけに軽そうなやつに話しかけられて、最初はウザイやつだと思った。

うざすぎて何度も殴り飛ばした。

それでもそいつは何を思ってなのか、懲りずに俺に話しかけてくる。

初めて見た時から、こいつも同じαだと分かっていたから、殴るのすら面倒になっていつの間にか一緒に行動することが多くなった。

それが柴だった。

だからってこいつにダチだとか思ったことはないし、隣に居るとうるさいやつって認識しかない。

それは柴も同じ。

ただ、α同士ツルんでるのが楽なだけだ。

「見て見て~この子可愛くない?」

「……ブスだろ。」

柴はとにかく軽いヤツで、連れてる女がよく変わってるようなやつ。その中から俺に押し付けようとしてくることも多い。

その度に心底嫌そうな顔をする俺を見るのが、柴の趣味だって気づいたときには入院手前まで殴り飛ばした。

それでも柴は次の日にはヘラヘラ笑って登校してきてゾッとした。

柴とつるむようになって俺の日常は常にうるさくなった。

それでも俺の中身は空虚で、人生は本当につまらないものに思えた。
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