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捜索と贈物
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イズを家に招待してからあっという間に1週間が経ってしまった。イズと過ごす1週間はものすごく楽しくて幸せで、時間の感覚を失わせてしまう。一日がこんなにも短いなんて今まで知らなかった。
「約束通りエッチな下着を用意したんだ」
今までは普通の新品の下着を貸していたけれど、ようやくイズを可愛く着飾ることが出来ると内心でほくそ笑む。
俺が手に持っていた下着の入った袋を覗き込んだイズがグッと眉間に皺を寄せて、袋をひったくるとゴミ箱へと容赦なく捨てた。慌てて回収しようとすると、イズにシャツのネクタイを掴まれて動きを止められてしまう。
「キモい。回収しようとするな」
「折角イズに似合う下着を選んだのに……」
涙目で訴えるけれど、睨らまれて聞き入れては貰えそうな雰囲気ではない。それにガッカリして肩を落とすと、てかっとイズが言葉を続ける。
「てか、そのデカい荷物なに」
下着と一緒に買ってきたそれをイズが指さしながら首を傾げた。それに笑みを返しながら、荷物を手に取る。
ダンボールに包まれたそれは見た目程重くはなくて、包装されたままイズに手渡すと中身を確認したイズが驚きの表情を浮かべた。
薄いブラウン調のアコースティックギターはイズが長年愛用しているギターと同時期に発売された人気の高い1品で、値段もそこそこするけれど奮発して買ってみたんだ。
「なんで……」
「弾きたそうにしていたから。イズが使っていたものと同じギターは家にあるけれど、あれはグッズだから処分してしまったし、折角なら新しい物をプレゼントしようと思ったんだよ」
「値段見て買ってきたわけ。いくらすると思ってんだよ」
「イズにならいくらだって惜しみなく出すよ」
「……そういうのが重いんだよ」
文句を言いながらもギターを胸元に抱き寄せたイズが可愛くて笑みを深める。ギターへと視線を向けながら嬉しそうにしているイズが微かに微笑んでいて、その破壊力に思わず胸を押えた。
素直じゃないけど、分かりやすいところも好きだと思う。それに喜んでもらえたようで少し安心した。
要らないと突き返されたらどうしようかと不安だったから。下着は捨てられてしまったけれど、イズの喜ぶ顔が見れたから大幅にプラスだ。
もっともっと、もっともっともっと、イズの喜ぶ顔が見たいし、イズの喜ぶことをしてあげたい。イズに貢ぐことが俺の生きている意味だ。
「イズ愛してる」
「……あっそ」
相変わらず素っ気ないイズの態度にクスリと笑ってしまう。素っ気なくとも返事を返してくれるだけでいいんだ。
隣で声を聴けるだけで、会話を出来るだけで、心が満たされていく。でも、それもすぐに空になって心は更にイズを欲してしまう。
イズが胸に抱えているギターを優しく奪うと、顎をとってキスをした。
ギターもいいけれど、俺のことも見て欲しい。本当は俺のことだけを見ていて欲しいけれど、イズの心を手に入れるにはもう少し時間がかかりそうだから今は我慢するよ。
「約束通りエッチな下着を用意したんだ」
今までは普通の新品の下着を貸していたけれど、ようやくイズを可愛く着飾ることが出来ると内心でほくそ笑む。
俺が手に持っていた下着の入った袋を覗き込んだイズがグッと眉間に皺を寄せて、袋をひったくるとゴミ箱へと容赦なく捨てた。慌てて回収しようとすると、イズにシャツのネクタイを掴まれて動きを止められてしまう。
「キモい。回収しようとするな」
「折角イズに似合う下着を選んだのに……」
涙目で訴えるけれど、睨らまれて聞き入れては貰えそうな雰囲気ではない。それにガッカリして肩を落とすと、てかっとイズが言葉を続ける。
「てか、そのデカい荷物なに」
下着と一緒に買ってきたそれをイズが指さしながら首を傾げた。それに笑みを返しながら、荷物を手に取る。
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薄いブラウン調のアコースティックギターはイズが長年愛用しているギターと同時期に発売された人気の高い1品で、値段もそこそこするけれど奮発して買ってみたんだ。
「なんで……」
「弾きたそうにしていたから。イズが使っていたものと同じギターは家にあるけれど、あれはグッズだから処分してしまったし、折角なら新しい物をプレゼントしようと思ったんだよ」
「値段見て買ってきたわけ。いくらすると思ってんだよ」
「イズにならいくらだって惜しみなく出すよ」
「……そういうのが重いんだよ」
文句を言いながらもギターを胸元に抱き寄せたイズが可愛くて笑みを深める。ギターへと視線を向けながら嬉しそうにしているイズが微かに微笑んでいて、その破壊力に思わず胸を押えた。
素直じゃないけど、分かりやすいところも好きだと思う。それに喜んでもらえたようで少し安心した。
要らないと突き返されたらどうしようかと不安だったから。下着は捨てられてしまったけれど、イズの喜ぶ顔が見れたから大幅にプラスだ。
もっともっと、もっともっともっと、イズの喜ぶ顔が見たいし、イズの喜ぶことをしてあげたい。イズに貢ぐことが俺の生きている意味だ。
「イズ愛してる」
「……あっそ」
相変わらず素っ気ないイズの態度にクスリと笑ってしまう。素っ気なくとも返事を返してくれるだけでいいんだ。
隣で声を聴けるだけで、会話を出来るだけで、心が満たされていく。でも、それもすぐに空になって心は更にイズを欲してしまう。
イズが胸に抱えているギターを優しく奪うと、顎をとってキスをした。
ギターもいいけれど、俺のことも見て欲しい。本当は俺のことだけを見ていて欲しいけれど、イズの心を手に入れるにはもう少し時間がかかりそうだから今は我慢するよ。
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