タブー×ソング〜愛しすぎて家に招待したらあっさり着いてきたので思う存分愛でまくる〜

天宮叶

文字の大きさ
上 下
17 / 21
捜索と贈物

6

しおりを挟む
イズを家に招待してからあっという間に1週間が経ってしまった。イズと過ごす1週間はものすごく楽しくて幸せで、時間の感覚を失わせてしまう。一日がこんなにも短いなんて今まで知らなかった。

「約束通りエッチな下着を用意したんだ」

今までは普通の新品の下着を貸していたけれど、ようやくイズを可愛く着飾ることが出来ると内心でほくそ笑む。

俺が手に持っていた下着の入った袋を覗き込んだイズがグッと眉間に皺を寄せて、袋をひったくるとゴミ箱へと容赦なく捨てた。慌てて回収しようとすると、イズにシャツのネクタイを掴まれて動きを止められてしまう。

「キモい。回収しようとするな」

「折角イズに似合う下着を選んだのに……」

涙目で訴えるけれど、睨らまれて聞き入れては貰えそうな雰囲気ではない。それにガッカリして肩を落とすと、てかっとイズが言葉を続ける。

「てか、そのデカい荷物なに」

下着と一緒に買ってきたそれをイズが指さしながら首を傾げた。それに笑みを返しながら、荷物を手に取る。

ダンボールに包まれたそれは見た目程重くはなくて、包装されたままイズに手渡すと中身を確認したイズが驚きの表情を浮かべた。

薄いブラウン調のアコースティックギターはイズが長年愛用しているギターと同時期に発売された人気の高い1品で、値段もそこそこするけれど奮発して買ってみたんだ。

「なんで……」

「弾きたそうにしていたから。イズが使っていたものと同じギターは家にあるけれど、あれはグッズだから処分してしまったし、折角なら新しい物をプレゼントしようと思ったんだよ」

「値段見て買ってきたわけ。いくらすると思ってんだよ」

「イズにならいくらだって惜しみなく出すよ」

「……そういうのが重いんだよ」

文句を言いながらもギターを胸元に抱き寄せたイズが可愛くて笑みを深める。ギターへと視線を向けながら嬉しそうにしているイズが微かに微笑んでいて、その破壊力に思わず胸を押えた。

素直じゃないけど、分かりやすいところも好きだと思う。それに喜んでもらえたようで少し安心した。

要らないと突き返されたらどうしようかと不安だったから。下着は捨てられてしまったけれど、イズの喜ぶ顔が見れたから大幅にプラスだ。

もっともっと、もっともっともっと、イズの喜ぶ顔が見たいし、イズの喜ぶことをしてあげたい。イズに貢ぐことが俺の生きている意味だ。

「イズ愛してる」

「……あっそ」

相変わらず素っ気ないイズの態度にクスリと笑ってしまう。素っ気なくとも返事を返してくれるだけでいいんだ。

隣で声を聴けるだけで、会話を出来るだけで、心が満たされていく。でも、それもすぐに空になって心は更にイズを欲してしまう。

イズが胸に抱えているギターを優しく奪うと、顎をとってキスをした。

ギターもいいけれど、俺のことも見て欲しい。本当は俺のことだけを見ていて欲しいけれど、イズの心を手に入れるにはもう少し時間がかかりそうだから今は我慢するよ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた

マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。 主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。 しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。 平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。 タイトルを変えました。 前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。 急に変えてしまい、すみません。  

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・話の流れが遅い ・作者が話の進行悩み過ぎてる

美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない

すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。 実の親子による禁断の関係です。

処理中です...