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ご招待
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「なんか用?」
ファンが知っている明るくて愛嬌のある声じゃない。ぶっきらぼうでそれでいて無機質な声音で尋ねられてドキリと胸が跳ねる。その声は俺の焦がれるイズのそのもので、イズと初めて出会ったあの日のことを思い出させた。
「イズっ、ずっと会いたかった……!」
「……なんで?ストーカーの次は俺のこと誘拐でもするつもり?」
「ストーカー!?そんなイズの困るようなことするわけが無いだろう。それに俺はただ、イズに愛を伝えてるだけだし、イズの怖がることはしようなんて思わないよ!!」
俺の言葉を聞いたイズが微かに眉を寄せた。その表情の変化すら見逃さないように彼の全てを凝視する。
(ああ!イズの声が俺にだけ向けられている!!イズの綺麗な目が俺だけを映している!)
視線を浴びせられるだけで全身にゾクゾクと痺れが走って、はあはあと自然と息が荒くなっていく。
「君を迎えに来たんだよ」
「俺のこと誘拐する気?」
「違うよ。ふふふ、俺の家に君を招待したいんだ」
抑えきれない興奮を流すようにゴクリと唾を飲み込む。
イズは思案するように視線をさ迷わせた後に、足元にある小石を蹴りながら、ふーんと相槌を打ってくれた。
「……いいよ。あんたの家に招待されても」
「っ!本当かい!!」
数秒後、彼から届いた言葉に全俺が歓喜した。嬉しくて胸が高鳴っていて、今すぐにイズの唇を奪ってしまいたい衝動に駆られる。
「うん。その代わりちゃんと俺のこと隠してよ」
「わかった!約束するよっ!!イズが望むことはなんでも叶えてあげる!」
力強く同意すればイズが1歩俺の方へと近づいてきた。
「そう。なら、約束ね」
俺の方に伸ばされたイズの真っ白で細い腕を凝視する。
「俺のこと連れて行ってよストーカーさん」
イズの言葉を聞くやいなや、俺はそんな彼の手を躊躇なく勢い任せに掴んで自分の方へと引き寄せた。
「やっと捕まえた」
車でイズと一緒に家へと向かうまで、彼は一言も言葉を発しなかった。
ただ、彼から香る微かな香水の香りが俺の鼻を刺激して、運転しながら興奮してしまい、荒い息を吐き出していたら、眉を微かにしかめられたけれど。
「広いな」
「そうかな」
購入したアパートへと招き入れると、彼は開口一番そう呟いてから辺りをキョロキョロと散策し始めた。その様子をにこにこと笑みを浮かべながら観察する。
イズを背後から見つめながら華奢な腰や、形のいいお尻が可愛らしいと思う。自然とゴクリと喉が鳴った。
「疲れた」
「今日もお仕事だったでしょう。疲れたならベッドを貸そうか」
「……いい。ここで寝る」
そう言ってソファーに背を丸めて寝転がったイズを上から見下ろしながら、少しだけ残念な気持ちと大きな喜びに包まれる。
このソファーは家宝にしようと心の中で決めてイズの隣に腰掛ける。彼はそれに何も言うことは無かった。
柔らかな猫毛の黒髪に指を絡ませる。微かにイズが身をよじったけれど、それ以上はなんの反応も示さず、ただされるがまま俺に撫でられていた。それが本当の猫のようで可愛らしい。
「愛してるよ」
ずっと直接言いたかった言葉が口から漏れた。
「……愛って軽い言葉だよな」
薄目を開けて返された言葉に俺は微笑みを浮かべる。
「そんなことないって分からせるから」
思いの外柔らかな声が自身の口から飛び出す。俺の愛はきっとなによりも誰よりも深い。そんな俺の言葉にイズは何も返してはくれなくて、また瞳を閉じてしまった。
「おやすみ」
イズの髪を撫でながら彼の目尻に1つキスを落とす。今はゆっくり休んで欲しいな。それに、これからは何度だって俺の愛を伝えられるから。
ファンが知っている明るくて愛嬌のある声じゃない。ぶっきらぼうでそれでいて無機質な声音で尋ねられてドキリと胸が跳ねる。その声は俺の焦がれるイズのそのもので、イズと初めて出会ったあの日のことを思い出させた。
「イズっ、ずっと会いたかった……!」
「……なんで?ストーカーの次は俺のこと誘拐でもするつもり?」
「ストーカー!?そんなイズの困るようなことするわけが無いだろう。それに俺はただ、イズに愛を伝えてるだけだし、イズの怖がることはしようなんて思わないよ!!」
俺の言葉を聞いたイズが微かに眉を寄せた。その表情の変化すら見逃さないように彼の全てを凝視する。
(ああ!イズの声が俺にだけ向けられている!!イズの綺麗な目が俺だけを映している!)
視線を浴びせられるだけで全身にゾクゾクと痺れが走って、はあはあと自然と息が荒くなっていく。
「君を迎えに来たんだよ」
「俺のこと誘拐する気?」
「違うよ。ふふふ、俺の家に君を招待したいんだ」
抑えきれない興奮を流すようにゴクリと唾を飲み込む。
イズは思案するように視線をさ迷わせた後に、足元にある小石を蹴りながら、ふーんと相槌を打ってくれた。
「……いいよ。あんたの家に招待されても」
「っ!本当かい!!」
数秒後、彼から届いた言葉に全俺が歓喜した。嬉しくて胸が高鳴っていて、今すぐにイズの唇を奪ってしまいたい衝動に駆られる。
「うん。その代わりちゃんと俺のこと隠してよ」
「わかった!約束するよっ!!イズが望むことはなんでも叶えてあげる!」
力強く同意すればイズが1歩俺の方へと近づいてきた。
「そう。なら、約束ね」
俺の方に伸ばされたイズの真っ白で細い腕を凝視する。
「俺のこと連れて行ってよストーカーさん」
イズの言葉を聞くやいなや、俺はそんな彼の手を躊躇なく勢い任せに掴んで自分の方へと引き寄せた。
「やっと捕まえた」
車でイズと一緒に家へと向かうまで、彼は一言も言葉を発しなかった。
ただ、彼から香る微かな香水の香りが俺の鼻を刺激して、運転しながら興奮してしまい、荒い息を吐き出していたら、眉を微かにしかめられたけれど。
「広いな」
「そうかな」
購入したアパートへと招き入れると、彼は開口一番そう呟いてから辺りをキョロキョロと散策し始めた。その様子をにこにこと笑みを浮かべながら観察する。
イズを背後から見つめながら華奢な腰や、形のいいお尻が可愛らしいと思う。自然とゴクリと喉が鳴った。
「疲れた」
「今日もお仕事だったでしょう。疲れたならベッドを貸そうか」
「……いい。ここで寝る」
そう言ってソファーに背を丸めて寝転がったイズを上から見下ろしながら、少しだけ残念な気持ちと大きな喜びに包まれる。
このソファーは家宝にしようと心の中で決めてイズの隣に腰掛ける。彼はそれに何も言うことは無かった。
柔らかな猫毛の黒髪に指を絡ませる。微かにイズが身をよじったけれど、それ以上はなんの反応も示さず、ただされるがまま俺に撫でられていた。それが本当の猫のようで可愛らしい。
「愛してるよ」
ずっと直接言いたかった言葉が口から漏れた。
「……愛って軽い言葉だよな」
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「そんなことないって分からせるから」
思いの外柔らかな声が自身の口から飛び出す。俺の愛はきっとなによりも誰よりも深い。そんな俺の言葉にイズは何も返してはくれなくて、また瞳を閉じてしまった。
「おやすみ」
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