14 / 59
交換条件と威嚇
②
しおりを挟む
「いてぇ……あっ、ごめんな!よそ見しててっ」
慌てて顔を上げて謝罪すると、切れ長の瞳と目が合った。かすみ草みたいな薄い紫の瞳がおれの姿を映し出している。
(どこかで見覚えがある気がする……)
そう思った数秒後、被っていたフードが取れていることに気がついた。慌てて被り直したけど、しっかりと顔を見られてしまったから意味はない気がする。
「まさか……ライト騎士団長?」
「えーと、わかんない、です」
思わず敬語になってしまう。ライトって誰だ?
「そんなはずはない。君はクリス・ライト。王国直属騎士団の騎士団長を務めていた人だ。亡くなったはずなのになぜ……」
情報量が多すぎるだろ!
整理すると、クリスのフルネームはクリス・ライトで、クリスは騎士団長をしてたのか?
んで、目の前のイケメンはクリスと面識があるってことだよな。ダリウスとリアムがフードを被るようにいってたのは、クリスが有名人だったからなんだ。
ようやく疑問が解けたと同時に、やばい状況なんじゃないかと思った。
「ひ、人違いじゃないか」
ここは知らぬ存ぜぬを貫き通すしかない。立ち上がって、服の汚れを払うと、フードを被り直して逃げるように彼へと背を向ける。
けど、腕をガッツリ掴まれて動けなくなってしまった。
「逃がさないよ。私はエド・ガルシアス・ホープ。この国の王太子だ」
「王太子様!?」
思わず振り返ると、綺麗な微笑みを向けられる。
「どうやら本当に私のことは知らないようだね。ライト騎士団長に瓜二つの君にとても興味が湧いてきたよ」
「俺は全然興味持ってもらわなくてかまわないんだけど」
思わずツッコンでしまった。厄介事の匂いしかしない。クリスの関わるやつはどうしてこんなにめんどそうなのが多いんだよ。
「あはは、ライト騎士団長は絶対にそんなことは言わなかっただろうね」
「でしょうねー。てか、俺は装備屋に行きたいんだよ」
もう、看板は見えている。なのに、エドが邪魔で先に進めない。早くしないとダリウスが帰ってきてしまう。
「ああ、邪魔をしてしまったね。お詫びに装備の代金は私が払うよ」
「え!?本当か?」
思わずつられてしまった。
「その代わり、私の話し相手になって欲しいんだ」
「そのくらいなら全然おっけー!そうと決まれば装備屋に行こうぜ!」
即答してしまう。
早く帰らないといけないけど、少しくらい話しても大丈夫だろ。それに、装備を買ってもらえるのはありがたい。
慌てて顔を上げて謝罪すると、切れ長の瞳と目が合った。かすみ草みたいな薄い紫の瞳がおれの姿を映し出している。
(どこかで見覚えがある気がする……)
そう思った数秒後、被っていたフードが取れていることに気がついた。慌てて被り直したけど、しっかりと顔を見られてしまったから意味はない気がする。
「まさか……ライト騎士団長?」
「えーと、わかんない、です」
思わず敬語になってしまう。ライトって誰だ?
「そんなはずはない。君はクリス・ライト。王国直属騎士団の騎士団長を務めていた人だ。亡くなったはずなのになぜ……」
情報量が多すぎるだろ!
整理すると、クリスのフルネームはクリス・ライトで、クリスは騎士団長をしてたのか?
んで、目の前のイケメンはクリスと面識があるってことだよな。ダリウスとリアムがフードを被るようにいってたのは、クリスが有名人だったからなんだ。
ようやく疑問が解けたと同時に、やばい状況なんじゃないかと思った。
「ひ、人違いじゃないか」
ここは知らぬ存ぜぬを貫き通すしかない。立ち上がって、服の汚れを払うと、フードを被り直して逃げるように彼へと背を向ける。
けど、腕をガッツリ掴まれて動けなくなってしまった。
「逃がさないよ。私はエド・ガルシアス・ホープ。この国の王太子だ」
「王太子様!?」
思わず振り返ると、綺麗な微笑みを向けられる。
「どうやら本当に私のことは知らないようだね。ライト騎士団長に瓜二つの君にとても興味が湧いてきたよ」
「俺は全然興味持ってもらわなくてかまわないんだけど」
思わずツッコンでしまった。厄介事の匂いしかしない。クリスの関わるやつはどうしてこんなにめんどそうなのが多いんだよ。
「あはは、ライト騎士団長は絶対にそんなことは言わなかっただろうね」
「でしょうねー。てか、俺は装備屋に行きたいんだよ」
もう、看板は見えている。なのに、エドが邪魔で先に進めない。早くしないとダリウスが帰ってきてしまう。
「ああ、邪魔をしてしまったね。お詫びに装備の代金は私が払うよ」
「え!?本当か?」
思わずつられてしまった。
「その代わり、私の話し相手になって欲しいんだ」
「そのくらいなら全然おっけー!そうと決まれば装備屋に行こうぜ!」
即答してしまう。
早く帰らないといけないけど、少しくらい話しても大丈夫だろ。それに、装備を買ってもらえるのはありがたい。
562
お気に入りに追加
1,376
あなたにおすすめの小説
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
不憫王子に転生したら、獣人王太子の番になりました
織緒こん
BL
日本の大学生だった前世の記憶を持つクラフトクリフは異世界の王子に転生したものの、母親の身分が低く、同母の姉と共に継母である王妃に虐げられていた。そんなある日、父王が獣人族の国へ戦争を仕掛け、あっという間に負けてしまう。戦勝国の代表として乗り込んできたのは、なんと獅子獣人の王太子のリカルデロ! 彼は臣下にクラフトクリフを戦利品として側妃にしたらどうかとすすめられるが、王子があまりに痩せて見すぼらしいせいか、きっぱり「いらない」と断る。それでもクラフトクリフの処遇を決めかねた臣下たちは、彼をリカルデロの後宮に入れた。そこで、しばらく世話をされたクラフトクリフはやがて健康を取り戻し、再び、リカルデロと会う。すると、何故か、リカルデロは突然、クラフトクリフを溺愛し始めた。リカルデロの態度に心当たりのないクラフトクリフは情熱的な彼に戸惑うばかりで――!?
【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる