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成人編
第二王子救出大作戦!①
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目を覚ますと、すぐに支度をして王都への道を進み始めた。オレオールが危険の少ない、近道を教えてくれるから、二日後の夕方頃には王都の建物群が見えてきた。安堵するも、ジルから街の様子を聞いていたために、気を引き締め直す。
王都に足を踏み入れると、想像よりも荒れ果てた街並みに衝撃を受けた。昔は活気に溢れていた市場には、憔悴しきった様子の商人たちや、物乞いと思われる民がふらふらと歩きさ迷っている。
魔族の土地とは全く違う様子に困惑してしまう。こんなにも酷い状態だというのに、第一王子は戦争を起こそうとしているの?
「……ご飯……」
なにかに服の裾を引かれて振り向けば、痩せた小さな男の子が居て、ご飯を強請ってきた。その姿が、昔の自分と重なり、心が痛む。けれど、飢えているのはこの子だけではない。ギラギラとこちらを見つめる沢山の視線に気がついているだけに、どう対処すればいいのかと悩む。
「……あ!これならいけるかも」
持ってきていた革鞄の中を漁りながら案が浮かぶ。十歳の頃、森で拾った鞄の中には拾い集めてあった種がそのまま入れてある。草や木の実は腐るから捨ててしまったけれど、種だけは残してあったんだ。
不安げな瞳を向けてくる男の子に、少し離れているように言う。鞄から二、三粒種を取り出すと、地面へと落とした。上手くいくかはわからない。けれど、魔法の使い方はザインからずっと教わっていたんだ。きっと僕ならできる。
地面へと手をかざすと、土属性魔法を展開する。植物が大きく成長するイメージ。そこに水魔法を足し、光魔法で太陽光を再現。
「芽が生えたぞ!」
誰かの声が辺りに響く。瞬間、種から顔を出した芽が急成長し、キップルの実る木へと成長した。他の種も同じように成長させると、次から次に実がなりはじめる。それを一つもぎ取ると、男の子に手渡す。
「これをお食べ」
「いいの?」
「もちろん」
警戒した大人が止めようとするけれど、その前に男の子が実にかぶりついた。
「美味しい!」
涙を流しながら、実に必死にかぶりつく男の子を見て、次から次に人々が実をもぎ始める。不思議なことに、もいだところから次から次に実が生え、あっという間にその場にいる人達の手元に行き渡った。
「良い選択だ」
「ふふ、これでしばらくは持つはずだ」
「そうだな。木に宿る魔力が尽きれば、実は生えてこなくなる。一月ひとつきは持つだろう」
「うん。よし、先を急ごう」
王都に足を踏み入れると、想像よりも荒れ果てた街並みに衝撃を受けた。昔は活気に溢れていた市場には、憔悴しきった様子の商人たちや、物乞いと思われる民がふらふらと歩きさ迷っている。
魔族の土地とは全く違う様子に困惑してしまう。こんなにも酷い状態だというのに、第一王子は戦争を起こそうとしているの?
「……ご飯……」
なにかに服の裾を引かれて振り向けば、痩せた小さな男の子が居て、ご飯を強請ってきた。その姿が、昔の自分と重なり、心が痛む。けれど、飢えているのはこの子だけではない。ギラギラとこちらを見つめる沢山の視線に気がついているだけに、どう対処すればいいのかと悩む。
「……あ!これならいけるかも」
持ってきていた革鞄の中を漁りながら案が浮かぶ。十歳の頃、森で拾った鞄の中には拾い集めてあった種がそのまま入れてある。草や木の実は腐るから捨ててしまったけれど、種だけは残してあったんだ。
不安げな瞳を向けてくる男の子に、少し離れているように言う。鞄から二、三粒種を取り出すと、地面へと落とした。上手くいくかはわからない。けれど、魔法の使い方はザインからずっと教わっていたんだ。きっと僕ならできる。
地面へと手をかざすと、土属性魔法を展開する。植物が大きく成長するイメージ。そこに水魔法を足し、光魔法で太陽光を再現。
「芽が生えたぞ!」
誰かの声が辺りに響く。瞬間、種から顔を出した芽が急成長し、キップルの実る木へと成長した。他の種も同じように成長させると、次から次に実がなりはじめる。それを一つもぎ取ると、男の子に手渡す。
「これをお食べ」
「いいの?」
「もちろん」
警戒した大人が止めようとするけれど、その前に男の子が実にかぶりついた。
「美味しい!」
涙を流しながら、実に必死にかぶりつく男の子を見て、次から次に人々が実をもぎ始める。不思議なことに、もいだところから次から次に実が生え、あっという間にその場にいる人達の手元に行き渡った。
「良い選択だ」
「ふふ、これでしばらくは持つはずだ」
「そうだな。木に宿る魔力が尽きれば、実は生えてこなくなる。一月ひとつきは持つだろう」
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