囚われの白夜〜狼王子は身代わり奴隷に愛を囁く〜

天宮叶

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悩みと提案

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「ほんと、ですか?」

ライル様の言葉が信じられなくて聞き返すと、彼が叱責しっせきするかのように尻尾を僕の太ももへと当ててきた。

「俺を疑うのか?」
 
「疑ってないです……」

「そうか。なら、黙って俺の思いを身体で受け止めていろ」

再開し始めた腰の動きに翻弄ほんろうされて、僕も再び喘ぎ声を部屋中に響かせる。

何度果てても終わることなく続く甘い蜜の様な行為がこのまま本当に終わらなければ良いのにと思った。

「アズハル、俺の欲をしっかりと受け止めろ」

「ん、ああ、あ、あ、んんんっ」

ライル様が僕の最奥へと達する度にとろとろと密穴から白濁が漏れ出てシーツを濡らす。

それを視界に入れるたび、嬉しいと思うのに、罪悪感が胸を締め付けるんだ。

Ωの僕がこうしてライル様に抱かれているのは、彼の子を産むためだと分かっているから、尚更じくじくと僕の心は痛みに苛まれる。

「ライル様っ」

それを隠すように、僕はライル様の名前を呼んだ。

「アズハル」

そうすればライル様も僕の名前を呼んで、僕を快楽の渦へと誘ってくれる。

(ごめんなさい)

出来ることなら貴方とは出会いたくなかった。
愛おしくて堪らないからこそ、貴方に抱かれる度に苦しくなる。

だって、僕は子を産めない体質だから。

「考え事か」

顎を取られて、ライル様の青金の瞳が僕を見つめてくる。

「違います……」

「ふっ、なら俺を見ていろ」

僕の口内へと入ってきた舌を受け止めながら、潤んだ瞳でライル様を見つめ続ける。

お互いの唾液が混ざりあって顎を伝って首筋へと流れ落ちた。

そのヌルりとした感覚が血の様にも思えて、耐えきれず目を閉じる。閉じた瞬間に目尻から涙が零れ落ちて唾液と混ざりあった。

昔、ご主人様の客の要望で発情中のΩを抱きたいといわれた。その時、相手をしたのが僕だった。

何度も中に出されて、数ヶ月は妊娠する恐怖に震えて過ごしていたけれど、一向にその兆候は訪れず、何度も同じように抱かれたけれど、結局妊娠することはなかった。

当時はそれに安堵感を覚えていたけれど、こうして愛する人に求められている今はただただ悲しい。

もしも、ライル様に不妊のことを知られたらどうなるのだろう。

想像するのも恐ろしい。

僕は彼を騙している。
そして周りの人達のことも同じように欺いているんだ。

「っ、ライル様……」

ごめんなさい。
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