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愛の裏返し

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ベッドまで運ばれると、ライル様は噛み付くみたいに僕に口付けをしてきた。

青と金の混色が僕を射殺さんばかりに見つめてくる。

「アズハル、舌を出せ」

「……ん……」

言われた通りに舌を出すとライル様が舌先に吸い付いてきて、微かな快感に声が漏れた。
犬歯が刺激するように舌に当たって、それにすら気持ちよさを感じてしまう。

ひとしきり弄ばれると、ライル様の唇が離れて、そのことに少しだけ名残惜しさを感じた。

「あまり他人に媚びを売るな」

「……そ、そんなこと……」

してません……って言いたいのにライル様に睨まれてしまって言葉は出てこない。

ライル様は僕のことをどう思っているのだろう。
所有物か、あるいはやはり彼も僕を奴隷だと思っているのかな。

だから、他人に取られることや口答えすることを嫌がるのかもしれない。

「貴方の言うことを聞きます……だから、痛いことはしないで欲しいです……」

僕のか細い訴えに、ライル様は眉を寄せると小さくため息をついた。

「俺が怖いか?」

前にも聞かれた質問だ。

でも、僕はそれに答えることは出来なかった。

よく分からないんだ。
自分の感情が自分でも上手く掴めない。

ライル様のことになるともっと何も分からなくなる。

「……もういい」

何も答えない僕に痺れを切らしたのか、ライル様はもう一度ため息を吐き出すと、僕を胸の中に抱きしめてそのままベッドへと横たわった。

「俺はそう気は長くないぞ」

「……ライル様……」

怒っていたはずなのに、突然優しくされると戸惑ってしまう。

それでも、彼の体温を感じれば戸惑いは心地良さに変化するのだから不思議だ。

「……僕は貴方のなんなのですか」

「……」

僕の問いかけに、ライル様は答えてはくれなかった。

それが逆に答えのようにも感じて苦しくなる。

何を期待してるんだろう。
彼が僕のことを愛してくれるなんて期待するだけ無駄に終わるって分かっているのに。

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