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お手をどうぞ
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セレーネが可愛くてもう一度彼にキスをしようした時、最終下校を告げる鐘の音が学園内に鳴り響いて動きを止めた。
「……帰ろうか」
鐘の音のおかげで少しだけ冷静になった俺はセレーネを抱きしめていた腕の力を緩めて彼を解放してあげた。
ゆっくり立ち上がるとセレーネがモジモジと俺の方を何度も見てくる。
「ダンス教えてくれてありがとう」
そう言ってセレーネに軽く触れるだけのキスをすると、ふぇ!?ってセレーネがよく分からない声を上げた。それが可愛すぎてにやけてしまう。
「ア、アルの嘘つきっ……」
そう言って赤い顔のまま頬を膨らませるセレーネはまるで他国の名産品であるタコの様で、ごめんねって言って撫でてあげると、うってまたセレーネが変な声を上げた。
「ほら、行こう」
セレーネの手を取って帰るように促すと、セレーネがほんの微かに俺の手を握り返してくれた。
それが嬉しくて、高鳴る鼓動と幸福感に胸をいっぱいにしながら2人並んで寮までの道をゆっくりと進んでいく。
この時間がずっと続けばいい。
「……アルは……貴族なの?」
「そうだよ」
「……だよ、ね。よく考えたらエーデルシュタイン家の結婚式に招待されるなんて貴族以外有り得ないよね……その……どうして嘘ついたの?名前も本当は違ったりするの?」
そう言って俺の事を見上げてくるセレーネと視線を合わせると、俺は嘘ついててごめんねって謝罪をした。
「俺の髪と瞳の色を見て思い当たることってないかな?」
「……え……」
セレーネは数秒無言になってから、もしかしてって大きな目を更に大きく見開いた。
「……皇太子様?」
「……うん、そうだよ」
「……だから、隠してたの?」
「あまり人に注目されるのが好きではなくてね……。それに、セレーネさえ傍にいてくれればそれでいいから」
オリビアやノアも大切だしお母様やお父様も大切だけれど、誰か1人しか選べないなら俺は迷わずセレーネに傍にいて欲しいと思う。
皇太子に向けられる欲望の眼差しも、賞賛も人気も何も要らない。
セレーネだけを強く欲しているんだ。
俺が皇太子だと知って繋いでいた手を離そうとしたセレーネの手をしっかりと離さないように握って、その手を自身の唇へと持っていく。
「セレーネは美しい大輪の花で、そして俺の唯一のお姫様だ」
「……ア、アルっ」
手の甲に口付けを落としながらしっかりと彼の青い瞳を見つめ返す。
お互いの視線が交わって、まるで溶け合いそうな程の熱が繋いだ手から伝わってくる気がした。
「……帰ろうか」
鐘の音のおかげで少しだけ冷静になった俺はセレーネを抱きしめていた腕の力を緩めて彼を解放してあげた。
ゆっくり立ち上がるとセレーネがモジモジと俺の方を何度も見てくる。
「ダンス教えてくれてありがとう」
そう言ってセレーネに軽く触れるだけのキスをすると、ふぇ!?ってセレーネがよく分からない声を上げた。それが可愛すぎてにやけてしまう。
「ア、アルの嘘つきっ……」
そう言って赤い顔のまま頬を膨らませるセレーネはまるで他国の名産品であるタコの様で、ごめんねって言って撫でてあげると、うってまたセレーネが変な声を上げた。
「ほら、行こう」
セレーネの手を取って帰るように促すと、セレーネがほんの微かに俺の手を握り返してくれた。
それが嬉しくて、高鳴る鼓動と幸福感に胸をいっぱいにしながら2人並んで寮までの道をゆっくりと進んでいく。
この時間がずっと続けばいい。
「……アルは……貴族なの?」
「そうだよ」
「……だよ、ね。よく考えたらエーデルシュタイン家の結婚式に招待されるなんて貴族以外有り得ないよね……その……どうして嘘ついたの?名前も本当は違ったりするの?」
そう言って俺の事を見上げてくるセレーネと視線を合わせると、俺は嘘ついててごめんねって謝罪をした。
「俺の髪と瞳の色を見て思い当たることってないかな?」
「……え……」
セレーネは数秒無言になってから、もしかしてって大きな目を更に大きく見開いた。
「……皇太子様?」
「……うん、そうだよ」
「……だから、隠してたの?」
「あまり人に注目されるのが好きではなくてね……。それに、セレーネさえ傍にいてくれればそれでいいから」
オリビアやノアも大切だしお母様やお父様も大切だけれど、誰か1人しか選べないなら俺は迷わずセレーネに傍にいて欲しいと思う。
皇太子に向けられる欲望の眼差しも、賞賛も人気も何も要らない。
セレーネだけを強く欲しているんだ。
俺が皇太子だと知って繋いでいた手を離そうとしたセレーネの手をしっかりと離さないように握って、その手を自身の唇へと持っていく。
「セレーネは美しい大輪の花で、そして俺の唯一のお姫様だ」
「……ア、アルっ」
手の甲に口付けを落としながらしっかりと彼の青い瞳を見つめ返す。
お互いの視線が交わって、まるで溶け合いそうな程の熱が繋いだ手から伝わってくる気がした。
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